神権はわたしたちの生活に祝福をもたらす（神権準備レッスン）

目的

このレッスンは11歳男子に神権の祝福と責任を理解させることを目的として作成されている。クラスの中で年長の子供が12歳の誕生日を迎える前にレッスンする。

準備

モルモン書の序文または「ジョセフ・スミス—歴史」1：29－54，59，66－72に記されている「預言者ジョセフ・スミスの証あかし」；教義と聖約13章および前書き；教義と聖約121：34－46を祈りの気持ちで研究する。
レッスンを研究して，どのように「聖文に関する記事」を子供たちに教えるかを決める（「レッスンの準備」ⅵ－ⅶ，「聖文と歴史記事に基づいて教える」ⅶ－ⅷ参照）。レッスンの目的を達成するのに最も役立つ「話し合いのための質問」と「レッスンを豊かにする活動」を選ぶ。
教材
1. モルモン書（人数分）
2. 教義と聖約
3. 懐中電灯，電球，カンテラなどの光源
4. 視覚資料5－48「キリスト・イエス」（『福音の視覚資料セット』240）；5－15「アロン神権を授けるバプテスマのヨハネ」（『福音の視覚資料セット』407）；5－16「メルキゼデク神権の回復」（『福音の視覚資料セット』408）

レッスン

一人の子供に開会の祈りをさせる。

導入

光源となる物を提示する。

これが光を出すためには何が必要ですか。（懐中電灯を準備しているのであれば，電池，電球，スイッチがそれぞれ正しい働きをしなければ，光を出さないことを説明する。電球を準備しているのであれば，電球には品質の良いフィラメントが必要であり，電源とつながっているソケットに電球をはめ込むことが必要である。また電気を流すためにスイッチを入れなければならない）

クラスの男の子に席から立つように言う。男の子は将来，神権を受けることができる。神権は電気よりも大きな力を持っている。なぜならば神権は神の御み名なによって行動する力と権能だからである。この力によって天父の子供たちはバプテスマを受け，教会のそのほかの儀式を受けることができる。しかし，少年たちがこの力を受け，神の御心みこころにかなった方法で行使するためには，神権者にふさわしい人物になり，また正しく準備をしなければならない。

聖文に関する記事

適切な箇所で視覚資料を用いながら，「預言者ジョセフ・スミスの証」または「ジョセフ・スミス—歴史」1：29－54，59，66－72からジョセフ・スミスが金版を受け，アロン神権に聖任された出来事を教える。ジョセフが金版を受けるまでに経験した事柄をクラスで簡単に復習するとよい。

話し合いと応用のための質問

レッスンの準備に当たって，以下の質問と参照聖句を研究する。子供たちが聖文を理解し，生活に応用するうえで最も役立つと思われる質問を，採り上げる。教室で子供たちと一緒に聖句を読んで話し合えば，聖文に対する子供たち一人一人の理解力を深めるのに役立つ。

ジョセフ・スミスは最初の示現を受けてすぐに，金版を翻訳したり，神権を受けたり，教会を組織したりすることができなかったのはなぜですか。（ジョセフはこれらの準備ができていなかった。知恵と知識において成長する必要があった）
主がジョセフ・スミスにお与えになった最初の大きな仕事は何でしたか。（わたしたちがモルモン書を手にすることができるように金版を翻訳すること）
天使モロナイの最初の訪れを受けたとき，ジョセフは何をしていましたか（ジョセフ・スミス—歴史1：29－30）。ジョセフ・スミスは初めて金版を目にするまでに，モロナイの訪れを何度受けましたか（ジョセフ・スミス—歴史1：30，44－49；4回）。モロナイは最初のメッセージをその後3回繰り返して述べたのはなぜだと思いますか。
ジョセフは金版を翻訳する前に，ほかにどのような指示を受けましたか（ジョセフ・スミス—歴史1：53－54）。この指示によってジョセフは，その後行うことになったほかの偉大な事柄のために，どのように準備することができましたか。あなたは将来のためにどのような準備をしていますか。
末日聖徒のほとんどの若い男性は，12歳になると引き受ける特別な義務がありますが，それは何ですか。（アロン神権を受け，執事に聖任される）
ジョセフ・スミスはどのようにしてアロン神権を受けましたか（ジョセフ・スミス—歴史1：68－70）。現代の若い男性はどのような順序でアロン神権を受けますか。（ふさわしいかどうかについての面接を受け，聖任する権能を持つ人から按手によって聖任される）
男の子は神権を受けるためにどのような準備をしなければなりませんか。女の子は神権の祝福を受けるためにどのような準備をしなければなりませんか。（男の子も女の子も同じように準備する。祈る，信仰を持つ，両親や教師から福音を学ぶ，ふさわしい生活をする，戒めを守る，ほかの人々に奉仕する，お互いを尊敬する，正直になる）（「レッスンを豊かにする活動」の4を参照）
執事には教会でどのような責任がありますか（教義と聖約20：59）。執事はこれらの責任をどのようにして果たしますか。（聖せい餐さんをパスする，断食献金を集める，聖餐会で監督のメッセンジャーとして働く，良い模範を示す）
聖餐を最初にパスした人はだれですか（イエス・キリスト）。聖餐はなぜ神聖なのでしょうか（イエス・キリストがわたしたち一人一人のためにささげてくださった犠牲を象徴する儀式だから）。

