第23課 応急手当その1
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テーマ

第23課

応急手当
その1

目的

事故を未然に防ぎ,もし事故が起こったときには冷静に対処し,必要な人に応急手当てを施す方法について学ぶ。

肉体を守る

わたしたちは末日聖徒イエス・キリスト教会の会員として,物心両面の福利を図ることか大切であることを知っています。事故を防ぐ方法や,よくある事故に対処する方法を学ぶことにより,肉体を守り,大事にするための備えができます。また,応急手当の基礎的な知識や技術を身につけておくことも大切です。そのような備えができていれば,自分だけでなく周囲の人々に祝福をもたらすことができるでしょう。

  • 割り当てておいた姉妹に,良いサマリヤ人のたとえを短く話してもらう(ルカ10:25-37参照)。

  • ルカ10:34を読む。

  • サマリヤ人は何をしましたか。(当時の知識と習慣にのっとった応急手当をした)

事故を防ぐには

事故は思わぬときに起きて,人を傷つけます。残念なことですが,わたしたちは事故でけがをしたり,精神的な痛手を負ったりして初めて,事故を繰り返さないようにするにはどうすればよいか考えます。そして,未然に防げた事故であれば,だれかがけがをするまで放っておいたことがいかに愚かであったか悟るのです。

七十人第一定員会のローレン・C・ダン長老は,娘に注意するように言ったのに防ぐことができなかった事故について次のように語っています。

「妻とわたしの間には,愛する3歳の娘がいます。少し前に,わたしが自宅の机に向かっていたとき,娘は机の上に置いてある水の入ったコップで遊んでいました。その大きなコップを小さな手で持ち上げたとき,わたしは娘に,落とさないように注意しなさいと繰り返し言って聞かせました。案の上,娘は手をすべらせました。コップは床に落ちてこなごなになり,あたり一面に破片が飛び散ったのです。

娘はいつものように裸足で遊んでいたので,わたしは彼女を抱いて部屋の外に連れ出し,注意深くガラスの破片を片づけました。それでも,まだどこかに残っているような気がしました。娘がその部屋で遊ぶときに,その破片で足を傷つけるかもしれません。恐らく,娘は自分がしたことのために,また痛い思いをしなければならないでしょう。」(Conference Report,1969年10月,13-14;Improvement Era1969年12月号,44)

わたしたちはしばしば,注意を促すだけで事故を防ぐために必要なことをすべて行っていると考えてしまいます。しかし,危険な状態を改善するために行動すれば,もっと効果的に事故を防ぐことができるのです。

上記のような事故を防ぐために,両親や年長の子供は何ができますか。(危険な物は手の届かない所に置く。ガラスではなく安全な物で遊ばせる。コップをおもちゃにするのでなく,床にすわらせて何かを飲ませるなど,安全な方法で使わせる)

だれでも家の中で,事故につながる思いがけない経験をしたことがあると思います。ほとんどの事故は家の中か,あるいはその周辺で起きていますから,よくある原因を突き止めて,予防策を考えましょう。

危険物

家庭に保管してある物の中には,体内に入ると有害なものがあります。例えば,灯油や調理用の燃料がそうです。また殺虫剤は,体に入ればもちろん,皮膚に長時間触れても害を及ぼします。灰汁(石けんの原料),漂白剤,クレンザー,消毒用アルコールは,非常に危険です。

  • 地元の家庭にある液体や粉末で,危険な物は何ですか。

薬も危険物の中に数えられます。薬は病人には役立ちますが,使用法を誤ると危険です。病気が治った後,余った薬を取っておくことは賢明ではありません。薬の中には,時間がたつにつれて変質し,本来の効能が失われてしまうものがあります。未使用の薬を保管している場合,何の薬かを忘れて別の病気のときに使うと,症状が悪化することもあります。個人のために調合された薬は,同じ病気でも別の人が服用すると効き目がなかったり,かえって悪い影響を及ぼしたりすることがあります。ですから,個人のために調合された薬は,本人だけが用いるのが最もよいのです。薬の分量を誤って服用するのも危険です。子供の場合は,大人に比べて量がかなり少ないのが普通ですから,決められた量だけを飲ませることが特に大切です。

次の話を読むと,薬を子供の手の届かない所に置くことがいかに大切か分かります。

ある日,幼い男の子が病気になったので,両親はその子を病院に連れて行きました。医師は子供を診察してから,薬を調合して渡しました。両親は病院から帰って来ると,子供を部屋に残したまま仕事に出かけてしまいました。ところが,後に残された子供がビンに入った薬を見つけ,一度に全部飲んでしまったのです。その薬は4時間おきに茶さじ2杯ずつ飲ませるように言われていたものでした。両親が子供の様子を見に戻って来たときは,すでに手遅れでした。

