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第14課 世の悪に立ち向かう


第14課

世の悪に立ち向かう

目的 世の諸悪に関する主の勧告を心に留め,悪に対処する方法を学ぶ。

サタンの力,目的,策略

「誘惑とたわむれることに伴う危険性について強調するのによく引き合いに出される例がある。それはある会社まで馬車を陸送する仕事を申し出た3人の男の話である。採用された人は高い,危険な,けわしい山道を馬車で行くのであった。御者としての腕前を聞かれて,最初の男は次のように答えた。『わたしは腕がよいし経験も豊富です。崖の縁に沿ってぎりぎりに馬車を進めることができます。それでも馬車は絶対に落ちません。』

『それは大した腕だ』と雇い主は言った。

2番目の男は自慢して言った。『わたしはそんなものではありません。わたしの腕前は確かで,車輪の幅の半分が崖の縁からはみ出た状態で馬車を進めることができます。』

雇い主は3番目の男はどんなことを言うかと耳を傾けたが,次のような言葉を聞いて驚き,またうれしく思った。『わたしはできるだけ崖の縁から離れて走らせるだけです。』3人のうちだれが採用されたかは言うまでもないことである。」(スペンサー・W・キンボール『赦しの奇跡』227)

末日に生きるわたしたちの旅にも,危険が伴います(2テモテ3:1参照)。わたしたちも3番目の御者のようになるべきです。この御者が賢明に危険を避ける方を選んだように,わたしたちも世の悪を避ける道を選ぶべきです。

  • 1テサロニケ5:22を読む。あらゆる種類の悪から遠ざかることが大切なのはなぜですか。(わたしたちの模範は重要であり,周囲の人々に影響を与える。悪を避けずにいると,悪に染まっていると思われるかもしれない。悪に囲まれていると,次第に慣れてきてそのまま悪に巻き込まれることさえある)

  • モロナイ7:12,14を読む。悪を行うようにそそのかす力の源は何ですか。(「悪いものは悪魔から出る。」)

聖典には,サタンが「神に対する敵」(モロナイ7:12)であり,「人々の霊を滅ぼそうとしている」(ヒラマン8:28)と記されています。サタンは多くの名で知られ,中にはサタンの目的をそのまま表している名もあります。例えば,「悪しき者」(教義と聖約93:37),「滅ぼす者」(教義と聖約101:54),「試みる者」(マタイ4:3),「あらゆる偽りの父」(2ニーファイ2:18)などです。

サタンと彼に従う者たちは肉体を持たない霊なので,わたしたちの肉体を自分の物にしたいと思っています(マタイ8:28-32参照)。

悪魔はすべての人を不幸に陥れようとねらっています。人から選択の自由を奪い,永遠の目標からそらせ,自分たちのとりこにして滅ぼそうとしているのです。

サタンはわたしたちを誘惑してとりこにするために,偽りやごまかし,半面の真理を使います。キンボール大管長は,サタンについて次のように語っています。「サタンは悪を飾り立てて,美しいもの,楽しいもの,気楽でよいものに見せようとしています。」(“The Blessings and Responsibilities of Womanhood,” Ensign1976年3月,70)

サタンは家庭や家族を破壊しようとねらっています。主が女性に与えられた役割に反対させようとするのも,サタンの策略の一つです。「サタンとその軍勢が女性たちを妻,母親,主婦という第一の責任から誘い出そうとしています。わたしたちは,女性解放,女性独立,性の解放,産児制限,堕胎,そのほか女性の役割をおとしめる悪らつな主張を非常に多く耳にしていますが,それらはすべて,女性は言うに及ばず,社会の基本単位である家庭と家族をも崩壊させようとするサタンの策略なのです。」(N・エルドン・タナー「最も大いなる誉れ-女性の役割」『聖徒の道』1974年6月号,277-78参照)

