初等協会テキストと分かち合いの時間
第45課 什分の一に関して啓示を受けるロレンゾ・スノー


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什分の一に関して啓示を受けるロレンゾ・スノー

目的

子供たちに完全なじゅうぶんの一を納めたいという気持ちを持たせる。

準備

  1. 本課の歴史記事;マラキ3:8-12;と教義と聖約64:23,119:4を祈りの気持ちで研究する。それからレッスンを検討し,聖文と歴史記事を子供たちにどう教えるかを決める(本書「レッスンの準備」ⅵ-ⅶ,「聖文と歴史記事に基づいて教える」ⅶ-ⅷ参照)。

  2. その他の参照箇所-『福音の原則』(06195 300)第32章

  3. 子供たちを参加させ,レッスンの目的を達成するのに最も役立つ「話し合いのための質問」と「レッスンを豊かにする活動」を選ぶ。

  4. 全員に配布できるように,色紙に贈り物の箱を書いておく(下図を参照)。またはレッスンが始まる前に教室の黒板に贈り物の箱を幾つか描いておく。

    画像
    gift
  5. 教材

    1. 聖書と教義と聖約(人数分)

    2. 紙と鉛筆(人数分)

    3. 視覚資料5-58「ロレンゾ・スノー」

レッスン

一人の子供に開会の祈りをさせる。

導入

贈り物の箱を描いた色紙を全員に配る(または黒板に描いた贈り物の箱を示す)。それぞれの箱には天父からの祝福が入っていると想像させる。

  • どのような祝福が箱の中に入っていると思いますか。

全員に鉛筆を配って,天父から受けている祝福を一つ贈り物の箱の上に書かせる。子供たちが書いた祝福を発表した後,紙を黒板,机または床に展示する(贈り物の箱を黒板に描いた場合は,子供たちから祝福を聞く。発表している間に,箱の上に祝福を書く)。

  • 天父の祝福を受けるためには何をしなければなりませんか。

子供たちの答えを聞いてから,わたしたちがしなければならないことの一つがマラキ3:10に記されていることを説明する。一人の子供にマラキ3:10の前半(「倉に携えてきなさい」まで)を声を出して読ませる。ほかの子供たちは聖書を黙読する。本課では什分の一と,完全な什分の一を納めることによって受ける祝福について学ぶことを子供たちに伝える。

歴史記事

以下の歴史記事から,ブリガム・ヤングの指示のもとにユタ準州の開拓が行われたことについて教える。次に,ひどい干ばつに襲われたセントジョージの人々が什分の一を納めることによってどのように祝福を受けたかについて,そして教会は什分の一資金によって主のみ業を推進することができることについて子供たちに理解させる。教会員は完全な什分の一を納めることによって,個人としても教会全体としても祝福を受けていることを強調する。

新しい定住地が組織される

ユタにおける最初の10年間に,ブリガム・ヤングはユタ準州全域に約100の居留地(新しい定住地)を組織した。毎年数千人の教会員が到着し,全員が住む場所を必要とした。ヤング大管長はソルトレーク・シティーから人々を東西南北とあらゆる方角に派遣して,十分な水があり,肥沃な土地があり,そのほか必要な資源があり,人々がインディアンから襲撃される恐れのない場所を探し,住まわせた。

ブリガム・ヤングはこれらの居留地の指導者として,賢く,能力のある人々を選んだ。監督,管理長老,ステーク会長はワードと支部の発展だけでなく,町の建設をも監督した。新しい居留地が創設される場合,居留地を確立するために召される家族は,その召しを,総大会でブリガム・ヤング大管長が発表したときに初めて知るというようなこともしばしばあった。そうでない場合は,ヤング大管長が居留地の指導者を選び,その指導者が新しい居留地へ喜んで行く家族を探した。教会員は東部からユタへ到着すると,通常は新しい定住地に行く割り当てを受けた。持っている技術に応じて行き先が決められることもあった。各定住地には農夫,大工,れんが職人,肉屋,パン屋,学校の教員など様々な職業の人が必要とされた。