  • このような事態を防ぐにはどうしたらよいでしょうか。このような事故を防ぐために,家族はそれぞれ何ができますか。

危険物には役立つものが多いため,正しく使用する目的で家庭に保管されています。したがって,それを誤って飲み込んだり,長い時間触れたりすることのないよう,容器にはっきりと名称を書くなど,できるかぎりの予防策を講じるべきです。

  • 視覚資料23-a「危険物にはるラベル」を見せる。

簡単な絵を書いて毒物を示すこともできます。字の読めない子供たちでも,印や絵があれば「危険物」や「毒物」であることが分かります。

危険物は,子供の手が届かない高い棚の上や鍵のかかる戸棚に保管すべきです。

家庭や地元によく見られる毒物の解毒剤について学んでください。また,毒物を飲んだり浴びたりした場合にどの病院に連絡を取るか,またどのような応急処置をしたらよいか調べておきます。

  • 毒物による事故を防ぐために,家庭で何ができますか。

危険物

どこの家庭にも,鋭い刃やとがった先端を持つ危険な物があります。例えば,ナイフやはさみ,道具類は,危険物になり得ます。これらの物を使用するときに正しい習慣を身に付ければ,事故を防ぐことができます。

刃先の鋭利な物は,常に幼い子供の手の届かない所に置くようにします。ちょっとの間でもナイフなどをそばにおくと,それを取り上げてけがをする恐れがあります。

  • 視覚資料23-b「はさみを手渡す女性」を見せる。

道具の中には,使い方次第で危険になる物があります。人が近くにいるときには,手をすべらせてけがをさせることのないように,ナイフを慎重に扱います。例えば,人にナイフなどを手渡すときには,刃先やとがった部分を自分の方に向けることを習慣づけるようにします。このほかにもナイフそのほかの道具類を扱う方法について学び,子供たちに教えるようにすべきです。

マッチも正しく使用すれば便利な道具です。しかし,マッチで遊んだり,不注意な使い方をしたりすると,やけどや火事の原因になります。

  • 事故を防ぐために,これらの危険物をどこに保管したらよいでしょうか。

  • 家族や子供たちの危険物の扱い方について,具体的にどのような点を変えることができますか。

危険な状態

事故に結びつく具体的な場面は,地域や家庭によって異なります。しかし,中には共通する原因もありますから,それらを改善すれば事故を未然に防ぐことができます。

家の中や庭では,不安定な物の上に立って高い所に手を伸ばしたときに落下するという事故がよくあります。そのような事故を防ぐために,頑丈で安定した台を慎重に選ぶか,だれかに支えてもらうようにします。こうした手間を惜しまなければ,多くの場合,大けがを防ぐことができます。

また,床に何かをこぼしたまま放置しておくと,すべってけがをすることがあります。しまい忘れた物につまづくのもよくあるケースです。子供がボールやおもちゃを階段に置いたままにするかもしれませんし,足もとを見ずにそれにつまずく人があるかもしれません。ある家族では,使った物は元の場所にしまうという決まりを守って,効果をあげています。このようにすれば,思いがけない物につまずいて起こる事故をかなり防ぐことができます。

  • あなたの周囲ではどのような状況が転倒事故の原因になりますか。

  • 事故を防ぐために,具体的にどのようなことをすればよいでしょうか。

熱湯でやけどをしたり,おぼれたりするおそれのある場所では,子供をひとりにしないようにします。また,やけどや感電の危険がある電気器具で遊ばせてはなりません。

家庭での事故は,台所でもよく起こります。いろりのように床で火をたいて料理する家庭では,幼い子供が火に近づきすぎて,やけどをすることがあります。火をたく位置を数十センチ高くすれば,もっと安全になるでしょう。床よりも高い場所で料理をすれば,赤ちゃんが火に近づくのを防止できるだけでなく,ほこりやごみなどが混入するのも防げるので,食べ物はより清潔で安全になります。

レンジやこんろなどの器具を使って調理する家庭では,なべの取っ手を手前に向けないように注意する必要があります。子供が取っ手に手をかけて,熱湯や煮立った料理を頭から浴びるおそれがあるからです。

  • 自分の家では,台所でよく事故が起きますか。もしそうであれば,台所を安全な場所にするにはどうすればよいでしょうか。

ろうそくやランプ,ストーブなどは時々,燃えやすい物のすぐ近くに置かれています。例えば,窓のカーテンが風にゆれれば,そこに火が燃え移ることがあるのです。またストーブや暖炉のすぐ近くに置いておいた箱が,高熱のために燃え出すこともあります。

