1さて、アルマは、ノア王の軍隊がやって来ると主から警告を受け、それを民に知らせたので、民は家畜の群れを集め、穀物を持ち、ノア王の軍隊を避けて荒れ野に出て行った。
2主は彼らを強くし、ノア王の民に追いつかれて滅ぼされることのないようにされた。
3それで彼らは、荒れ野に逃げ込んで、八日間旅をした。
4彼らは非常に美しく、心地よい地、清らかな水のある地に着いた。
5そこで彼らは天幕を張り、地を耕し、建物を建て始めた。まことに、彼らは勤勉であり、非常によく働いた。
6また民は、アルマを愛していたので、彼が王になることを願った。
7しかし、彼は民に言った。「まことに、わたしたちに王がいるのは決して望ましいことではない。主は、『あなたがたは、ある人をほかの人よりも優れていると思ってはならない。すなわち、人は自分自身をほかの人よりも優れていると考えてはならない』と言われた。したがって、あなたがたに王がいるのは望ましいことではないと、わたしはあなたがたに言う。
8しかしながら、あなたがたが正しい人をいつも王に頂くことが可能であれば、王がいるのもよいであろう。
9しかし、ノア王と彼の祭司たちの罪悪を思い出してほしい。わたし自身もわなにかかり、主の目から見て忌まわしいことをたくさん行い、つらい悔い改めをした。
10にもかかわらず、わたしが多くの艱難を味わった後、主はわたしの嘆願を聞いて、わたしの祈りにこたえ、わたしを主の御手に使われる者にしてくださり、このように、あなたがたの多くに主の真理を知らせることができるようにしてくださった。
11それでも、わたしはこのことを誇らない。わたしは自分自身について誇るにふさわしくないからである。
12今、わたしはあなたがたに言う。あなたがたはかつてノア王に虐げられ、彼と彼の祭司たちに対して奴隷の状態にあり、彼らによって罪悪に引き込まれたため、罪悪の縄目をかけられてしまった。
13ところがあなたがたは、神の力によってこれらのかせから、すなわちノア王と彼の民の手から、また罪悪のかせから救い出されているので、わたしはあなたがたが解放されたこの自由にしっかりと立つように、まただれもあなたがたを治める王としないように望んでいる。
14また、神の道を歩み、神の戒めを守っている神の人でなければ、だれも、あなたがたの教師や教え導く者としてはならない。」
15このようにアルマは、人は皆、自分自身のように隣人を愛し、民の中に決して争いがないようにしなければならないことを、彼の民に教えた。
16さて、アルマは彼らの教会の創設者であったので、彼らの大祭司であった。
17そして、アルマを通じて神から与えられなければ、だれも説教をする権能や教える権能を受けられなかった。したがってアルマは、民のすべての祭司とすべての教師を任命した。また、正しい人でなければだれも任命されなかった。
18そして、彼らは民を見守り、義にかかわることをもって彼らを養った。
19さて、彼らはその地で非常に栄え、その地をヘラムと名付けた。
20そして、彼らはヘラムの地で増え、非常に栄えた。そして、一つの町を築いてヘラムの町と名付けた。
21にもかかわらず、主は御自分の民を懲らしめるのを、御心にかなうことと見ておられる。まことに、主は民の忍耐と信仰を試される。
22しかしながら、主に頼る者はだれであろうと、終わりの日に高く上げられる。そして、この民はそのように試されたのであった。
23見よ、わたしは、これからあなたがたに、彼らが奴隷の状態に落とされたことと、主なる彼らの神、すなわちアブラハムとイサクとヤコブの神のほかに、だれも彼らを救い出せなかったことを示そう。
24さて、主が彼らを救い出し、彼らに御自分の偉大な力を示されたので、彼らの喜びは大きかった。
25さて見よ、彼らがヘラムの地、まことに、ヘラムの町にいて周辺の地を耕していたところ、見よ、レーマン人の軍隊がその地の境に現れた。
26そこでアルマの同胞は、畑から逃げてヘラムの町に集まった。レーマン人が現れたことで、彼らはひどくおびえていた。
27しかし、アルマは出て行って民の中に立ち、怖がらないように、また主なる自分たちの神を覚えていれば主は助けてくださると彼らに説いた。
28そこで彼らは恐れを静め、レーマン人が自分たちと妻子を助けてくれるように、彼らの心を和らげてくださることを主に叫び求めた。
29そこで主は、レーマン人の心を和らげてくださった。そこで、アルマと彼の同胞は出て行って、自分たちの身を彼らにゆだねた。そしてレーマン人は、ヘラムの地を占領した。
30ところで、リムハイ王の民を追っていたレーマン人の軍隊は、幾日もの間荒れ野をさまよっていた。
31そして見よ、彼らは、ノア王の祭司たちがアミュロンと名付けた地で、その祭司たちを見つけた。祭司たちはアミュロンの地を所有し、土地を耕し始めていた。
32そして、祭司たちの統率者の名はアミュロンといった。
33さて、アミュロンはレーマン人に懇願し、さらにレーマン人の娘である妻たちを遣わして、夫を殺すことのないように同胞に懇願させた。
34そこでレーマン人は、アミュロンと彼の仲間を哀れみ、その妻たちに免じて彼らを殺さなかった。
35このようにして、アミュロンと彼の仲間はレーマン人に加わった。そして彼らは、ニーファイの地を探して荒れ野の中を旅していたときに、アルマと彼の同胞が所有していたヘラムの地を発見したのである。
36さて、レーマン人はアルマと彼の同胞に、ニーファイの地へ通じている道を教えるならば命を助けて、自由を認めると約束した。
37ところが、アルマがニーファイの地へ通じる道を教えたところ、レーマン人はその約束を守ろうとせず、彼らはアルマと彼の同胞を見張る兵をヘラムの地の周辺に置いた。
38そして、残りの者たちはニーファイの地へ向かった。それから一部の者は、ヘラムの地に残された見張りの兵の妻子を連れて、またこの地に戻って来た。
39レーマン人の王はアミュロンに、ヘラムの地にいる自分の民の王となり統治者となることを許していた。しかし、それでも彼は、レーマン人の王の意に反して事を行う力は持っていなかった。