以下のジェフリー・R・ホランド長老の話を教師が読むか，一人の生徒に読ませる。「若いアロン神権者の皆さんに，救い主の犠牲の象徴をふさわしい状態で，また敬虔けいけんな気持ちで準備し，祝福し，パスするようにお願いいたします。このような驚くほど若い年代に，何とすばらしい特権と神聖な信頼が与えられていることでしょう。天から皆さんに与えられる最高の賛辞だと言えましょう。わたしたちは皆さんを心から愛しています。最善を尽くして生活し，主の晩餐である聖餐の儀式に携わるときは，できるかぎり身だしなみを整えてください。」（「わたしを記念するため，このように行いなさい」『聖徒の道』1996年1月号，73）
わたしたちは皆，どのようにして神権を尊び，支持することができますか。（神権指導者からの召しを受け入れる。人々に奉仕する。教会指導者に対して尊敬の気持ちを込めて話す。父親，兄弟，家族，そのほか神権者のために祈る）（「レッスンを豊かにする活動」の3を参照）あなたがこれらのことをすることによって，父親や兄弟が彼らの神権を尊ぶのをどのように助けることができるでしょうか。彼らはあなたがたが神権を受けるときまたは神権の祝福を受けるときの準備をどのように手伝うことができるでしょうか。

レッスンを豊かにする活動

以下の活動を，レッスンのどの部分でも，また幾つでも使うことができる。復習やまとめ，チャレンジに利用してもよい。

神権を通じてもたらされる以下の祝福をそれぞれカードまたは紙に書いておく。

命名と祝福を受ける

バプテスマを受ける

聖霊の賜たま物ものを受ける

病気のときに祝福を受ける

聖餐を受ける

伝道に出る

神殿で結婚する

クラスを幾つかのグループに分けて，各グループにカードを一枚ずつ配る。カードに記されている祝福について，個人としてまたは家族で経験した事柄をグループ内で分かち合うよう子供たちに勧める。
子供たちに，非常に暗い場所にいる様子を心に思い浮かべるように言う。深くて暗い洞くつを訪れた旅行者グループの話をする。グループのガイドは洞くつの奥へ一行を案内すると，電灯を消して，数分間待ってから，出口の方向を指さすように言った。そして電灯をともすと，人々は様々な方角を指していた。

ロバート・D・ヘイルズ長老の以下の話をする。「神権の力がこの地上になければ，悪魔ははばかることなく世界を席巻することでしょう。聖霊の賜物がわたしたちに導きと悟りを与えてくれることはありません。主の御名により語る預言者もいません。神聖な永遠の聖約を交わす神殿もありません。祝福を授けたり，バプテスマや癒いやしを与えたり，人に慰めを与えたりする権能もないのです。……光もなく，望みもなく，あるのは暗くら闇やみだけです。」（「神権がもたらす祝福」『聖徒の道』1996年1月号，35）
ある家族が神権の召しを受けた父親をどのように支持したかを述べた以下の話を読むか，自分の言葉で話す。

「（もう何年も前に，総大会で）わたしは，エズラ・タフト・ベンソン長老の6人のお子さんたちと並んで席に着きました。一人がわたしの大学のルームメートだったからです。マッケイ大管長が席を立って次の話し手を発表したとき，わたしの関心はますます募りました。マイクに向かうベンソン長老を，わたしは尊敬のまなざしで見守りました。わたしはそれまでに一度もベンソン長老にお会いしたことがありませんでした。長老は180センチは軽く超す背丈の高い方でした。博士号を持ち，合衆国農務長官として国際的に知られており，主の特別な証人で，確信に満ち，落ち着いて見えました。世界中の人々に演説をしてきた方です。そのとき突然，だれかの手がわたしの腕に触れました。小さな女の子が体をもたれてわたしに言うのです。『パパのためにお祈りして。』

わたしはちょっと驚いて考えました。『この列に伝わっているのだわ。それならわたしも隣に伝えなくちゃ。「ベンソン長老のためにお祈りして」と言うのかな。それとも「お父さんのためにお祈りしてって言ってるわよ」と言うのかな。』ぐずぐずしていられないと思ったので，わたしはただ，『パパのためにお祈りして』と耳うちしました。

