1さて、わたしニーファイが、真鍮の版に刻んであるこれらのことを読み終えると、兄たちがやって来てわたしに言った。「おまえが読んだこれらのことはどういう意味なのか。見よ、これらのことは肉によるのではなく、霊によって起こる霊的なこととして解釈するのか。」
2そこでわたしニーファイは、彼らに言った。「まことに、これらのことは御霊の声によって、その預言者に示されたものです。すべてのことは御霊によって預言者たちに知らされ、肉において人の子らに起こるからです。
3ですからわたしが読んだことは、現世のことにも霊的なことにもかかわることです。イスラエルの家は遅かれ早かれ地の全面に、またすべての国民の中に散らされると思われるからです。
4まことに、エルサレムにいる人たちにとって、すでに行方の分からなくなっている人が大勢います。まことに、全部族の大半がすでに連れ去られ、海の島々のここかしこに散らされています。わたしたちは、彼らが連れ去られたことだけは知っていますが、どこにいるかはだれも知りません。
5これらのことは、彼らが連れ去られて以来彼らにかかわることとして預言されており、また、これからイスラエルの聖者によって散り乱されるすべての人についても預言されています。それは、彼らがイスラエルの聖者に対して心をかたくなにし、そのためにすべての国民の中に散らされ、すべての人から憎まれるようになるからです。
6にもかかわらず、彼らが異邦人に養い育てられた後、主は異邦人のうえに御手を挙げ、異邦人を旗として立てられます。そして異邦人は、イスラエルの子らを腕に抱き、娘らを肩に乗せて来ます。まことに、ここで言われていることは必ずこの世で起こることです。主がわたしたちの先祖と、そのように聖約を交わされたからです。これらのことは、これからのわたしたちのことを指し、またイスラエルの家に属するすべての同胞のことも指しているのです。
7またそれは、イスラエルの家に属するすべての者がことごとく散り乱されてから、主なる神がまことにこの地の面において、異邦人の中に一つの強大な国民を起こされ、彼らによってわたしたちの子孫が散らされる時が来ることを指しています。
8そして、わたしたちの子孫が散らされてから、主なる神はわたしたちの子孫にとって大いに価値のある驚くべき業を、異邦人の中で始められます。それでこれは、わたしたちの子孫が異邦人に養われ、その腕に抱かれ、その肩に乗せられて来るのにたとえられます。
9それは、異邦人にとっても価値のあるものです。また、異邦人だけでなく、イスラエルの家に属するすべての者にとっても価値のあるものであって、天の御父がアブラハムに対して、『あなたの子孫により、地のすべての部族は祝福を受けるであろう』と言われた聖約が、これで知らされるのです。
10天の御父が、もろもろの国民の目の前にその御腕を現されないかぎり、地のすべての部族が祝福を受けることはないということを、わたしは兄さんたちに知ってほしいと思います。
11それで主なる神は、イスラエルの家に属する者たちに聖約と福音をもたらし、やがて、すべての国民の目の前にその御腕を現されるのです。
12それで主は、イスラエルの家の者たちを囚われの身から再び連れ出されます。彼らはその受け継ぎの地に集められます。そして暗闇から、また暗黒から連れ戻されます。彼らは、主が自分たちの救い主、贖い主、イスラエルの力ある者であることを知るのです。
13また、全地の淫婦であるあの大きな忌まわしい教会の人々の流した血は、彼ら自身の頭にはね返ります。彼らは互いに戦争をして、自分の手に持つ剣を自分の頭上に落とし、自分自身の血を飲んで酔うからです。
14おお、イスラエルの家よ、あなたと戦うすべての国民は互いに敵対し、主の民を陥れようとして掘った穴に自分が落ちてしまうでしょう。そしてシオンに向かって戦う者は皆滅び、主の正しい道を曲げたあの大淫婦、まことに、あの大きな忌まわしい教会は地に崩れ落ちますが、その倒れ方はひどいでしょう。
15まことに、預言者は言っています。『サタンがもはや人の子らの心を支配できなくなる時が、速やかに来る。すべて高ぶる者と悪を行う者がわらのようになる日が、すぐに来るからである。彼らが焼かれる日が来る。
16すべての人の子らに神の満ちみちる激しい怒りが注がれる日が、速やかに来る。神は、悪人が義人を滅ぼすのを許されないからである。
17そのため神は、満ちみちる激しい怒りを下し、義人を守るために火をもって敵を滅ぼすことになっても、御自分の力によって義人を守られる。したがって、義人は恐れるには及ばない。たとえ火によってでも、彼らは救われるであろう。』預言者はそのように言っています。
18まことに、兄さんたち、あなたがたに言います。これらのことは間もなく必ず起こります。まことに、血と、火と、立ち込める煙は必ず及びます。これらのことは、この大地の面で起こるに相違なく、人々がイスラエルの聖者に対して心をかたくなにするならば、肉において人々に及ぶのです。
19まことに義人は滅びません。シオンに敵対して戦う者たちがすべて絶たれる時が、必ず来るからです。
20そして主は、確かに御自分の民のために方法を設けて、モーセの言葉を成就されます。モーセは言いました。『主なるあなたがたの神は、あなたがたのために、わたしのような預言者を一人お立てになる。その預言者があなたがたに語るすべてのことに耳を傾けなさい。その預言者に耳を傾けない者はすべて、民の中から絶たれるであろう。』
21さて、わたしニーファイはあなたがたに言明します。モーセが語ったこの預言者とはイスラエルの聖者のことです。ですからこの御方は、義をもって裁きをされます。
22義人は打ち破られることのない人々ですから、恐れるには及びません。恐れるのは悪魔の王国であって、これは人の子らの中に築かれる王国で、肉体を持つ人々の中に設けられます。
23利を得るために設けられるすべての教会、人のうえに支配権を得ようと設けられるすべての教会、世の人々の目にかなって評判を得るために設けられる教会、肉欲やこの世のものを求め、あらゆる罪悪を行う教会、要するに、悪魔の王国に属するすべての教会が恐れて震えおののく日が、速やかに来ます。これらの教会はちりの中に引き倒され、わらのように焼き尽くされなければならないのです。これは預言者の言葉のとおりです。
24また、義人が牛舎から出る子牛のように必ず導かれ、イスラエルの聖者が主権と威勢と力と大いなる栄光をもって必ず統治される日が、速やかに来ます。
25そして聖者は、地の四方からその子らを集め、その羊を数えられ、羊は聖者を知るようになります。それから一つの群れ、一人の羊飼いとなって、聖者は御自分の羊を養われ、羊は聖者によって牧草を見いだします。
26また、聖者の民の義のために、サタンはまったく力を持たず、長い年月にわたって解き放されることはありません。民が義のうちに住み、イスラエルの聖者が統治されるので、サタンは彼らの心を支配する力を持たないからです。
27さてまことに、わたしニーファイはあなたがたに言います。これらのことはすべて、必ず肉において起こるのです。
28しかしまことに、すべての国民、部族、国語の民、民族は、もしも悔い改めるならば、イスラエルの聖者によって安全に暮らせるでしょう。
29ところでわたしニーファイは、これらのことについてあえてこれ以上語ろうと思わないので、これで終わりにします。
30そこで兄さんたち、わたしはあなたがたに、真鍮の版に書き記されている事柄が真実であることを知ってほしいのです。これらの事柄は、人が神の戒めに従順でなければならないことを証しています。
31ですから、わたしと父だけが証をし、神の戒めを教えたのだと考える必要はありません。あなたがたは、神の戒めに従順で最後まで堪え忍ぶならば、終わりの日に救われるでしょう。まことにそのとおりです。アーメン。」