1 さて、アルマは最初にゼラヘムラの地で、その後、国内の至る所で、人々に①神の言葉を②告げ始めた。
2 アルマ自身の記録によると、彼がゼラヘムラの町に設けられた教会で人々に語った言葉は、次のとおりである。
3 「わたしアルマは、父アルマによって神の教会の①大祭司に②聖任された。父はこのことを行う力と③権能を神から授かっていたからである。見よ、わたしはあなたがたに言う。父はニーファイの地の境、まことに、④モルモンの地と呼ばれた所で教会の設立に取りかかり、モルモンの泉で同胞にバプテスマを施した。
4 そして見よ、わたしはあなたがたに言う。彼らは神の憐れみと力により、ノア王の民の手から①救い出された。
5 そして見よ、その後、彼らは荒れ野でレーマン人の手によって①奴隷の状態となった。あなたがたに言う。まことに、彼らは囚われの状態にあったが、再び主は、御言葉の力によって彼らを②奴隷の状態から救い出された。そしてわたしたちはこの地に導かれ、この地でも至る所に神の教会を設立するようになった。
6 さて見よ、今この教会に属している同胞よ、わたしはあなたがたに言う。あなたがたは、先祖が囚われの状態にあったことをよく覚えているか。先祖に対する神の憐れみと寛容をよく覚えているか。また神が彼らを地獄から救い出されたことをよく覚えているか。
7 見よ、神は彼らの心を改めさせ、彼らを深い眠りから覚まされたので、彼らは目覚めて神に従った。見よ、彼らはかつて暗闇のただ中にいたにもかかわらず、後に永遠の御言葉の光に照らされるようになった。まことに彼らは①死の縄目と②地獄の鎖に縛られ、永遠の滅びが彼らを待ち受けていた。
8 さて、わたしの同胞よ、わたしはあなたがたに尋ねる。彼らは滅ぼされたか。見よ、あなたがたに言う。いや、滅ぼされなかった、と。
9 わたしはまた尋ねる。死の縄目は断たれ、彼らを縛っていた地獄の鎖は解かれたか。わたしはあなたがたに言う。そのとおり、死の縄目と地獄の鎖は解かれ、彼らの心は広がり、彼らは贖いをもたらした愛について歌った。彼らは今、救われている、とわたしはあなたがたに言う。
10 それではあなたがたに尋ねるが、彼らはどのような条件で①救われているのであろうか。まことに、彼らは何を根拠にして、救いを望むことができたのであろうか。彼らが死の縄目と地獄の鎖から解かれた理由は何であろうか。
11 見よ、わたしはあなたがたに告げることができる。父アルマは、①アビナダイの口から告げられた御言葉を信じなかったか。アビナダイは聖なる預言者ではなかったか。彼は神の御言葉を語らなかったか。父アルマはそれを信じなかったか。
12 父は信じたので、心の中に大きな①変化が生じた。見よ、わたしはあなたがたに言う。このことはすべて真実である。
13 そして見よ、父はあなたがたの先祖に御言葉を①宣べ伝え、彼らの心の中にも大きな変化が生じた。そして、彼らはへりくだり、まことの②生ける神に③信頼を寄せた。そして見よ、彼らは④最後まで忠実であったので、救われたのである。
14 さて見よ、教会の同胞よ、わたしはあなたがたに尋ねる。あなたがたは霊的に神から①生まれているか。あなたがたの顔に神の面影を受けているか。あなたがたは心の中に、この大きな②変化を経験したか。
15 あなたがたは、自分たちを①造られた御方の贖いを信じる信仰を働かせているか。あなたがたは信仰の目をもって待ち望み、この死すべき体がよみがえって不死のものとなり、この朽ちるものが②よみがえって朽ちないものとなって、死すべき体にあってなした行いに応じて③裁かれるために神の御前に立っている有様を見ているか。
16 わたしはあなたがたに言う。あなたがたはその日、『①祝福された者たちよ、わたしのもとに来なさい。見よ、地の面でのあなたがたの行いは義の業であった』と言われる主の声を聞く自分自身を、今、心に描くことができるか。
17 それとも、あなたがたが今、心に描いているのは、その日主に向かって偽りを言い、『主よ、地の面でのわたしの行いは義にかなった行いでした』と①語って、主から救いを得ようとしている自分自身であろうか。
