2000–2009
永続するものこそ最も大切なものである
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永続するものこそ最も大切なものである

わたしたちは指導者として,世界中の教会員に,家族を第一に考え,家族を強める具体的な方法を見つけるようにお願いします。

最近何人かの中央幹部とともにルイジアナ州,ミシシッピ州,テキサス州に設置された避難所を訪ねました。そこではハリケーン・カトリーナによって壊滅的な状態に追い込まれ,住まいを追われた被災者が生活を立て直そうと努力しながら暮らしていまし

た。彼らが経験したことや置かれている状況は悲惨であり,多くの点で涙を誘うものでした。けれども,わたしが耳にした中で最も胸を締めつけられたのは家族を捜して叫ぶ声でした。「お母さんはどこにいるの。」「息子が見つかりません。」「妹がいません。」すべてを失い,食料や医療,そしてあらゆる支援を必要とし,おなかをすかせ,おびえた人々がいました。しかし彼らが何よりも求め,必要としたのは自分の家族でした。

重大な危機や大きな変化に見舞われたときに,心に浮かぶのは最も大切なものです。日常生活の中で,家族,つまり両親や子供,きょうだいの存在を当たり前のように思うことがしばしばあります。けれども,危険や非常事態,変化に直面するときに,いちばん大切なのは家族であることがはっきりします。この世を離れて霊界へ行くときにはなおさらです。霊界へ行って最初に捜すのは,父親,母親,伴侶はんりょ,子供,きょうだいでしょう。

この世の目的を一言ひとことで言えば,「永遠の家族を築くこと」です。人は皆この地上で自分自身の家族を創造し,形成する力を授けられ,大家族の一員となる努力をします。天の御父がわたしたちをここに遣わされた理由の一つはそれです。全員がこの世で伴侶を見つけ,家族を設けるわけではありません。けれどもすべての人はどのような状況にあろうと神の家族の大切な一員です。

兄弟姉妹,1995年に大管長会と十二使徒定員会が「家族――世界への宣言」を発表してから,今年で10年になります(「家族――世界への宣言」『リアホナ』2004年10月号,49。『聖徒の道』1996年1月号,113-114参照)。この宣言は当時も今も,家族を守り強めるようにと,ラッパの音のように明快に呼びかけています。道徳観が低下し,優先順位が混乱し,基本単位である家族がないがしろにされ,崩壊の危機に瀕ひんしている世界に,厳しい警告を発し続けています。

この宣言は預言の言葉です。それは,預言者たちが宣言したからだけでなく,将来を見越して述べられたからです。宣言で警告された事柄が,実際にこの10年の間に,家族を脅かし,弱めてきました。この宣言の呼びかけは,伝統的な結婚や親子の関係をどんどんむしばんでいる環境を切り抜けたいと思うならば,家族の必要を優先させ,大切にするように,というものです。

宣言の中で用いられている単純明快な表現は,混乱し,複雑化した社会通念と好対照を成しています。現代社会は親と家族に必要な支援を提供できないばかりか,家族の定義についてさえも意見の一致を見ることができません。皆さんは宣言の以下の言葉をよく知っているはずです。

●「……男女の間の結婚は神によって定められたものであ〔る。〕」

●「性別は,人の前世,現世および永遠の状態と目的にとって必須の特性〔である。〕」

●「夫婦は,互いに愛と関心を示し合うとともに,子供たちに対しても愛と関心を示すという厳粛な責任を負ってい〔る。〕」

●「子供たちは結婚のきずなの中で生を受け,結婚の誓いを完全な誠意をもって尊ぶ父親と母親により育てられる権利を有してい〔る。〕」

●「……家庭の崩壊は,個人や地域社会,国家に,古今の預言者たちが預言した災いをもたらすこと〔になるだろう。〕」

そして家族の宣言は最後に,家族が「社会の基本単位」であるという明快な真理を述べています。

今日きょう,わたしは教会員に,全世界の献身的な両親,祖父母,親族の人々に,この大いなる宣言を固く守り,司令官モロナイの「自由の旗」のようにこの宣言を掲げ,その教えに従って生きる決意をするよう呼びかけます。わたしたちは皆,一つの家族の一員なので,この宣言はあらゆる人に向けられています。

