1さらに、わたしアルマは、アミュレクを連れて出て行って、もう一度この民に、すなわちアモナイハの町にいる人々に教えを説くように神から命じられたので、彼らに教えを説き始めたところ、彼らはわたしと論争を始めて言った。
2「おまえは何者だ。人一人が大地は過ぎ去ると我々に説いて、我々がその人の証を信じるとでも思うのか。」
3彼らは、自分たちの語った言葉を理解していなかった。大地が過ぎ去ることを、彼らは知らなかったからである。
4彼らはまた、「たとえおまえが、この大きな町が一日で滅びてしまうと預言しても、我々はおまえの言葉を信じない」と言った。
5彼らは、心がかたくなで強情な民であったので、神にそのような驚くべき業がおできになることが分からなかった。
6また彼らは言った。「神は何者なので、そのように大いなる驚くべき業が現実に起こることをこの民に告げ知らせるのに、権能を持つ者をたった一人しか送らないのか。」
7そして、彼らはわたしを捕らえようとして進んで来たが、しかし見よ、捕らえなかった。そこで、わたしは彼らに告げ知らせるために勇気を奮って立ち、まことに、彼らに大胆に証して言った。
8「見よ、おお、邪悪でよこしまな時代の人々よ、どうしてあなたがたは先祖の言い伝えを忘れてしまったのか。まことに、何と早く神の戒めを忘れてしまったことか。
9あなたがたは、わたしたちの先祖リーハイが神の御手によってエルサレムから導き出されたことを覚えていないのか。あなたがたは、彼らが皆、神に導かれて荒れ野を通り抜けたことを覚えていないのか。
10またあなたがたは、神が何度もわたしたちの先祖を敵の手から救い出し、また、彼ら自身の同胞の手にかかって滅びることのないように彼らを守ってくださったことを、こんなに早く忘れてしまったのか。
11まことに、もしも神のたぐいない力と、神の憐れみと、わたしたちに対する神の寛容がなかったならば、わたしたちは間違いなく、はるか以前に地の面から絶たれていたであろうし、また恐らく無窮の惨めで不幸な状態に置かれていたことであろう。
12見よ、あなたがたに言う。神はあなたがたに、悔い改めるように命じておられる。悔い改めなければ、あなたがたは決して神の王国を受け継ぐことはできない。しかし見よ、そればかりではない。神はあなたがたに悔い改めるように命じてこられたので、悔い改めなければ、神はあなたがたを地の面からことごとく滅ぼされるであろう。まことに、神は怒ってあなたがたを罰し、その激しい怒りを解かれることはないであろう。
13見よ、あなたがたは、神がリーハイに、『あなたがたはわたしの命令を守るかぎり地に栄える』と言われた御言葉を覚えていないのか。また神は、『わたしの命令を守らなければ、わたしの前から絶たれる』とも言っておられる。
14レーマン人は神の戒めを守らなかったので、主の御前から絶たれた。あなたがたはこのことを覚えておいてほしい。わたしたちは、このことにおいて主の御言葉がすでに実証されていることを知っている。レーマン人はこの地で戒めに背き、主の御前から絶たれた。
15にもかかわらず、わたしはあなたがたに言う。もしあなたがたが自分の罪の中にとどまるならば、裁きの日には、彼らの方があなたがたよりも堪えやすいであろう。また、あなたがたが悔い改めなければ、まことに、この世でも彼らの方があなたがたよりも堪えやすいであろう。
16それは、レーマン人に与えられている約束が多くあるからである。彼らを無知の状態にとどめたのは、彼らの先祖の言い伝えである。したがって、主は彼らを憐れみ、彼らがこの地に長く住めるようにされるであろう。
17そして、彼らはある時期に、導かれて主の御言葉を信じ、自分たちの先祖の言い伝えが正しくないことを知るようになるであろう。そして、彼らの多くが救われるであろう。主は御名を呼ぶすべての人に憐れみを示されるからである。
