初等協会テキストと分かち合いの時間
第15課 教会のために啓示を受ける預言者


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教会のために啓示を受ける預言者

目的

教会全体のための啓示は生ける預言者を通してだけ与えられること,わたしたちは生ける預言者に従う必要があることを,子供たちが理解できるように助ける。

準備

  1. 教義と聖約28章43:1-7と本課の歴史記事を祈りの気持ちで研究する。それからレッスンを検討し,聖文と歴史記事を子供たちにどう教えるか決める(本書「レッスンの準備」ⅵ-ⅶ,「聖文と歴史記事に基づいて教える」ⅶ-ⅷ参照)。

  2. 子供たちを参加させ,レッスンの目的を達成するのに最も役立つ「話し合いのための質問」と「レッスンを豊かにする活動」を選ぶ。

  3. 教材

    1. 教義と聖約(人数分)

    2. 視覚資料5-1「預言者ジョセフ・スミス」(『福音の視覚資料セット』401),または5-2「ジョセフ・スミス」(『福音の視覚資料セット』400),生ける預言者の写真(教会付属図書館か教会機関誌にあるもの)

レッスン

一人の子供に開会の祈りをさせる。

導入

これから「先生が言いました」というゲームを行うと子供たちに伝える。これから子供たちに幾つかの指示を出すが,指示を与える前に,あなたが「先生が言いました」と言ったときだけ従うように説明する。子供たちに幾つかの指示を出す。「先生が言いました」と言わないで出す指示が,「先生が言いました」と言って出す指示と,同じにならないようにする。

  • 先生が言いました。右手を上げてください。

  • 右手を下げてください。

  • しかめっつらをしてください。

  • 先生が言いました。にっこりしてください。

子供が「先生が言いました」と言わないで出した指示に従ったら,ゲームが終わるまでその子を座らせる。子供たちが全員すぐに座ってしまったら,子供たちが指示を理解する力が伸びるかどうか見るためにもう一度ゲームを行ってもよい。

わたしたちの生活の中で,何をしたらよいかを告げる人は数多くいると子供たちに教える。その中の幾つかは良い助言なので信頼できるが,そうでないものは信頼できない。

  • わたしたちが良い助言を受けるには,だれに耳を傾けたらよいでしょうか。(両親,先生,預言者,などが答えとして考えられる)

わたしたちは,いつも預言者の言葉に耳を傾けなければならない。天父とイエス・キリストがわたしたちに望んでおられることを預言者が語るからである。この点を子供たちに説明する。預言者は,教会全体について天父とイエス・キリストから指示を受ける。わたしたちは,預言者と違うことを言う人の言葉に耳を傾けてはならない。

先程あなたが行ったゲームのように,今度は「先生が言いました」を「預言者が言いました」に変え,例のように食い違った指示を与える。与えた指示が行うべき内容であったら子供の手を上げさせる。

  • 預言者が言いました。じゅうぶんの一を完全に払いましょう。

  • 世の人が言いました。什分の一は多すぎます。払えるだけ払いましょう。

  • 預言者が言いました。誓ったり,悪い言葉を使ってはいけません。

  • 世の人が言いました。たまになら,悪い言葉を使ってもいいです。

教会初期のころ,預言者ジョセフ・スミス以外の数人が,教会全体に対して啓示を受けていると主張した。教会の会員は,だれの言葉を聞いたらよいか,何をすべきか混乱していた。そこで主は教義と聖約に載っている指示を教会員に与えて,教会全体のためにだれが啓示を受けるのかを教えられた。

聖文と歴史記事

オリバー・カウドリとホイットマー家の人々がジョセフ・スミスの啓示に対して持った疑問と,ハイラム・ページと「聖見者の石」について,教義と聖約28章43:1-7と以下の歴史記事から教える。適切な箇所で視覚資料を用いる。

教会が組織されて数か月後,ジョセフ・スミスとエマ・スミスがペンシルベニア州ハーモニーに住んでいたとき,オリバー・カウドリはジョセフが主から受けた啓示の言葉について賛成しなかった。オリバーは,ジョセフに手紙を書いてこう言った。「わたしは神のによりこれらの言葉を削除するようにあなたに命じます」と。ジョセフはすぐにオリバーに返事を書いて,彼に尋ねた。「あなたは何の権能により,全能の神から受けた戒めや啓示を変更したり,削除したり,あるいは追加したり,減らしたりするようにわたしに命じるのですか。」(History of the Church第1巻,15)

