1さて、天てん使しがわたしに、「見みなさい」と言いった。それでわたしは眺ながめると、多おおくの国こく民みんと王おう国こくが見みえた。

2天てん使しがわたしに、「何なにが見みえるか」と言いったので、わたしは、「多おおくの国こく民みんと王おう国こくが見みえます」と答こたえた。

3天てん使しはわたしに、「これらは異い邦ほう人じんの国こく民みんとその王おう国こくである」と言いった。

4そしてわたしは、異い邦ほう人じんの国こく民みんの中なかに一つの大おおきな教きょう会かいが設せつ立りつされるのを見みた。

5天てん使しはわたしに言いった。「ほかのあらゆる教きょう会かいにも増まして忌いまわしい教きょう会かいが設せつ立りつされるのを見みなさい。この教きょう会かいは神かみの聖せい徒とたちを殺ころし、苦くるしめ、縛しばり上あげ、鉄てつのくびきを負おわせて、囚とらわれの身みに陥おとしいれるものである。」

6そしてわたしは、この大おおきな忌いまわしい教きょう会かいを見みて、悪あく魔まがその創そう設せつ者しゃであるのを知しった。

7わたしはまた金きんと銀ぎんと絹きぬと緋ひの衣ころもとこまやかに織おった亜あ麻ま布ぬの、それにいろいろな種しゅ類るいの高こう価かな衣い類るいを見みた。また、多おおくの娼しょう婦ふを見みた。

8天てん使しがわたしに言いった。「見みよ、金きんと銀ぎんと絹きぬと緋ひの衣ころもとこまやかに織おった亜あ麻ま布ぬの、それに高こう価かな衣い類るい、また娼しょう婦ふなどは、この大おおきな忌いまわしい教きょう会かいが好このむものである。

9また彼かれらは、世よの誉ほまれを得えるために神かみの聖せい徒とたちを殺ころし、彼かれらを囚とらわれの身みに陥おとしいれる。」

10さて、わたしが眺ながめると、大おお海うみがあって、それが異い邦ほう人じんと兄あにたちの子し孫そんとを隔へだてているのが見みえた。

11そして天てん使しがわたしに、「見みなさい。神かみの怒いかりがあなたの兄あにたちの子し孫そんのうえにある」と言いった。

12それで眺ながめると、異い邦ほう人じんの中なかに一人ひとりの男おとこが見みえ、その男おとこは大おお海うみによってわたしの兄あにたちの子し孫そんから隔へだてられていた。すると神かみの御み霊たまが降くだってこの男おとこに働はたらきかけ、この男おとこが大おお海うみを渡わたって、約やく束そくの地ちにいるわたしの兄あにたちの子し孫そんのところへ行いくのが見みえた。

13そして、神かみの御み霊たまがほかの異い邦ほう人じんにも働はたらきかけ、彼かれらが囚とらわれの身みの上うえから逃のがれて大おお海うみを渡わたって行いくのが見みえた。

14そして、約やく束そくの地ちに大おお勢ぜいの異い邦ほう人じんの群むれがいるのが見みえ、神かみの激はげしい怒いかりが兄あにたちの子し孫そんに下くだり、彼かれらが異い邦ほう人じんの前まえから散ちらされ、打うち負まかされるのが見みえた。

15またわたしは、主しゅの御み霊たまが異い邦ほう人じんのうえにあって、彼かれらがまことに栄さかえてその地ちを受うけ継つぎとして得えるのを見みた。また彼かれらが、殺ころされる前まえのわたしの民たみのように白しろく、非ひ常じょうに麗うるわしく美うつくしいのが見みえた。

16そして、わたしニーファイは、囚とらわれの身みから逃のがれて来きた異い邦ほう人じんが主しゅの前まえにへりくだり、主しゅの力ちからが彼かれらとともにあるのを見みた。

17わたしはまた、彼かれらの母ぼ国こくの異い邦ほう人じんが、彼かれらと戦たたかうために海うみにも陸りくにも集あつまるのを見みた。

18そしてわたしは、神かみの力ちからが彼かれらとともにあり、また神かみの激はげしい怒いかりが、彼かれらと戦たたかうために集あつまったすべての人ひとに下くだるのを見みた。

19そしてわたしニーファイは、囚とらわれの身みから逃のがれて来きた異い邦ほう人じんが、神かみの力ちからによって、ほかのすべての国こく民みんの手てから救すくい出だされるのを見みた。

20そしてわたしは、彼かれらがその地ちで栄さかえるのを見みた。また、一冊さつの書しょ物もつが見みえ、それが彼かれらの中なかで広ひろまるのが見みえた。

21すると天てん使しが、「この書しょ物もつの意い味みが分わかるか」と言いった。

22わたしは天てん使しに、「分わかりません」と答こたえた。

23すると天てん使しは、「見みなさい。この書しょ物もつはユダヤ人じんの口くちから出でている」と言いった。わたしニーファイがそれを見みると、天てん使しはわたしに言いった。「あなたが見みている書しょ物もつはユダヤ人じんの記き録ろくであって、主しゅがイスラエルの家いえに立たてられた聖せい約やくが載のっており、それにはまた、聖せいなる預よ言げん者しゃたちの語かたった多おおくの預よ言げんも載のっている。それは真しん鍮ちゅうの版はんに刻きざまれている記き録ろくに似にたものであって、ただその量りょうが少すくないだけである。それでもその中なかには、主しゅがイスラエルの家いえに立たてられた聖せい約やくが載のせてあるので、異い邦ほう人じんにとって大おおいに価か値ちのあるものである。」