18しかし見よ、わたしはあなたがたに言う。もしあなたがたが悪事を続けるならば、この地でのあなたがたの生涯は延ばされない。レーマン人があなたがたのもとに送られるからである。もしあなたがたが悔い改めなければ、彼らが気づかないうちにやって来て、あなたがたは完全な滅亡に見舞われるであろう。これは主の激しい怒りによるのである。
19あなたがたが罪悪のあるまま生き続けて主の民を滅ぼすことを、主は許されないからである。わたしはあなたがたに、そのとおりであると言う。もしニーファイの民と呼ばれる主の民が、主なる自分たちの神から授けられた非常に多くの光と非常に多くの知識を受けた後、罪と背きに陥るようなことがあるとすれば、主はむしろレーマン人がニーファイの民をことごとく滅ぼすのを許されるであろう。
20まことに、ニーファイの民は、そのように主から厚い恵みを受けた民であり、まことに、ほかのあらゆる国民、部族、国語の民、民族に勝る恵みを受け、彼らの望みと信仰と祈りに応じて、過去、現在、未来のことをすべて示され、
21また、神の御霊の訪れを受け、天使と語り、主の声による御告げを受け、預言の霊と啓示の霊と、そのほか異言で語る賜物、説教の賜物、聖霊の賜物、翻訳の賜物など、多くの賜物を受けてきた。
22また、神によりエルサレムの地から主の御手によって救い出され、飢饉や病気、あらゆる患いから救われ、戦闘の際には滅ぼされないように強くされ、幾度も奴隷の状態から導き出されて現在に至るまで守られ、保護され、そしてこのように栄えてあらゆるものに富むようになった。
23さて見よ、わたしはあなたがたに言う。このように多くの祝福を主の御手から受けてきたこの民が、もし現在受けている光と知識に背くとすれば、わたしはあなたがたに言うが、もし彼らが戒めに背くならば、レーマン人の方がこの民よりもはるかに堪えやすいであろう。
24見よ、主の約束がレーマン人に与えられているからである。しかし、あなたがたが戒めに背くならば、主の約束はあなたがたには及ばない。もし主に背くならば、あなたがたは地の面からことごとく滅ぼされてしまうと、主がはっきり約束し、そう明確に定めておられないであろうか。
25このために、すなわちあなたがたが滅ぼされることのないために、主は天使を遣わして御自分の民の多くの者を訪れさせられた。そして、天使はこれらの者に、出て行って、この民に次のように力強く叫ぶように告げた。『悔い改めよ。天の王国は近づいている。
26今から多くの日が過ぎないうちに、神の御子が栄光のうちに来られる。神の御子の栄光は御父の独り子の栄光であり、その独り子は恵みと公平と真理に満ち、忍耐と憐れみと寛容に富み、御自分の民の嘆願を聞くのも、また彼らの祈りにこたえるのも早い御方である。
27そして見よ、神の御子は、御子の御名を信じて悔い改めのためのバプテスマを受ける人々を贖うために来られる。
28だから、主の道を備えなさい。すべての人が自分の行いに応じて、その行いの報いを刈り取る時が近づいているからである。すなわち、人はその行いが義にかなっていれば、イエス・キリストの力と解放によって自分自身の救いを刈り取り、その行いが悪ければ、悪魔の力と束縛によって自分自身の罰の定めを刈り取ることになる。』
29さて見よ、これが民に向かって叫ぶ天使の声である。
30そこで、わたしの愛する同胞よ、あなたがたはわたしの同胞であるから、愛されて当然である。しかし、あなたがたの心は神の御言葉に対して非常にかたくなになっており、あなたがたは、迷い堕落した民となっているので、悔い改めに導く行いをしなくてはならない。」
31さて、わたしアルマがこれらの言葉を語り終えると、見よ、人々はわたしに腹を立てた。わたしが彼らのことを、心のかたくなな、強情な民であると言ったからである。
32また、わたしが彼らのことを迷い堕落した民であるとも言ったので、彼らは腹を立て、わたしを捕らえて牢に投げ込もうとした。
33しかしそのとき、主は彼らがわたしを捕らえて牢に投げ込むのを許されなかった。
34そこで、アミュレクも進み出て、彼らに教えを説き始めた。この書にはアミュレクの言葉をすべては書き記さず、その言葉の一部だけを記すことにする。