1さて、イエスはこれらの御言葉を語り終えると、御自分の弟子たち一人一人に、「わたしが父のみもとに行った後、あなたがたはわたしに何を願うか」と言われた。
2すると弟子たちは、三人を除いて皆、「わたしたちは人の寿命まで生き長らえたら、あなたから召されたわたしたちの務めを終え、速やかにあなたの王国であなたのみもとに行けるように願っています」と答えた。
3そこで、イエスは彼らに、「あなたがたは、わたしにこのことを願ったので、幸いである。あなたがたは七十二歳になると、わたしの王国でわたしのもとに来て、わたしとともに安息を得るであろう」と言われた。
4イエスは彼らに語り終えると、三人の方を向き、「わたしが父のみもとに行ったら、あなたがたはわたしに何をしてもらいたいか」と言われた。
5すると彼らは、自分たちの望んでいることをイエスに思い切って言えなかったので、心の中でつらく思っていた。
6するとイエスは、彼らに言われた。「見よ、わたしはあなたがたの思いを知っている。あなたがたは、愛するヨハネがわたしに願ったことを願っている。ヨハネとは、わたしがユダヤ人によって上げられる前に、わたしとともに務めに携わっていた者である。
7したがって、あなたがたはさらに幸いである。あなたがたは決して死を味わうことがない。わたしが天の力をもってわたしの栄光のうちに来るときまで、すなわち父の御心のとおりにすべてのことが成就するそのときまで、あなたがたは生き長らえて、父が人の子らのために行われるすべてのことを見るであろう。
8また、あなたがたは決して死の苦しみを受けることなく、わたしがわたしの栄光のうちに来るとき、一瞬のうちに死すべき状態から不死の状態に変えられる。その後、あなたがたは父の王国で祝福を受けるであろう。
9またあなたがたは、肉体に宿っている間、苦しみを感じることなく、また世の罪に対する以外に悲しみを感じることもない。わたしがすべてこのように行うのは、あなたがたがわたしに願ったためである。あなたがたは世界が存在する間、人々をわたしのもとに導きたいと願ったからである。
10このために、あなたがたは満ちみちる喜びを得、父の王国で座に着くであろう。父が満ちみちる喜びをわたしに与えてくださったように、まことに、あなたがたの喜びは満ちるであろう。そして、あなたがたはわたしのようになる。わたしは父のようであり、父とわたしは一つである。
11聖霊は父とわたしのことを証する。そして父は、わたしのゆえに人の子らに聖霊を与えられる。」
12さて、イエスはこれらの御言葉を語り終えると、とどまることになった三人を除いて、ほかの全員に一人一人指で触れ、その後去って行かれた。
13すると見よ、天が開かれ、三人の者は天に引き上げられて、言い表すことのできない様々なことを見聞きした。
14彼らはそれらのことについて語るのを禁じられ、また見聞きしたことについて語る力も与えられなかった。
15それが体のままであったか、体を離れてであったか、彼らには分からなかった。彼らには、神のものを見ることができるように、自分たちがこの肉の体から不死の状態に変えられ、変貌したように思われたからである。
16さて、彼らは再び地の面で教えを説いたが、天で与えられた戒めがあったので、自分たちが見聞きしたことについては教えなかった。
17ところで、彼らが変貌した日以来、死すべき状態にあったのか不死の状態にあったのか、わたしは知らない。
18しかし、これまで記されてきた記録によってわたしが知っていることは次のとおりである。すなわち、彼らは地の面に出て行き、すべての民に仕え、彼らの説き教えたことを信じる者を皆、教会に加えた。彼らにバプテスマを施したのである。そして、バプテスマを受けた者は皆、聖霊を受けた。
19また彼らは、教会に属していない者たちによって牢に入れられた。しかし、牢は二つに裂け、彼らを閉じ込めておくことができなかった。