24また、主しゅの天てん使しはわたしに言いった。「あなたはその書しょ物もつがユダヤ人じんの口くちから出でて来きたのを見みたが、それがユダヤ人じんの口くちから出でて来きたときには、主しゅの完かん全ぜんな福ふく音いんが載のっていた。この主しゅについては、十じゅう二に使し徒とが証あかしをしており、彼かれらは神かみの小こ羊ひつじにある真しん理りによって証あかしをしている。

25したがって、これらのことは神かみの内うちにある真しん理りによってユダヤ人じんから異い邦ほう人じんに純じゅん粋すいなまま伝つたわる。

26そして、これらが小こ羊ひつじの十じゅう二に使し徒との手てによってユダヤ人じんから異い邦ほう人じんに伝つたわってから、あなたには、ほかのあらゆる教きょう会かいにも増まして大おおきな忌いまわしい教きょう会かいが設せつ立りつされるのが見みえる。見みよ、その教きょう会かいの者ものたちは、分わかりやすくて大たい変へん貴とうとい多おおくの部ぶ分ぶんを小こ羊ひつじの福ふく音いんから取とり去さり、また主しゅの多おおくの聖せい約やくも取とり去さってしまったからである。

27彼かれらがこれをしたのは、主しゅの正ただしい道みちを曲まげて人ひとの子こらの目めをくらまし、その心こころをかたくなにするためである。

28したがってあなたには、あの書しょ物もつがあの大おおきな忌いまわしい教きょう会かいの手てを経へて出でて来きてからは、神かみの小こ羊ひつじの書しょ物もつから分わかりやすくて貴とうとい多おおくの部ぶ分ぶんが取とり去さられていることが分わかる。

29そして、これらの分わかりやすくて貴とうとい部ぶ分ぶんが取とり去さられてから、この書しょ物もつは異い邦ほう人じんであるすべての国こく民みんに伝つたわる。まことに、それが囚とらわれの身みから逃のがれた異い邦ほう人じんとともに、あなたの見みた大おお海うみを渡わたって、異い邦ほう人じんであるすべての国こく民みんに伝つたわった後のち、非ひ常じょうに多おおくの人ひとがつまずき、まことにサタンがその人ひと々びとを大おおいに支し配はいする力ちからを持もつほどになるのが見みえる。それは、神かみの小こ羊ひつじにある明めい瞭りょうさによって人ひとの子こらに理り解かいしやすかった、分わかりやすくて貴とうとい多おおくの部ぶ分ぶんが、その書しょ物もつから取とり去さられてしまったため、すなわち小こ羊ひつじの福ふく音いんからこれらのことが取とり去さられてしまったためである。

30しかしながら、あなたは見みる。囚とらわれの身みを逃のがれる異い邦ほう人じん、ほかのあらゆる地ちに勝まさったえり抜ぬきの地ち、すなわち、あなたの子し孫そんが受うけ継つぎの地ちとして所しょ有ゆうすると、主しゅなる神かみがあなたの父ちちに聖せい約やくされた地ちの面おもてにおいて、神かみの力ちからによってすべてのほかの国こく民みんより高たかめられる異い邦ほう人じんを。それゆえ、あなたの兄あにたちの中なかに生いきている、あなたの子し孫そんで血ちが混まじった者ものたちが、この異い邦ほう人じんによってことごとく滅ほろぼされてしまうのを、主しゅなる神かみは許ゆるされない。このことをあなたは見みる。

31また主しゅなる神かみは、この異い邦ほう人じんがあなたの兄あにたちの子し孫そんを滅ほろぼすのも許ゆるされない。

32また主しゅなる神かみは、異い邦ほう人じんが恐おそろしい盲もう目もくの状じょう態たいにとこしえにとどまることも許ゆるされない。あなたが見みる彼かれらのその状じょう態たいは、小こ羊ひつじの福ふく音いんの分わかりやすくて大たい変へん貴とうとい部ぶ分ぶんがあの忌いまわしい教きょう会かいによって差さし止とめられたためである。そして、あなたはその教きょう会かいが設せつ立りつされるのを見みたのである。

33したがって、神かみの小こ羊ひつじは言いわれる。『わたしは異い邦ほう人じんを憐あわれみ、イスラエルの家いえの残のこりの者ものに大おおいなる裁さばきをもって報むくいを加くわえる』と。」

