1さて、アミュロンの地、またヘラムの地、さらにエルサレムの地、要するに周辺の全地にいて、改宗しておらず、アンタイ・ニーファイ・リーハイの名も受けていないアマレカイ人とアミュロン人とレーマン人たちは、アマレカイ人とアミュロン人に扇動されて同胞に怒りを示すようになった。
2そして、同胞に対する彼らの憎しみは非常にひどくなって、ついに彼らは自分たちの王に背くようになり、その王が自分たちの王であることを望まなくなった。その結果、彼らはアンタイ・ニーファイ・リーハイの民に対して武器を取った。
3ところで、王は息子に王位を譲り、彼の名をアンタイ・ニーファイ・リーハイと呼んだ。
4そして王は、レーマン人が神の民と戦うための準備を始めたその年に亡くなった。
5さて、アンモンと彼の同僚たちと、彼と行動を共にしていたすべての人は、レーマン人がその同胞を滅ぼす準備をしているのを見て、ミデアンの地へ向かった。そこでアンモンは同僚たち全員と落ち合い、そこから彼らはイシマエルの地へ向かった。ラモーナイおよび彼の兄弟であるアンタイ・ニーファイ・リーハイとともに、レーマン人に対して自衛するために何をすればよいか協議するためであった。
6ところが、すでに主に帰依していた人々の中には、その同胞に対して武器を取ろうとする人はだれ一人いなかった。それだけでなく、彼らは戦いの準備をすることさえも望まなかった。また、彼らの王も戦いの準備をしてはならないと命じたのである。
7さて、王がこの件について民に語った言葉は次のとおりである。「愛する民よ、わたしは神に感謝する。大いなる神は慈しみをもって、同胞であるこのニーファイ人たちを我らのもとに遣わしてくださった。そして、我らに教えを説き、また、不義な先祖の言い伝えが正しくないことを認めさせてくださった。
8また見よ、我らの心を和らげるために、大いなる神が御霊の一部をお授けくださったことに、わたしは感謝している。おかげで我らは、同胞であるこれらのニーファイ人たちと行き来するようになった。
9また見よ、行き来することによって、我らが自分たちの罪と、これまでに犯した多くの殺人を自覚するようになったことも、わたしは神に感謝している。
10さらに、わたしの神、まことに大いなる神は、我らがこれらのことを悔い改められるようにしてくださり、またこれまでに犯した多くの罪と殺人の罪を赦し、神の御子の功徳によって我らの心から罪を取り除いてくださった。わたしはこのことも神に感謝している。
11さて見よ、わたしの同胞よ、(我らは全人類の中で最も霊的にすさんだ者であったので)我らができることはただ、我らのすべての罪と、これまでに犯した多くの殺人の罪を悔い改めて、我らの心からそれらのものを神に取り去っていただくことであった。我らができることはただ、神に我らの汚れを取り除いていただけるように、神の御前に十分に悔い改めをすることであったからである。
12さて、わたしの最愛の同胞よ、神がすでに我らの汚れを取り除いてくださり、我らの剣は光を放つようになったので、剣を二度と同胞の血で汚すことのないようにしようではないか。
13見よ、わたしはあなたがたに言う。我らは剣が同胞の血で汚されることのないようにしようではないか。恐らく、もし我らが再び剣を汚すならば、それらは、将来我らの罪の贖いのために流される、大いなる神の御子の血によって洗われて光を放つことは二度とないであろう。
14大いなる神は我らを憐れみ、我らが滅びないようにこれらのことを知らせてくださった。神は我らの子供たちを愛するように我らも愛してくださっているので、これらのことをあらかじめ知らせてくださったのである。そのために、神は憐れみをもって天使たちを遣わして、将来の子孫と同じように我らにも救いの計画を知らせてくださっている。
15おお、我らの神は何と憐れみ深いことか。さて見よ、我らは汚れを取り除いていただくためにできることはすべて行ってきて、今我らの剣は光っているので、その輝きを保てるように、それを隠してしまおうではないか。そうすればその剣は、終わりの日に、すなわち裁きを受けるために神の御前に連れ出される日に、神の御言葉を伝えて我らを清めてくださって以来、我らが剣を同胞の血で汚したことはないという、神への証拠となることであろう。