サタンは女性を惑わすために,悪い行為を正当であるかのように思わせる理由を吹き込みます。

  • 一人の生徒に,今日の世の中で耳にするサタンの理論を読んでもらう。

    1. 堕胎:「自分の体だから,好きなようにしてかまわない。」

    2. 性的不道徳:「みんながしていることだ。」

    3. 結婚:「結婚前に一緒に生活して,仲よくやっていけるかどうか確かめた方がよい。いずれにしても,結婚は時代遅れ。」

    4. 離婚:「結婚生活がうまく行かなければ,別れればよい。」

    5. 麻薬:「おもしろいし,しびれるような快感を味わえる。」

    6. ポルノグラフィー:「知識を得るために,あらゆる本を読む必要がある。」

    7. 女性の役割:「子供たちと家にいて時間を過ごすのはもったいない。もっと価値のあることに貢献できるはずだ。」

    8. 同性愛:「自分のほんとうの気持ちを隠すべきではない。理解され認めてもらうことが必要である。」

十二使徒定員会のデルバート・L・ステイプレー長老は,次のように勧告しました。「サタンの狡猾こうかつな働きに注意し,気をつけてください。サタンは決してわたしたちを惑わすことをやめたりはしないからです。物事を人の気にいるように,あるいは正しいかのように見せかけることにかけては天才で,実際に道徳的な退廃を引き起こします。サタンは選択の自由を認めず,人々の心や思い,行動をすべて支配しようとします。こうしたサタンの働きは,映画や雑誌,テレビ番組の中だけでなく,しばしば人々の行動や国家の中にも見られるようになってきました。」(Conference Report,1975年4月,32;Ensign,1975年5月号,22)

悪に立ち向かう方法

悪に立ち向かうには,指導者の賢明な勧告に従い,悪に打ち勝つことを決意し,聖霊の導きを求める必要があります。

指導者の勧告に従う

教会の指導者は真理と正義を擁護し,世のもろもろの悪について勧告を与えています。例えば,マリオン・G・ロムニー長老は次のように語っています。「今日,主は地上に住むすべての人々,とりわけ教会の会員に,大管長会に導かれる生ける預言者たちを通して,現代の問題に関する主の御心を明らかにしておられます。大管長会がその役職にあって話すことは,主がその場におられたら語られるであろう言葉なのです。」(Conference Report,1945年4月,90)

わたしたちは教会の指導者の言葉を学び,彼らの勧告に聞き従い,それらの真理を家族に教える必要があります。

  • 数人の生徒に,次に挙げる教会の指導者の言葉を読んでもらう。

堕胎:

「堕胎は今日の最も忌まわしく,罪深い行為の一つである。なぜなら,この恐ろしい堕胎容認が,性的な不道徳をもたらしているからである。

堕胎の罪を犯した教会員は,事情によっては,教会の評議会の懲戒処分を受ける。

これまでの啓示によれば,堕胎は,悔い改めれば赦しを得ることのできる罪である。」(「教会指導総合手引き補則」第3号,1978年3月1日,15)

産児制限:

「わたしたちには,子孫によって喜びと楽しみが得られるように,ふえよ,地に満ちよという戒めが与えられています。

夫婦が健康で体力があり,その子孫に悪い影響を及ぼすような要因がない場合,人為的に子供の出生を制限したり,妨げたりすることは,教会の教えに反しています。産児制限を行う人々は,やがて失望を味わうことでしょう。」(スペンサー・W・キンボール「神のみわざを清く推し進める」『聖徒の道』1974年8月号,372参照)

性的不道徳:

「サタンのたくらむ最も恐ろしい悪事の一つとして,わたしたちは子供から老人までの全教会員に,肉体の誤用から来る束縛と苦痛と悔恨の縄目に陥ることのないよう,声を大にして警告します。

人の体は神の霊の子が宿る神聖な幕屋であり,不当な扱いや神聖を汚す行為は,ただ痛恨と後悔をもたらすだけです。汚れなく,清くあるように勧告します。

見苦しい露出行為やポルノグラフィーを避けなさい。自分の体であれ人の体であれ,愛撫してはなりません。正しい結婚関係による以外は,性交渉を避けなさい。これはわたしたちの造り主が,時と場所を問わずに禁じておられることであり,わたしたちはそれを再確認するものです。」(スペンサー・W・キンボール「神のみわざを清く推し進める」『聖徒の道』1974年8月号,372参照)

結婚:

「結婚に関する教会の確固たる見解は,教義と聖約第49章15節の中に『結婚は神によって定められている』とはっきり記されています。」(デビッド・O・マッケイ,“As Youth Looks toward Marriage” Improvement Era,1953年4月号,221;Gospel Ideals,462)

離婚:

「夫婦は互いに愛し合い,いつくしみ合うべきです。夫婦は離婚によって,特に不信仰や不道徳な行いを通して,家庭を破壊してはなりません。」(スペンサー・W・キンボール「神は欺かれず」『聖徒の道』1975年2月号,83参照)

麻薬:

「教会は,幻覚剤やそれに類する薬物を常用すると,肉体的,精神的な欠損をきたしたり,道徳基準を低下させたりするので,それらの誤用や悪用に一貫して反対してきました。わたしたちはこの声明を再確認します。」(スペンサー・W・キンボール「神のみわざを清く推し進める」『聖徒の道』1974年8月号,372参照)

