1 さて、第八十六年にも、ニーファイ人は依然として悪事を、まことに大きな悪事を続けていた。一方①レーマン人は、モーセの律法に従って神の戒めを厳密に守るように努めていた。
2 そしてこの年に、レーマン人のサムエルという者がゼラヘムラの地にやって来て、民に教えを説き始めた。彼は幾日もの間、民に悔い改めを宣べ伝えたが、民が彼を追い出したので、彼は自分の国へ帰ろうとした。
3 ところが見よ、主の声が彼に聞こえて、もう一度引き返し、①心の中に浮かぶことを、どのようなことであろうと民に預言するように言われた。
4 さて、民は、彼が町に入るのを許さなかった。そこで彼は、町の城壁の上に登り、手を伸ばして大声で叫び、主が心に与えてくださることをすべて民に預言した。
5 彼は民に言った。「見よ、わたし、レーマン人サムエルは、主がわたしの心に与えてくださる主の御言葉を告げる。この民に告げるように主がわたしの心に与えてくださったことは次のとおりである。①罰の剣が今この民のうえに迫っている。四百年たたないうちに、罰の剣はこの民のうえに振り下ろされる。
6 まことに、ひどい①滅亡がこの民を待ち受けており、それは必ずこの民に下る。悔い改めて、主イエス・キリスト、すなわち、将来必ずこの世に来て、多くの苦しみを受け、御自分の民のために殺される主イエス・キリストを信じる以外に、何事もこの民を救うことはできない。
7 そして見よ、主の①天使がそれをわたしに告げた。また主の天使は、わたしに②喜びのおとずれを携えて来た。見よ、あなたがたもその喜ばしいおとずれを得られるように、わたしはあなたがたにそれを告げ知らせるために遣わされたのである。しかし見よ、あなたがたはわたしを受け入れようとしなかった。
8 したがって、主は次のように言われる。『ニーファイ人の民の心がかたくなであるので、彼らが悔い改めなければ、彼らからわたしの言葉を取り去ろう。また、わたしの霊も①取り去ろう。そしてわたしは、もはや彼らをそのままにはしておかず、彼らの同胞に彼らに対する敵対心を抱かせよう。
9 ①四百年たたないうちに、わたしは彼らが打たれるようにしよう。まことに、わたしは剣と飢饉と疫病を彼らに及ぼそう。
10 まことにわたしは、激しい怒りをもって彼らを罰しよう。あなたがたの敵の①第四世代の者の中には、生き長らえて、あなたがたの完全な滅亡を見る者がいるであろう。あなたがたが悔い改めなければ、このことは必ず起こる』と、主は言われる。『その第四世代の者たちがあなたがたを滅ぼすであろう。
11 しかし、もしあなたがたが悔い改めて、主なるあなたがたの神に①立ち返るならば、わたしは怒りを解こう』と、主は言われる。まことに、主は次のように言われる。『悔い改めてわたしに立ち返ろうとする者は幸いである。しかし、悔い改めない者は災いである。
12 まことに、この大きなゼラヘムラの町は①災いである。見よ、この町が今救われているのは、義を守っている者たちのおかげである。まことに、この大きな町は災いである。多くの者、まことにこの大きな町の大半の者が将来わたしに対して心をかたくなにすることを、わたしは知っているからである』と、主は言われる。
13 『しかし、悔い改める者は幸いである。わたしはその者たちの命を救うからである。しかし見よ、もしこの大きな町に義人がいなければ、見よ、わたしは天から①火を下し、この町を滅ぼしていたであろう。
14 しかし見よ、この町が今助かっているのは、義人のためである。しかし見よ、あなたがたが義人を追い出す時が来る。そのとき、あなたがたの滅亡の機は熟する』と、主は言われる。『まことに、この大きな町は、その中にある悪事と忌まわしい行いのために災いである。
15 また、ギデオンの町も、その中にある悪事と忌まわしい行いのために災いである。
16 また、周りの地にあるニーファイ人が所有しているすべての町は、その中にある悪事と忌まわしい行いのために災いである。』
17 また見よ、万軍の主は言われる。『この地にいる民のために、まことに彼らの悪事と忌まわしい行いのために、①のろいが地に下るであろう。』
18 そしてこのように、万軍の主、まことにわたしたちの大いなるまことの神は言われる。『地中に宝を①隠す者は、その者が義人であって、主に託してそれを隠すのでなければ、地のひどいのろいのために、もはや二度とそれを見いだせないであろう。』
19 主は言われる。『宝を隠す者はわたしに託して隠すようにわたしは望む。わたしに託すことなく宝を隠す者はのろわれる。義人以外にはだれも、わたしに託して宝を隠さないからである。わたしに託すことなく宝を隠す者はのろわれるし、その宝ものろわれる。また、地がのろわれるために、それを取り出す者はだれもいない。
20 人々が富に執着して自分の宝を隠す日が来る。人々は自分の富に執着し、敵の前から逃げるときに自分の宝を隠すであろう。しかし、彼らは宝を隠すときにわたしに託さないので、彼らも宝ものろわれる。そしてその日に彼らは打たれる』と、主は言われる。
21 見よ、あなたがた、この大きな町の民よ、注意を払い、わたしの言葉を①聴きなさい。まことに、主が言われる御言葉を聴きなさい。あなたがたは富のためにのろわれると、主は言われる。また、あなたがたが富に執着し、それを授けてくださった御方の御言葉に聞き従わなかったので、あなたがたの富ものろわれると、主は言われる。
