第32課 個人と家族の目標
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第32課

個人と家族の目標

目的 目標を設定し,達成する。

目標の必要性

目標とは,達成すべき標準や技術,理想,目的のことです。わたしたちは何か特定の事柄を達成しようとするときに目標を立てます。部屋の掃除や読書などは,すぐに達成できる目標です。一方,貯蓄して新しい家を買うとか,家庭の中を愛や平和に包まれた雰囲気に改善するといった目標は,達成するまでに何か月あるいは何年という期間を要します。天父とともに永遠に住まうにふさわしくなるのを助ける目標は,わたしたちが生涯をかけて達成することになるかもしれません。中には,この世の生活だけでは達成できずに,来世においても努力を必要とする目標もあります。

天父は聖文の中で,御業の主な目的について次のように述べておられます。

「見よ,人の不死不滅と永遠の命をもたらすこと,これがわたしの業であり,わたしの栄光である。」(モーセ1:39)この目標を果たすためには,生活を楽しくて実りあるものとする目標や,天父のみもとに帰ってともに住まうにふさわしくなれるような目標を設定する必要があります。

格言にもこうあります。「行き先が分からなければ,どの道を行ってかまわない。」(ジョン・H・バンデンバーグによる引用,Conference Report,1966年4月,92;Improvement Era1966年6月号,533)

無益な事柄に心を奪われて何日,何か月,ときには何年もの時間を無駄にしている人がいます。その一方で,目標を設定し,それに向かって着実に進歩している人もいます。

楽しい休暇を過ごすとき,その大部分は目標のもたらす結果といえます。例えば,旅行地を決めた後で,自分の現在地や行き先,移動手段などを明確にする目標を選びます。目標はわたしたちの行動に目的と方向性を与えます。目標を設定することによって,生活を改善し,とうてい達成不可能と思われるような事柄も達成することができるのです。

スペンサー・W・キンボール大管長は末日聖徒の女性に,手を伸ばして努力する必要のある目標を設定するように勧めています。「目標を高く掲げ,それに向かって努力するときに成長がもたらされます。」(「女性の特権と責任」『聖徒の道』1979年2月号,148)さらに次のように語っています。「わたしたちは目標を設定すべきであると信じています。目標に向かって生活します。進歩成長するためには目標がなくてはなりません。」(regional representatives’ seminar,1975年4月3日)

個人の目標を設定する

  • 視覚資料32-a「若い女性」,32-b「母親と子供たち」,32-c「老女」を見せる。

生徒に,それぞれの写真の女性のために目標を一つ考えるように言う。黒板に3つの目標を書く。それぞれの女性が目標に近づくために今できる事柄について考える。

  • 人生で何を最も大切な目標とすべきでしょうか。

一人一人の個性は異なっていても,わたしたちの人生の主目的は同じはずです。それは,日の栄えの王国で昇栄を得るにふさわしい者になることであり,永遠の家族の一員として天父のみもとに帰り,天父とともに住むことです。人によって才能や能力,弱点が異なるので,この主目的を達成するためには,それぞれに合った目標を設定する必要があります。例えば,什分の一を納めることについて,努力を必要とする人もいれば,すでに簡単に行っている人もいるでしょう。また安息日を聖く過ごすことについても,改善の余地のある人もいれば,まったく問題のない人もいます。個人が必要としていることはいつも同じとはかぎりませんから,全員が同じ目標を持つとはかぎらないのです。

  • 永遠の家族の一員として日の栄えの王国で天父とともに住むという大切な目標を達成するためには,どのような目標を立てたらよいでしょうか。今わたしたちがしなければならないことは何ですか。生徒の意見を黒板に書く。

スペンサー・W・キンボール大管長は,目標設定について14歳のときの経験を次のように語っています。

「わたしはある大会で教会の指導者から……聖文を読むべきであるという言葉を聞いたとき,自分が一度も『聖書』を読んでいないことを認めました。その夜,その説教を聞いたあと,1ブロックほど離れた家に戻り,狭い屋根裏部屋への階段をのぼり,小さな机の上にある小さな灯油ランプに火をつけ,そして創世記の初めの数章を読みました。それから1年後に,わたしはその大きなすばらしい本のすべての章を読み終えて,『聖書』を閉じたのです。……

わたしは目標を立てたことと,それを達成したことに深い満足を感じました。」(Conference Report,1974年4月,126-127;Ensign1974年5月号,88)