世論調査によれば,世界中の人々が一般的に家族を優先順位の最上位に置いていることが明らかです。けれども近年,大衆社会は家族を無視し,その定義をゆがめているように思われます。過去数十年間の変化に注目してください。

● 家族を支援し強めるために設立された国内外の主要組織の多くが,以前の貢献とは対称的に,今日こんにちでは家族を押しのけ,破壊しようとしている。

●「寛容」という名の下に,家族という言葉の定義があいまいになり,同性か異性かを問わず,責任感,子供,将来の展望のあるなしも問わず,一緒に暮らす人を「家族」と呼ぶようになってきた。

● 物質主義と利己主義がはびこって多くの人が欺かれ,家族,とりわけ子供については,神に似た者になることを学ぶための神聖な特権というよりも,重荷であり,経済的な負担であると考えるようになってきている。

けれども,世界中のほとんどの親は,昔ながらの家族に愛着を感じ,そのような家族から喜びが得られることを知っています。幾つもの大陸をまたにかけ,家族や親に向けて講演をして戻って来たばかりの友人たちが言うには,世界中の親たちが抱いている望みや心配事は驚くほど似通っているということです。

インドのヒンズー教徒の母親が心配そうに言いました。「唯一の望みは,母親であるわたしがメディアや同年代の友達よりも,子供に対して強い影響力を持つことです。」

マレーシアの仏教徒の母親が言いました。「息子には社会で活躍しつつも,世に毒されないでいてほしいです。」このように,文化や信仰が異なる親たちも,この教会の親たちと同じことを感じ,語っているのです。

世の人々は「家族──世界への宣言」で教えられている事柄を知る必要があります。家族は社会と経済,文化,政府の基本単位なのです。そして,末日聖徒が理解しているように,家族は日の栄えの王国の基本単位でもあります。

教会が家族をこの上なく大切だと信じる理由は,回復された教えの中にあります。わたしたちは永遠の過去から永遠の未来にわたって,家族が神聖であると知っています。この世に来る前に,天の御父の家族の一員としてともに住んでいたこと,また死後も家族関係を続けられることを知っています。

この知識に基づいて生活し行動するなら,世の注目を浴びるでしょう。家族を優先している親は,この教会に引きつけられることでしょう。なぜなら教会では,ほかの場所で見つけることのできない家族の関係,価値,教義,永遠の観点を教えているからです。

この家族中心の考え方を持っている末日聖徒は,世界一の親になろうと努力するでしょう。子供に対しても,実際には霊のきょうだいですから非常に敬意を払うでしょう。家族を強めるために必要であれば幾らでも時間をささげるでしょう。親自身にとっても,子供にとっても,家族が互いに愛し合い,支え合うこと以上に,幸福と深くかかわっていることはありません。

教会は個人と家族を築き上げるために欠かせない「足場」であるとハロルド・B・リー大管長は語りました(ConferenceReport,1967年10月,107参照)。地上における神の王国は教会です。しかし,天の王国においては,家族が永遠の進歩と喜びの源となり,天の御父が統治される組織となるのです。繰り返し教えられているように,わたしたちはいつか教会の召しからは解任されますが,もしふさわしければ,家族という関係が解かれることは決してありません。

ジョセフ・F・スミスは言いました。「家庭を離れてほんとうの幸福は存在しません。家庭の影響力を神聖なものとし,維持するための努力はすべて,家庭を確立するために苦労し犠牲を払っている人々の霊を高めるものです。家庭生活に代わるほかの生活を求める男女が度々見受けられます。彼らは家庭とは束縛を意味し,最大の自由とは気の向くままに動き回る機会であると信じ込んでいます。奉仕のないところに幸福はありません。家庭を神聖な場に変え,家族の生活を向上させ,維持するための奉仕に勝る奉仕はないのです。」(『歴代大管長の教え――ジョセフ・F・スミス』382)

こう尋ねる人もいるでしょう。「世間の強い逆風の中で,家庭と家族を守り,維持し,強めるにはどうすればよいのでしょうか。」3つの簡単な提案をしましょう。

1.確実に,毎日家族で祈り,毎週家庭の夕べを行ってください。そうすれば,主の御霊みたまを招くことができ,親として,そして家族を導く者として必要な助けと力を得ることができます。教会の教科課程や機関誌には家庭の夕べで役立つアイデアがたくさん載っています。家族の証会あかしかいを開くことも考えてみてください。家族だけで集まって,両親と子供が信じていることや感じていることを互いに分かち合うのです。

