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第34課 個人と家族の祈り


第34課

個人と家族の祈り

目的 祈りを通して天父に近づく。

天父と交わる

  • 「部屋を出る前に」(『賛美歌』78番)を歌う。

「わたしは預言者ブリガム・ヤングととても親しくしていました。わたしは幼少時代,そして青年時代,ライオン・ハウスにある彼の家庭の家族の祈りに度々加わり,ともにひざまずきました。わたしはまだ子供でしたが,そこで一度ならず証を得ました。ブリガム・ヤングが神に導きを願うとき,彼に主の御霊がありました。わたしは頭を上げ目を開いて,ブリガム・ヤングが祈っている所を見ました。主がそこにおられるのかどうか知りたかったのです。わたしには彼が主と顔を合わせて語っているように思えました。」(Church History, Student Supplement,『教会歴史,生徒用手引き』62)

ある青年は,神殿長とステーク会長を歴任した祖父のエドワード・J・ウッド長老について次のように語っています。

「祖父が祈る傍らにいると,わたしはいつも何ともすばらしい気持ちに満たされました。それは,祖父が主を最良の友として語っていることが分かるからです。」(マーザ・H・ボール,“Counsel with the Lord” Instructor,1969年12月,446)

だれでも天父と交わることができます。声を出しても出さなくても,わたしたちは天父に祈るとき,実際に天父と話しているのです。祈りは礼拝の一つです。

わたしたちは祈りの中で感謝の言葉を述べ,主に導きや指示を求めます。また,罪や弱点を告白し,心の思いや感情を主に打ち明け,喜びや悲しみを伝えます。わたしたちは祈りを通して,自分自身や人々のために助けを求めることができるのです。

  • 視覚資料34-a「祈りの言葉」を見せる。

  • 割り当てておいた姉妹に祈りの方法を説明してもらう。(『福音の原則』第8章「天の御父に祈る」を参照)

主は祈りについて次のように教えておられます。「さらにまた,あなたに命じる。あなたは心の中で祈るだけでなく,声に出しても祈りなさい。隠れて祈るだけでなく,世の人々の前でも祈り,ひそかに祈るだけでなく,公にも祈りなさい。」(教義と聖約19:28

  • 教義と聖約88:62-64を読む。

  • この聖句では祈りについてどのような指示が与えられていますか。(深く考える,主を呼び求める,熱心に求める,イエス・キリストの御名によって求める)

これらの指示を黒板に列記する。

  • 教義と聖約88:63-64にはどのような祝福が約束されていますか。(主から求められることを行うならば,主はわたしたちに近づいてくださる,主を見いだすことができる,扉が開かれる,主の御名によって祈るもので,わたしたちに必要なものは与えられる)

わたしたちが天父に近づくことができるように,天父は指導者を通して祈りの方法について勧告を与えておられます。管理監督会のH・バーク・ピーターソン副監督は,次のように提案しています。

「皆さんが主に心を打ち明ける必要を感じたときや,主との交わりを改善しなければならないと感じたときのために……幾つか提案をしたいと思います。まず,一人になれる場所,考えることのできる場所,ひざまずける場所,声に出して祈れる場所に行くことです。寝室,浴室,物置きなどでよいでしょう。次に,心の中で天父の姿を思い浮かべます。どなたに話しかけているのか考えて,自分の思いを集中します。取り留めのない話をせずに,父親や友人と思って主に語りかけてください。このときに,自分が心から話したいと思うことを話します。ほとんど意味のない言葉を並べるのではなく,真剣に心を込めて主に語りかけるのです。心を打ち明け,赦しを求め,願いを告げ,主を賛美し,感謝を述べ,主への愛を表し,その後で,主からの答えに耳を傾けます。聞くことは,祈りの中で不可欠な要素です。主の答えは静かに,非常に静かに与えられます。事実,主の答えが耳に聴こえる人はほとんどいません。よく注意して聴いていなければ,それと気づかないでしょう。主からの答えは,多くの場合,温かく快い気持ちやひらめきとなって与えられます。これは,準備のできた忍耐強い人に与えられるのです。」(“Adversity and Prayer,” Ensign,1974年1月号,19)

