1さて、わたしモロナイは、ヤレドと彼の兄弟についての記録を書き進めよう。
2さて、ヤレドの兄弟が山に持って登った石を主が備えてくださった後、ヤレドの兄弟は山を下り、すでに準備しておいた船の中の、へさきとともにその石を一つずつ置いた。すると見よ、その石によって船の中が明るくなった。
3このように主は、暗闇の中で石が輝くようにして、男や女、子供たちが暗闇の状態で大海を渡らなくてもよいように、彼らに光を与えられた。
4さて、彼らは海の上で暮らせるように、あらゆる食物を準備し、また大小の家畜の群れと、一緒に連れて行くあらゆる獣や動物や鳥のためのえさも準備した。そして、これらのことをすべて終えると、彼らのはしけのような船に乗り込み、主なる神に身を託して海に出た。
5そこで主なる神は、水の面に約束の地に向かって吹く激しい風を起こされた。そのために、船は追い風を受けて海の波の上を運ばれて行った。
6そして船は、砕ける山のような波と、激しい風によって生じたすさまじい大暴風雨のために、何度も海の深みに沈められた。
7さて、彼らの船は深みに沈められても、皿のように透き間がなく、ノアの箱船のようにしっかりして水が漏らなかったので、彼らは少しも水による害を受けなかった。そこで彼らは、海の深みに沈むと、主に叫び求めた。すると、主は船を再び水面に引き戻された。
8そして、船が海上にある間、風は一度もやむことなく約束の地に向かって吹き続けた。そのために、彼らは追い風を受けて進んだ。
9そして、彼らは主に賛美の歌を歌った。まことに、ヤレドの兄弟は主に賛美の歌を歌い、一日中主に感謝し、主をほめたたえた。夜になっても、彼らは主をほめたたえるのをやめなかった。
10このようにして、彼らは進んで行き、海の怪物も彼らの船を裂くことができず、鯨も彼らの船を害することができなかった。また、海上にあるときも、海中にあるときも、いつも彼らには光があった。
11このようにして、船は海上を三百四十四日間運ばれて行った。
12そして、彼らは約束の地の海岸に上陸した。彼らは約束の地の海岸に足を踏み下ろすと、地の面にひれ伏して主の前にへりくだり、主が深い憐れみを豊かにかけてくださったことについて、主の前に喜びの涙を流した。
13そして彼らは、地の面に出て行き、地を耕し始めた。
14ヤレドには四人の息子がおり、その息子はジェコム、ギルガ、メーハ、オライハと呼ばれた。
15また、ヤレドの兄弟も息子たちと娘たちをもうけた。
16また、ヤレドの友人たちとヤレドの兄弟の友人たちの人数はおよそ二十二人であり、彼らも約束の地に来る前に息子たちと娘たちをもうけていた。そのために彼らは多くなり始めた。
17彼らは主の前をへりくだって歩むことを教えられ、天からも教えを受けた。
18そして彼らは、地の面に広がり、増えて、土地を耕し始め、その地で強くなった。
19ヤレドの兄弟は年を取ってきて、間もなく墓に入らなければならないことを知った。そこで、彼はヤレドに言った。「わたしたちの民の人数を数えるために、またわたしたちが墓に入る前に、民がわたしたちに何を望むかを知るために、民を集めよう。」
20そこで、民が集められた。ヤレドの兄弟の息子、娘の人数は二十二人、ヤレドの息子、娘の人数は十二人で、ヤレドには四人の息子がいた。
21さて、彼らは民の人数を数えた。そして、人数を数え終えると、彼らは自分たちが墓に入る前に何をしてほしいか、民に尋ねた。
22そこで民は、彼らの息子たちの中の一人に油を注いで、民を治める王にするように求めた。
23さて見よ、これは彼らにとって嘆かわしいことであった。そこで、ヤレドの兄弟は、「そのようなことをすれば、必ず囚われの身に陥ることになる」と民に言った。
24しかし、ヤレドは彼の兄弟に、「彼らが王を持つのを許そう」と言った。そこでヤレドの兄弟は、「わたしたちの息子たちの中から、あなたがたが望む者を王に選びなさい」と民に言った。
25そこで、彼らはヤレドの兄弟の長男を選んだ。彼の名はペーガグといった。ところが、彼は断って、王になろうとしなかった。そこで民は彼の父に、彼を何としてでも王にするように願ったが、父はそうしようとせず、王になることをだれにも強いてはならないと民に命じた。
26そして、民はペーガグの兄弟を次々に選んだが、彼らはだれも応じなかった。
27そして、ヤレドの息子たちも、ただ一人を除いてだれも望まなかったので、オライハが油を注がれて、民を治める王になった。
28そして、オライハが統治し始め、民は栄えるようになり、非常に豊かになった。
29そして、ヤレドが死に、彼の兄弟も死んだ。
30そして、オライハは主の前をへりくだって歩み、主が彼の父のためにどれほど偉大なことを行われたかを覚え、また主が民の先祖のためにどれほど大いなることを行われたかを民に教えた。