1さて、その同じ年に、ニーファイ人とレーマン人の間で再び戦争が始まった。そして、わたしは若かったにもかかわらず、身の丈が高かったので、ニーファイの民はわたしを彼らの指揮官に、すなわち彼らの軍の指揮官に任命した。
2そこでわたしは、十六歳になる年に、ニーファイ人の軍隊を率いてレーマン人に向かって出て行った。当時、すでに三百二十六年が過ぎ去っていた。
3さて、第三百二十七年に、レーマン人が非常に大きな力で攻めて来たので、わたしの軍隊は彼らにおびえて戦おうとせず、北の地方に向かって退却し始めた。
4そして、わたしたちはアンゴラの町に着いて、その町を占領し、レーマン人に対して自衛する準備をした。わたしたちは力の限りその町の防備を固めた。しかし、わたしたちは防備を固めたにもかかわらず、レーマン人に攻められ、その町から追い出された。
5わたしたちはまた、彼らによってダビデの地からも追い出された。
6そこで、わたしたちは軍隊を進め、海岸に近い西の境にあるヨシュアの地に着いた。
7そしてわたしたちは、自分たちの民を一団として集めることができるように、可能なかぎり速やかに民を集めた。
8しかし見よ、地には強盗とレーマン人が満ちていた。また、ひどい滅亡がわたしの民に迫っていたにもかかわらず、わたしの民は、自分たちの邪悪な行いを悔い改めなかった。そのために、地の全面でニーファイ人とレーマン人の双方に流血と虐殺が広がった。それは地の全面に広がった一つの完全な変革であった。
9さて、レーマン人には王がおり、その名をアロンといった。彼は四万四千人の軍隊を伴って、わたしたちを攻めて来た。そこで見よ、わたしは、四万二千人で彼らに立ち向かった。そして、自分の軍隊で彼を打ち負かし、彼はわたしの前から逃げ出した。見よ、そのようなことがあって、三百三十年が過ぎていった。
10さて、ニーファイ人は自分たちの罪悪を悔い改めるようになり、預言者サムエルによって預言されたように叫び始めた。その地に盗人と強盗と人殺しがおり、また呪術と魔法が行われていて、見よ、だれも自分のものを保っておくことができなかったからである。
11その結果、これらのことのために全地に嘆きと悲しみが起こった。しかも、特にニーファイの民の中でそれがひどかった。
12さて、わたしモルモンは、彼らの悲しみと嘆きと、主の前での彼らの悲嘆ぶりを見ると、心の中で喜び始めた。わたしは主の憐れみと寛容を知っていたので、主が彼らに憐れみをかけてくださり、彼らが再び義にかなった民になるであろうと思ったからである。
13しかし見よ、わたしのこの喜びは無駄であった。彼らの悲しみは、神の慈しみを思って悔い改めに至るものではなかった。それはむしろ、彼らに罪のあるままで幸福になるのを主がいつでも許そうとなさらないことに対する悲しみであり、罰の定めを受ける者の悲しみと同じであった。
14彼らは、打ち砕かれた心と悔いる霊をもってイエスのもとに来ることをせずに、神をのろい、死ぬことを願った。それでも彼らは、自分の命を守るために剣で戦おうとした。
15そこで、わたしの悲しみが再び戻ってきた。わたしは、彼らのための猶予の日が、この世的にも霊的にも過ぎ去ってしまったことを知ったのである。わたしの民が、何千人も自分たちの神に公然と背いた状態で切り倒され、糞のように地の面に積み上げられているのを見たからである。このようにして、三百四十四年が過ぎ去った。
16さて、ニーファイ人は第三百四十五年にレーマン人の前から逃げ始め、追撃されて、とうとうジェションの地に至った。レーマン人は、退却しているニーファイ人をその地まで止めることができなかった。
17ところで、ジェションの町は、アマロンが主に託して数々の記録を隠して損なわれないようにした地の近くにあった。そこで見よ、わたしは、アマロンの言葉のとおりに行ってニーファイの版を取り出し、アマロンの言葉に従って記録した。
18わたしはニーファイの版に、あらゆる悪事と忌まわしい行いを残らず記録した。しかし、この版に彼らのあらゆる悪事と忌まわしい行いを残らず記録することは控えた。それは見よ、わたしが人の道を十分に見られるようになって以来、いつも悪事と忌まわしい行いがわたしの目の前に絶えなかったからである。
19彼らの悪事のためにわたしは悲しい。彼らの悪事のために、わたしの心は日々いつも悲しみに満たされてきた。それでも、わたしは自分が終わりの日に高く上げられることを知っている。
20さてこの年に、ニーファイ人は再び狩り出され、追われた。そして、わたしたちは北方へ、セムと呼ばれる地に着くまで追い立てられた。
21そしてわたしたちは、セムの町の防備を固め、わたしたちの民を滅亡から救えるように、できるだけ大勢民を集めた。
22さて、第三百四十六年に、レーマン人は再びわたしたちを攻め始めた。
23そこでわたしは、自分の民に語り、レーマン人の前に断固として立ちはだかって自分たちの妻子と家と家庭を守るために戦うように、大いに力を込めて彼らに勧めた。
24すると彼らは、わたしの言葉で多少奮い立ったので、レーマン人の前から逃げることなく、勇ましく彼らに立ち向かった。
25そしてわたしたちは、三万人の軍隊で五万人の軍隊と戦い、彼らがわたしたちの前から逃げ出すほどにしっかりと彼らの前に立ちはだかった。
26そして、彼らが逃げ出すと、わたしたちは軍隊を率いて追撃し、再び彼らと戦いを交えて、彼らを打ち負かした。それでも、主の力はわたしたちに伴っていなかった。主の御霊はわたしたちの内にとどまっておらず、自分の力に頼るしかなかったので、わたしたちはすでに同胞のように弱くなっていた。
27わたしの民の受けたこの大きな災いと、また民の悪事と忌まわしい行いのために、わたしの心は悲しみに沈んだ。しかし見よ、わたしたちは、レーマン人とガデアントンの強盗たちに向かって出て行き、再びわたしたちの受け継ぎの地を取り返した。
28第三百四十九年が過ぎ去った。第三百五十年に、わたしたちはレーマン人およびガデアントンの強盗たちと条約を結び、その条約によって分割された受け継ぎの地を得た。
29レーマン人は北方の地を、南方の地に通じる地峡までわたしたちに譲り、わたしたちは南方の地をすべてレーマン人に譲った。