義にかなった生活をしていれば,天父はわたしたちの祈りを聞いてくださいます。

天父は,わたしたちが謙遜であれば,祈りに答えてくださいます。

祈りによって必要を満たす

祈りによって天父と深い交わりを持ちたいと思うなら,ある程度の時間を天父とともに過ごす必要があります。

「あるクラスの教師が生徒に,毎日最低15分は個人の祈りをするように言いました。多くの生徒たちは,途方もなく長い時間だと思いました。一人の若い女性が後で教師のところに行って言いました。『そんなに長い時間,何を祈ったらよいか分かりません。』

そこで教師はこう尋ねました。『あなたは友達と毎日それぐらい話をしないかしら。』

『もちろん,話します。』

『じゃあ,ちょっと考えてみて。どうして友達と話せて,主と話せないのかしら。』」(カレン・リン,“Prayer: The Heart of the Sabbath,” Ensign,1978年1月号,31)

  • この若い女性は,自分が受けている恵みや必要な事柄について静かに考えることによって,祈るべきことをもっと思い起こせるでしょうか。

  • 祈りを通して必要を満たせるようになることが大切なのはなぜですか。(主はわたしたちを正しい方向に導いてくださる。主はわたしたちを見守ってくださる。祝福を感謝するならば,主はわたしたちをさらに祝福してくださる)

わたしたちはいつも同じ言葉をただ繰り返して祈るべきではありません。むしろ自分の生活のすべてのこと,例えば仕事や家事,私的な悩みを主に話すようにします。

何を祈ったらよいかを知るためにも祈る必要があります。主がアメリカ大陸を訪れられたとき,ニーファイの民は霊感により「祈るべき事柄が……示され」ました(3ニーファイ19:24)。わたしたちが聖霊の導きに従って祈るならば,聖霊は多くの考えや気持ちを抱かせてくださるでしょう。

天父はわたしたち以上に,わたしたちがほんとうに必要としているものを御存じです。主は何が人のためになり,その人が何を克服しなければならないか知っておられます。わたしたちが求めるならば,主はわたしたちに必要を満たす方法を教えてくださるのです。

悲嘆に暮れたある年老いた姉妹が神権の祝福を求めたところ,祝福の言葉の中で,監督から次のような勧告を受けました。

「『毎日時間を取って天父の前にひざまずき,感謝を述べなさい。主に何かを求めるのではなく,主から与えられているものの故に主を賛美しなさい。』

この姉妹の苦悩は,生活環境の重大な問題に起因していました。彼女は助けを求める必要を強く感じていましたが,勧告に従って毎日純粋な賛美の祈りをささげることにしました。

ひざまずいて初めてそのような祈りをしたとき,感謝することが次々に浮かんできて驚きました。無理をして感謝すべき事柄を思い出す必要はなかったのです。

環境が変わってから,友人や仲間との交流はなくなりました。それでも,以前の家に住んでいたころの友達から手紙がきました。夫以外のだれからも相手にされなくなりましたが,夫はそばにいてくれました。どんなに願っても,もはや草原のかなたに沈む夕日を見ることはできませんでしたが,まだ視力があって,楽しいことや必要なことをたくさん行えました。……

記憶も衰えてはいません。主の宮に参入し,そこで人々と交わった喜びは,鮮明に心に刻み込まれています。朝露の降りたさわやかな朝に犬を連れて散歩したことや,いつも熱心にレッスンを聞いてくれた日曜学校の生徒たち,系図のグループ,若いころの仲間たち,扶助協会の姉妹たちの顔が思い出されました。……

どこに住んでいようと,教会でどのような責任を受けようと,自分が神の娘であるという事実に変わりはありませんでした。……

日がたつにつれて,思い悩んでいたこの姉妹は,賛美の祈りをささげることを心待ちにするようになりました。その祈りは,願い求めることよりも,主への賛美の方が多くなりました。彼女は自分が願う以上に多くのものを受けていることを知りました。主を賛美することにより,幾重にも祝福を受けたのです。」(ウィルマ・ローガン,“Prayers of Praise,” Instructor,1970年12月,461)

  • この姉妹の感謝の祈りは,どのように彼女の必要を満たしましたか。与えられている祝福について天父に感謝すると,どのような助けになるでしょうか。

わたしたちは祈りをささげるとき,天父が知恵に満ちた御方であることを心に留め,すべてのことにおいて主の御心を受け入れる必要があります。ときには主の知恵により,思わぬ方法で祈りがこたえられることがあります。N・エルドン・タナー副管長の経験はそのことを物語っています。