34そして、主しゅの天てん使しはわたしに言いった。「神かみの小こ羊ひつじは次つぎのように言いわれる。『見みよ、わたしはイスラエルの家いえの残のこりの者もの、すなわちわたしが話はなしているこの残のこりの者ものとは、あなたの父ちちの子し孫そんであるが、彼かれらに裁さばきをもって報むくいを加くわえ、異い邦ほう人じんの手てによって彼かれらを悩なやました後のち、また娼しょう婦ふの母ははであるあの忌いまわしい教きょう会かいが、小こ羊ひつじの福ふく音いんの大たい変へん分わかりやすくて貴とうとい部ぶ分ぶんのため、すなわちその部ぶ分ぶんがあの忌いまわしい教きょう会かいによって差さし止とめられたために、異い邦ほう人じんが甚はなはだしくつまずいた後のち、』小こ羊ひつじはこう言いわれ、さらに『その日ひわたしは異い邦ほう人じんを憐あわれみ、力ちからをもって、わたしの福ふく音いんの中なかの分わかりやすくて貴とうとい多おおくの部ぶ分ぶんを彼かれらに明あきらかにしよう』と小こ羊ひつじは言いわれる。

35見みよ、小こ羊ひつじは言いわれる。『わたしはあなたの子し孫そんにわたし自じ身しんを現あらわし、わたしが教おしえる分わかりやすくて貴とうとい多おおくのことを記しるさせる。そして、あなたの子し孫そんが滅ほろぼされ、また不ふ信しん仰こうに陥おちいり、またあなたの兄あにたちの子し孫そんもそうなった後のち、見みよ、これらのことは隠かくされて、小こ羊ひつじの賜たま物ものと力ちからによって異い邦ほう人じんにもたらされる。』

36小こ羊ひつじは言いわれる。『その中なかには、わたしの福ふく音いんとわたしの岩いわとわたしの救すくいが書かき記しるされる。

37その日ひ、わたしのシオンを起おこそうと努つとめる者ものは幸さいわいである。彼かれらは聖せい霊れいの賜たま物ものと力ちからを受うけるであろう。また、彼かれらは最さい後ごまで堪たえ忍しのぶならば、終おわりの日ひに高たかく上あげられて、小こ羊ひつじの永えい遠えんの王おう国こくに救すくわれるであろう。また平へい和わを告つげて広ひろめ、まことに大おおいなる喜よろこびのおとずれを告つげる者ものは、山やまの上うえにあって何なんと麗うるわしいことであろう。』」

38さて、わたしは兄あにたちの子し孫そんの残のこりの者ものを見み、また神かみの小こ羊ひつじの書しょを見みて、それがユダヤ人じんの口くちから出でて来きて、異い邦ほう人じんから兄あにたちの子し孫そんの残のこりの者ものにもたらされるのを見みた。

39その書しょ物もつが彼かれらに伝つたわってから、わたしはほかにも幾いくつかの書しょ物もつを見みた。それらは小こ羊ひつじの力ちからによって異い邦ほう人じんから彼かれらに伝つたわったものであって、預よ言げん者しゃたちと小こ羊ひつじの十じゅう二に使し徒との記き録ろくが真しん実じつであることを、異い邦ほう人じんと兄あにたちの子し孫そんの残のこりの者ものと、地ちの面おもてに散ちらされたユダヤ人じんに確かく信しんさせるためのものである。

40天てん使しはわたしに言いった。「あなたが異い邦ほう人じんの中なかで見みたそれら後あとの方ほうの記き録ろくは、小こ羊ひつじの十じゅう二に使し徒とから出でた初はじめの記き録ろくが真しん実じつであることを立りっ証しょうし、またその中なかから取とり去さられた分わかりやすくて貴とうとい部ぶ分ぶんを明あきらかにする。またそれらの記き録ろくは、神かみの小こ羊ひつじが永えい遠えんの御おん父ちちの御おん子こであって、世よの救すくい主ぬしであられること、すべての人ひとはこの救すくい主ぬしのみもとに来こなければならず、そうしなければ救すくわれないことを、すべての部ぶ族ぞく、国こく語ごの民たみ、民みん族ぞくに知しらせる。

41またすべての人ひとは、小こ羊ひつじの口くちによって立りっ証しょうされる御み言こと葉ばに従したがって、みもとに来こなければならない。そして小こ羊ひつじの御み言こと葉ばは、小こ羊ひつじの十じゅう二に使し徒との記き録ろくのみならず、あなたの子し孫そんの記き録ろくの中なかでも明あきらかにされるであろう。したがって、これら二つの記き録ろくは一つに合あわせられる。全ぜん地ちを支し配はいされるのは唯ゆい一いつの神かみ、唯ゆい一いつの羊ひつじ飼かいだからである。

42そしてこの御お方かたが、すべての国こく民みん、すなわちユダヤ人じんにも異い邦ほう人じんにも御み姿すがたを現あらわされる時ときが来くる。この御お方かたはユダヤ人じんに、次つぎに異い邦ほう人じんに御み姿すがたを現あらわされ、そして異い邦ほう人じんに、次つぎにユダヤ人じんに御み姿すがたを現あらわされる。このように、後あとの者ものは先さきになり、先さきの者ものは後あとになる。」