2000–2009
個人の神権の責任
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個人の神権の責任

神権の職に聖任されると,権能か授えられます。しかし,力ばその権能を義にかなって行使することから得られるのです。

神権を持つ愛する兄弟の皆さん,わたしたちは多くの国々から集まっていますが,パウロが述べているように,わたしたちにとって,「主は一つ,信仰は一つ,バプテスマは一つ」1です。しかし,各人の内にある信仰の強さは,グループとしてではなく,個人として増すものです。

例えば,8歳ほどのある少年の信仰を考えてみてください。少年は急性虫垂炎で緊急に手術を受けることになりました。手術台に横たわると,外科医を見上げてこう言いました。「先生,手術を始める前に,ぼくのために祈ってくれませんか。」

外科医は驚いて少年を見詰め,言いました。「何だって。祈るなんてできないよ。」

すると,その幼い子供は言いました。「先生がぼくのために祈ってくれないのなら,自分で祈るから待っててください。」それから,その少年は手術台の上にひざまずき,両手を組んで,祈り始めました。「天のお父様,ぼくにはお父さんもお母さんもいません。恐ろしい病気になって,先生たちから手術を受けます。先生たちがよく手術できるように,どうか助けてください。天のお父様,治してくださったら,良い子になります。どうかぼくを治してください。」それから少年は仰向けになると,目に涙を浮かべている医師たちと看護師たちを見上げて言いました。「さあ,用意ができました。」2

少年の体は完全に快復し,霊的な力は増しました。兄弟の皆さんはこの少年より年上で,神権を授けられています。神権定員会には,友情を示し,奉仕し,学ぶ機会があります。しかし,神権の力を増す責任は,個人にあります。皆さんは個人としてのみ,神への堅固な信仰と,個人の祈りに対する熱意を増すことができるのです。個人としてのみ神の戒めを守れます。個人としてのみ悔い改めができます。個人としてのみ救いと昇栄の儀式を受ける資格が得られます。そして,伴侶はんりょとの結び固めを受けると,伴侶の力と潜在能力によって,皆さんの力と潜在能力は高められます。

わたしは十二使徒定員会というすばらしい神権定員会に所属しています。わたしたちは貴い兄弟愛を享受しています。一緒に祈り,一緒に奉仕します。教え合い,愛し合い,支え合います。十二使徒会の会員の経歴は,ビジネス,教育,法務,科学など様々です。しかし,そのような経歴があるので奉仕するように召されたわけではありません。事実,神権者として様々な責任に召される人は皆,その人がどんな人か,またどんな人になる可能性があるかで選ばれるのです。3

皆さんは生涯にわたって,様々な義務と責任を受けるでしょう。その多くは一時的なものであり,解任されると終わります。(皆さんは恐らく,福祉農場で草取りをする召しから解任されることには異議を唱えないでしょう。)しかし,個人と家族の成長に関する責任からは決して解任されません。

神権の職に聖任されると,権能が授けられます。しかし,力はその権能を義にかなって行使することから得られるのです。

主に対する責任

大管長から,聖任されたばかりの執事に至るまで,わたしたちは主に対する責任を負っています。誠実で忠実であって,主から与えられたあらゆる原則と教義に従って生活しなければなりません。必ず守もると決意:した戒めや啓示された教えに妥協を加えることはできません。主はわたしたちが「神の王国を築き,神の義を打ち立てる」4 ものと信頼してくださっています。

いつの日か,人はそれぞれ自分の人生について主に報告します。5数年前に,愛する友人と真剣に交わした会話にこのことがはっきりと表れていました。友人はまさに現世の生涯を終えようとしていました。わたしは世を去る準備ができているか尋ねました。わたしは彼の返事を決して忘れないでしょう。彼は勇敢に,また確信をもってこう答えました。「自分の生涯を吟味していただく準備はできているよ。」

預言者ジョセフ・スミスは死に直面してこう述べました。「わたしはほふり場に引かれて行く小羊のように行く。しかし,わたしは夏の朝のように心穏やかである。わたしの良心は,神に対してもすべての人に対しても,責められることがない。」6 

今は自分の最終面接に備える時期です。こう自問するとよいでしょう。「わたしは快く什分じゅうぶんの一を納めているだろうか。知恵の言葉を守っているだろうか。卑わいで汚らわしい言葉を使っていないだろうか。道徳的に正しいだろうか。復活を現実のものとし,永遠の命を得られるようにしてくれる贖罪しょくざいに,心から感謝しているだろうか。愛する人たちと永遠に結び固められる神殿の聖約を尊んでいるだろうか。」正直に「はい」と答えられれば,皆さんは神権の力を増し加えています。

その力に聖霊の賜物たまものを加えることができます。聖典には,聖霊を受けていながらそのことを知らなかった民のことが述べられています。7そのようなことがないようにしましょう。その賜物をさらに大いなるものとし,神から次の約束を得るにふさわしくあってください。「わたしがあなたがたの心の中に入れる思いを語りなさい。そうすれば,あなたがたは人々の前で辱はずかしめられることはないであろう。あなたがたの言うべきことは,まさにそのときに,まことにその瞬間にあなたがたに授けられるからである。」8

個人の責任と神権の力

神権の権能は多くの神権時代にありました。アダム,ノア,エノク,アブラハム,モーセ,時の中間,ヤレド人,ニーファイ人,その他の神権時代です。過去の神権時代は皆,それぞれ背教で終わり,期間が限られていました。また,地球上の狭い地域に限られていました。それに比べて,現在の神権時代,すなわち時満ちる神権時代は,時間や場所の限界がありません。地球規模で,すべてをつなぐ完全無欠の結束をもたらし,アダムの時代から現代に至るまでの神権時代と鍵,力,栄光を一つに統合するものです。9