2.福音と根本的な家族の信条を教えてください。聖文を一緒に読み,聖文への愛をはぐくんでください。教会に対するこの責任を放棄している親があまりにも多く見られます。セミナリー,補助組織,神権定員会は親が福音を教えるのを助けるという意味で大切な役割を果たしていますが,責任の主体は家庭にあります。福音のテーマか家族の信条を一つ選んで,教える機会を探してください。子供たちも,皆さん自身も,家庭以外の活動に参加しすぎないよう,知恵を用いてください。忙しすぎると,主の御霊に気づかなくなり,皆さんと皆さんの家族に約束されている導きが得られなくなります。

3.家族のきずなを深めてください。学校やほかのどんな場所で出会う友達よりも,家族に対して強い帰属意識を子供たちが持てるようにしてください。誕生日,休日,夕食,日曜日を家族の伝統的な方法で過ごすことが有効です。皆が納得するような当然の結果を伴う,家族の方針や規則に従うことからも,きずなが深められます。家族の簡単なルールを作り,ルールにどの程度従っているかに応じて,皆がやりたがらない面倒な家事をさせたり,称賛や褒美を与えたりするようにします。借金を避け,収入を得て,貯金をし,賢く使うことの大切さを教えてください。物質的,霊的に自立する責任があることを学ばせてください。

家族がサタンの攻撃にさらされている今の世の中にあって,両親は家族を守るために全力を尽くさなければなりません。けれども両親の努力だけでは不十分な場合があります。最も基本的な組織である家族は,周囲にいる親戚しんせきや公的機関からの助けと支えを大いに必要としています。きょうだい,おじやおば,祖父母,いとこたちは,子供の生活に大きな変化をもたらす力を持っています。忘れないでください。一人の親戚の愛や励ましによって,重大な局面を迎えている子供が,的確な力と助けを受けることがしばしばあるのです。

堅固な家族を築くうえで,教会は――いわば「足場」のように――最も頼りになる組織であり続けることでしょう。この教会を導く者にとって,皆さんの家族が幸せに暮らしているかどうかは,重大な関心事です。家族の必要がますます優先され,強調されているのもそのためです。けれどもわたしたちは指導者として,世界中の教会員に,家族を第一に考え,家族を強める具体的な方法を見つけるようにお願いします。

さらに,すべての公的機関に,自らを評価し,家族の害になることを減らし,家族の益になることを増やしてくださるようお願いします。

メディアに対しては,昔ながらの家族の価値や家族を高め支援するものを増やし,不道徳や物質主義を広めるものを控えてくださるようお願いします。

政府と政治指導者に対しては,子供と親の必要を第一にして,法律と方針を制定する際には家族への影響に配慮してくださるようお願いします。

インターネットプロバイダーとウェブサイト製作者に対しては,その影響について責任を持ち,暴力やポルノグラフィー,下品なもの,低俗なものから子供を守ることを真剣に考えてくださるようお願いします。

教育機関に対しては,普遍的な道徳と,家族として,また親として必要な技術を教えてくださるようお願いします。そうすれば,子供という将来の家族の担い手を育てている親を支えることができます。教会員に対しては,隣人や他宗教の人に愛を示し,家族を助けるために教会が用意した多くの資料を彼らと一緒に活用してくださるようにお願いします。あらゆる宗教の人たちが力を合わせて家族を強めるときに,その人たちの暮らす地域は,いっそう安全で強固になるのです。

忘れないでください。社会の大きな単位は皆,家族という最も小さく基本的な単位に依存しているのです。身分や職業に関係なく,皆,家族を助けることにより自らを助けることができるのです。

兄弟姉妹,「家族――世界への宣言」を旗のように掲げ,イエス・キリストの福音に従い,福音を教えるならば,この地上に創造された目的を果たしていることになります。そうすれば,この世と次の世で,平安と幸福を見いだせるでしょう。最も大切なことを思い出すためにハリケーンなどの危機は必要ありません。福音つまり主の幸福と救いの計画が思い出させてくれるはずです。永続するものこそ最も大切なものなのです。そして,家族は永遠に続くのです。このことをイエス・キリストの御名みなによって証します。アーメン。