「わたしは,娘の子供が白血病をわずらったとき,娘夫婦が示した態度に心を打たれました。医者は,その子があと1年か2年しか生きられないと言いました。このことが二人にとってどれほど大きな衝撃であったか,また二人が神殿に参入し,断食と祈りをもって,子供がよくなるようにどれほど嘆願したか,今でも覚えています。わたしが最も感銘を受けたのは,二人の祈りが次の言葉で閉じられることでした。『わたしたちの思いではなく,御心のままになりますように。そして,その御心を受け入れられるように,わたしたちを強めてください。』

子供は医者が予測したよりも長く生きましたが,とうとう天の家に召されました。そのとき娘夫婦は祈りの中で,その子をこれまで育てる特権に恵まれたことと,ほんとうに愛らしい子供であったことを感謝し,自分たちが次の世でその子に再会してともに住むのにふさわしくなれるように願い求めました。わたしはその祈りを聞いて,感動を抑えることができませんでした。」(「祈りの重要性と効用」『聖徒の道』1972年8月号,338参照)

  • 両親の祈りはどのようにかなえられましたか。(主の御心を受け入れるのに必要な力が与えられた。)

  • 主の御心が成るように祈るのはなぜ大切なのですか。(主はかぎりない知恵によって,わたしたちにとって何が最もよいかを知っておられる)

わたしたちは自分や家族のためだけでなく,ほかの人々の必要も満たされるように祈るべきです。教会員は心を一つにして,特別に助けが必要な人々のために祈ることができます。

わたしたちは,教会の集会で祈る責任を受けることがよくあります。ある会員はこの機会について次のように述べています。

「集会で祈りをささげる前に壇上に座ることができれば,そのことにいつも感謝しました。わたしは出席している人々の顔をながめ,彼らが何を必要としているのか,またどのような祝福をいちばん望んでいるのか,感じ取ろうと努めます。そして,人々の思いと一致して祈れるように,主の助けを願うのです。」(カレン・リン,“Prayer:The Heart of the Sabbath,” Ensign,1978年1月号,32)

  • このように祈ることによって,どのように人々の必要を満たすことができますか。

祈りによって家族を強める

ある姉妹は家族の祈りについて,次のような感想を述べています。

「わたしは『定時にする家族の祈り』を……形式的で意味のないものと考えていた時期がありました。しかし,多くの子供を持つ母親となった今,考えが変わりました。家族にとって最も大切な霊的な武器は,祈りを日課にすること,すなわち朝晩の祈りの時間を定めることであると信じています。……その日にどのような悩みや不安があっても,霊的な一時を過ごせるのです。わたしたちは家族の祈りが形式的にならないように注意しています。一人一人がいつ,どこで祈りが行われるか知っています。そして御霊とともに祈るとき,家族の祈りは堅固な防波堤になるのです。わたしは,家族が祈るために集まるのを見る度に心の高鳴りを覚えます。」(カレン・リン,“Prayer: The Heart of the Sabbath,” Ensign,1978年1月号,32)

  • この姉妹にとって,家族の祈りが大切なのはなぜですか。

家族が毎日,朝晩集まって祈りをささげることは重要です。小さな子供たちも含めて,家族全員が交替で祈るようにします。そうすれば,一人一人が家族の受けている祝福に感謝する特権にあずかれます。また,家族のだれかが責任を受けたときや,問題を抱えているときには,その人のために特別な祝福を祈り求めます。このように祈るならば,家族の心は一つとなり,互いによい思いを持てるようになります。子供たちが自分の兄弟のために祈ると,互いをさらに身近に感じて良い影響を与え合うようになります。全員でひざまずいて祈るとき,わたしたちはそれぞれの違いを忘れて,互いのいちばん良い所を考えるものです。わたしたちは家族の幸福のために,また自分自身の弱さを克服する力を得るために祈りたいものです。

キャサリン・マーシャルは,著書『ピーターという人』A Man Called Peterの中で,結婚生活を強める祈りの力について次のように書いています。

「ごく普通の夫婦がそうであるように,ピーターとわたしは,時々意見がかみ合わないことがありましたが,二人で祈れる間は,そうした意見の違いが深刻にはならないことに気づきました。わたしたちはこの教訓が身にしみていたので,ピーターは離婚寸前の夫婦にいつも決まってこのような助言を与えていました。『二人で一緒にひざまずいて祈るなら,わだかまりなんかすぐに消えてしまうよ。二人共,今は一緒に祈れなくて怒っているだけさ。』」([1951],119-20)