  • 家庭内にこれらの問題があるなら,どのようにして改善したらよいでしょうか。

  • 事故につながるような危険な状態がほかにありますか。

  • それらを安全なものにするために何ができますか。

賢明で冷静な対処

けが人を助けるときは冷静に行うことが大切です。たとえ重傷であっても冷静さを失わず,けが人を安心させるように努めます。けが人は,周囲の人の状態に敏感に反応するものです。わたしたちが泣いたり理性を失ったりすると,本人は自分のけがが実際よりも重いと考えてしまうかもしれません。また,ひどく落胆して自分は死ぬものと思い込み,手当てを受けようとしなくなるかもしれません。応急手当を冷静に行うならば,けが人のショックや心の動揺を最小限に食い止めることができるのです。いざというときに正しく処置できるように,一般的なけがの手当について具体的に知っておく必要があります。第24課「応急手当その2」に記されている方法を時々練習すべきです。万一の場合に備えて,年長の子供たちに手当の方法を教えておくことも大切です。緊急時には霊的な導きが受けられるように,心の中で絶えず祈りながら行うとよいでしょう。

救急用品

家庭内の事故を予防し,一般的な応急手当の方法を学ぶことに加えて,救急用品をそろえておけば,いざというときの備えができます。けが人が出ても,即座に手当をすることができるでしょう。

救急用品は家族によって多少違うと思いますが,基本的には以下の物を備えておきます。

石けん

石けんは傷口に付いた泥や石,ガラスなどを洗い流すのに必要です。日常使う石けんのほかに,非常用として幾つか保管しておきます。手当をする人は,傷口からの感染を防ぐために,石けんで手を入念に洗います。

きれいな水

水をすぐに使用できない所では,傷口を洗うためにきれいな水を容器に入れ,救急用品と一緒にしておきます。

消毒液

石けんよりも殺菌力が強く,感染を防ぎます。アルコール,オキシフル,2%ヨードチンキなどは,代表的な消毒液です。

清潔な布

清潔な布は包帯として使用できます。包帯を作るには,清潔な布に焦げる寸前まで十分にアイロンをかけます。手を洗ってから,アイロンをかけた布をもう1枚の清潔な布で包みます。これは傷口から血が出ているときに包帯として使うことができます。

吐根シロップ

これは吐き気を起こす薬で,毒物を飲んだときなどに使います。吐根シロップは薬局で購入できます。入手できない場合は,医師の勧めに従って別の薬を備えます。

聖別された油

神権者は病人やけが人に祝福を授けるとき,特別に聖別されたオリーブ油を使います。この聖別された油を入れた小さな容器を入手する方法については,神権指導者に尋ねてください。緊急時やそれ以外の必要なときに神権者が使用できるように,この油を救急用品と一緒に保管しておきます。

救急箱

以上の救急用品は,ほこりや湿気を防ぐために,ふたの付いた救急箱に入れておきます。救急箱は,小さな子供たちの手が届かない安全な場所に置きます。年長の子供には簡単な手当の方法を教えておき,緊急時に救急用具を取り出して使えるようにします。

ばんそうこう

地元で入手できれば,ばんそうこう,バンドエイド,ガーゼなども常備します。

まとめ

家庭内の安全性を高めることによって,多くの事故を防ぐことができます。例えば,毒性のある物は,子供や他の人が害を受けない方法で保管すべきです。危険物は,人にけがをさせない方法で保管し,使用することができます。また,危険な状況をなくし,子供たちが安全に遊べるように配慮し,家庭に救急用具を用意しておくことができます。わたしたちは,けが人に賢明で冷静な応急処置ができるように,準備をしておく必要があります。

チャレンジ

今週,家庭内を注意深く点検する。毒性のある物や危険物を安全な方法で使用し,保管する。危険な状況をなくす。救急用具を常備していなければ,そろえ始める。

教師の準備

レッスンの前に,以下の事柄を行う。

  1. 本課で取り上げた問題の中で,地元でよく起こるものについて考える。地元で最も必要とされている事柄を中心にレッスンを行う。安全性を高める事柄をすでに実践している姉妹たちをほめる。

  2. 一人の生徒に,「良いサマリヤ人」(ルカ10:25-37)のたとえ話を要約して発表するように割り当てる。

  3. 病人やけが人を祝福する神権の儀式について質問があれば,『末日聖徒の女性A』第12課「神権の儀式」を引用して教える。

  4. 本課の引用文と聖句の発表を生徒に割り当てる。

危険物

23-a 危険物にはるラベル

はさみを手渡す女性

23-b はさみを手渡す女性