1 さて、ニーファイの民の大勢の群衆がバウンティフルの地にある神殿の周りに集まり、互いに驚き、不思議に思い、また各地に起こった①大いなる驚くべき変化について互いに話し合っていた。
2 彼らはまた、すでにその死にかかわる①しるしが現れたイエス・キリストについても語り合っていた。
3 そして、彼らが互いに語り合っていたとき、天から発せられるような①声が聞こえた。しかし彼らは、自分たちに聞こえたその声の告げる意味が分からなかったので、辺りを見回した。それは耳障りな声ではなく、大きな声でもなかったが、②小さな声でありながら、聞いた人々の心の中まで貫いたので、彼らの全身はことごとくそれによって震えた。まったく、それは魂そのものにまで彼らを貫き、彼らの心を燃え上がらせた。
4 そして彼らは、再びその声を聞いたが、それでもその声の告げる意味が分からなかった。
5 その声は三度まで聞こえ、彼らはこの度は耳を開いてそれを聞き、目をその声のする方へ向けて、その声が発せられる天を見詰めていた。
6 すると見よ、三度目には、彼らは自分たちに聞こえたその声の告げる意味が分かった。その声は彼らに語った。
7 「わたしの①愛する子を見なさい。②わたしの心にかなう者である。わたしは彼によって、わたしの名に栄光を加えた。彼に聞きなさい。」
8 そして、彼らはその意味が分かったので、再び天を見上げた。すると見よ、天から一人の男の方が降って来られるのが①見えた。この御方は白い衣を着ておられ、降って来て群衆の中に立たれた。全群衆の目がこの御方に注がれたが、彼らは互いの間でさえ、あえて口を開こうとはしなかった。また彼らは、自分たちに御姿を現された御方を天使であると思ったが、これがどういうことなのか分からなかった。
9 そこでこの御方は、片手を差し伸べて人々に言われた。
10 「見よ、わたしはイエス・キリストであり、世に来ると預言者たちが証した者である。
11 見よ、わたしは世の①光であり命である。わたしは、父がわたしに下さったあの苦い②杯から飲み、世の罪を自分に③負うことによって父に栄光をささげた。わたしは世の罪を負うことによって、初めから、すべてのことについて父の④御心に従ってきた。」
12 さて、イエスがこれらの御言葉を語り終えられると、群衆は全員地に伏した。彼らは、キリストが天に昇られた後、自分たちに御自身を現されることが①預言されていたのを思い出したからである。
13 そこで、主は彼らに言われた。
14 「立ってわたしのもとに来て、あなたがたの手をわたしのわきに①差し入れ、またわたしの両手と両足の釘の跡に②触れて、わたしが③イスラエルの神であり、④全地の神であること、そして世の罪のために殺されたことを知りなさい。」
15 そこで群衆は進み出て、主のわきに手を差し入れ、また主の両手と両足の釘の跡に触れた。彼らは一人ずつ進み出て、全員がこのようにし、自分の目で見、自分の手で触れ、①この御方が、将来来られると預言者たちによって書き記された主であられることを、確かに知って証した。
16 彼らは全員進み出て、自ら確認した後、一斉に叫んだ。
17 「ホサナ。いと高き神の御名がほめたたえられますように。」そして、彼らはイエスの足もとに伏して、イエスを①拝した。
18 そして、イエスは(ニーファイが群衆の中にいたので)①ニーファイに語りかけ、進み出るように命じられた。
19 そこでニーファイは、立ち上がって進み出て、主の前にひれ伏し、主の両足に口づけした。
20 すると主は、立ち上がるように彼に命じられた。そこで彼は、身を起こして主の前に立った。
21 すると主は彼に、「わたしはあなたに①力を授ける。わたしが再び天に上げられるとき、あなたはこの力をもってこの民に②バプテスマを施しなさい」と言われた。
22 さらに主は、①ほかの人々も召して、彼らにも同じように言われた。そして主は、バプテスマを施す力をこれらの人に授けられた。それから、主は彼らに言われた。「次の方法であなたがたはバプテスマを施しなさい。あなたがたの中に決して②論争があってはならない。