16さて、わたしの同胞よ、たとえ同胞が我らを殺そうとしても、見よ、我らは剣を隠してしまおう。それを決して使わなかったという証拠として、終わりの日に輝きを保っているように、それを地中深く埋めてしまおう。そうすれば、たとえ同胞に殺されても、見よ、我らは神のみもとへ行き、救われることであろう。」
17さて、王がこのように語り終えると、民は皆集まり、自分たちの剣と、かつて人の血を流すのに使ったあらゆる武器を取って来て、それを地中深く埋めてしまった。
18彼らがこのようにしたのは、こうすることが、武器を使って人の血を流すことは決してないことを神と人に示す証拠になると考えたからである。彼らはこのようにして、同胞の血を流すよりは自分の命を捨て、同胞から奪うよりは同胞に与え、怠惰に生涯を送るよりは自分の手を使って一生懸命に働くつもりであることを証明し、神に聖約したのである。
19このことから分かるように、このレーマン人たちは信仰を持ち、真理を知るようになったときに、確固とした者になり、罪を犯すよりは死に至るまでも苦しみに耐えようとしたのである。また、前に述べたことから分かるように、彼らは平和の武器、すなわち平和を得るための戦いの武器を埋めてしまったのである。
20さて、彼らの同胞であるレーマン人は戦いの準備を整え、ニーファイの地に向かって来た。彼らが目的としていたのは、王を殺してほかの者を代わりに立て、アンタイ・ニーファイ・リーハイの民もまたその地から滅ぼし尽くすことであった。
21さて、アンタイ・ニーファイ・リーハイの民は、レーマン人が攻めて来るのを見ると、出て行って彼らに会い、彼らの前で地に身を伏せて、主の名を呼び始めた。彼らがこのような姿勢を取っていたところ、レーマン人は彼らに襲いかかり、彼らを殺し始めた。
22このようにして、レーマン人は何の抵抗も受けることなく、アンタイ・ニーファイ・リーハイの民を千五人殺した。これらの人々は神とともに住むために世を去ったので幸いであることを、わたしたちは知っている。
23ところでレーマン人は、自分たちの同胞が剣から逃れようとせず、右にも左にも身をかわそうとせずに、伏したまま死のうとしており、剣に倒れるその最中でさえ神をほめたたえるのを見て、
24すなわち、レーマン人はそれを見て、彼らを殺すのをやめた。そして、多くの者が自分たちのしたことを悔い、剣に倒れた同胞のためにひどく心を痛めた。
25そして、これらの者は自分たちの武器を投げ捨て、人を殺してきたことにひどく苦しみを覚え、二度と武器を取ろうとしなかった。それから彼らは、同胞と同じように身を伏せて、彼らを殺すために腕を振り上げた者たちのなすがままに任せたのであった。
26そしてその日、殺された人の数よりも多くの者が神の民に加わった。また、殺された人々は義にかなった人々であったので、彼らが救われたことは決して疑う余地がない。
27また、このようにして死んだ人々の中には一人の悪人もなく、しかも真理を知るようになった人々は千人を超えた。このことから、主は御自分の民を救うために様々な方法を用いられることが分かる。
28ところで、そのように多くの同胞を殺したレーマン人に属する者の大多数は、アマレカイ人とアミュロン人であり、しかもその大多数はニーホルの教団に属する者であった。
29主の民に加わった人々の中には、アマレカイ人やアミュロン人、あるいはニーホルの教団に属する者はだれ一人おらず、主の民に加わったのはレーマンとレムエルの実の子孫だけであった。
30このことから明らかに分かるように、民は一度神の御霊に照らされ、義にかかわることに関して大いなる知識を得てから、その後、罪と背きに陥ると、前よりもいっそうかたくなになる。したがって彼らの状態は、これらのことをまったく知らない場合よりももっと悪くなるのである。