見ていると，そのささやきは列を伝わってベンソン姉妹の席まで届きました。姉妹はすでに頭を垂れていました。

わたしはあの日から，パパのためにお祈りして，家族の族長である父親のためにお祈りをして，というあの言葉を幾度も思い出してきました。地方部長として，あるいはホームティーチャーとして働くお父さんのために祈ってください。市民グループの責任者になったときや，仕事が順調なとき，サラリーがカットになったとき，お父さんのためにお祈りしてください。家庭の夕べでお父さんが教えるとき，祈ってください。息子が伝道に行けるように，娘が大学に行けるように遅くまで働くお父さんのためにお祈りをしてください。お父さんが聖餐会で話をするときや，病気のお母さんがよくなるように祝福をするとき，お父さんのために祈ってください。……夜になってお父さんが疲れたり落胆したりして帰って来たら，父さんのために祈ってください。小さなことでも大きなことでも，なすこと全部についてお父さんのために祈ってあげてください。

あれから歳月が過ぎる間に総大会は何度も巡ってきました。わたしはベンソン長老が立って話される度にいつも，『アメリカの各地に住むようになったお子さんたちは，今も一つになってお父さんのために祈っているに違いない』と考えるのです。

そしてわたしは，21年前に大会のあの席でささやき伝えられたあの言葉が，家族にとって最も大切なことなのだと考えるようになりました。どこにいても『パパのためにお祈りして』とささやく娘や息子を持つお父さんは，毎日のチャレンジと取り組んでいる間も，どれほど大きな力と信仰が持てることでしょう。」）「パパのためにお祈りして」「聖徒の道」1976年4月号，196）
福音に添って生活しているならば，わたしたちは責任を受け入れ，神権の祝福にあずかるための準備を整えることができる。「わたしの福音の標準」（小冊子『神への信仰　少年用』〔36812　300〕，『神への信仰　少女用』〔36813　300〕）の裏表紙を，一つ一つの項目について子供たちがどれほど標準に従って生活しているかを少しの間考えさせながら読む。全項目を読み終えたら，絵または鍵かぎの言葉を使ってレッスンを復習するとよい。

わたしの福音の標準
1. わたしは，天父がわたしのためにたててくださった計画に従います。
2. わたしはバプテスマの聖約をおぼえ，聖霊のささやきに耳を傾けます。
3. わたしは正しいことを選びます。わたしは過ちを犯したときも，悔い改められることを知っています。
4. わたしは天父，人々，自分自身に対して，正直になります。
5. わたしは天父とイエス・キリストのみ名を尊びます。わたしは神のみ名を汚したり，らんぼうな言葉づかいをしたりしません。
6. わたしは安息日に，天父を身近に感じられることを行います。
7. わたしは両親をうやまいます。わたしは家族を強めるために自分のできることをします。
8. わたしは心と体を清く神聖に保ち，害になるものを取りません。
9. わたしはつつしみ深い服を着て，天父と自分自身をうやまいます。
10. わたしは天父によろこばれるものだけを読み，見ます。
11. わたしは天父によろこばれる音楽だけを聞きます。
12. わたしはよい友達を見つけ，人に親切にします。
13. わたしは今，神殿に参入するためにふさわしく生活し，そして伝道に行きます。わたしは永遠の家族を持つために自分のできることをします。
ゴードン・B・ヒンクレー第15代大管長の以下の話を紹介する。「この教会は大管長のものではありません。この教会の頭は主イエス・キリストです。わたしたちは一人一人が〔バプテスマのときに〕，その御名を受けています。わたしたちは皆，この偉大な御業にともに携わっています。わたしたちは，天父の業と栄光である『人の不死不滅と永遠の命をもたらす』（モーセ1：39）ための働きの中で，天父の助け手となるために召されているのです。皆さんの受けている責任も，わたしの受けている責任も，その重要性に変わりはありません。この教会に，小さな召しとか，つまらない召しなどはありません。わたしたちは皆，責任を果たしていく中で，人々の生活に影響を及ぼすのです。」（「主の御業」『聖徒の道』1995年7月号，76）
「愛の言葉」（『子供の歌集』102）を歌うか，歌詞を読む。

まとめ

証あかし

神権が回復されたこと，神権は神に代わって行動するための権能であることについて証を述べるとよい。男の子たちは今から，神権を受けるためにふさわしくなるように生活し，生徒全員が神権のすべての祝福を受けるのにふさわしく生活するよう励ます。

家族との分かち合いの提案

子供たちが，物語，質問，活動，家庭学習の提案などのレッスンの一部を家族と分かち合うように励ます。読書課題を家族で一緒に読んでもいい。

読書課題

本課の復習のため，家庭で教義と聖約121：34－46を研究するよう，子供たちに提案する。

一人の子供に閉会の祈りをさせる。