22 あなたがたは、主なる神が授けてくださったものについて、主を思い起こさない。あなたがたはいつも①富のことを心にかけていて、主なるあなたがたの神に富のことを感謝するのを忘れている。まことに、あなたがたの心は主に向いておらず、ひどくおごり②高ぶって、誇りや大言壮語、③ねたみ、争い、悪意、迫害、殺人、そのほかあらゆる罪悪に陥っている。
23 このために、主なる神は、のろいが地に下るように、またあなたがたの富にも下るようにされた。それはあなたがたの罪悪のためである。
24 まことに、この民は災いである。あなたがたは昔の人々が行ったように、今、預言者たちを①追い出し、あざけり、石を投げつけ、彼らを殺し、また彼らに対してあらゆる罪悪を行っているからである。
25 あなたがたは語るとき、『わたしたちは、もし昔の①先祖の時代に生きていたならば、預言者たちを殺さなかったであろう。預言者たちに石を投げつけることも、彼らを追い出すこともしなかったであろう』と言う。
26 見よ、あなたがたは彼らよりも悪い。主が生きておられるように確かに、もし①預言者があなたがたの中に来て、あなたがたの罪と不義を証する主の御言葉を告げ知らせたならば、あなたがたはその預言者のことを②怒り、追い出し、あらゆる方法を使って殺そうとする。まことに、彼があなたがたの行いは悪いと③証するので、あなたがたは、彼は④偽預言者であり、罪人であり、悪魔から出た者であると言う。
27 しかし見よ、もしある人があなたがたの中に来て、『これを行いなさい。行っても罪悪ではない。それを行いなさい。行っても苦しみを受けない』と言えば、また、『あなた自身の心の高ぶりに従って歩きなさい。まことに、あなたの目の高ぶりに従って歩きなさい。あなたの心が望むことを何でも行いなさい』と言えば、すなわち、もしある人があなたがたの中に来てこのように言えば、あなたがたは彼を受け入れ、彼は①預言者であると言うであろう。
28 まことに、あなたがたは彼をあがめ、彼にあなたがたの持ち物を与え、彼にあなたがたの金銀を与え、また彼に高価な衣服を着せるであろう。そして、彼があなたがたに①へつらいの言葉を語り、万事よしと言うので、あなたがたは彼を非難しないであろう。
29 おお、邪悪でよこしまな人々よ、かたくなで強情な民よ、あなたがたは、主がいつまであなたがたをそのままにしておかれると思っているのか。まことに、あなたがたはいつまで①愚かな②盲目の導き手たちに引かれていくつもりか。まことに、あなたがたはいつまで③光よりも④闇を選ぶつもりか。
30 まことに見よ、主の怒りはすでにあなたがたに向かって燃えている。見よ、主はあなたがたの罪悪のために地をのろわれた。
31 また見よ、主があなたがたの富をのろわれて、それが①なくなりやすくなり、あなたがたがそれを保つことのできない時が来る。あなたがたは、貧しいときにそれを保てない。
32 あなたがたの貧しいときに、あなたがたは主に叫び求めるであろう。しかし、あなたがたが叫び求めても無駄である。すでに荒廃があなたがたに及んでおり、あなたがたの滅亡が確定しているからである。そして、『その日、あなたがたは涙を流し、泣きわめくであろう』と、万軍の主は言われる。また、そのときにあなたがたは嘆いて、
33 『おお、わたしは①悔い改め、預言者たちを殺さず、②石を投げつけず、追い出さなければよかった』と言うであろう。まことに、その日にあなたがたは言うであろう。『おお、主なるわたしたちの神が富を与えてくださったその日に、主を思い起こしておけばよかった。そうすれば、富がなくなりやすくなって、それを失うということはなかったであろう。見よ、わたしたちの富は今はもうわたしたちのもとにない。
34 見よ、わたしたちがここに道具を置くと、翌日にはそれはなくなる。見よ、戦いのために自分の剣を捜す日には、それはなくなっている。
35 まことに、わたしたちは自分の宝を隠しておいたのに、地ののろいのために失われてしまった。
36 おお、主の御言葉がわたしたちに及んだ日に、悔い改めておけばよかった。今、地はのろわれ、すべてのものがなくなりやすくなっており、わたしたちはそれらを保てない。
37 見よ、わたしたちは悪霊に取り囲まれている。わたしたちの霊を滅ぼそうとしてきた者の使いに取り囲まれている。わたしたちの罪悪は大きい。おお、主よ、あなたの怒りを解いていただけませんでしょうか。』これがその日にあなたがたの言う言葉である。
38 しかし見よ、あなたがたの①試しの日はすでに過ぎ去った。あなたがたは自分の救いの日を②引き延ばしたので、とうとう永遠に間に合わなくなってしまい、あなたがたの滅亡は確定してしまった。まことに、あなたがたは手に入れることのできないものを、生涯をかけて求めてきたのである。あなたがたは、罪悪を行いながら③幸福を求めてきた。それはわたしたちの大いなる永遠の頭の内にある、あの義の本質に反することである。
39 おお、この地の民よ、わたしの言葉を聞いてもらいたい。わたしは主の怒りが解かれるように、またあなたがたが悔い改めて救われるようにと祈っている。」