ポルノグラフィー:

「わたしたちは,両親や指導者の皆さんがポルノグラフィーを容認することのないように望んでいます。これは実にくだらないものですが,今日では,正常で満足感の得られる糧として売り込まれています。

ポルノグラフィーとわいせつ行為,性の衝動と性倒錯には,それぞれ関連があります。慎みのある人々が肉欲的な領域に踏み込んで精神的,霊的に汚されるのは,まことに悲しいことです。すべての末日聖徒は全力でこの醜悪な変動に立ち向かってください。」(スペンサー・W・キンボール,“Attack Mounts against Pornography,” Church News,1976年6月1日付,8)

女性の役割:

「母親と娘とすべての女性の皆さんに申し上げます。皆さんには,わたしたちの生活によい影響を及ぼす力と大きな可能性があります。サタンが皆さんを滅ぼそうとねらっているのは,正にその理由によるのです。サタンに妥協してはなりません。皆さんは主の願い通りに正しく清い生活をしようという決意と希望と,勇気と力を持たなくてはなりません。

若い女性の皆さん,よい教育を受けて知恵と知識を得,母親の責任を引き受ける用意をしてください。わたしたちは,神の栄光は英知であると教えています。したがって,周囲の事態に目を向けて,わたしたちからすばらしい将来を奪おうとするサタンを阻止する用意をしなくてはなりません。知識と知恵と決断と,わたしたちを助ける主の御霊によって,それができるのです。」(N・エルドン・タナー「最も大いなる誉れ-女性の役割」『聖徒の道』1974年6月号,280-81参照)

同性愛:

「このため同性愛の罪はその忌まわしさにおいて密通や姦淫のそれに優るとも劣らないことを,ここで明確にしておこう。主の教会では悔い改めをしない同性愛者には,悔い改めをしない密通者や姦淫をした人に対すると同じように,正会員たる資格の剥奪もしくは破門の措置がとられる。(スペンサー・W・キンボール『赦しの奇跡』88)

  • 現代の問題に関する指導者の教えは何によって知ることができますか。(『福音の原則』第10章「聖文」参照。一人の生徒に「生ける預言者の言葉」の項を読むように言う)

七十人第一定員会のジーン・R・クック長老は,わたしたちが正義を擁護し,主について雄々しく語るように求めています。そして,困難な状態の中でそれを実践した女性の模範を紹介しました。

「大勢の教会員と少数の教会外の人が参加して行われた昼食会でのことです。参加した教会員の中にはあまり活発でない人もいました。話が堕胎と産児制限に発展したとき,教会員でない女性が……感情をあらわにして5分ほど,誤った見解を述べました。堕胎は少しも悪いものではなく,産児制限も男女双方の側で自由に行うようにすべきだと言うのです。教会員の姉妹は,難しい局面に立たされました。天気のことや何か当たりさわりのないことに話題を変えたらいいのでしょうか,それとも真理を守るために発言すべきなのでしょうか。このすばらしい姉妹は,後者を選びました。そして問題になっている二つの事柄について主が何と言っておられるか説明し,その後で自分自身の気持ちを証として述べたのです。……後であまり活発でない姉妹が彼女のところに来て,堕胎や産児制限についての主の御心を初めて理解できたことと,彼女の話したことが真理だと感じられたことを伝えたのでした。」(「あなたは宣教師だろうか」『聖徒の道』1976年8月号,417参照)

  • この善良な女性にとって,その日問題となった事柄について主の御心を知っていたことが大切だったのはなぜですか。世の諸悪について主が語っておられる事柄を知る必要があるのはなぜでしょうか。

十二使徒定員会のマービン・J・アシュトン長老は,次のように勧告しています。

「わたしたちが末日聖徒イエス・キリスト教会の会員として現在ほどその立場を明確にし,確信を貫いて様々な情況に賢明に対処することが求められている時代はありません。わたしたちは,今日の論争の引き金を巧みに引く人々に操られ,怒りをかき立てられるようなことがあってはならないのです。

神の律法に反するような問題が起これば,教会はその立場を明らかにするはずです。……

わたしたちの責任は,理性と友好的な信条と正確な事実を通して,わたしたちの立場を説明することです。……

現代の諸悪に対して自分の立場を守るときに……こぶしを握りしめることも,声を張り上げることも,議論を促すこともせずに,自分の信条を表明できないものでしょうか。……これを行う最良の道具は論争ではなく,しっかりとした決意なのです。」(「論争している暇はない」『聖徒の道』1978年10月号,8,11参照)