  • 一人の生徒に,個人の目標を立て,それを達成したときの喜びについて話してもらう。教師自身が個人の目標を達成したときに感じた気持ちについて考える。

アメリカ合衆国コロラド州デンバーのリーリア・ヒギンソン姉妹は,献身的な末日聖徒で,目標を設定することの価値を心得ていました。彼女が亡くなった後,ヒギンソン兄弟は子供たちを呼び寄せ,母親の日記をところどころ読んで聞かせました。その日記は30年前,ヒギンソン姉妹が独身のころに記したものです。日記から,彼女が正しい目標を設定していたことがうかがえます。

「わたしは,この地上で神の王国建設を助けるために自らを備え……真理を示せるようになりたい。……

わたしの生涯の目標は,この世を去った後,日の栄えの王国に入るのを許されること。だから,最後まで目標をめざして努力します。わたしは物心ついたころからずっと教会に通ってきました。……

わたしは自分を神殿に連れて行ってくれる,清いモルモンの男性と結婚したい。そして,その人にふさわしい女性になりたい。また自分の子孫に,清く汚れのない心と肉体,福音の知識,日の栄えの王国に住むという希望を残したい。わたしの希望は,来世で愛する人々とともに住むこと,周りにいる人々の良き助け手になること,そしてすでに亡くなった人々のために神殿で奉仕すること。わたしは,この地上に新しい生命を送り出す器となり,ふさわしい立派な母親となって,子供たちが今わたしが受けているのと同じ祝福を受けられるような家庭を築きたい。」(ジョン・H・バンデンバーグによる引用,Conference Report,1966年4月,94;Improvement Era1966年6月号,534)

  • ヒギンソン姉妹は具体的にどのような目標を立てましたか。生徒の意見を黒板に書く。これらの目標の中で,自分自身も立てたいと思ったものがありますか。

個人の目標を設定する前に,瞑想と祈りの時間を持つ必要があります。自分の弱点や改善する必要のある点,また立てるべき目標が分かるように,天父に願い求めるのです。祝福師の祝福も自分自身の目標を決めるうえで役立ちます。また,教会指導者の教えも目標を設定する際に参考にすることができます。わたしたちは,スペンサー・W・キンボール大管長が総大会の最後に語ったような態度を身に付ける必要があります。

「わたしは,家に帰ったら前にも増して立派な人間になろうと決心しました。わたしはすべての指示と提案に耳を傾けました。そして,それらを聞いた一人一人が同様の決心をするように願っています。……自分の心にとまった事柄についてもう一度よく考えてみるように……お勧めします。皆さんの生活に生かせるかぎり,それを生かして,主がわたしたちに告げておられる完全に至る道に立ち返ってください。」(Conference Report,1977年10月,113;Ensign1977年11月号,75)

家族の目標を設定する

個人の目標を設定するほかにも,家族で話し合って家族全員で達成する目標を設定すべきです。個人の目標と家族の目標は,同時に果たすことができます。家族として,家庭の愛や平安や幸福を育むような目標を立てるとよいでしょう。

  • 家庭をさらに安らぎの場とするには,具体的にどのような家族の目標を立てたらよいでしょうか。(収入の範囲内で生活する,互いに思いやりを持つ,家族で聖文を読む,互いに優しく話す,相手の喜ぶことを行う,もっと褒める,個人的な批判を慎む)

わたしたちの中には,家族で聖文の知識を増したいと思う人や,教会の集会や活動への出席状態を改善したいと願う人がいるでしょう。また,家族で協力して家庭の美化を図りたいと思う人もいることでしょう。金銭の使い方を改めることや,家庭貯蔵プログラムを実践することが必要な家族もいるかもしれません。

七十人第一定員会のレックス・D・ピネガー長老は,自分の家族を例に挙げて,家族の目標設定について次のように語っています。

「ある日のこと,わたしは妻から驚くような質問を受けて,はっとしました。妻はこう言ったのです。『ねえレックス,あなたは将来どうしようと思っているの。……あなたの目標や人生の目的は何かしら。』わたしは今まで一度もそうした話を妻にしていなかったことに気づきました。わたしは心に痛みを覚え,恐らくは妻の気持ちも傷つけていたと思いました。そこで,家族について二人で話し合い,これからの生活をどのようにするか決めました。……わたしたちの願いは,主に仕える者となり,主が望まれるときに,主が望まれる場所にいることでした。それを実現するには,収入が必要になりますから,二人の考えにそって目標を設定しました。その一つとして,引っ越しをしました。また,13年間学校に通いました。……しかし,これらの目標は家族に比べれば,また家族のきずなを育むことに比べれば,二次的なことにすぎなかったのです。」(“Goals and Family Life,” in 1976 Brigham Young University Devotional Speeches of the Year,39)

