1さて、リムハイと彼の民はニーファイの町に帰り、再び平和にその地に住むことになった。
2そして多くの日の後、レーマン人はまたニーファイ人に対して怒りをかき立てられ、周囲の境の地に侵入して来るようになった。
3しかし、彼らの王がリムハイに立てた誓いがあるので、彼らはあえてニーファイ人を殺しはしなかった。それでも彼らは、ニーファイ人の頬を打ち、権力を振るった。そして彼らの背に重荷を負わせ、彼らを物を言えないろばのように追い立てるようになった。
4まことに、これはすべて、主の言葉が成就するために起こったことである。
5さて、ニーファイ人の苦難はひどかったが、レーマン人にあらゆる方面から取り囲まれていたので、彼らがレーマン人の手から逃れる手立てはまったくなかった。
6そして民は、自分たちの苦難のことで王につぶやくようになり、また、レーマン人に向かって出て行って戦いたいと願うようになった。このように、彼らが不平を言ってひどく王を悩ましたので、王は彼らに望みどおりにすることを許した。
7そこで彼らは再び集まり、よろいを着け、レーマン人を自分たちの国から追い出すために、彼らに向かって出て行った。
8そして、レーマン人が勝ってリムハイの民を追い返し、多くの者を殺した。
9そのため、リムハイの民の中に大きな嘆きと悲しみがあった。やもめは夫のために嘆き、息子と娘は父のために嘆き、兄弟は兄弟のために嘆いた。
10さて、国内には非常に多くのやもめがおり、そのやもめたちはレーマン人に対するひどい恐れが募っていたので、毎日毎日激しく泣き叫んだ。
11そして、やもめたちが絶え間なく泣き叫んだため、リムハイの民の残りの者たちは、レーマン人に対する怒りをかき立てられた。そして、彼らは再び戦いに出たが、大きな損害を被り、またもや追い返された。
12まことに彼らはもう一度、すなわち三度目の戦いに出たが、同じように損害を被った。そして、殺されなかった者たちは、ニーファイの町にまた帰った。
13また彼らは、地に伏すほどにへりくだって、奴隷のくびきを受け、敵の望むままに打たれ、あちらこちらに追い立てられ、荷を負わされるに任せた。
14それで彼らは、心底謙遜にへりくだり、神に熱烈に叫び求めた。彼らは、自分たちの受けている苦難から救い出してくださるように、終日神に叫び求めた。
15しかし、主は彼らの罪悪のために、彼らの嘆願を聞き届けるのを遅くされた。それでも主は、彼らの嘆願を聞き届け、レーマン人の心を和らげてくださったので、レーマン人はリムハイの民の重荷を軽くするようになった。しかし主は、彼らを奴隷の状態から救い出すのを、ふさわしいとは思われなかった。
16さてその後、彼らはその地で次第に栄え始めた。以前よりも豊かに穀物を栽培し、大小の家畜の群れを飼うようになったので、飢えに苦しむことはなかった。
17ところが、女の数が非常に多くて男の数を上回っていたので、リムハイ王は、やもめとその子供たちが飢えて死ぬことのないように、すべての男に、生活の糧を彼らに分け与えるよう命じた。殺された者がおびただしい数に上っていたので、彼らはそうしたのである。
18さて、リムハイの民はできるかぎり一団となって生活し、自分たちの穀物と家畜の群れを守った。
19また、王自身も何らかの方法でレーマン人の手に落ちることを恐れ、衛兵を連れずには、町の城壁の外に安心して出ようとはしなかった。
20また王は、自分の民に周辺の地を見張らせた。そして、荒れ野の中に逃げ込んでレーマン人の娘たちをさらい、自分の民にこのようなひどい破壊をもたらしたあの祭司たちを、何とかして捕らえさせようとした。
21リムハイの民は、彼らを捕らえて罰したいと思っていた。それは彼らが、夜ニーファイの地へやって来て、民の穀物や多くの貴重な品々を運び去ったからである。それで民は彼らを待ち伏せした。
22そしてその後、アンモンと彼の同僚たちがその地に来るまで、レーマン人とリムハイの民の間に二度と争いがなかった。
23そして、王が衛兵とともに町の門の外にいたときに、アンモンと彼の同僚たちを見つけたのであった。そのとき、王は彼らのことをノアの祭司たちだと思ったので、彼らを捕らえて縛らせ、牢に投げ込ませたのであった。もし彼らがノアの祭司たちであったら、王は殺させたことであろう。
24ところが王は、彼らがそうではなく、自分の同胞で、ゼラヘムラの地からやって来たことを知り、非常に大きな喜びに満たされた。
25さて、リムハイ王は、アンモンが来る前にゼラヘムラの地を探すために少数の人々を派遣したことがあった。しかし、彼らはその地を見つけることができなくて、荒れ野の中で迷ってしまった。
26それでも彼らは、かつて人々の住んでいた地、干からびた骨が辺り一帯に散乱していた地、まことに、かつて人々が住み、滅びてしまった地を発見した。そして彼らは、そこをゼラヘムラの地であると思って、ニーファイの地に引き返し、アンモンが来る少し前に、境の地に到着したのであった。
27そのときに、彼らは記録を持ち帰った。すなわち、彼らが発見した、骨を残した民の記録を持ち帰った。それは金属の版に刻まれていた。
28さて、リムハイは、モーサヤ王が神からの賜物を持っており、それによってこのような刻まれた記録を解釈できるということをアンモンの口から聞いて、またもや喜びに満たされた。そして、アンモンも喜んだ。
29しかし、アンモンと彼の同僚たちは、自分たちの同胞がそのように大勢殺されていたので、悲しみでいっぱいになった。
30またノア王と彼の祭司たちが、そのように多くの人に神に対して罪と不義を犯させたことについても、彼らは悲しんだ。また彼らは、アビナダイが死んだことも、アルマや彼と行動を共にした人々が立ち去ったことについても、悲しんだ。アルマとその人々は、神の力と権威と、またアビナダイが語った言葉を信じる信仰によって、神の教会を設立していた。
31まことにアンモンと彼の同僚たちは、彼らが立ち去ったことを悲しんだ。リムハイと彼の民は、彼らがどこへ逃げて行ったか知らなかったからである。もし知っていれば、アルマや彼とともにいた人々は、神に仕え、神の戒めを守るという聖約を神と交わしていたので、リムハイと彼の民は、喜んで彼らと行動を共にしたことであろう。
32さて、アンモンがやって来た後、リムハイ王も彼の民の多くの者も、神に仕え、神の戒めを守るという聖約を神と交わした。
33そして、リムハイ王と彼の民の多くの者は、バプテスマを受けたいと願った。しかしその地には、神から権能を授かっている者は一人もいなかった。またアンモンは、自分自身をふさわしくない僕であると考えて、そのことを行うのを辞退した。
34そこで彼らは、そのとき自分たちで教会を設けることをせずに、主の御霊を待ち望むことにした。彼らは荒れ野に逃げ込んだアルマと彼の同胞のようになりたいと願っていた。
35彼らは心を尽くして喜んで神に仕える証拠として、また証明としてバプテスマを受けたいと願っていたにもかかわらず、その時期は引き延ばされた。彼らのバプテスマについての話は、後に載せることにする。
36さて、アンモンとその一行、およびリムハイ王とその民は、レーマン人の手から、また奴隷の状態から抜け出すことをひたすら考え続けた。