18 それとも、自分のすべての罪を思い起こし、まことに、自分の犯したすべての悪をことごとく①思い出し、まことに、神の戒めを無視してきたことを思い起こしながら、罪悪感と悔恨の情にさいなまれながら、神の裁きの座に連れ出される自分自身を、今、心に描くことができるであろうか。
19 わたしはあなたがたに言う。あなたがたはその日、純真な心と清い手をもって神を仰ぎ見ることができるか。あなたがたに言うが、あなたがたは、自分の顔に神の①面影を刻まれた有様で仰ぎ見ることができるか。
20 わたしはあなたがたに言う。あなたがたは、たとえ自分の身をゆだねて悪魔の①手下になったとしても救われる、と考えているだろうか。
21 わたしはあなたがたに言う。あなたがたが①救いを得られないことは、その日に分かるであろう。だれも②衣を白く洗い清められないかぎり、救いを得られないからである。まことに、人の衣は、わたしたちの先祖がこれまで語ってきた御方の血によって、すべての汚れがきれいになるまで③清められなければならない。その御方は、御自分の民を罪から贖うために必ず来られる。
22 そこで、わたしの同胞よ、わたしはあなたがたに尋ねる。あなたがたの中で①血とあらゆる②汚れで汚れた衣を着たまま神の法廷に立つ人がいるとすれば、その人はどのように感じるであろうか。見よ、それらのものは、あなたがたについてどのような不利な証言をするであろうか。
23 見よ、それらのものは、あなたがたが人殺しであること、また、あらゆる悪事を犯した者であることを①証言しないであろうか。
24 見よ、わたしの同胞よ、あなたがたはこのような人が、今清められていて染みのない、清くて白い衣を着ている①アブラハム、イサク、ヤコブ、そのほかすべての聖なる預言者とともに、神の王国で座に着く場所を得られると思うか。
25 わたしはあなたがたに言う。それは得られない。あなたがたがわたしたちの創造主を世の初めからの偽り者としないかぎり、または世の初めからの偽り者であると思わないかぎり、このような人々が天の王国で住む場所を得られるとは思えない。かえって、このような人々は①悪魔の王国の子であるから、追い出されるであろう。
26 さて見よ、わたしの同胞よ、わたしはあなたがたに言う。もしあなたがたが心の①変化を経験しているのであれば、また、贖いをもたらす愛の②歌を歌おうと感じたことがあるのであれば、今でもそのように③感じられるか尋ねたい。
27 あなたがたは、①罪のない状態で神の御前を歩んできたか。あなたがたは、もし今死ぬように召されたとして、心の中で自分は十分に②へりくだっていると言えるであろうか。また、自分の衣は、将来御自分の民を罪から③贖うために来られるキリストの血によって清められ、白くされていると言えるであろうか。
28 見よ、あなたがたは①高慢な心を取り去っているか。わたしはあなたがたに言う。もし取り去っていなければ、神にお会いする用意ができていない。見よ、あなたがたは早く用意をしなければならない。天の王国はすでに近く、このような人は永遠の命を得られないからである。
29 見よ、わたしは言う。あなたがたの中に①ねたみを取り去っていない人がいるか。わたしはあなたがたに言う。このような人は用意ができていないので、早く用意をしてほしい。時は近づいており、いつその時が来るか分からないからである。そして、このような人は罪がないとは認められない。
30 また、わたしはあなたがたに言う。あなたがたの中に自分の兄弟を①あざけっている人、あるいは兄弟に迫害を加えている人がいるか。
31 このような人は、用意ができていないので災いである。悔い改めなければならない時が近づいている。悔い改めなければ救われないであろう。
32 まことに、①罪悪を行う人はすべて災いである。『悔い改めよ。悔い改めよ』と主なる神は言われた。
33 見よ、主は①すべての人を招き、②憐れみの御腕を伸べて、『悔い改めよ。そうすれば、わたしはあなたがたを受け入れよう』と言われる。
34 まことに、主は言われる。『①わたしのもとに来なさい。あなたがたは②命の木の実を食べるであろう。あなたがたは③価なしに④命のパンを食べ、命の水を飲むであろう。
