1 わたし①ニーファイは②善い③両親から生まれたので、父が学んだすべてのことの中から幾らかの④教えを受けた。わたしはこれまでの人生で多くの⑤苦難に遭ったが、生まれてこのかた主の厚い恵みを受け、まことに神の慈しみと⑥奥義を深く知った。そこで、生まれてからこれまでの間に行ってきたことを⑦記録する。
2 まことにわたしは父の①言葉で記録するが、それは、ユダヤ人が学んできたこととエジプト人の言葉から成っている。
3 わたしは、自分の書く記録が①真実であることを知っている。わたしはこれを自分の手で書き、自分の知っていることに従って書く。
4 さて、ユダの王①ゼデキヤの統治②第一年の初めに(父リーハイは生まれてこのかた③エルサレムに住んでいた)、その同じ年に多くの④預言者が現れて、民に向かい、悔い改めなければ大きな都の⑤エルサレムは滅ぼされるに違いないと預言した。
5 さて、父①リーハイは、出て行って民のためにまことに②一心に主に祈った。
6 そして、祈っていたときに、①火の柱が現れて、父の前にある岩の上にとどまった。そして父は、多くのことを見たり聞いたりした。父はこれらの見たり聞いたりしたことのために、ひどく震えおののいた。
7 さて、父はエルサレムにある自分の家に帰って来たが、御霊と自分が見たものに①圧倒され、床に伏してしまった。
8 このように御霊に圧倒されていたとき、父は①示現に引き込まれ、まことに②天が開くのを見た。また父は、神が御座に着き、御自身を賛美しほめたたえる様子で群れ集まる、無数の天使たちに取り囲まれておられるのを見た思いがした。
9 そして父は、天の真ん中から降りて来られる一人の御方を見たが、その①輝きは真昼の太陽の輝きにも勝るものであった。
10 また父は、このほかにこの御方に従う①十二人の人も見たが、その明るさは大空に輝く星の明るさをしのいでいた。
11 そして、この人たちは天から降りて来て地の面を進んで行った。やがて最初の人が父の前に来て立ち、一つの①書物を渡して読むように言った。
12 そこでその書物を読むと、父は①主の御霊に満たされた。
13 父は声に出して読んだ。「災いである。エルサレムは災いである。わたしはあなたの①忌まわしい行いを見たからである。」そして父は、②エルサレムについて多くのことを読んだが、それはエルサレムが滅ぼされ、その地に住む者も滅ぼされ、多くが剣で殺され、多くが囚われの身となってバビロンへ③連れ去られるということであった。
14 さて、父は多くの大いなる驚くべきことを読んだり見たりした後、主に向かい、「おお、全能の主なる神よ、あなたの御業は何と偉大で驚くべきものでしょう。あなたの御座は高く天にあって、あなたの力と慈しみと憐れみは地に住むすべての者に及んでいます。あなたは憐れみ深い御方ですから、①あなたのみもとに来る者が滅びるのを許されません」などと、大声で多くのことを叫んで言った。
15 このような言葉で神をほめたたえたのは、父が見たこと、すなわち主が父に示されたことで父が心から喜び、まことに胸がいっぱいになったからである。
16 ところで、わたしニーファイは、父が書き記したことを残らず述べることはしない。それは、父が示現や夢で見たことをたくさん書き記しており、また子供たちに①預言をしたり語ったりしたこともたくさん書き記しているからであって、わたしはそのことについて残らず述べるつもりはない。
17 そうではなく、わたしは生まれてからこれまでの間に自分が行ってきたことを述べる。見よ、わたしは自分の手で造った版に父の①記録を②短くまとめる。そして父の記録を短くまとめてから、次にわたしの生涯について述べるつもりである。
18 さて、あなたがたに知っていてもらいたいと思うことがある。すなわち、主が父リーハイに、非常に多くの驚くべきこと、まことにエルサレムの①滅亡について示されてから、見よ、父は民の中に出て行って、自分が先に見たり聞いたりしたことについて②預言し、また告げ知らせ始めた。
19 さて、ユダヤ人は、父が彼らについて証をしたことのために父を①あざ笑った。父が、ユダヤ人の悪事と彼らの忌まわしい行いについて、ありのままに証したからであり、自分が見聞きしたことや、あの書物で読んだことが、②メシヤの来臨と世の贖いをはっきり表していると、証したからである。
20 ユダヤ人は、これらのことを聞いて父に腹を立てた。まことに、彼らが昔の預言者に腹を立てたのと同様である。彼らは預言者を①追い出し、石を投げつけ、殺してしまった。そして、今また彼らは父の命をねらい、殺してしまおうとしたのである。しかし見よ、主の深い②憐れみは、信仰があるために主から選ばれたすべての者のうえに及び、この人たちを強くして自らを解放する力さえ与えることを、わたしニーファイはあなたがたに示そう。