新しい居留地へ移ることを全員が喜んだわけではなかったが,ほとんどの聖徒は預言者の指示に従って移住した。ある時,ヤング大管長を始めとする教会指導者がユタのニーファイの定住地を訪問することになり,町を挙げて彼らを歓迎した。楽隊をくり出し,通りに歓迎の横断幕を掲げ,沿道を杉の葉と花で飾った。町の若い女性たちは全員が白のドレスを着て預言者を迎えた。この若い女性の中にエリザベス・クラリッジという名の15歳の少女がいた。

ヤング大管長と教会指導者は地元の住民の家で食事の歓待を受けた後,ニーファイの全聖徒のために午後の集会を開いた。集会が終わりにさしかかった頃,ヤング大管長は,ニーファイから遠く南にある「ぬかるんだ地」と呼ばれた地域に定住する家族の名前を読み上げた。人々はヤング大管長が読み上げるまで,だれが行くことになるかをだれも知らなかった。エリザベスの父,サムエル・クラリッジの名前が呼ばれた。エリザベスは父親の名前を聞いて泣き出した。家を移りたくなかったからである。エリザベスの横に座っていた少女の父親の名前も呼ばれた。するとその少女はエリザベスに言った。「どうして泣いたりするの。わたしのお父さんも召されたのよ。でも見て,わたしは泣いていないでしょう。お父さんは絶対に行かないと思うから。」

「それはわたしのお父さんとは大違いだわ」とエリザベスは答えた。「お父さんは召されたのだから,必ず行くわ。だれも止められないのよ。お父さんは召しを受けたらどんなことでもするのよ。もしお父さんが行かなかったら,わたしは恥ずかしくて泣くと思うわ。」エリザベスにとって家を離れ,友だちと別れることはつらいことだったが,父が主に従い,新しい定住地を築くこの召しを受け入れたら,家族は祝福されることを彼女は知っていた(S・ジョージ・エルズワース,Samuel Claridge: Pioneering the Outposts of Zion80-81)。

什分の一の家を建設した聖徒たち

ヤング大管長は定住地の聖徒たちが自立することを望んでいたため,各定住地に什分の一の家すなわち監督の倉庫を建てるように指示した。当時,ほとんどの什分の一は「物品」によって納められていたため,什分の一を保管する倉庫が必要だった。これは,人々はお金で納める代わりに,生産した物で什分の一を納めたという意味である。例えば,鶏を飼っている人は,鶏が卵を10個産むたびに,什分の一として卵1個を倉庫へ持って行った。このように,人々は生産した食物,繁殖させた家畜,家庭で作った品物を什分の一の家へ持って行った。多くの人々は労働によって什分の一を納めた。10日ごとに1日を自分の仕事をする代わりに教会の各種事業で働いたのである。各定住地で集められた什分の一の約3分の1は定住地で聖徒が必要とする物品を支給するために使用し,残りは教会全体の必要を満たすためにソルトレーク・シティーの中央什分の一管理事務所に送られた。

ハイラム・スミスに先立たれたメアリー・フィールディング・スミス婦人はある日,収穫したじゃがいもの中から最も良いものをいっぱいに持って,什分の一を納めるためにソルトレーク・シティーの什分の一管理事務所へ行った。すると,什分の一管理事務所の係員は彼女をしかるようにして言った。「スミス未亡人,あなたが什分の一を納めなければならないなんてあんまりです。」するとメアリーはこう答えた。「ウィリアム,何を言っているのですか。わたしから祝福を奪うのですか。什分の一を納めなければ,主から祝福をいただけないのですよ。わたしが什分の一を納めるのは,それが主の律法だからだけでなく,什分の一を納めることによって祝福が頂けることを期待しているからなのです。わたしはこの律法だけでなくすべての律法を守ることによって,家族を養うために繁栄することを期待しているのです。」