23 まことに、あなたがたに言う。あなたがたの①言葉によって罪を悔い改め、わたしの名によってバプテスマを受けたいと②望む人に、次の方法でバプテスマを施しなさい。見よ、あなたがたは水の中に下りて行って③立ち、わたしの名によって彼らにバプテスマを施しなさい。
24 さて見よ、そのときにあなたがたの言う言葉は次のとおりである。まず、バプテスマを受ける人の名を呼んで、
25 『わたしはイエス・キリストより①権能を受けたので、②御父と御子と聖霊の御名によって、あなたにバプテスマを施します。アーメン』と言いなさい。
26 それから、あなたがたはその人を水中に①沈め、水から上がりなさい。
27 このような方法で、わたしの名によってバプテスマを施しなさい。見よ、まことに、あなたがたに言う。父と子と聖霊は①一つである。わたしは父におり、父はわたしにおられ、父とわたしは一つである。
28 わたしが命じたとおり、あなたがたはこのようにバプテスマを施しなさい。これまであったような①論争が、今後は決してあなたがたの中にあってはならない。また、わたしの教義の要点について、これまでにあったような論争が、今後決してあなたがたの中にあってはならない。
29 まことに、まことに、あなたがたに言う。①争いの心を持つ者はわたしにつく者ではなく、争いの父である②悪魔につく者である。悪魔は互いに怒って争うように人々の心をあおり立てる。
30 見よ、互いに怒るように人々の心をあおり立てるのは、わたしの教義ではない。このようなことをやめるようにというのが、わたしの教義である。
31 見よ、まことに、まことに、あなたがたに言う。あなたがたにわたしの①教義を告げよう。
32 これから述べるのがわたしの①教義であり、父がわたしに与えてくださった教義である。わたしは父のことを②証し、父はわたしのことを証され、③聖霊は父とわたしのことを証する。父は、どこにいる人でもすべての人に、悔い改めてわたしを信じるように命じておられることを、わたしは証する。
33 わたしを信じて①バプテスマを受ける者は、だれでも②救われる。神の王国を③受け継ぐのはこれらの者である。
34 また、わたしを信じないでバプテスマを受けない者は、だれでも罰の定めを受ける。
35 まことに、まことに、あなたがたに言う。これがわたしの教義である。わたしは、父から告げられたとおりにこれを証する。わたしを①信じる者は父をも信じるのである。その者に、父はわたしのことを証されるであろう。父はその者に②火と③聖霊を与えられる。
36 このようにして、父はわたしのことを証され、聖霊はその者に父とわたしのことを証する。父とわたしと聖霊は一つである。
37 もう一度あなたがたに言う。あなたがたは悔い改め、①幼子のようになり、わたしの名によってバプテスマを受けなければならない。そうしなければ、あなたがたは決してこれらのものを受けることができない。
38 もう一度あなたがたに言う。あなたがたは悔い改め、わたしの名によってバプテスマを受け、幼子のようにならなければならない。そうしなければ、あなたがたは決して神の王国を受け継ぐことができない。
39 まことに、まことに、あなたがたに言う。これがわたしの教義である。この教義の上に①建てる者はわたしの岩の上に建てるのである。②地獄の門もこれらの者に打ち勝つことはない。
40 また、これ以上のこと、あるいはこれに及ばないことを告げ知らせて、それをわたしの教義とする者は、悪から出る者であり、わたしの岩の上に建てられてはいない。このような者は、①砂の土台の上に建てているのである。地獄の門は開かれており、洪水が起こり、風が打ちつけるときにこのような者を迎え入れる。
41 したがって、あなたがたはこの民の中に出て行き、わたしの語った言葉を地の果てまで告げ知らせなさい。」