1「さて、わが子よ、今述べた回復について言っておくことが少しある。見よ、ある人々は聖文を曲げて解釈し、このことについて大いに迷っているからである。また、あなたもこのことについて心を悩ませてきたことが分かる。しかし見よ、このことについてあなたに説明しよう。
2わが子よ、あなたに言っておく。回復の計画は神の正義にとって必要である。すべてのものがふさわしい状態に回復されることは必要だからである。見よ、キリストの力と復活からいえば、人の霊がその体に回復されることと、体のあらゆる部分が体そのものに回復されることは、必要であり正当なことである。
3また、人々が自分の行いに応じて裁かれること、そして現世での彼らの行いが善く、心の望みも善かったならば、彼らが終わりの日に善なるものに回復されることは、神の正義にとって必要である。
4また、彼らの行いが悪ければ、それらの行いは災いとして彼らに回復される。したがって、すべてのものはふさわしい状態に回復され、あらゆるものはその本来の体に回復されるのである。すなわち、死すべき状態は不死に、朽ちるものは朽ちないものによみがえるのである。そして、無窮の幸福な状態によみがえって神の王国を受け継ぐか、あるいは無窮の不幸な状態によみがえって悪魔の王国を受け継ぐ。すなわち、前者は一方にあり、後者は他方にある。
5前者は幸福を望んだことによって幸福に、すなわち善を望んだことによって善によみがえり、後者は悪を望んだことによって悪によみがえる。後者は終日悪を行うことを望んだので、夜がやって来ると、報いとして災いを受けるからである。
6もう一方も同様である。罪を悔い改めて、生涯の最後まで義を望む者は、義にかなう報いを与えられるであろう。
7このような人々は主に贖われる。まことに、このような人々は、あの無窮の暗黒の夜から連れ出され、救われるのである。このようにして、人々は立ったり倒れたりする。見よ、人々は善を行うか悪を行うか自分で判断するからである。
8さて、神の定めは変えることができない。そして、道は用意されており、望む者はだれでもその道を歩いて、救われるようになっている。
9さて見よ、わが子よ、あなたはこれまで、教義のある点について罪を犯すという危険を冒してきたが、もう二度とその点について、神に対して罪を犯さないようにしなさい。
10回復について述べられているというので、罪から幸福へ回復されると思ってはならない。見よ、あなたに言っておくが、悪事は決して幸福を生じたことがない。
11さて、わが子よ、生まれながらの状態、すなわちこの世的な状態にあるすべての人は、苦汁の中にあり、罪悪の縄目を受けている。彼らはこの世で神なしに生きている人々であり、神の性質に反して行動してきた。したがって彼らは、幸福の本質に反する状態にある。
12さて見よ、回復とは、あるものを自然の状態から取り去って不自然な状態、すなわちそのものの本質に反する状態に置くことであろうか。
13おお、わが子よ、そうではない。回復とは悪を悪に、肉欲を肉欲に、悪心を悪心に、善を善に、義を義に、公正を公正に、憐れみを憐れみに再び返すことである。
14したがって、わが子よ、同胞に対して常に憐れみ深くありなさい。公正に振る舞い、義にかなって裁き、絶えず善を行いなさい。これらのことをすべて行えば、そのときあなたは報いを受けるであろう。まことに、あなたに憐れみが再び回復され、再び公正が回復され、再び義にかなった裁きが回復され、再び善が報われるであろう。
15あなたから出るものがあなたに返って来て、回復されるからである。したがって、回復という言葉は罪人をさらにはっきりと罪に定めるのであって、決して義とはしないのである。」