メアリーの息子ジョセフ・F・スミスはメアリーが神の戒めに従うことによって繁栄したことを記録している。家族には常に食物があり,またあかしを強めていた。ジョセフ・F・スミスは次のように記している。「ウィリアム・トンプソンが母に什分の一を納めるべきでないと言っとき,わたしは彼をこの世で最も素晴らしい人だと思った。……わたしは働いて,土を掘って苦労しなければならなかった。わたしは土地を耕し,じゃがいもを植え,鍬を入れ,またじゃがいもを掘り出すなど,いろんな労働をしなければならなかった。そして,大きな荷馬車の箱にいちばん良い物をいっぱい積み,それを什分の一管理事務所へ運ばなければならなかった。わたしは子供心に少しおかしいと思った。特に遊び友だち……が馬に乗ったり,楽しく遊びまわったりしており,ほとんど仕事をしないでいるのを……見るときにそう感じた。……わたしは数年の経験を経て,考え方を変えた。わたしは,母が正しくてウィリアム・トンプソンが間違っていることを知った。……(什分の一を納めることは)わたしが享受している特権である。わたしからこの楽しみを取り上げてもらいたくない。」(Gospel Doctrine228-230)

什分の一に関してロレンゾ・スノーが受けた啓示

長年にわたってユタの定住地は進歩を続けた。電報の発明によって,人々は遠隔地の人々と容易に連絡を取ることができるようになった。合衆国全域に建設された鉄道によって,人々の旅行は容易になった。ユタの人々は先進地域からの物資を入手しやすくなった。教会は合衆国政府との間で,またユタ地域のアメリカンインディアンとの間で問題があったが,これらすべてが最終的には解決した。ブリガム・ヤングが亡くなった後,ジョン・テーラーが大管長となった。その後,ウィルフォード・ウッドラフ大管長が引き継ぎ,続いてロレンゾ・スノーが大管長となった(ロレンゾ・スノーの絵を見せる)。

ロレンゾ・スノーが第5代大管長となったとき,教会は多額の借金を抱えていた。教会は政府との問題を解決するために多額の費用を支払ったため,教会が必要とするすべての事柄に支出するだけの資金がなくなった。スノー大管長はこの重大な問題をどのようにして解決すべきかを知るために熱心に祈った。大管長の祈りはすぐにはこたえられなかったが,セントジョージとユタ州南部の町を訪れるように,という気持ちを覚えた。彼はなぜユタ州南部へ行くのかを分からなかったが,聖霊の勧めに従わなければならないことを知っていた。大管長はほかの教会指導者とともに,汽車と馬車を乗り継いでセントジョージへ行った。

スノー大管長が訪問した頃のユタ州南部は何ヶ月もの間,雨がまったく降っていなかった。南下するにつれて,地面が乾き,植物も動物も渇いている様子をスノー大管長は見て取った。ユタ州南部に住む人々は雨が降らないために,作物をどのようにして育て,彼らが生きていくための食料をどのように手当したらよいのかがわからず,途方に暮れていた。

1899年5月17日,スノー大管長はユタのセントジョージで大会を開き,話をした。大管長は説教の途中で突然,絶句してしまった。会場は水を打ったように静まり返り,かたずを飲んで次の言葉を待った。再び話し始めたときに大管長の声には張りがあり,人々は大管長が主の霊感を受けて話していることが分かった。スノー大管長はこう言った。「主の御言葉はこれです。今やすべての末日聖徒は……主の御心みこころを行い,什分の一を完全に納めなければなりません。これが皆さんに対する主の御言葉であると同時に,シオンの地のすべての定住地に対する主の御言葉です。」(リロイ・C・スノー,“The Lord’s Way Out of Bondage,” 439で引用)

スノー大管長は,主は聖徒が什分の一を納めていないことを怒っておられることを聖徒たちに告げた。そして,人々が什分の一を納めるならば,雨が降って,人々は作物を植えて良い収穫を得られることを大管長は約束した。