アロン神権は,1829年5月15日にバプテスマのヨハネにより回復され,メルキゼデク神権はその後間もなく,ペテロ,ヤコブ,ヨハネにより回復されました。10 さらに,天の使者によりそれぞれの神権の鍵が与えられました。モロナイはモルモン書の鍵を持っていました。11 モーセはイスラエルの集合と十部族の導きの鍵を持っていました。12 エライアスは万物の回復をもたらす鍵を授けました。13アブラハムの聖約も含まれています。14そして,エリヤは結び固めの権能の鍵を授けました。15露皆さんは鍵について御存じです。皆さんのポケットの中には,家や車の鍵があるかもしれません。他方,神権の鍵は触れることも見ることもできません。それは神権の権能の「スイッチ」を入れます。地上だけでなく天でも結ぶ力を与える鍵さえあります。16

ジョセフ・スミスは十二使徒の全員に神権の鍵を授けました。18鍵は代々の指導者に受け継がれてきました。今日こんにち,ゴードン・B・ヒンクレー大管長は,「創造の初めからいずれの時であっても神権時代を受けたすべての者」18が持っていた,すべての回復された鍵に関する権能を持っています。

この教義に関する歴史を心に留めると,人が神権を金で買えないことは明らかです。聖典にはこう述べられています。つとめ「だれもこの栄誉ある務つとめを自分で得るのではなく,アロンの場合のように,神の召しによって受けるのである。」19

神権を持っているということは,自分の召しを尊んで大いなるものとする個人の責任があることを意昧します。あらゆる奉仕の機会を通して,神権の力を増し加えましょう。また,身だしなみにおいても,生ける預言者たちの模範に従ってください。そうすることは,「神の御子の位に従う聖なる神権」20の重要性を真に理解していることを暗黙のうちに表明していることになります。

兄弟の皆さん,メルキゼデク神権を行使する機会があるときに,自分は何をすべきか深く考えてください。人の頭に手を置くとき,皆さんは祈りをささげるのではありません。祈りにはもちろん権能は必要ありません。皆さんは主の御名みなによって任命し,聖任し,祝福し,語る権能を与えられているのです。21次の主の約束を忘れないでください。「だれでもあなたが祝福する者をわたしは祝福し」22,「わたしはあなたにわたしの御霊みたまを授けよう。……そのとき,あなたは知るであろう。すなわち,……わたしから与えられると信じながら信仰をもってわたしに願うことで,義にかかわることは何であろうとすべて知るであろう。」23

アロン神権における召しを尊んで大いなるものとするために,青少年の皆さんは5つの個人の目標を達成するよう,個人として努力しましょう。

●イエス・キリストについて福音の知識を得る。

●伝道活動をするにふさわしくある。

●道徳的な清さを保ち,聖なる神殿に参入する資格を得る。

●個人として教育を受け続ける。

●教会の標準を守り,将来の伴侶にふさわしくある。

5つの目標をどうすれば心に留められるでしょうか。簡単です。手を見てください。人差し指で聖典を指さしましょう。聖典を通してイエス・キリストの福音についてさらに知識を深め,主の教えに従って生活してください。中指で,伝道活動をするにふさわしくあることを思い出しましょう。薬指で,結婚,エンダウメント,結び固め,神殿の祝福を思い出しましょう。小指で,教育を受け続けることがこの教会の会員としての務めの一つであることを思い出しましょう。24親指を立てて,教会の標準を守り,永遠の伴侶にふさわしくあることを思い出すようにしましょう。この5つの目標を達成すると,祝福された人生を送ることができます。

メルキゼデク神権者の皆さんは,日の栄えの栄光の最も高い階級を得るにふさわしくなければなりません。「〔それ〕を得るためには,人はこの神権の位(すなわち,結婚の新しくかつ永遠の聖約)に入らなければならない。そうしなければ,その人はそれを得ることができない。」25

妻を尊ぶときに,皆さんはその聖約を尊んでいることになります。夫が最も儂i先することは妻への気配りでなければなりません。妻に誠実であってください。目をポルノグラフィーに向けたり,みだらなことを語ったりしないでください。選択の自由があるからという理由だけで選ぶことは,将来の選択の自由を制限します。選択の自由を行使しておいて,その選択によって生じる責任と報告義務を避けることはできません。

次のことを決して忘れないでください。「神権の権利は天の力と不可分のものとして結びついており,〔この力〕は義の原則に従ってしか制御することも,運用することもできない……。」26 その力を誤用して,罪を覆い隠したり,高慢やうぬぼれた野望を満たしたり,いかなる程度の不義によってでもほかの人を制御したりすると,神権の権能と力の両方を失ってしまいます。27

兄弟の皆さん,温厚,寛容,優しさ,柔和,偽りのない愛,純粋な知識,すべての人に対する慈愛をもって奉仕してください。28 そうすれば,「神権の教義は天からの露のようにあなたの心に滴る」でしょう。29

どうか,わたしたちが皆さん一人一人を愛し,感謝していることを知ってください。皆さんの信仰と奉仕に,また支持してくださることでわたしたちが得ている強さに感謝しています。皆さんが神権の力を義にかなって追求することにより,皆さんと愛する人たち,子孫が祝福されますように。

神は生きておられます。イエスはキリストであり,預言者と使徒を通じて御自分の教会を導いておられます。イエス・キリストの御名によって証あかしします。アーメン。