ジョセフとエマがニューヨーク州フェイエットに行ったすぐ後,そこでは,オリバー・カウドリとホイットマー家の人々が,ジョセフが受けた啓示は間違いなので変更すべきであると固く信じていた。ジョセフは多くの時間を費やして,オリバーとホイットマー家の人々に説明した。やがてクリスチャン・ホイットマーはジョセフが受けた啓示が正しいと確信するようになり,ほかの人々も正しいと分かるように助けた。

オリバー・カウドリとホイットマー家の人々も,金版の8人の証人の一人であるハイラム・ページが「聖見者の石」から受けたと主張する幾つかの啓示を研究した。ハイラム・ページは,この石から啓示を受けられると言った。ハイラム・ページが受けた幾つかの啓示の中で,彼は地上に神の王国を建てるために教会が行くべき場所であるシオンの地に関する指示を受けたと言った。多くの人々が,ハイラム・ページの言葉を信じた。

ジョセフ・スミスは,周囲の人々が教会のために啓示を受けたと主張していることについて,心配していた。彼は,その問題を間近に開かれる大会で解決しようと決心した。大会の前にジョセフが祈り,主は教義と聖約28章に書かれている啓示を与えられ,ジョセフ・スミスが教会全体のために啓示を受ける権能を持つただ一人の人であると告げた(2節参照)。大会に集まった人々は,啓示を受けたというハイラム・ページの主張について長時間話し合った。しかし,最終的にハイラム・ページを含むすべての人は,ジョセフ・スミスが教会のために啓示を受けるただ一人の人であるという意見で一致した。

教会のために啓示を受けたと主張する人はほかにもいた。その中の一人が,ハブルという女性であった。ジョン・ホイットマーによると,彼女は非常に信仰深く見えたので,彼女によって道を誤る人もいたようである。ジョセフ・スミスはこの問題について天父に祈り,答えとして教義と聖約43章の啓示を受けた。この啓示は,教会の預言者が教会全体のための啓示を受けるただ一人の人であると教えている。それは,ジョセフ・スミスであっても,ジョセフの後に預言者に召された人であっても同じである。

話し合いと応用のための質問

レッスンの準備に当たって,以下の質問と参照聖句を研究する。子供たちが聖文を理解し,生活に応用するうえで最も役立つと思われる質問を,採り上げる。教室で子供たちと一緒に聖句を読んで話し合えば,聖文に対する子供たち一人一人の理解力を深めるのに役立つ。

  • 教会全体のための啓示と戒めを受けるように最初に任命されたのはだれでしたか(教義と聖約28:243:2-5)。なぜそのように任命されたのですか(教義と聖約43:6)。教会全体のために同時に数人の人が啓示を受けたらどうなりますか(もし彼らが一致しなければ,教会員はだれに従ったらよいか分からない)。現在,教会全体のために啓示を受けるただ一人の人はだれですか(生ける預言者)。もし預言者以外の人が,教会の会員が従うべき啓示を受けたと言ったら,わたしたちはどうしたらよいですか(教義と聖約43:5-6)。

  • 生ける預言者の言葉はどこに載っていますか(「レッスンを豊かにする活動」の1を参照)。

  • 生ける預言者の教えと教会の指導者の教えとの違いは何ですか(教義と聖約28:1-2,4-5)。教義と聖約28章2節にあるジョセフ・スミスの名前は,生ける預言者の名前に置き換えられる。この点を説明する。これは,預言者以外の人の言葉を聞いてはいけないという意味ですか。預言者以外の教会の指導者もわたしたちを教え,指示を与えることができる。しかし,わたしたちに対する主の命令を教会を代表して語れるのは預言者だけである。