スノー大管長はセントジョージでの説教を終えた後,この啓示を全教会員に知ってもらいたいと思った。そこでソルトレーク・シティーへ帰る途中で,多くの定住地に立ち寄り,人々に什分の一の律法を説いた。そして,ソルトレーク・シティーに戻ると,大管長は神殿で大切な集会を開き,神権指導者に対して什分の一について話した。ある集会で大管長は次のように述べている。「貧しい者たちのうちで最も貧しい者であっても什分の一を納めることができます。主はすべての人にそれを求めておられます。……すべての人は什分の一を納めなければなりません。……律法は遵守されなければなりません。……そうすれば,わたしたちは負債を支払うことができるようになるでしょう。……神の祝福がありますように。」(カーター・E・グラント,The Kingdom of God Restored546で引用)各地の聖徒たちはスノー大管長の言葉を受け入れ,什分の一を納め始めた。

スノー大管長はユタ州南部からの天候の報告を心配しながら待っていた。1か月が過ぎ,2か月が過ぎても,雨は降らなかった。セントジョージの人々は什分の一だけでなく,それ以上を主に対する捧げ物として納めた。預言者は主が人々を祝福されるよう熱心に祈った。預言者は彼らが什分の一を納めるならば,雨が降ることを約束していた。ついに,1899年8月2日,電報が届いた。そこには「セントジョージに雨」と記されていた。聖徒たちは祝福を受けた。この年の秋に彼らは作物を収穫することができた。

スノー大管長が啓示を受けた翌年,聖徒は過去2年間の2倍にあたる什分の一を納めた。祝福されたのはセントジョージの聖徒たちだけでなく,教会は8年間のうちにすべての負債を返すことができた。それ以来今日こんにちに至るまで,教会は,忠実な教会員が什分の一を納めているため,主の業を推進するための資金を充分に有している。

話し合いと応用のための質問

レッスンの準備に当たって,以下の質問と参照聖句を研究する。子供たちが聖文を理解し,生活に応用するうえで最も役立つと思われる質問を,採り上げる。教室で子供たちと一緒に聖句を読んで話し合えば,聖文に対する子供たち一人一人の理解力を深めるのに役立つ。

  • 教会員はユタ準州内で新しい居留地に住むようにという召しをどのようにして受けましたか。彼らは新しい居留地に移るにあたってどのように信仰を表したでしょうか。

  • メアリー・フィールディング・スミスはお金も持っている物も少なかったのにどうして什分の一を納めたのでしょうか。子供たちまたは子供たちの家族が什分の一を納めることによって祝福された経験があれば話してもらう。

  • スノー大管長はなぜセントジョージへ行ったのですか(聖霊から行くように勧められたから)。スノー大管長は聖霊の勧めに従ったためにどのような祝福を受けましたか。わたしたちは聖霊の勧めに従うことによって,どのように祝福されるでしょうか。

  • スノー大管長はセントジョージへ向かったとき,どのような問題で悩んでいましたか(教会の負債)。セントジョージの会員たちはどのような問題で悩んでいましたか(干ばつ)。聖徒がこれら二つの問題を解決するために,主は何をするように言われましたか。

  • わたしたちはなぜ什分の一を納めるのでしょうか。わたしたちが完全な什分の一を納めないとしたら,それはどのようなことをしているのでしょうか(マラキ3:8)。什分の一はなぜ主のお金なのでしょうか。地上のすべてのものは天父の指示によってイエス・キリストが創造されたことを子供たちに思い起こさせる。わたしたちが地上で受けるすべてのものは御二方からの贈り物である。

  • 完全な什分の一を納める人に主はどのようなことを約束しておられますか(マラキ3:10-12教義と聖約64:23)。完全な什分の一とはどういうことですか(教義と聖約119:4;「レッスンを豊かにする活動」の1を参照)。完全な什分の一を納めるとは,わたしたちの収入の十分の一を主に納めることを意味する。

  • セントジョージの聖徒たちは什分の一を納めることによってどのような祝福を受けましたか。彼らは雨が降るまで何か月間待ちましたか。彼らは雨が降るのを待っている間,どのように信仰を表しましたか。

