1さて、モーサヤの息子たちはこれらのことをすべて終えた後、少数の人々を連れて、自分たちの父である王のもとに帰った。そして、自分たちの選んだこれらの人々とともにニーファイの地へ行き、同胞であるレーマン人に自分たちの聞いたことを宣べ伝え、神の言葉を告げることができるように、許可を与えてほしいと願った。
2それは、このようにすれば、レーマン人に主なる彼らの神のことを悟らせ、彼らの先祖の罪悪を立証し、ニーファイ人に対する憎悪をなくさせ、主なる彼らの神を信じて喜ばせ、互いに友好を深めさせて、またニーファイ人とレーマン人の両方に対して主なる彼らの神が与えてくださった全地に、もはや争いがないようにすることができると思ったからである。
3さて、モーサヤの息子たちは、救いがすべての造られたものに告げ知らされることを願った。彼らは、だれであろうと人が滅びるのに耐えられなかったからである。まことに、無窮の苦痛を受ける人がいると考えただけで、彼らは震えおののいた。
4このように、主の御霊が彼らに働きかけた。彼らはかつて罪人の中でも最も罪深い者であった。しかし主は、その限りない憐れみにより、彼らを救うのが御心にかなうとされた。それでも彼らは、自分たちの罪悪のために心にひどい苦しみを受け、とこしえに捨てられてしまうのではないかと非常に悩み、心配した。
5そして彼らは、ニーファイの地へ行くことができるように、幾日も父に懇願した。
6そこでモーサヤ王は、息子たちをレーマン人の中へ行かせて御言葉を宣べ伝えさせるべきかどうか、主に尋ねた。
7すると、主はモーサヤに言われた。「彼らを行かせなさい。多くの者が彼らの言葉を信じるからである。そして、彼らは永遠の命を得るであろう。また、わたしはあなたの息子たちをレーマン人の手から救い出そう。」
8そこでモーサヤは、彼らの願いどおりにすることを許した。
9そして、彼らは荒れ野に旅立ち、レーマン人の中で御言葉を伝えるために出かけて行った。彼らが行ったことについての話は後に書き記す。
10さて、モーサヤ王には王位を継ぐ者が一人もいなかった。王の息子たちの中に、王位を受けたいと思う者がだれもいなかったからである。
11そこでモーサヤ王は、リムハイの民が発見し、リムハイの手から王に渡された金の版の記録を翻訳し、書き取らせた後、真鍮の版に刻まれた記録と、ニーファイの版と、神の命令に従って王自身が守り、保存してきたすべてのものを取りまとめた。
12彼がそうしたのは、彼の民がそれを切望したからである。彼らはすでに滅びてしまった人々のことを非常に知りたいと思った。
13さて、彼は、弓形のものの両端にしっかり取り付けられたあの二つの石を用いて、それらを翻訳した。
14これらのものは世の初めから用意され、言語を解訳するために代々伝えられたものであり、
15また、この地を所有するすべての者に、御自分の民の罪悪と忌まわしい行いを明らかにするために、主が御自分の手により守り、保存してこられたものである。
16そして、これらのものを持つ者は、昔言われたように聖見者と言われる。
17さて、モーサヤがこの記録を翻訳したところ、見よ、それはすでに滅びた民についての話であった。彼らが滅びたときからさかのぼって、主が民の言葉を乱されて、民が全地の面に広く散らされた時代の大きな塔の建設に至るまでのこと、さらにその時代からさかのぼって、アダムの創造に至るまでのことが書き記されていた。
18さて、モーサヤの民はこの話を聞いて非常に嘆き、まことに、悲しみでいっぱいになった。しかし、それでも彼らはこの話から多くのことを知り、喜びも得た。
19そして、この話の中に書き記されていることを知るのは、見よ、すべての人にとって望ましいので、この話は後に書き記すことにする。
20さて、前にあなたがたに述べたように、モーサヤ王はこれらのことを行った後、真鍮の版と、自分が保存してきたすべてのものを取りまとめ、これらのものをアルマの子であるアルマに託した。まことに、すべての記録と解訳器を取って彼に与え、これらのものを守り、保存すること、また民の記録を書き続けること、そして、リーハイがエルサレムを出たときから伝えられてきたように、今後も代々これらのものを伝えることを彼に命じた。