1 さて,ゼラヘムラの地は非常に平和であり,ニーファイの民のさばきつかさの統治第十一年二月五日までの数年の間,戦争もなければ争いもなかった。ところが,第十一年の二月五日に,全地で戦争を告げる叫びが聞かれた。
2 見よ,レーマン人の軍隊がすでに荒れ野の方から境の地に侵入してアモナイハの町に入り,民を殺して町を破壊し始めたからである。
3 そして,ニーファイ人がレーマン人をその地から追い払うに足る軍隊を起こす前に,レーマン人はアモナイハの町にいた人々を殺し,ノアの地の境付近でもかなりの人々を殺し,また残りの人々を捕らえて荒れ野へ連れ去ってしまった。
4 そこでニーファイ人は,囚われの身となって荒れ野に連れ去られた人々を取り戻したいと思った。
5 そのため,ニーファイ人の軍隊を指揮する司令官に任命された人(その名はゾーラムといい,彼には二人の息子,リーハイとエーハがいた),すなわち,ゾーラムと彼の二人の息子は,アルマが教会を管理する大祭司であることを知っており,またアルマが預言の霊を受けていることも聞いて知っていたので,彼のもとを訪れ,レーマン人に捕らえられた同胞を捜すのに,主は自分たちが荒れ野のどこへ行くのを望んでおられるか知りたいと彼に告げた。
6 そこでアルマは,その件について主に尋ねた。それから戻って来ると,彼らに言った。「見よ,レーマン人はマンタイの地の境のはるか向こうにある南の荒れ野でシドン川を渡るでしょう。見よ,あなたがたはシドン川の東側で彼らを迎えて戦いなさい。そうすれば主はあなたがたに,レーマン人に捕らえられた同胞を渡されます。」
7 そこで,ゾーラムと息子たちは,軍隊を率いてシドン川を渡り,マンタイの地の境を越えて,シドン川の東側に当たる南の荒れ野まで進軍した。
8 そして彼らは,レーマン人の軍隊に攻めかかり,レーマン人を散り散りに荒れ野の中へ追い払った。このようにして彼らは,レーマン人に捕らえられていた同胞を取り戻した。しかも,捕らえられていた同胞は一人も失われていなかった。そして彼らは,同胞に連れられて,それぞれの土地に帰った。
9 このようにして,さばきつかさの統治第十一年が終わった。レーマン人はすでにその地から追い払われ,アモナイハの民は滅びた。まことに,アモナイハ人はことごとく殺され,非常に大きいので神でも破壊できないと彼らが述べた,その大きな町もまた滅びた。
10 見よ,その町は一日で荒れ廃れた所となり,しかばねは犬と荒れ野の野獣に食い裂かれてしまった。
11 それでも多くの日の後,彼らの死体は地の面に積み上げられ,薄く土がかけられた。しかし,そのにおいがとてもひどかったので,長年の間,アモナイハの地に来てそこを所有しようとする者はいなかった。そして,その土地は「ニーホル人の廃虚」と呼ばれた。それは,そこで殺された者たちがニーホルの教団に属し,彼らの地が荒れ廃れたままであったからである。
12 ニーファイの民のさばきつかさの統治第十四年まで,レーマン人は再びやって来てニーファイ人と戦うことをしなかった。このようにして三年間,ニーファイの民は引き続き全地に平和を保った。
13 そして,アルマとアミュレクは出て行って,ユダヤ人に倣って建てられた神殿や聖堂や会堂で,民に悔い改めを宣べ伝えた。
14 そして彼らは,自分たちの言葉を聞こうとするすべての人に,偏り見ることなく,絶えず神の言葉を告げた。
15 このように,アルマとアミュレクと,その務めを果たすように選ばれたさらに多くの人は,全地に御言葉を宣べ伝えるために出て行った。そして全地で,すなわち周辺のすべての地方で,ニーファイ人に属するすべての人の中に広く教会が設立されるようになった。
16 また,教会員の中には少しの不平等もなかった。主は人の子らの心を備えさせるために,すなわち,主の来臨の時に,彼らの中で教えられる御言葉を受け入れるように彼らの心を備えさせるために,その地の全面に主の御霊を注がれた。
17 彼らが御言葉に対してかたくなになることがなく,また不信仰になって滅亡に至ることもなく,むしろ喜んで御言葉を受け入れて,一つの枝としてまことのぶどうの木に接がれ,主なる彼らの神の安息に入れるようにするためである。
18 さて,民の中に出て行ったその祭司たちは,あらゆる偽りと欺き,ねたみ,争い,悪意,ののしり,盗み,強盗,略奪,殺人,姦淫,およびあらゆる好色を責める教えを説き,これらのことを行ってはならないと訴えた。
19 そして彼らは,間もなく必ず起こること,まことに,神の御子の来臨と,御子のお受けになる苦しみと死,死者の復活について説いた。
20 それで多くの人は,神の御子が来られる場所について尋ね,神の御子が復活後にこの民に御自身を現されるということを教わった。そして人々は,これを聞いて非常に喜んだ。
21 このように,教会が全地に設立され,悪魔に勝利し,神の言葉が純粋なままに国中に宣べ伝えられて,主は人々に祝福を注がれた。このようにして,ニーファイの民のさばきつかさの統治第十四年が終わった。