  • 教会は会員たちが完全な什分の一を納め始めたとき,どのように祝福されましたか。会員たちが什分の一を納めているために,教会は今日こんにちまでどのように祝福を受けてきましたか。什分の一のお金はどのように使われるのでしょうか(「レッスンを豊かにする活動」の3を参照)。

レッスンを豊かにする活動

以下の活動を,レッスンのどの部分でも,また幾つでも使うことができる。復習やまとめ,チャレンジに利用してもよい。

  1. 完全な什分の一とは収入の十分一であることを子供たちに思い起こさせる。黒板にいくつかの金額を書いて,それぞれどのように十分の一を計算するかを示す。全員に紙と鉛筆を配り,いくつかの金額について什分の一の金額を計算させる(年少の子供たちのために,硬貨や果物を持参して,実際の物で什分の一を計算させるとよい)。収入の正確な10%を什分の一として納めることの大切さを強調する。10パーセントに満たないと主に対して正直でなくなる。

    全員に「什分の一・献金票」を配り,正しい記入方法を説明するとよい。

  2. 什分の一を納めることによって受ける祝福は,必ずしも経済的な祝福ではないことを子供たちに理解させるために,以下の祝福をそれぞれ別の紙に書いて,容器に入れておく(「導入」で行ったように,紙を贈り物の箱の形にしてもよい)。

    • イエス・キリストの福音を理解する。

    • 証が強くなる。

    • 天父を身近に感じる。

    • 福音に従って生活する力を得る。

    • 家族に良い模範を示す。

    • 平安と喜びを得る。

    • 自分のことを考えずに,人々に奉仕することができるようになる。

    • 永遠の命を得る。

    • 必要なだけのお金が与えられる。

    十二使徒定員会の会員だったメルビン・J・バラード長老の以下の話を教師が読むか,一人の子供に読ませる。

    「主は什分の一を正直に納める男女に必要な物が与えられると約束しておられますが,金持ちになるとは約束しておられません。物質的な物ではないのです。主の最も偉大な祝福は霊的な祝福であって,物ではありません。」(The Teachings of Ezra Taft Benson [Salt Lake City: Bookcraft, 1988],472-473で引用)

    次に,子供たちに一人ずつ順に紙を一枚とって,声を出して読ませる。これらの祝福の価値と,什分の一を納めることがどのようにしてこれらの祝福を受ける助けとなるかについて話し合う。

  3. 什分の一のお金がどのように使われるかについて述べた以下の文をそれぞれ別の紙に書いて,子供たちに配る(必要に応じて内容を説明する)。

    • 集会所,神殿,そのほかの教会の建物を建てる。

    • ワードとステークの活動費,レッスンの手引きをそろえるために使う。

    • 集会所の光熱費,管理費を支払う。

    • 宣教師の旅費,宣教師が使う資料の代金を支払う。

    • 中央幹部の旅費,その他の費用を支払う。

    • 神殿と家族の歴史事業で使うコンピュータをそろえる。

    • 教会の機関誌を出版する。

    • 教会の衛星放送を行う。

    • 聖典を翻訳し,出版する。

    一人の子供に,紙に書いてある什分の一の用途を黒板に絵で表すように言う。そしてほかの子供たちにその絵が何を表しているかを当てさせる。全員に絵を描く機会を与えてから,この活動を終える。

  4. ヒーバー・J・グラント第7代大管長の以下の話を読んで話し合う。

    「什分の一は神の律法であって,什分の一を納める末日聖徒は平安と喜びを受けます。主に対して完全に正直な人は心に満足感を覚えることができます。 ……

    今わたしが什分の一について話すことができるのは,子供の頃から収入を得て,什分の一を納めてきたからです。わたしはこれまで主に対して正直でした。これまでの生涯を通じて続けてきて,これからも続けたいことがあります。それは,まず第一に,主に対して正直であるということです。」(Gospel StandardsG・ホーマー・ダラム編,[Salt Lake City: Improvement Era, 1941],60,63)

    毎年,年末にわたしたちは経済的な事柄について主に完全に正直であったことを表明する機会があることを説明する。これは什分の一年末面接と呼ばれており,この面接においてわたしたちは監督(または支部長)に自分が什分の一を完全に納めたかどうかを申告する。

