1さて見よ、モロナイは総督に手紙を送った後、間もなくその総督であるパホーランから返事を受け取った。彼が受け取った言葉は次のとおりである。
2「この地の総督であるわたしパホーランは、軍の司令官モロナイにこの言葉を送ります。まことに、モロナイ殿、あなたに申しますが、わたしはあなたがひどい苦難を受けていることを喜ばず、むしろ、そのことを深く悲しんでいます。
3しかしまことに、あなたの苦難を喜んでいる者たちがいます。まことに、彼らはわたしに、またわたしの民の自由党員である人々に反抗して立ち上がりました。反抗して立ち上がった者はおびただしい数に上ります。
4わたしからさばきつかさの職を奪い取ろうとした者たちこそ、この大きな罪悪のもとになった者たちです。彼らは多くの甘言を用い、また多くの人の心を惑わしてきました。これは将来わたしたちの中にひどい苦難を生じる原因になることでしょう。彼らはわたしたちの食糧を差し止め、また自由党の人々の勇気をくじいたので、その人々はあなたのもとへ行けなかったのです。
5そしてまことに、彼らはわたしを追い出しました。そこでわたしは、集められるかぎりの多くの人を伴い、ギデオンの地に逃れました。
6またまことに、わたしは、国のこの地方の至る所に布告を出したので、まことに、人々は武器を取って自分たちの国と自分たちの自由を守るために、またわたしたちが受けた不当な仕打ちに報復するために、日々わたしたちのもとに群れを成して集まっています。
7そして、彼らがわたしたちのもとに来たので、わたしたちに謀反を起こした者たちは脅威を覚えてわたしたちを恐れ、あえてわたしたちに攻めて来ようとはしません。
8彼らはすでにゼラヘムラの地、すなわちその町を占領し、自分たちを治める王を選びました。そしてその王はレーマン人の王に手紙を書き、彼と同盟を結び、その同盟条約の中でゼラヘムラの町を守り通すことに同意しました。彼は、そこを守り通せばレーマン人が国の残りの部分を征服できると思い、またこの民が征服されてレーマン人の支配下に入るときには、自分がこの民を治める王に任じられると思っています。
9ところで、あなたは手紙の中でわたしをとがめましたが、それはどうでもよいことです。わたしは怒っておらず、むしろあなたの心の広さを喜んでいます。わたしパホーランは、民の権利と自由を守れるようにさばきつかさの職を保つこと以外、何の権力も求めません。わたしは、神がわたしたちを自由な者にしてくださったその自由にしっかりと立っています。
10ところでまことに、わたしたちは血を流してでも悪に抵抗するつもりです。もしレーマン人が彼らの国にとどまっているならば、わたしたちは彼らの血を流さないでしょう。
11わたしたちの同胞が謀反を起こさず、わたしたちに対して剣を取らなければ、わたしたちは同胞の血を流さないでしょう。
12もし神の公正によって必要とされるならば、または神がわたしたちにそうするようにお命じになるならば、わたしたちは奴隷のくびきを受けましょう。
13しかしまことに、神は敵に服従するようにとはわたしたちに命じられず、むしろ神に頼るように、そうすればわたしたちは救われると言われます。
14したがって、愛する兄弟モロナイ殿、悪を阻止しましょう。そして、言葉で阻止できない悪、すなわち謀反や離反のような悪は剣で阻止し、わたしたちの自由を保てるように、またわたしたちの教会の大きな特権と、わたしたちの贖い主、わたしたちの神の大義を喜べるようにしましょう。
15したがって、少数の兵を率いてすぐにわたしのもとに来てください。残りの兵はリーハイとテアンクムにその指揮を託し、国のその地方で神の御霊、すなわち彼らの内にある自由の精神に応じて戦いを指揮できるように、彼らに力を与えておいてください。
16まことに、わたしはすでに彼らに食糧を少し送っておいたので、あなたがわたしのもとに来るまで、彼らは死ぬことはないでしょう。
17こちらに行軍する間に、できるだけ兵を集めてください。そしてわたしたちは、自分たちの内にある信仰により、神の力をもって速やかに離反者たちを攻めましょう。
18そしてわたしたちは、リーハイとテアンクムに送る食糧をもっとたくさん手に入れるために、ゼラヘムラの町を占領しましょう。まことに、主の力をもって彼らと戦いましょう。そして、この大きな罪悪を根絶しましょう。
19ところで、モロナイ殿、わたしはあなたの手紙を受け取って喜んでいます。わたしは、わたしたちのなすべきことについて、すなわち同胞と戦うことが正当かどうかについて少々思い悩んでいたからです。
20ところがあなたは、彼らが悔い改めなければ彼らと戦うように主が命じられたと言いました。
21主にあってリーハイとテアンクムを必ず強めるようにしてください。恐れないように彼らに告げてください。神は彼らを救い、また神が自由な者にしてくださったその自由にしっかりと立つ人々もすべて救ってくださるからです。これでわたしは愛する兄弟モロナイにあてたわたしの手紙を結びます。」