1さて、第九十五年も過ぎ去り、民は前に聞いたあの数々のしるしと不思議を忘れ始め、またしるし、すなわち天からの不思議に次第に驚かなくなってきた。そして、彼らの心はかたくなになり、思いはくらみ、彼らはかつて見聞きしたすべてのことを信じなくなった。
2すなわち、そのしるしは民の心を惑わし欺くために、人によって、また悪魔の力によって行われたものであるという、愚かな思いを心に抱くようになった。このようにしてサタンは再び民の心を支配した。そして、彼らの目をくらまし、彼らを惑わして、キリストの教義は愚かでむなしいものであると信じさせた。
3そこで民は、悪事と忌まわしい行いを重ね、さらにこれからもしるし、すなわち不思議が示されることを信じなかった。そしてサタンは、方々を巡って民の心を惑わし、誘惑し、民にこの地で大きな悪事を行わせた。
4このようにして、第九十六年が過ぎ去り、また第九十七年も、第九十八年も、第九十九年も過ぎ去った。
5また、ニーファイ人の民の王モーサヤの時代からすでに百年が過ぎ去った。
6リーハイがエルサレムを去ってからすでに六百九年が過ぎ去った。
7キリストが世に来られるしるしが預言者たちによって告げられたが、そのしるしが示されたときから九年が過ぎ去った。
8ニーファイ人はしるしが示されたこのときから、すなわちキリストの来臨から彼らの時を数え始めた。したがって、九年が過ぎた。
9ニーファイは記録について責任を負っていたが、その父のニーファイはゼラヘムラの地に帰って来ず、国中どこにも見当たらなかった。
10そして、民の中で多くの宣教と預言が行われたにもかかわらず、民は依然として悪事を続けていた。このようにして、第十年も過ぎ去り、第十一年も罪悪のうちに過ぎ去った。
11そして第十三年には、国中至る所で戦争と争いが始まった。ガデアントンの強盗がおびただしい数になり、民の中の多くの者を殺し、多くの町を荒らし、国中に多くの虐殺を広めたので、民は皆、ニーファイ人もレーマン人も、彼らに対して武器を取ることが必要になった。
12そのため、主に帰依していたレーマン人は皆、同胞であるニーファイ人と結束し、自分たちの命と女子供を守るために、また自分たちの権利と教会の特権、礼拝の特権と自由を守るために、仕方なくガデアントンの強盗に対して武器を取った。
13そして、この第十三年が過ぎ去る前に、ニーファイ人は、非常に激しくなったこの戦争のために全滅の危機にさらされた。
14さて、ニーファイ人に合流していたレーマン人は、ニーファイ人の中に数えられ、
15彼らののろいは取り去られ、彼らの肌はニーファイ人のように白くなった。
16また、彼らの若い男たちと娘たちは非常に麗しくなり、ニーファイ人の中に数えられ、ニーファイ人と呼ばれた。このようにして第十三年が終わった。
17そして、第十四年の初めにも強盗たちとニーファイの民の間の戦争は続き、ますます激しくなった。それでも、ニーファイの民は強盗たちに対して幾分優位に立ったため、自分たちの土地から彼らを山や彼らの隠れ場に追い返した。
18このようにして、第十四年が終わったが、第十五年に彼らはニーファイの民に向かって出て来た。そして、ニーファイの民の悪事と多くの争いと不和のために、ガデアントンの強盗はニーファイの民に対して何度も優位に立った。
19このようにして、第十五年が終わった。このように民は多くの苦難を受け、滅亡の剣は彼らのうえに迫っていて、彼らはまさにその剣によって打たれようとしていた。これは彼らの罪悪のためである。