    子供たちにロールプレーで什分の一年末面接を行わせる。一人の子供が監督になり,ほかの子供たちは完全な什分の一を納めた家族になる。「監督」が家族の一人一人に完全な什分の一を納めたかどうかを尋ね,一人一人が答える。

  5. 以下の物語を自分の言葉で話す。

    「(1929年の)クリスマスが近づくにつれて,多くの人々が仕事をなくしていました。

    わたしたちの家族は幸運でした。……夫はまだ仕事に就いていたからです。

    けれども,クリスマスの一週間前に突然,解雇されてしまいました。最後の給料の小切手には63ドルと書かれていました。まず心に浮かんだのは『どう使ったらよいか』ということでした。

    わたしたちは果物と野菜の缶詰をたくさん作っていましたし,わが家には牛と鶏がいて,牛乳とバターと卵は手に入ります。食料は十分にあったので,6歳と4歳と1歳の幼い子供たちのためにクリスマスプレゼントを買うことにしました。

    そうしているうちに,来週の週末から什分の一年末面接を行うという発表が監督からありました。わたしたちは毎月いくらかの什分の一を納めていましたが,完全ではありませんでした。わたしたちはいつも,家計が楽になるように,楽になれば不足分を納めたいと思っていました。

    計算してみると,年末の時点で完全な什分の一の納入者になるには,監督にちょうど60ドルを納める必要がある,と分かりました。それまでに,60ドルがそんなに大金だと思ったことはありませんでした。わたしたちは人生で最も大切な教訓をそこで学びました。『毎月の給料をもらう日に主に対して正直になりなさい』ということです。

    ……わたしたちは幾らかでも使ってしまいたいという誘惑を受ける前に,監督の家へ行って60ドルを支払うことにしました。

    ……まだ手元に3ドルありますから,クリスマスの買い物ができます。翌日,わたしたちは……黒の塗料の缶と赤の塗料の缶を買いました。子供たちが寝静まってから,わたしは夫と共に長い時間をかけて,廃材から木のおもちゃを作って塗料を塗りました。わたしは動物のぬいぐるみと「ぼろを着たアン」の人形を縫いました。

    こうして,お金はありませんでしたが,楽しいクリスマスを過ごせました。

    1月の半ば頃に,夫に電話があり,月150ドルで就職しないかという誘いを受けました。ほんとうに幸運でした。それ以来,夫が亡くなるまで,失業したことはありませんでした。わたしたちは霊的にも経済的にも恵まれました。

    マラキ3:10には次のように記されています。『わたしの宮に食物のあるように,十分の一全部をわたしの倉に携えてきなさい。これをもってわたしを試み,わたしが天の窓を開いて,あふるる恵みを,あなたがたに注ぐか否かを見なさいと,万軍の主は言われる。』

    わたしたちはチャレンジを受け入れました。すると,ほんとうに祝福が来ました。」(ジェニー・N・アーンストロム,“Tithing Came before Presents,” Ensign1988年12月号,41)

  6. ビデオカセット「主の導き1」(53670 300)から「天の窓」(32分)の一部を上映する。初等協会会長の許可を得たうえで,分かち合いの時間に勇者のクラス全員に見せるとよい(ビデオは16分ずつの2部に分けることができる)。

  7. 子供たちにマラキ3:10を暗記させる。

  8. 「什分の一を主に」(『子供の歌集』139)を歌うか,歌詩を読む。

まとめ

あかし

子供たちが什分の一の律法を守るとき,霊的にも物質的にも祝福を受けることを証する。あなたが什分の一を納めることによって祝福を受けたときのことを話すとよい。

読書課題

本課の復習のため,家庭でマラキ3:8-12を研究するよう,子供たちに提案する。

家族との分かち合いの提案

子供たちが,物語,質問,活動,家庭学習の提案などのレッスンの一部を家族と分かち合うように励ます。読書課題を家族で一緒に読んでもいい。

一人の子供に閉会の祈りをさせる。