家族の目標を設定すると,互いの愛ときずなが強まり,家族で天父のもとに昇栄するための助けになります。

目標を達成する

ジョン・H・バンデンバーグ監督は,次のように語っています。「幸福な人生を送るには,目標設定が絶対に必要であると思います。しかし目標自体は,望ましい手順の一部にすぎません。……わたしたちは,その目標を達成するために取るべき道を知る必要があります。また,目標を書き留め,達成した事柄を記録することによって,自ら強い決意をする必要があるのです。」(Conference Report,1966年4月,94;“Straight Is the Gate,” Improvement Era1966年6月号,534)

  • 「目標を達成するために取るべき道を知る」とはどういう意味ですか。(目標を達成するために具体的に行うべきことを知る)

  • バンデンバーグ監督は,目標を達成するためにどのような段階を踏むように勧めていますか。黒板に『目標達成』と書き,答えをその下に列記する。

次の実演を行う。手に5,6個の小さなボールかそれに類するものを持つ。一人の姉妹を選び,「わたしの目標はすべてのボールを受け取ってもらうことです」と言う。彼女に向かって一度にすべてのボールを投げる。恐らく一つも受け取れないであろう。

  • これを目標設定に当てはめると,どのようなことが言えますか。

今度は,姉妹がボールを受け取れるように,一つずつ投げる。このことから明らかなように,目標を一つずつ着実に行うことが大切である。その点を説明する。わたしたちは一度にすべての目標を達成するように期待されてはいない。

自分と夫が,次に紹介する若い夫婦の立場にいると考えてみてください。

「ある若い夫婦が家庭の夕べで,来年のクリスマスまでに借金をすべて返済しようと決心しました。しかし,半年たち,1年たっても,重い借金を抱えたままで,返済の見込みがまったくつきませんでした。……

1年後に,家族の目標を達成できずに挫折感を味わった夫婦は,もっと明確な目標を立てることにしました。過去数ヶ月間の支出を調べてみると,不必要な出費をしていることが分かりました。……

そこで,もう一度努力するために……問題点を明らかにし,明確な目標を定めました。また,その目標を達成するために取るべき手段と払うべき犠牲を書き留めました。適切な予算を立て,祈りをもって決意することによって,二人は決められた日までに目標を達成することができたのです。」(ロジャー・ディーン・ダンカン,“Do Your Family Goals Fizzle?” Ensign,1971年2月号,59-60)

  • この夫婦が目標を立てた最初の1年で目標を達成できなかったのはなぜですか。二人は目標を達成するために何をしましたか。意見を黒板に列記する。(次の点を指摘する:「目標を達成する方法を書き出した」,「助けを祈り求めた」)

わたしたちは価値ある目標を達成しようと努めるとき,祈りを通して天父に助けを求める必要があります。

また目標に向かって努力するとき,挫折感を味わうことがあるかもしれません。

「皆さんは,これから紹介する若い母親のように感じたことはありませんか。彼女は個人的な問題やプレッシャー,挫折感に悩まされ,自分ではとても対処できないと思っていました。夫婦はともに大家族を持つことが望みでした。ところが実際に子供を授かると,自分には主から託された子供の世話をする能力があるのだろうかと,強く疑問を抱くようになったのです。……理想と現実の相違に失望した彼女は,よく涙を流しました。そして,自分には昇栄する資格はないし,決して完全にはなれないと思い込むようになってしまったのです。

彼女は心からへりくだってひざまずき,主に助けを願い求めました。それから間もなく,聖餐会で祈りの答えを受けました。監督が1ニーファイ3:7を読んだ後,主からの命令には必ずそれを達成する方法が備えられている,と証したのです。その後間もなく,彼女は手紙を書きました。……『監督の話を聞いてから,わたしは毎日聖文を読んで祈るようになりました。そして,必要なだけの助けを主に求められるように,自分自身を備えようと決意しました。わたしは今,一生懸命に自分を備えています。そして,自分の生活が変わってきたことに驚いています。今はとても楽しく生活しています。以前よりも幸せで,自信がでてきました。……全然失敗しないわけではありませんが,物事に対してよい気持ちを感じています。それに自分がいろいろな面で確実に進歩していることが分かるのです。』」(『扶助協会テキスト』1979-80年度,訪問教師メッセージ,7-8参照)

目標を達成するための指針に注意深く従っても,思うように行かないことがあります。主の深い御心によって,わたしたちが選んだものとは別の計画が用意されていることもあるのです。

