1 さて、キリストの来臨から十六年目に、国の総督であるラコーニアスは、この強盗団の首領であり、支配者である者から手紙を受け取った。それに記されていた言葉は次のとおりである。
2 「国の総督であるラコーニアス閣下。見よ、わたしはあなたにこの手紙を書き、あなたとあなたの民が、自己の権利であり自由であると考えているものを守るに当たって確固としていることに、甚だ大いなる賛辞を呈するものである。あなたがたは自分たちの自由と自分たちの所有物、自分たちの国、すなわちあなたがたがそのように呼んでいるものを守るのに、まるで神の手によって支えられているかのようにしっかりと立っている。
3 しかし、ラコーニアス閣下。あなたがたがわたしの指揮に従うこのように多くの勇敢な部下たちに立ち向かえると考えるほど、愚かでうぬぼれが強いことは、わたしには残念に思われる。わたしの勇敢な部下たちは今、武器を身に着けて待ち、『ニーファイ人のもとへ下って行って滅ぼせ』という言葉を大いに待ち焦がれている。
4 わたしはすでに戦場で部下たちを試して、彼らに不屈の精神があるのを知っており、また、あなたがたが彼らに行った多くの不当な扱いのために、彼らがあなたがたにいつまでも変わらない憎悪を抱いていることも知っている。したがって、彼らがあなたがたに向かって下って行けば、あなたがたを完全に滅ぼしてしまうことだろう。
5 そこでわたしは、あなたがたの幸いを思いつつこの手紙を書いて、自分自身の手で封じるものである。それは、あなたがたが自分の正しいと思ったことに対して確固としており、また戦場で高潔な精神を示しているからである。
6 したがって、わたしはあなたに手紙を書き送り、あなたがたがわたしの部下の剣を受けて滅亡するよりは、むしろこのわたしの民にあなたがたの町と土地と所有物を引き渡すように望む次第である。
7 つまり、あなたがたが降伏し、我々と連合して我々の①秘密の業をよく知り、仲間になって我々のようになること、すなわち、我々の奴隷ではなく、仲間になり、すべての持ち物の共有者になることである。
8 見よ、わたしはあなたがたに、もしこのように行うならば、あなたがたは滅ぼされないと①誓って約束する。しかし、もしこのように行わなければ、わたしは誓って言うが、来月命令を下して、軍隊をあなたがたに向かって下って行かせよう。わたしの軍隊は手をとどめることなく、助命することもなく、あなたがたを殺し、あなたがたが絶滅するまで剣を浴びせることだろう。
9 見よ、わたしはギデアンハイである。わたしはこのガデアントン①秘密結社の支配者である。わたしはこの結社と結社の業が②善いものであることを知っている。これらは③昔からあり、我々に伝えられたものである。
10 ラコーニアス殿。わたしはあなたにこの手紙を書き送る。あなたがたは、血を流すことなく土地と所有物を引き渡し、あなたがたから離反したこの民が、自分たちの権利と統治権を回復できるようにしてもらいたい。この民は、あなたがたが不当にも統治権を与えなかったために離反したのである。したがって、もしあなたがたがこのようにしなければ、わたしはこの民が受けた不当な扱いに報復しよう。わたしはギデアンハイである。」
11 さて、ラコーニアスは、この手紙を受け取ると非常に驚いた。ギデアンハイが大胆にも、ニーファイ人の地の所有権を要求し、民を脅迫し、また不当な扱いを少しも受けたことのない者たちのために不当な扱いの報復をすると述べていたからである。これらの者たちは、その邪悪な忌まわしい強盗たちのところへ離反して行ったことで、自らに①損害を招いただけであった。
12 さて見よ、総督であるこのラコーニアスはまことに正しい人であり、①強盗の要求も脅迫も恐れなかった。そこで彼は、強盗の支配者ギデアンハイの手紙を気にせず、自分の民に、強盗たちが下って来るときに備えて主に力を叫び求めるようにさせた。
13 まことに、彼はすべての民の中に布告を出し、土地は別にして、女子供と大小の家畜の群れ、それにすべての持ち物を一か所に集めるように伝えた。
14 そして彼は、民を囲むとりでを幾つも築かせ、それを非常に堅固にさせた。また彼は、ニーファイ人と、レーマン人、すなわちニーファイ人の中に数えられたすべてのレーマン人の両方から成る軍隊を、見張りとして周囲に配置して民を見守らせ、日夜強盗から彼らを守らせた。
15 まことに、彼は民に言った。「主が生きておられるように確かに、あなたがたは罪悪をすべて悔い改めて主に叫び求めなければ、あのガデアントンの強盗の手から決して救われない。」
16 ラコーニアスの言葉と預言は、まことに大いなる驚くべきものであり、民の全員に恐れを生じさせた。そこで彼らは、ラコーニアスの言葉のとおりに行おうと力の限り努力した。
17 さて、ラコーニアスは、ニーファイ人の全軍隊に連隊長を任命し、強盗たちが荒れ野から攻めて来るときに軍隊を指揮できるようにした。
18 また、すべての連隊長の中の最高位の者である、ニーファイ人の全軍の総司令官も任命された。その人の名は①ギドギドーナイといった。
19 ニーファイ人の中には、(彼らが悪事を働いている時代は別にして)啓示と①預言の霊を持っている人を連隊長に任命するという習わしがあった。したがって、このギドギドーナイも大さばきつかさと同じように、民の中の偉大な預言者であった。
20 そこで、民はギドギドーナイに言った。「主に祈ってください。そして、わたしたちが山や荒れ野に上って行き、強盗たちを攻めて、彼ら自身の土地で滅ぼせるようにしてください。」
21 しかし、ギドギドーナイは彼らに言った。「主は①許されない。もしわたしたちが彼らに向かって上って行けば、主はわたしたちを彼らの手に②渡されるであろう。だからわたしたちは、自分たちの土地の中央で準備し、わたしたちの全軍を集めよう。彼らに向かって出て行かないで、彼らが向かって来るまで待とう。主が生きておられるように確かに、わたしたちがこのようにすれば、主は彼らをわたしたちの手に渡してくださる。」
22 さて、第十七年の末に、ラコーニアスの布告が地の面の至る所に出された。そして民は、自分たちの馬と馬車、家畜、すべての大小の家畜の群れ、穀物、そのほかすべての持ち物を携えて、何千人となく、何万人となく進んで行き、彼らは皆、敵を防ぐために集まるように指定された所へ向かった。
23 指定された地は、ゼラヘムラの地と、ゼラヘムラの地とバウンティフルの地の間の地であり、バウンティフルの地とデソレションの地の間の境界にまで達していた。
24 そして、ニーファイ人と呼ばれる非常に大勢の人々がこの地に集まった。ラコーニアスが南方の地に彼らを集めさせたのは、①北方の地にひどいのろいが及んでいたためである。
25 そして彼らは、敵に対して防備を固め、同じ土地に一団となって住んだ。また彼らは、ラコーニアスの語った言葉を恐れて、自分たちのすべての罪を悔い改めた。そして、主なる彼らの神に祈りをささげ、敵が攻め下って来るときに自分たちを①救ってくださるように願った。
26 彼らは自分たちの敵のことで深い憂いを抱いた。また、ギドギドーナイは彼らにあらゆる①武器を造らせ、自分の指示に従ってよろいと盾と小盾で身を固めさせた。