悪に立ち向かう決意をする

  • 黒板に前もって書いておいた言葉を指して読み上げる。

「サタンは人が力を貸さないかぎり,その人を支配できない。……神は善を行うように決して強制はされないし,サタンは人に悪を強制する力を持っていない。」(スターリング・W・シル,Conference Report,1970年4月,30;Improvement Era,1970年6月号,45)

わたしたちはサタンに対して,雄々しく立ち向かう決意をする必要があります。キンボール大管長はモーセの経験を話してから(モーセ1:1-24参照),決意がなぜ必要なのかこのように説明しています。「サタンは立ち向かってこられると怒ります。モーセの場合がそうでした(モーセ1:12-24参照)。そのとき,サタンは大声を挙げて叫び,身を震わせながら毅然きぜんとしたモーセのもとを立ち去りました。涙を流し,泣きわめき,歯がみをしながら,サタンはモーセの前を去って行ったのです。サタンはそれ以外になすすべがありませんでした。皆さんが『サタンよ退け』と言えば,サタンは皆さんのもとを離れるしかないのです。ただ決心さえすれば,肉体を持つ人間の方がサタンより強いのです。」(“The Blessings and Responsibilities of Womanhood,” Ensign,1976年3月号,71)

  • 意志を堅く持って,サタンの影響から離れるように決心しなければならないのはなぜですか。この原則を知ることによって,どのように心が慰められ,励まされるでしょうか。

聖霊の導きを求める

わたしたちは悪に立ち向かう際に,聖霊の導きを求めるように勧告されています。マリオン・G・ロムニー副管長は,次のように語っています。

「これらの悪い教えや行いに惑わされて,自ら堕落の道を歩むべきではないし,またその必要もありません。自分が何者であるかを心に留め,悪を見極めて避けるために主から与えられた方法を使うならば,偽りの教えに魅せられることはないでしょう。

わたしたちの霊は天におられる不死不滅の両親の子供であり,わたしたちがこの地上に肉体を得て生活する第一の目的は,主に命じられたことを行うかどうかを証明する点にあります。そのことを忘れないようにしましょう。……

大切なのは,わたしたちが行うあらゆる決定の中で,善意の選択が最も重要であることを心に留めることです。それによって,この世と永遠の世における幸,不幸が決められるからです。

数多くの選択を強いられる世にあって,天父なる神と贖い主である御子イエス・キリストが善悪を判断する方法を与えないまま人を世に送られなかったのは,自明のことであり,公平で正しいことです。主が与えてくださったその方法とは,御霊の声です。」(“The Voice of the Spirit,” Ensign,1978年8月号,3-4)

まとめ

サタンの力と影響力は強大です。主の再臨が近づくにつれて,サタンはわたしたちをだまし,破滅させようとこれまで以上に力を振るうでしょう。

大管長会と十二使徒会は,この世に偽りの哲学や悪が満ちていることを知っているため,主の導きのままに,絶えずわたしたちに必要な警告と教えを与えています。わたしたちは力と守りを得るために,それらの勧告に従わなくてはなりません。

わたしたちは,堅く決意することによって,世の悪に立ち向かうことができます。

エズラ・タフト・ベンソン長老が十二使徒定員会会長のときに語った次の言葉を常に心に留めておきましょう。「全世界の末日聖徒の皆さん神の戒めを守り,生ける預言者の勧告に従ってください。主の前に正しく歩むことを子供たちに教え,家族で朝夕祈りをささげてください。ローマの詩人ウェルギリウスの言葉のように『悪に屈することなく,常に善をもって悪に抗しなさい。』」(「神の王国を出で行かせたまえ」『聖徒の道』1978年10月号,49参照)

チャレンジ

どのような場にあっても悪に立ち向かうことができるよう努力をする。雄々しく善を語る。

主の再臨に備える。教義と聖約45:57にある主の勧告に従って生活することにより,世の悪に立ち向かう。賢明に行動し,真理を受け入れ,御霊を伴侶として生活し,誤りの教えにほんろうされないようにする。

参照聖句

教師の準備

レッスンの前に,以下の事柄を行う。

  1. 『福音の原則』第3章「わたしたちの選ばれた指導者,救い主であられるイエス・キリスト」,第4章「選ぶ自由」を読む。

  2. 黒板とチョークを用意する。

  3. クラスの始まる前に,次の文を黒板に書いておく。「サタンは人が力を貸さないかぎり,その人を支配できない。……神は善を行うように決して強制はされないし,サタンは人に悪を強制する力を持っていない。」(スターリング・W・シル,“Our Temptations Upward,” Improvement Era,1970年6月号,45)

  4. 本課の引用文と聖句の発表を生徒に割り当てる。