35 まことに、わたしのもとに来て、義の業を行いなさい。そうすれば、あなたがたは切り倒されて火の中に投げ込まれることはない。
36 見よ、①良い実を結ばない者、すなわち義の業を行わない者の嘆き悲しむ時が近づいている。』
37 おお、罪悪を行う人々よ。俗世の①むなしいものを誇る人々よ。義の道を知っていると公言しながら、羊飼いがこれまでも、また現在も②呼んでおられるにもかかわらず、その声を③聴こうとしないで、まるで羊飼いのいない④羊のように⑤迷っている人々よ。
38 見よ、あなたがたに言う。①良い羊飼いはあなたがたを呼んでおられる。しかも御自分の御名、すなわちキリストの御名によってあなたがたを呼んでおられる。もしあなたがたがその②良い羊飼いの声を、将来その名によってあなたがたが呼ばれるその③御名を④聴こうとしないならば、見よ、あなたがたはその良い羊飼いの羊ではない。
39 さて、もし良い羊飼いの羊でなければ、あなたがたは①何の羊の群れに属しているのであろうか。見よ、わたしはあなたがたに言う。②悪魔があなたがたの羊飼いであり、あなたがたは悪魔の羊の群れに属している。これを否定できる者がだれかいるであろうか。見よ、わたしはあなたがたに言う。これを否定する者は③偽り者であり、④悪魔の子である。
40 わたしはあなたがたに言う。①善いものは何であろうと神から出、悪いものは何であろうと悪魔から出るからである。
41 したがって、人がもし①善い行いをするならば、その人は良い羊飼いの声を聴き、良い羊飼いに従う。しかし、悪い行いをする者はだれであろうと、②悪魔の子になる。悪魔の声を聴き、悪魔に従うからである。
42 そして、このように行う者はだれであろうと、悪魔から①報いを受ける。したがって、このような者はすべての善い行いに対して死んだ有様になるので、義にかかわることについて②報いとして③死を受けるのである。
43 さて、わたしの同胞よ、わたしの言うことを聞いてほしい。わたしは心を込めて語っており、またあなたがたが誤解しないように、見よ、分かりやすく語ってきた。すなわち、神が命じられるままに語ってきた。
44 わたしは、キリストなるイエスにある神の①聖なる位に従って、このように語るように召されているからである。まことに、わたしは、将来起こることについて先祖が語ってきたことを、立ってこの民に証するように命じられている。
45 そしてこれだけではない。あなたがたは、わたしが自分でこれらのことについて①知っていることに気づかないのか。見よ、わたしは、自分が語ってきたこれらのことが真実であることを知っている。あなたがたは、わたしがどのようにしてこれらのことが確かであるのを知ったと思うか。
46 見よ、わたしはあなたがたに言う。これらのことは、神の聖なる御霊によってわたしに①知らされているのである。見よ、わたしは自分でこれらのことを知ることができるように、幾日もの間、②断食をして祈ってきた。そして、これらのことが真実であるのを、わたしは今、自分自身で知っている。主なる神が神の聖なる御霊によってこれらのことをわたしに明らかにされたからである。わたしの内にある③啓示の霊によって知らされたのである。
47 さらに、あなたがたに言う。先祖が語ってきた言葉が真実であることは、わたしの内にある預言の霊によってもわたしに示されてきた。これはまた、神の御霊の現れによるものである。
48 わたしはあなたがたに言う。将来起こることについてこれからあなたがたに語ることは、何事もすべて真実であると、わたしは自分で知っている。わたしはあなたがたに言う。わたしはイエス・キリストが将来来られることを知っている。イエス・キリストは御子、すなわち御父の独り子で、恵みと憐れみと真理に満ちておられる。見よ、世の罪、まことにその御名を確固として信じるすべての人の罪を取り除くために来られるのは、この御方である。
49 わたしはあなたがたに言う。まことに、わたしの愛する同胞とこの地に住むすべての人に教えを説き、まことに、老いた人にも若い人にも、束縛された人にも自由な人にも、まことに、老人にも中年の人にも青年にも、すべての人に教えを説き、まことに、彼らに悔い改めて①再び生まれなければならないことを叫び求めること、これが、わたしが召された②位である。
