1さて、わたしたちが荒れ野へ下って来て父のところに着くと、見よ、父は喜びに満たされた。また母のサライアも、ほんとうにわたしたちのことで悲しんでいたので、非常に喜んだ。
2母は、わたしたちが荒れ野で死んでしまったと思ったからである。母はまた、父のことを幻を見る人だと言って父に不平を言い、「御覧なさい、あなたがわたしたちを受け継ぎの地から連れ出し、息子たちはいなくなってしまいました。そして、わたしたちも荒れ野で死んでしまうのです」と言っていた。
3母は、このような言葉で父に不平を言っていた。
4そこで父は母に言った。「わたしは自分が幻を見る者であることを知っている。もしわたしが、示現の中で神が示してくださった事柄を見なかったならば、わたしは神の慈しみを知らず、エルサレムにとどまって、同胞とともに滅びてしまったであろう。
5しかし見よ、わたしは約束の地を頂いており、そのことについて喜ばしく思う。またわたしは、主が息子たちをラバンの手から救い出し、荒れ野にいるわたしたちのもとにまた連れ戻してくださることを知っている。」
6父リーハイはこのような言葉で、わたしたちのことについて母サライアを慰めたのであった。それは、わたしたちがユダヤ人の記録を手に入れるために、荒れ野をエルサレムの地へ向かって旅をしていた間のことであった。
7そこで、わたしたちが父の天幕に帰って来ると、見よ、父母は喜びに満たされ、母は慰めを得た。
8母は言った。「主が夫に荒れ野へ逃げるように命じられたことが、今確かに分かりました。また、主が息子たちを守り、ラバンの手から救い出し、主が命じられたことを成し遂げるための力を息子たちにお与えくださったことが、確かに分かります。」母はこのような言葉で話した。
9そして父母は、非常に喜び、犠牲と燔祭を主にささげ、イスラエルの神に感謝した。
10二人でイスラエルの神に感謝をささげてから、父リーハイは真鍮の版に刻まれた記録を手に取り、最初から調べてみた。
11父が見ると、その中には、世界の創造とわたしたちの最初の先祖であるアダムとエバの話を載せた、モーセの五書があった。
12また、世の初めからユダの王ゼデキヤの統治の初めに至るユダヤ人の記録もあり、
13また、世の初めからゼデキヤの統治の初めに至る聖なる預言者たちの預言や、そのほか、エレミヤの口を通して語られた多くの預言も載せてあった。
14そして父リーハイは、真鍮の版に自分の先祖の系図も見つけ、それで自分がヨセフの子孫であることを知った。このヨセフとは、ヤコブの子のヨセフであって、エジプトへ売られ、父ヤコブとその家のすべての者が飢饉で死ぬことのないように守るため主の手によって守られたあのヨセフである。
15彼らは自分たちを守ってくださったあの同じ神によって、囚われの身から救い出され、エジプトの地から導き出されたのである。
16このようにして、父リーハイは自分の先祖の系図を見つけた。ラバンもまたヨセフの子孫であったので、ラバンとその先祖がこの記録を書き記しておいたのである。
17ところで、父はこれらのことをすべて見ると、御霊に満たされ、自分の子孫について預言し始めた。
18すなわち、この真鍮の版が父の子孫であるすべての国民、部族、国語の民、民族に伝わるということである。
19それで父は、この真鍮の版は決して朽ちることなく、またこれから先どれだけ歳月を経ても、さびて読めなくなることはまったくないと言った。そして彼は、自分の子孫について多くのことを預言した。
20さて、わたしと父は、主が下された命令をこれまで守ってきた。
21そしてわたしたちは、主が手に入れるようにと言われた記録を手に入れ、また、それを調べて、それが望ましいものであることを知った。まことに、それは、子孫に主の戒めを残すことができるものであり、したがって、わたしたちにとって大きな価値のあるものである。
22それゆえ、わたしたちが約束の地を目指して荒れ野を旅するときに、この版を携えて行くのは、主の知恵であった。