20また彼らは、地の中に投げ込まれた。しかし彼らは、神の言葉で地を打ったので、神の力によって地の深みから救い出された。そのため人々は、彼らを閉じ込めておけるほどの穴を掘ることはできなかった。
21また、彼らは三度、炉の中に投げ込まれたが、何の害も受けなかった。
22また二度、猛獣の穴の中に投げ込まれたが、見よ、子供が乳離れしていない子羊と遊ぶように猛獣たちと戯れ、何の害も受けなかった。
23そして、彼らはすべてのニーファイの民の中に出て行って、地の面のすべての人に、キリストの福音を宣べ伝えた。すると人々は、主に帰依し、キリストの教会に加わった。このように、その時代の人々はイエスの言葉のとおりに祝福を受けた。
24さて、わたしモルモンは、これらのことについて述べるのを少しの間やめよう。
25見よ、わたしは、決して死を味わうことのない人々の名を書き記そうとしたが、主から禁じられた。したがって、その名が世から隠されているので、わたしはそれを書き記さない。
26しかし見よ、わたしはかつて彼らに会い、彼らはわたしを教え導いてくれた。
27見よ、彼らは将来異邦人の中に行くが、異邦人は彼らに気づかないであろう。
28彼らはユダヤ人の中にも行くが、ユダヤ人も彼らに気づかないであろう。
29そして、主が御自分の知恵でふさわしいと見なされるときに、彼らは自分たちの望みが果たされるように、また彼らの内に神の説得力があるために、イスラエルのすべての散らされた部族、およびすべての国民、部族、国語の民、民族に仕え、彼らの中から多くの人をイエスのもとに導くであろう。
30彼らは神の天使のようであり、イエスの名によって御父に祈るならば、彼らはふさわしいと思う人にはだれにでも、自分自身を現すことができる。
31それであるから、大いなる来るべき日の前に、大いなる驚くべき業が彼らによって行われるので、すべての人は、必ずキリストの裁きの座の前に立たなければならない。
32まことに、あの裁きの日に先立って、異邦人の中で一つの大いなる驚くべき業が彼らによって行われる。
33あなたがたは、キリストの驚くべき業の一切を記しているすべての聖文を持っているならば、キリストの言葉のとおりに、これらのことが必ず起こることが分かるであろう。
34イエスの言葉と、イエスが選んで民の中に遣わされた人々の言葉に聞き従わない者は、災いである。イエスの言葉と、イエスが遣わされた人々の言葉を受け入れない者は、イエスをも受け入れないからである。イエスは終わりの日に、彼らを受け入れることはなさらないであろう。
35彼らは生まれない方が、彼らのためによかったであろう。あなたがたは不当な扱いを受けた神の正義から逃れることができると思うか。神はかつて人々に足の下に踏みつけられ、そのために救いがもたらされたのではなかったか。
36さて見よ、わたしは主が選ばれた人々、すなわち天に引き上げられた三人について、死すべき状態から不死の状態に清められたかどうか知らないと前に述べたが、
37しかし見よ、わたしはそう書き記した後、主に尋ねた。すると主はわたしに、ある変化が彼らの体に生じなければならない、そうでなければ、彼らは必ず死を味わうということを明らかにしてくださった。
38彼らが死を味わわないように、ある変化が彼らの体に生じ、彼らは世の罪に対する以外に苦しみも悲しみも受けないようになったのである。
39ところで、この変化は終わりの日に起こる変化と同様のものではなかったが、彼らに変化が生じたので、サタンは彼らを支配する力をまったく持てず、彼らを誘惑できなかった。そして、彼らは肉にあって聖められ、聖なる者となり、地の力も彼らを閉じ込めておくことができなかった。
40この状態で、彼らはキリストの裁きの日までとどまることになった。そして、その日、彼らはさらに大きな変化を受けて、御父の王国に受け入れられ、二度とそこを去ることがなく、永遠に神とともに天に住むことになるのである。