  • わたしたちは,どなたから啓示を受けるのでしょうか。わたしたちは,自分の生活に関する個人的な啓示を受けられる。わたしたちは,自分の責任についても啓示を受けられるのである。例えば,お父さんとお母さんは,家族のために啓示を受け,ワードの初等協会会長は,自分のワードの初等協会のために啓示を受けられる。また監督は,ワード全体について啓示を受けられるのである。

  • ほかの人が持っていないもので,生ける預言者が持っているものは何ですか。(教会全体のために啓示を受ける権能やかぎ教義と聖約28:7参照)

  • ハイラム・ページは,どのような間違いをしましたか(教会のために啓示を受けたと主張した)。教義と聖約28章11節に書かれているオリバー・カウドリに対する主の指示は,悔い改める必要のあるハイラム・ページに対する主の愛をどのように表していますか。わたしたちが不従順なときでも主がわたしたちを愛してくださることはどのようにすると分かりますか。わたしたちが間違いを犯したとき,主はどのようにわたしたちに気づかせてくださいますか。

  • 一人の子供に教義と聖約28章13節を声を出して読ませる。「同意」とは,教会のすべての会員が教会の指導者の決定と指示を受け入れるという意味である。今日こんにち,わたしたちはどのようにして同意を示しますか(教会指導者の働きを支持するために手を挙げて)。指導者を支持するとは,どのような意味ですか(「レッスンを豊かにする活動」の3を参照)。

レッスンを豊かにする活動

以下の活動を,レッスンのどの部分でも,また幾つでも使うことができる。復習やまとめ,チャレンジに利用してもよい。

  1. 総大会における生ける預言者の話のコピーを取る。預言者の話の中からクラスの子供たちに応用できる勧告を黒板に書き出す。どのようにしたら預言者の勧告に従えるかを話し合う。

    次の大会までに実行する勧告を一つか二つ選ぶように勧める。子供たちに鉛筆と紙を渡して,選んだ勧告を紙に書かせる。紙に書いた内容を家族と分かち合い,預言者の勧告を思い出すように家の中の見やすい場所にはっておくように励ます。次の大会から主がわたしたちに望んでおられることを見いだすために預言者の言葉を読んだり,聞いたりするように励ます。

  2. 預言者の言葉を完全に理解できなくても,預言者に従うのがなぜ常に賢明であるのかを子供たちに理解させる。もしわたしたちが預言者に従うなら,主が望んでおられることを行っているのである(教義と聖約1:38)。

    ウィルフォード・ウッドラフ第4代大管長の以下の引用文を読むか一人の子供に読ませる。

    「主はわたしであろうと,ほかのだれであろうと,この教会の大管長として立つ者が皆さんを誤った道へ導くのをお許しになることは決してありません。」(公式の宣言1「宣言」に関するウィルフォード・ウッドラフ大管長の三つの説教からの抜粋)

    預言者は,主が望んでいない行いをするようには決して言わない。この点を強調する。

  3. 集会で教会の指導者を支持する挙手への参加にはどのような意味があるかを子供たちに理解させる。召しを支持するためにわたしたちが手を挙げるとき,わたしたちはその人を助け支えると約束している。監督,初等協会会長,初等協会教師,あるいは両親などの教会の指導者が,その召しを果たすときに助け支える方法を子供たちに考えさせる。

  4. 信仰箇条1:9を覚えさせる。

  5. 「感謝を神に捧げん」(『賛美歌』11番),または「預言者にしたがおう」(『子供の歌集』58)を歌うか,歌詞を読む。

まとめ

あかし

預言者ジョセフ・スミスと生ける預言者への感謝の気持ちを述べる。イエス・キリストは,生ける預言者を通して語られ,わたしたちが預言者に従うときに正しい生活ができるとあかしする。生ける預言者は,わたしたちがいつも義にかなった行いをするように教え,天父とイエス・キリストは,預言者が間違った行いをするよう教えるのをお許しにならないことを強調する。

読書課題

本課の復習のため,家庭で教義と聖約43:1-7を研究するよう,子供たちに提案する。

家族との分かち合いの提案

子供たちが,物語,質問,活動,家庭学習の提案などのレッスンの一部を家族と分かち合うように励ます。読書課題を家族で一緒に読んでもいい。

一人の子供に閉会の祈りをさせる。