  • 家族の祈りを通してどのような助けを受けることができますか。

家族が一緒にひざまずいて天父に話しかけるときに,家族の愛と一致が深められます。家庭や教会,職場,学校にあって家族一人一人が各自の責任を果たす力を得られるよう,互いのために祈る必要があります。家族は毎日の家族の祈りを通して,様々な誘惑から守られるのです。

N・エルドン・タナー副管長は家族の祈りの効果について,自分の経験を語っています。

「わたしが子供のころ,家族は毎朝,毎晩ひざまずいて家族の祈りをささげていました。今思えば,父が主に呼びかけ,実際に主と語り,感謝を表し,穀物や家畜,そのほかすべてのことについて主の祝福を求めた,その祈りを聞くことが,子供にとってどのような意味があったか理解することができます。わたしたちは,夜には主に報告することを思うとき,常に誘惑に打ち勝つ力を得ることができたのです。」(“The Power of Prayer,” Prayer,1977年,129)

  • 一日の行動を夜主に報告することを考えると,わたしたちの行動にどのような影響があるでしょうか。

  • わたしたちや子供が誘惑に打ち勝つために,祈りはどのように役立ちますか。(誘惑に打ち勝つには,天父から力を受ける必要がある。主はわたしたちに,サタンに誘惑されて道を踏みはずすことのないように祈るべきであると言われた)

子供たちは祈りを通して,生涯の支えとなる原則を学ぶことができます。わたしたちは祈りの中に,目標や理想を織り込むことができます。例えば,両親は次のように祈ることによって,伝道に備えるように子供たちを励ますことができます。「ジョンがこれからも証を得て,宣教師となる備えができるように祝福してください。また,わたしたち家族がそのためにジョンをよく助けることができるように導いてください。」清い生活を送り,神殿結婚をするのにふさわしくなるように子供たちを力づけることもできます。また,両親は家族の祈りを通して,天父が子供たちを愛しておられることを教えることができます。

  • 両親は祈りを通してほかにどのようなことを子供たちに教えることができますか。

  • 子供たち一人一人のために祈ることにより,両親が子供たちへの愛を表せるのはなぜでしょうか。

まとめ

「祈りは人を謙虚にしてくれます。祈りは理解を広げ,精神を活気づけ,わたしたちを天父に近づけてくれます。……わたしたちは天父の助けと……聖なる御霊の導きを必要としています。……天父からの霊感によって精神が高められ,活力を得ることが必要なのです。これらの理由により,わたしたちは天父に祈りをささげます。わたしたちが真理を知って光の中を歩み,与えられている多くの戒めを守り,信仰と従順を通して再びみもとにもどれるように,天父の助けを求めるのです。」(ジョセフ・フィールディング・スミス,“Take Heed to Yourselves!” 1966年,344)

神はわたしたちのことを心に留めておられ,わたしたちが神を信頼して義にかなった生活をするとき,祈りにこたえてくださいます。そのことを知ると,心に慰めが得られます。「しかしわたしが神に呼ばわれば,主はわたしを救われます。夕べに,あしたに,真昼にわたしが嘆きうめけば,主はわたしの声を聞かれます。」(詩篇55:16-17

チャレンジ

現在自分が受けているチャレンジについて考える。祈りの中で,考えられるすべての祝福について主に感謝する。その後で,チャレンジを克服するために努力するとき主の助けがあるように願い求める。祈るときに,教義と聖約88:62-64に記された段階を思い起こし,約束された祝福を心に留める。

参照聖句

教師の準備

レッスンの前に,以下の事柄を行う。

  1. 一人の生徒に『福音の原則』第8章の「どのように祈るか」を読み,祈りの方法について報告するように割り当てる。

  2. 「部屋を出る前に」(『賛美歌』78)を歌ってクラスを始める。

  3. 黒板とチョークを用意する。

  4. 本課の引用文と聖句の発表を生徒に割り当てる。

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祈りの言葉

祈りの言葉

天父に呼びかける
「天のお父様」

感謝を述べる
「…を感謝します」

願いを述べる
「……をお願いします」

祈りを結ぶ
「イエス・キリストの御名によって,アーメン」

34-a 祈りの言葉

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ひざまずき祈る家族

34-b ひざまずいて祈る家族