1 さて、ニーファイ人は捕虜のレーマン人を見張る番兵を置き、その捕虜たちにレーマン人の死体と、殺されたニーファイ人の死体とを葬らせた。モロナイは、彼らが働いている間彼らを見張る兵を置いた。
2 またモロナイは、リーハイとともにミュレクの町へ行き、その町の指揮権を掌握し、それをリーハイに与えた。見よ、このリーハイは、モロナイが戦闘に出るときにはほとんどいつも彼とともにいた人で、モロナイに①似た人物であった。そして、二人は互いの無事を喜び合い、また互いに愛し合い、ニーファイの民も皆この二人を愛していた。
3 さて、レーマン人は同胞の死体とニーファイ人の死体を葬り終えると、バウンティフルの地へ連れ戻された。それからテアンクムは、モロナイの命令によって彼らにその地、もっと正確に言えばその町、バウンティフルの町の周りに堀を築く作業を開始させた。
4 またテアンクムは、彼らに堀の内土手の上に木材で①胸壁を築かせ、さらにその胸壁に堀から上げた土を盛らせた。このようにニーファイ人はレーマン人を働かせて、ついにバウンティフルの町を木材と土から成る非常に高い丈夫な防壁で囲んだ。
5 この町は、それ以来非常に堅固なとりでとなった。そして、彼らはこの町の中で、すなわち捕虜のレーマン人の手で築かせた防壁を持つこの町の中で、捕虜たちを見張ったのであった。レーマン人が働いている間は彼らを見張るのは容易であり、またレーマン人に攻撃を仕掛けるのに全軍が欲しかったので、モロナイはどうしてもレーマン人を働かせなければならなかった。
6 そしてモロナイは、レーマン人の中で最強の軍隊の一つに勝利を収め、またニーファイの地におけるレーマン人の最も堅固なとりでの一つであるミュレクの町を手に入れたのである。そして、捕虜を抑留するとりでも一つ築いたのであった。
7 さて、彼はその年にはもうレーマン人と戦いをしようとせずに、兵を使って戦争の準備をし、レーマン人を防ぐためのとりでを築き、ニーファイ人の女子供を飢饉と苦難から救い、またニーファイ人の軍隊のために兵糧の備えをした。
8 さて、ニーファイ人の中に大きな陰謀が企てられて彼らの中に不和が生じたため、モロナイが出かけて不在になった間に、西の海に近い南方のレーマン人の軍隊がニーファイ人に対して多少優勢になり、その地方でニーファイ人の町をまとめて占領した。
9 このようにして、ニーファイ人は自分たちの罪悪のために、すなわち自分たちの中の不和と陰謀のために、最も危険な状況に陥った。
10 さて見よ、①アンモンの民について少々述べておかなければならない。アンモンの民は初めはレーマン人であったが、アンモンとその同僚たちによって、いや、神の力と言葉によって主を②信じるようになった。そして彼らは、ゼラヘムラの地に連れて来られ、それ以来ニーファイ人によって守られてきた。
11 また彼らは、誓いを立てていたので、同胞に対してこれまで武器を取らなかった。彼らは、これからはもう①決して血を流さないと誓いを立てていたからである。したがって、もしアンモンとその同僚たちが彼らに示した同情と深い愛情がなければ、彼らは自分たちの誓いのために滅ぼされていたであろう。すなわち、甘んじて同胞の手に落ちていたことであろう。
12 このようなわけで、彼らはゼラヘムラの地に連れて来られ、ニーファイ人によって①守られてきたのである。
13 しかし、彼らは自分たちのためにニーファイ人が危険に遭い、多くの苦難と艱難を負っているのを見て申し訳なく思い、自分たちの国を守るために武器を取りたいと①願った。
14 しかし見よ、彼らはまさに武器を取ろうとしたときに、ヒラマンやその同僚たちの説得を受けて心を翻した。このようにヒラマンたちが彼らを説得したのは、彼らが以前に立てた①誓いをまさに②破ろうとしていたからである。
15 ヒラマンは、彼らがそうすることによって滅びることになりはしないかと懸念したのである。このようにして、以前にこの誓いを立てたすべての人は、当時の危うい状況の中で彼らの同胞が何とか苦難を切り抜けるのを見ているほかなかった。
16 しかし見よ、彼らには多くの息子たちがおり、その息子たちは武器を取って敵を防ぐことはしないという誓いをまだ立てていなかった。そこで、彼らの中で武器を取ることのできる者は皆このときに集まり、自分たちをニーファイ人と呼んだ。
17 そして彼らは、ニーファイ人の自由のために戦うという、つまり自分たちの命を捨ててでも国を守るという誓いを立てた。また、自分たちの①自由を決して放棄することなく、ニーファイ人と自分たちが奴隷の状態に陥らないようにするために、どのような場合でも戦うと誓った。
18 さて見よ、この誓いを立てて、国を守るために武器を取った青年たちは、二千人であった。
19 見よ、この青年たちは、これまで一度もニーファイ人にとって負担となったことがなく、この度も大いなる助け手となった。彼らは武器を取り、ヒラマンが自分たちの指揮官になることを願った。
20 彼らは皆、青年であって、非常に①勇敢であり、体力と活力がみなぎっていた。しかも見よ、それだけではなく、彼らは託されたことは何であろうと、いつでも②誠実に果たす者たちであった。
21 まことに彼らは神の戒めを守り、神の前をまっすぐに①歩むように教えられていたので、誠実でまじめな者たちであった。
22 そしてヒラマンは、西の海に近い南方の境の地にいる人々を支援するために、この①二千人の若い兵士を率いて行った。
23 このようにして、ニーファイの民のさばきつかさの統治第二十八年が終わった。