1 「さて、わが子よ、今あなたの心を悩ましている、あなたの理解できないことがほかにも多少あることを、わたしは知っている。それは罪人を罰する神の①公正についてである。あなたは罪人が不幸な状態に置かれるのは不当であると思っている。
2 さて見よ、わが子よ、このことをあなたに説明しよう。見よ、主なる神はわたしたちの始祖を①エデンの園から②追い出して、彼らの肉体が造られた土を耕すようにされた後、まことに主なる神は人を追い出された後、エデンの園の東の端に③ケルビムとあらゆる方向に回る燃える剣を置いて、④命の木を守らせられた。
3 わたしたちが知っているように、人は神のようになり、善悪をわきまえるようになった。そこで、人が手を伸ばして命の木からも取って食べ、とこしえに生き長らえることのないように、主なる神はケルビムと燃える剣とを置いて、人がその木の実を食べられないようにされた。
4 このことから分かるように、人が悔い改めることを許された期間があった。まことに、それは①試しの時期であり、悔い改めて神に仕える時期である。
5 見よ、もしアダムがすぐに手を伸ばして命の木から取って食べていたら、彼は悔い改めの期間がまったくないまま、神の御言葉のとおりにとこしえに生き長らえたであろう。そして、神の御言葉はむなしくなり、偉大な救いの計画は挫折していたことであろう。
6 しかし見よ、人は①死ぬものと定められた。そこで人は、命の木から絶たれたときに、地の面から絶たれることとなった。そして人は、とこしえに迷った状態になり、まことに、②堕落した者となったのである。
7 さて、これによって分かるように、わたしたちの始祖は、肉体的にも霊的にも主の御前から①絶たれてしまった。このようにして、わたしたちが知っているように、彼らは自分の②意志に従う者となったのである。
8 さて見よ、そのときすぐに人がこの肉体の死から救われることは、偉大な幸福の①計画を損なうことになるので適当ではなかった。
9 そこで、魂は決して死ぬことがあり得ず、また①堕落は全人類に肉体の死だけでなく霊の死ももたらしたので、すなわち彼らは主の御前から絶たれたので、人類はこの霊の死から救われることが望まれた。
10 人類は①生まれながらの本性のために、②肉欲や官能におぼれ、悪魔に従う者となったので、この③試しの状態は彼らが用意をする状態となった。すなわち、準備の状態となったのである。
11 さて、わが子よ、覚えておきなさい。もし贖いの計画がなければ(それを捨てるならば)、人が死ぬとすぐに、その霊は主の御前から絶たれるので①不幸な状態に陥ったであろう。
12 さて、人々をこの堕落した状態から救い出す手段はまったくなかった。この堕落した状態は、人が自分の不従順のために自分自身に招いたものである。
13 したがって、正義によれば、①贖いの計画はこの試しの状態、すなわちこの準備の状態で人々が②悔い改めるという条件がなければ成し遂げられない。これらの条件がなければ、正義の働きを損なうことなしに憐れみが効力を発することは不可能だからである。正義の働きが損なわれることはあり得ない。もしそのようなことがあれば、神は③神でなくなる。
14 このようにして、わたしたちが知っているように、全人類は①堕落した状態になり、②正義の支配下に入った。まことに、この正義は神の正義であり、全人類がとこしえに神の御前から絶たれることになったのである。
15 さて、憐れみの計画は、贖罪が行われなければ成し遂げることができなかった。したがって、神は①憐れみの計画を成し遂げるため、②正義の要求を満たすため、また御自分が③完全で公正な神、憐れみ深い神であり続けるために、御自分で世の罪の④贖いをされるのである。
16 さて、罰がなければ、人は悔い改めをすることができなかった。この罰も霊の命と同じように①永遠のものであり、霊の命と同じように永遠である幸福の計画に相対して定められたのである。
17 人は①罪を犯さなければ、どうして悔い改めることができようか。②律法がまったくなければ、どのようにして人は罪を犯すことができようか。罰がなければ、どうして律法があり得ようか。
18 罰が定められ、公正な律法が与えられて、それらが人に①良心のとがめを生じさせた。
19 もしも、①人殺しをした者は死ななければならないという律法が与えられていなければ、人は人殺しをすれば自分が死ぬことになると恐れるであろうか。
20 また、もし罪を禁じる律法がまったく与えられていなければ、人は罪を犯すことを恐れないであろう。
21 もし①律法がまったく与えられていなければ、たとえ人が罪を犯しても、正義や憐れみに何ができるであろうか。正義も憐れみもその人について何も要求する権利を持たないであろう。
22 しかし、現在、律法が与えられ、罰が定められており、①悔い改めが許されている。そして、憐れみは悔い改めを要求する。そうでなければ、正義がその人について権利を主張し、律法を執行し、律法は罰を負わせる。もしそうでなければ、正義の働きは損なわれ、神は神でなくなる。
23 しかし、神が神でなくなることはなく、①憐れみは悔い改める者について権利を主張する。憐れみは②贖罪によって与えられるのである。そして、贖罪は死者の③復活をもたらし、死者の復活は人を神の御前に④連れ戻す。このようにして、人は神の御前に連れ戻され、律法と正義により、自分の行いに応じて⑤裁かれる。
24 見よ、正義は正義のすべての要求を働かせ、また、憐れみは憐れみを受ける資格のあるすべての者について権利を主張する。したがって、心から悔い改める者のほかにはだれも救われない。
25 そもそも、あなたは憐れみが①正義から奪えると思うのか。いや、少しも奪えない、とわたしは言おう。もし奪えるようであれば、神は神でなくなる。
26 このようにして神は、①世の初めから用意されていた御自分の偉大な永遠の②目的を達せられる。そしてこのようにして、人の救いと贖いと、また滅びと不幸が生じるのである。
27 したがって、おお、わが子よ、来たいと思う者は①だれでも来て、価なしに命の水を飲むことができる。また、来たいと思わない者はだれも来るように強いられない。しかしその者は、終わりの日にその②行いに応じて③回復を受ける。
28 もし彼が①悪を行いたいと望んで、生涯悔い改めなければ、神の回復の原則によって、見よ、彼に災いが及ぼされる。
29 さて、わが子よ、あなたはこれからはもう、これらのことに思い悩まされることなく、ただ自分の罪にだけ心を悩まし、その悩みによって悔い改めに導かれるようにしてもらいたい。
30 おお、わが子よ、あなたはこれからはもう、神の正義を否定しないようにしてもらいたい。神の正義を否定することによって、どんなささいなことでも罪の言い訳をしようとしてはならない。むしろ、神の正義と憐れみと寛容があなたの心の中で存分に力を振るえるようにし、そのために①へりくだって地にひれ伏すことができるようにしなさい。
31 さて、おお、わが子よ、あなたはこの民に御言葉を告げ知らせるために神から召されている。わが子よ、あなたの道を行き、誠実にまじめに御言葉を告げ知らせて、人々を悔い改めに導き、偉大な憐れみの計画が彼らについて権利を主張できるようにしなさい。神がまことにわたしの言葉のとおりにあなたにかなえてくださるように。アーメン。」