50 まことに御霊は言われる。『地の果てに至るすべての者よ、悔い改めよ。天の王国はもう近い。まことに、神の御子は、①栄光、威勢、尊厳、力、主権を帯びて来られる。』まことに、わたしの愛する同胞よ、わたしはあなたがたに言う。御霊は、『見よ、全地の②王であり、また天の王でもある御方の栄光が、間もなくすべての人の子らの中に輝き渡る』と言われる。
51 御霊はまたわたしに語り、まことに、力強い声でわたしに叫んで、『出て行ってこの民に、「悔い改めよ。悔い改めないかぎり決して①天の王国を受け継ぐことはできない」と言いなさい』と言われる。
52 またわたしはあなたがたに言う。御霊は言われる。『見よ、①斧は木の根元に置かれている。したがって、良い実を結ばない木はことごとく②切り倒されて火の中に、まことに燃え尽きることのない火、すなわち消すことのできない火の中に投げ込まれる。見よ、聖者がこのように言われたということをよく覚えておきなさい。』
53 さて、わたしの愛する同胞よ、わたしはあなたがたに言う。あなたがたはこれらの御言葉に反論できるか。まことに、これらのことを退け、聖者を足の下に①踏みつけることができるか。まことに、あなたがたの心を②高慢にして誇ることができるか。まことに、あなたがたはこの後もなお、③高価な衣服を着て、俗世のむなしいもの、自分の④富に執着し続けるつもりか。
54 まことに、あなたがたはこの後もなお、自分はほかの者よりも優れていると思い続けるつもりか。まことに、へりくだり、神の聖なる位に従って歩む同胞を、迫害し続けるつもりか。その同胞は、神の聖なる位によってこの教会に導かれ、聖なる御霊によって①聖められており、そして今、悔い改めにふさわしい行いをしている。
55 また、あなたがたはこの後もなお、①貧しい人や乏しい人に背を向け、彼らにあなたがたの持ち物を与えないつもりか。
56 最後に、自分の悪の中にとどまるつもりのすべての人に言う。これらの人々は、すぐに悔い改めないかぎり、切り倒されて火の中に投げ込まれてしまうであろう。
57 さて、①良い羊飼いの声に従いたいと望んでいるすべての人に、わたしは言う。悪人から去り、②離れ、彼らの清くないものに触れてはならない。見よ、悪人の名は③消され、義人の名の中には数えられない。それは神の御言葉が成就するためである。神は言われる。『悪人の名が、わたしの民の名とともに並べられることはない。
58 義人の名は①命の書に書き記されるからである。わたしは義人に、わたしの右において受け継ぎを授ける』と。さて、わたしの同胞よ、あなたがたはこれに対して、何か反論することがあるであろうか。わたしはあなたがたに言う。たとえ反論したとしても、大したことはない。神の御言葉は必ず成就するからである。
59 多くの羊を飼っているとき、おおかみが入って来て、羊の群れを食い尽くすことのないように、羊の番をしない羊飼いがあなたがたの中にいるであろうか。そして見よ、おおかみが羊の群れの中に入って来れば、羊飼いはそのおおかみを追い払わないであろうか。そして最後に、できれば羊飼いは、そのおおかみを殺すであろう。
60 さて、わたしはあなたがたに言う。良い羊飼いは今、あなたがたを呼んでおられる。あなたがたがその声を聴くならば、良い羊飼いはあなたがたを御自分の羊の群れに導き入れ、あなたがたは良い羊飼いの羊になる。また良い羊飼いは、あなたがたが滅びることのないように、飢えたおおかみをあなたがたの中に決して入れてはならないと、あなたがたに命じておられる。
61 さて、わたしアルマは、あなたがたに語ってきた言葉を、わたしに命じられた①御方の御言葉のとおり実行するように、あなたがたに命じる。
62 わたしは教会に属しているあなたがたに、これらのことを命令として告げる。そして、教会に属していない人々には、招きの言葉として次のように言う。『あなたがたも①命の木の実を食べる者となれるように、来て、悔い改めのためのバプテスマを受けなさい』と。」