1さて、ニーファイの民のさばきつかさの統治第三十六年の初めに、シブロンは、アルマがヒラマンに渡した神聖な品々を所有することになった。
2シブロンは正しい人であって、神の前をまっすぐに歩んでいた。そして、絶えず善を行い、主なる神の戒めを守るように努めた。彼の兄弟もまた同様であった。
3さて、モロナイもまた死んだ。このようにして、さばきつかさの統治第三十六年が終わった。
4さて、さばきつかさの統治第三十七年には、ゼラヘムラの地から北方の地へ旅立った大きな一団があった。その一団は五千四百人の男たちと、彼らの妻子から成っていた。
5さて、ハゴスという人がおり、彼は非常に技量の優れた人であったので、出かけて行って、デソレションの地に近いバウンティフルの地の境で一隻の非常に大きな船を建造し、それを西の海に進水させた。そこは北方の地へ通じている地峡の近くであった。
6そして見よ、多くのニーファイ人がそれに乗り込み、たくさんの食糧を持って船出した。多くの女と子供も一緒であった。そして、彼らは北方へ進路を取った。このようにして、第三十七年が終わった。
7第三十八年に、この人はほかにも何隻か船を建造した。最初の船が戻って来ると、また多くの人がそれに乗り込み、彼らもたくさんの食糧を持って再び北方の地へ出発した。
8そして、彼らの消息は絶えてしまった。思うに、彼らは海の深みに沈んでおぼれてしまったのであろう。また、ほかにも一隻が船出したが、それもどこへ行ったかわたしたちには分からない。
9そして、この年に多くの人が北方の地へ行った。そして、第三十八年が終わった。
10さて、さばきつかさの統治第三十九年に、シブロンも死んだ。コリアントンは、北方の地へ行った人々に食糧を届けるために船でその地へ出かけて行った。
11そこでシブロンは死ぬ前に、ヒラマンの息子に神聖な品々を託さなければならなかった。ヒラマンのこの息子は、父の名にちなんで名付けられ、ヒラマンと呼ばれていた。
12さて見よ、ヒラマンが所有した版に刻まれた記録は、公にしてはならないとアルマが命じた部分を除いて、すべて書き写されて全地の至る所の人の子らに送られた。
13それでも、これらの品々は神聖に保ち、代々伝えなければならないので、この年に、シブロンが死ぬ前にヒラマンに託されたのである。
14さて、この年にレーマン人のもとへ去って行った何人かの離反者がおり、レーマン人はまたそそのかされてニーファイ人に対して怒った。
15そしてこの同じ年に、彼らはモロナイハの民、いや、モロナイハの軍隊と戦うために大軍で下って来た。しかし、彼らは打ち負かされ、大きな損害を受けて自分たちの国へ追い返された。
16このようにして、ニーファイの民のさばきつかさの統治第三十九年が終わった。
17これで、アルマと、息子ヒラマンと、アルマの息子シブロンについての話は終わった。