1さて、アルマはここに書き記せない多くのことをギデオンの民に教え、また、以前ゼラヘムラの地で行ったように教会の秩序を確立した後、まことに、ギデオンの地からゼラヘムラの自宅に帰り、それまで果たしてきた務めを離れて休んだ。
2このようにして、ニーファイの民のさばきつかさの統治第九年が終わった。
3そして、ニーファイの民のさばきつかさの統治第十年の初めに、アルマはゼラヘムラを出て、シドン川の西にあって西方に荒れ野を望むミレクの地へ旅立った。
4そして彼は、自分が召された神の聖なる位に従って、ミレクの地で人々を教え始めた。彼はミレクの全地で人々を教え始めたのである。
5そこで、その地の荒れ野の境の全域で、人々が彼のもとにやって来た。そして、その地の全域で、人々はバプテスマを受けた。
6このようにして、彼はミレクの地で務めを終えると、そこを去り、ミレクの地の北方を三日間旅した。そして、アモナイハという町に着いた。
7さて、ニーファイの民の地や町や村は、小さい村であってもすべて、最初にそこを所有した人の名を付けるというのが彼らの習わしであった。アモナイハの地についても同様であった。
8さて、アルマはアモナイハの町に着くと、人々に神の言葉を宣べ伝え始めた。
9しかし、サタンがすでにアモナイハの町の人々の心をしっかりと捕らえていたので、彼らはアルマの言葉を聴こうとしなかった。
10それでも、アルマは精神を込めて熱心に働き、神に取りすがって熱烈に祈り、その町に住む人々に御霊を注いでくださるように、また、彼らに悔い改めのためのバプテスマを施させてくださるように願った。
11それでも、彼らは心をかたくなにして、彼に言った。「見よ、我々はおまえがアルマであることを知っている。またおまえが、おまえたちの言い伝えによって国内の多くの場所に設けた教会の大祭司であることも、我々は知っている。我々はおまえの教会の者ではないし、そのような愚かな言い伝えは信じていない。
12また、我々はおまえの教会の者ではないから、おまえには我々を治める力がないことも、我々は知っている。おまえはもうさばきつかさの職をニーファイハに譲ってしまったので、我々を治める大さばきつかさではない。」
13人々はこのように言って、彼の言葉にことごとく反論し、彼をののしり、彼につばきを吐きかけ、彼を自分たちの町から追い出したので、彼はそこを去ってアロンという町へ向かって旅立った。
14さて、彼がアモナイハの町に住んでいる人々の悪事のために悲しみに打ちひしがれ、多くの艱難と苦しみに耐えながら旅をしていたときに、すなわち、アルマがこのように悲しみに打ちひしがれていたときに、見よ、主の天使が彼に現れて言った。
15「アルマ、あなたは幸いである。頭を上げて喜びなさい。あなたには喜んでよい十分な理由がある。あなたは初めて神から御告げを受けて以来、忠実に神の戒めを守ってきたからである。見よ、わたしはあなたにその御告げを伝えた者である。
16そして見よ、わたしが遣わされたのは、あなたがアモナイハの町へ引き返してその町の民にもう一度教えを説くように、あなたに命じるためである。まことに、彼らに教えを説きなさい。まことに、悔い改めなければ主なる神が彼らを滅ぼされることを告げなさい。
17見よ、彼らは今、あなたの民の自由を損なおうともくろんでいる。(主がこのように言われる。)それは、神が御自分の民に与えられた掟と裁決と戒めに反することである。」
18さて、アルマは主の天使から御告げを受けると、すぐにアモナイハの地へ引き返した。そして、別の道、すなわちアモナイハの町の南にある道を通って町に入った。
19町に入ったとき、彼は飢えていたので、一人の人に、「神の至らない僕に何か食べるものを下さいませんか」と言った。
20するとその人は、彼に言った。「わたしはニーファイ人であり、あなたが神の聖なる預言者であることを存じています。示現の中で天使が、『迎えなさい』と、あなたのことを告げたからです。ですから、一緒にわたしの家においでください。わたしの食べ物を差し上げます。わたしは、あなたがわたしと家族に祝福をもたらす方であることを存じています。」
21そしてその人は、アルマを自分の家に迎えた。その人はアミュレクといった。彼はパンと肉を運んで来ると、アルマの前に置いた。
22そこでアルマは、パンを食べて満たされた。そして彼は、アミュレクとその家族を祝福し、また神に感謝をささげた。
23彼は食事をして満たされると、アミュレクに言った。「わたしはアルマであり、全地の神の教会を管理する大祭司です。
24そしてまことに、わたしは啓示と預言の霊によって、このすべての民の中で神の御言葉を宣べ伝えるように召されて、この地にやって来ましたが、人々はわたしを受け入れようとせず、追い出しました。そこでわたしは、とこしえにこの地に背を向けるつもりでした。
25ところがまことに、わたしはもう一度引き返してこの民に預言し、彼らの罪悪について彼らを責める証を述べるように命じられました。
26さて、アミュレク、あなたは食べ物を与え、わたしを受け入れてくれたので、祝福を受けます。わたしは幾日もの間断食をしていたので、飢えていました。」
27それからアルマは民に教えを説き始めるまで、幾日もの間アミュレクの家に滞在した。
28さて、民はますますひどい罪悪を犯すようになった。
29そこで、御言葉がアルマに下った。「行きなさい。また、わたしの僕アミュレクにも告げなさい。『出て行って、この民に預言し、悔い改めるように言いなさい。悔い改めなければ主は怒ってこの民を罰し、その激しい怒りを解かれないと言いなさい』と。」
30それでアルマとアミュレクは、神の言葉を告げ知らせるために人々の中に出て行った。そして、二人は聖霊に満たされた。
31また彼らは、だれも彼らを地下牢に閉じ込めることもできなければ、殺すこともできないほどの力を与えられていた。それでも彼らは、縄で縛られて牢に投げ込まれるまで、その力を使わなかった。それは、主が彼らによって主の力を現されるようにするためであった。
32さて、彼らは出て行くと、主から授かった御霊と力によって、人々に教えを説き、また預言し始めた。