1さて、イエスはこれらの御言葉をニーファイと前に召された人々(召されてバプテスマを施す力と権能を授けられた人々の数は十二人であった)に語り終えると、見よ、群衆に手を伸ばして、大きな声で言われた。「わたしがあなたがたの中から選んで、あなたがたに仕え、またあなたがたの僕となるようにしたこの十二人の言葉に注意を払うならば、あなたがたは幸いである。わたしは水であなたがたにバプテスマを施す力をこの十二人に授けた。あなたがたが水でバプテスマを受けた後、見よ、わたしはあなたがたに火と聖霊によってバプテスマを授けよう。あなたがたはすでにわたしを見ており、わたしが実在することを知っているので、わたしを信じてバプテスマを受けるならば、あなたがたは幸いである。
2さらにまた、あなたがたがわたしに会ったと証し、わたしが実在することを知っていると証するとき、あなたがたのその言葉を信じる人々は、なおさら幸いである。まことに、あなたがたの言葉を信じて、心底謙遜になってバプテスマを受ける人々は、幸いである。彼らは火と聖霊を授かり、罪の赦しを受けるからである。
3まことに、わたしのもとに来る心の貧しい人々は、幸いである。天の王国は彼らのものだからである。
4また、悲しむ人々は皆、幸いである。彼らは慰められるからである。
5柔和な人々は、幸いである。彼らは地を受け継ぐからである。
6義に飢え渇いている人々は皆、幸いである。彼らは聖霊に満たされるからである。
7憐れみ深い人々は、幸いである。彼らは憐れみを受けるからである。
8心の清い人々は皆、幸いである。彼らは神を見るからである。
9平和をつくり出す人々は皆、幸いである。彼らは神の子と呼ばれるからである。
10わたしの名のために迫害される人々は皆、幸いである。天の王国は彼らのものだからである。
11わたしのために人々があなたがたをののしり、また迫害し、またあなたがたに対して偽って悪口を言うときには、あなたがたは幸いである。
12あなたがたは大きな喜びを得て、非常に喜ぶようになる。天においてあなたがたの受ける報いは大きいからである。あなたがたより前にいた預言者たちも、同じように迫害されたのである。
13まことに、まことに、あなたがたに言う。わたしはあなたがたを地の塩とする。しかし、もし塩がその塩気を失ったら、地は何によって塩味をつけられようか。その塩はもはや何の役にも立たず、ただ外に捨てられて、人々に踏みつけられるだけである。
14まことに、まことに、あなたがたに言う。わたしはあなたがたをこの民の光とする。丘の上にある町は隠れることができない。
15見よ、人はろうそくに火をつけて升の下に置くだろうか。そのようなことはせず、燭台に立てて、家の中のすべてのものを照らす。
16だから、あなたがたの光をこの民の前に輝かせて、この民があなたがたの善い行いを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようにしなさい。
17わたしが律法や預言者を廃するために来た、と思ってはならない。わたしが来たのは廃するためでなく、成就するためである。
18まことに、あなたがたに言う。律法は一点一画もむなしくなることがなく、わたしによってすべて成就した。
19そして見よ、わたしはあなたがたに、わたしを信じ、罪を悔い改めて、打ち砕かれた心と悔いる霊をもってわたしのもとに来るようにという父の律法と戒めを与えた。見よ、あなたがたの前には戒めがあり、律法はすでに成就している。
20だから、わたしのもとに来て救いを得なさい。まことに、あなたがたに言う。今あなたがたに命じたわたしの戒めを守らなければ、あなたがたは決して天の王国に入れないであろう。
21昔の人々により、『あなたがたは殺してはならない。殺す者はだれでも、神の裁きを受ける恐れがある』と言われてきたことは、あなたがたの聞いているところであり、またそれは、あなたがたの前に書き記されている。
22しかし、あなたがたに言う。自分の兄弟に対して怒る者はだれであろうと、神の裁きを受ける恐れがある。自分の兄弟に向かって『愚か者』と言う者はだれでも、議会に引き渡される恐れがある。また、『ばか者』と言う者はだれでも、地獄の火に投げ込まれる恐れがある。
23だから、あなたはわたしのもとに来るとき、またはわたしのもとに来たいと思うとき、兄弟があなたに対して何か恨みを抱いていることを思い出したら、
24あなたの兄弟のところに行って、まずその兄弟と和解し、それから十分に固い決意をもってわたしのもとに来なさい。そうすれば、わたしはあなたを受け入れよう。
25自分に敵意を抱いている者と、一緒にいる間に早く仲直りしなさい。そうしないと、いつか彼はあなたを捕らえるであろう。そして、あなたは牢に入れられるであろう。
26まことに、まことに、あなたに言う。あなたは最後の一セナインを支払ってしまうまで、決してそこから出て来ることはできない。あなたは牢の中にいて一セナインでも支払えるだろうか。まことに、まことに、あなたに言う。『支払うことはできない』と。
27見よ、昔の人々は、『あなたは姦淫してはならない』と書いている。
28しかし、あなたがたに言う。情欲を抱いて女を見る者はだれでも、心の中ですでに姦淫を行ったのである。
29見よ、わたしはあなたがたに、これらのことを決して心の中に入れないようにと命じる。
30あなたがたは、これらのことを断って自分の十字架を負う方が、地獄に投げ込まれるよりもよいからである。
31『妻を出す者は離縁状を渡せ』と書かれている。
32まことに、まことに、あなたがたに言う。だれでも、不貞以外の理由で自分の妻を出す者は、姦淫を行わせるのである。また出された女をめとる者も、姦淫を行うのである。
33さらに、『偽り誓うな。誓ったことは、すべて主に対して果たせ』と書かれている。
34しかし、まことに、まことに、あなたがたに言う。一切誓ってはならない。天にかけて誓ってはならない。そこは神の御座であるから。
35また、地にかけて誓ってはならない。そこは神の足台であるから。
36また、自分の頭にかけて誓ってはならない。あなたは髪の毛一筋さえ黒くも白くもすることができない。
37あなたがたの言葉はただ、『はい、はい』『いいえ、いいえ』であるべきだ。それ以上のものから出るものはすべて悪である。
38また見よ、『目には目を、歯には歯を』と書かれている。
39しかし、あなたがたに言う。悪人に手向かってはならない。もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。
40あなたを訴えて、下着を取ろうとする者には、上着をも与えなさい。
41もし、だれかが、あなたを強いて一マイル行かせようとするなら、その人とともに二マイル行きなさい。
42求める者には与え、借りようとする者を断らないようにしなさい。
43また見よ、『隣人を愛し、敵を憎め』とも書かれている。
44しかし見よ、わたしはあなたがたに言う。あなたがたの敵を愛し、あなたがたをのろう者を祝福し、あなたがたを憎む者に善をなし、あなたがたを不当に扱い迫害する者のために祈りなさい。
45こうして、天におられるあなたがたの父の子となるためである。天の父は、悪い者の上にも善い者の上にも太陽を昇らせてくださるからである。
46以前律法の下にあったことはすべて、わたしによって成就している。
47古いものは廃されて、すべてのものが新しくなったのである。
48わたしや天におられるあなたがたの父が完全であるように、あなたがたも完全になることを、わたしは望んでいる。」