サンドラ・カビー姉妹は,十代の娘の経験について次のように語っています。

「わたしの娘は,高校のチアリーダーに選ばれることが,生活のすべてであるかのようでした。数か月の間,とんぼ返りや開脚,応援などの練習を毎日行いました。

娘は5人のチアリーダーの一人に選ばれる有力候補のようでした。

ですから落選したときには,すっかり落ち込んでしまいました。ほんの数票の差でしたが,落選したことに変わりはありません。娘はすすり泣きながら,わたしにこう言いました。

『お母さんには,わたしにとってこれがどんなに大切だったか分からないわ。生涯の目標なのよ。あんなに熱心に祈ったのに,どうして主は聞いてくださらなかったの。……半年間も練習して,一生懸命やってきたのに。』

わたしは娘に言いました。『これには何か理由があるにちがいないわ。あなたがお祈りをして聖文を勉強すれば,その理由が分かると思うわ。』

その翌月に,娘はセミナリーの役員に召されました。……

娘はその年,多くの霊的な経験をしました。有意義であつい友情を育み,数人の友達に良い影響を与えて,彼らが教会の活動に参加できるように助けました。

その後,娘がわたしのところに来て,熱心な祈りと聖文の勉強を通して,自分自身について理解できるようになってきたと言いました。『何よりもチアリーダーになることを望んでいたけれど,わたしには別の経験が必要なことを主は御存じだったのよ。霊的にもっと成長する必要があったのね。とてもつらい経験だったけれど,あれで良かったということが分かったわ。」(スティーブン・R・カビー,サンドラ・カビー,“Teaching Our Children to Pray,” Ensign,1976年1月号,63)

わたしたちを落胆させたり,進歩を妨げたりするものを生活の中から取り除くならば,目標はもっと容易に達成できるでしょう。悪い習慣,好ましくない仲間,不安や疑いや恐れなどの消極的な思いは,正しい望みを実現しようとする意欲を失わせます。

目標を達成するには,積極的な態度で立ち向かわなければなりません。わたしたちが毎日自己改善に努めるならば,たとえどんなに小さくても,一つ一つの進歩に心からの喜びを感じるはずです。十二使徒定員会のマーク・E・ピーターセン長老は,次のような励みとなる言葉を語っています。「わたしは,死すべき状態の今この地上で,多くの方法によって,自らを完全な者とする業に着手できると信じています。この世において,ある程度の完全の域に到達することは可能です。……

主なる神が最も願っておられることは,『あなたがたも完全な者となりなさい』という偉大な戒めを守ることであると,わたしは確信しています。」(Toward a Better Life,1960年,312-313)

  • ピーターセン長老は「この世において,ある程度の完全の域に到達することは可能です」と言っていますが,これはどういう意味でしょうか。(わたしたちは生活の様々な面で,完全もしくは完全に近い者となれる。一歩一歩努力することによって,昇栄への道を徐々に歩んでいくことができる)

目標の達成は,計画,努力,そして祈りを通してもたらされます。目標を達成するために努力しているかぎり,決して失敗はありません。そのことを忘れてはなりません。わたしたちは天父のようになるために,福音を受け入れて教会員になったのです。

まとめ

目標を設定することは,この世と来世における望みを達成するのに役立つでしょう。個人の目標は,わたしたちを自身の勝利へと導いてくれます。また家族の目標は,家庭に一致をもたらし,ひいては家族を昇栄へと導いてくれるでしょう。正しい目標を達成しようと努めるとき,わたしたちは「あなたがたも完全な者となりなさい」(マタイ5:48)という主の戒めを実現するために努力しているのです。

チャレンジ

この人生で達成したいと思う事柄について考え,そのための具体的な目標を設定する。その目標について家族と話し合う。最初に取りかかる個人の目標を一つ選び,「この目標を達成するために何をするべきだろうか」と自問する。目標を達成するために今週できる事柄を書き出す。週末には次週に行う事柄を書き,目標を達成するまでこれを繰り返す。次に,別の目標を選んで達成するまで同じように行う。

家族で話し合い,全員にとって役立つ目標を一つ選び,上記の方法に従ってその目標を達成する。個人の目標を達成した家族を特別に表彰する。

参照聖句

教師の準備

レッスンの前に,以下の事柄を行う。

  1. 黒板とチョークを用意する。

  2. 実演に使う小さなボールかそれに類するものを5,6個用意する。

  3. 本課の引用文と聖句の発表を生徒に割り当てる。

考える女性

32-a 若い女性

母と子供

32-b 母親と子供たち

祈る年老いた女性

32-c 老女