2000–2009
回復されたイエス・キリストの福音の証を受ける
2003年10月


回復されたイエス・キリストの福音の証を受ける

ジョセフ・スミスの模範と,福昔が回復されたパターンに従〔ってください。〕聖典を開いてください。ひざまずいて祈ってください。信仰をもって願い求めてください。聖霊に耳を傾けてください。

わうな質問をしばしば受けます。「回復されたイエス・キリストの福音の証は, どのようにして受けるのですか。」

証を得て改心するには,研究し祈ることから始め,堪え忍び,粘り強く福音に従って生活レ,さらに御霊の導きを求め,御霊に頼ることが必要です。ジョセフ・スミスの生涯と,福音の回復は,この段階を示す非常に良い例です。今日お伝えする回復に関連した出来事についてお話しします。証に導いてくれる段階,つまり,真理を知りたいと望み,心の中で深く考え,聖霊の促しを感じて素直に従うという段階に心を留めながら聞いてください。

ジョセフ・スミスは1805年12月23日,バーモント州シャロンに生まれました。ジョセフの家族には,祈り,聖書を研究する習慣がありました。少年時代に宗教に関心を持ったジョセフは,キリストの教えについて「牧師が牧師と,改宗者が改宗者と言い争うひどい混乱… … の場面」1が繰り広げられていることを知りました。

この混乱はジョセフの住んでいた地域だけでなく,各地で起こりました。その発端は大背教と呼ばれている数世紀前の出来事にさかのぼります。使徒パウロは,「まず背教のことが起」2らなければ主の日は来ないと言いました。

キリストが復活されてから数十年後に,使徒たちが殺され,主の教えは堕落し,神権は地上から取り去られました。けれども今の時代を見ていたパウロは「時の満ちるに及んで… … 〔神は〕ことごとく,キリストにあって一つに帰せしめようとされ〔る〕」3と預言しました。それは神がキリストの真の教会をもう一度地上に回復してくださるという意味でした。

それから何世紀にもわたって,世界はその回復のために備えられました。聖書が翻訳され,出版されました。新大陸が発見されました。キリスト教世界全体に改革の精神が広まり,自由の原則に基づいた新しい国が築かれました。

ジョセフ・スミスはその国に生まれました。ジョセブは14歳のときに,「〔宗教的な〕見解の騒動」に巻き込まれていました。そして,「もし彼らのうちのどれかが正しいとすれば,それはどれで,どうすればそれが分かるのだろうか」4と考えるようになっていました。

ジョセフは答えを求めて聖書を開きました。そしてヤコブの手紙の中から次のような言葉を読みました。「あなたがたのうち,知恵に不足している者があれば,その人は,とがめもせずに惜しみなくすべての人に与える神に,願い求めるがよい。そうすれば,与えられるであろう。」5

ジョセフはヤコブの指示に従い,近くの森に入って祈りました。神を呼び求めていると,「光の柱⊆が〕… … 次第に降りて来て」真昼の太陽の光よりも明るくなり,「二人の御方」が御姿を現わされました。「そのうちの御一方が… … 語りかけ,〔ジョセフ〕の名を呼び,別の御方を指して,『これはわたしの愛する子である。彼に聞きなさい』と言われ」ました。”6

父なる神と御子イエス・キリストはジョセフと言葉を交わされました。ジョセフの質問に答え,真の教会は地上から失われているとお教えになりました。ジョセブは神会の御二方が別個の異なった御方であること,自分の名を知っておられたこと,祈りに快くこたえてくださることを知りましたこうして天は開かれ,背教の夜は終わりを 告げて,福音の光が輝き始めました。

わたしたちの多くはジョセフと同様に真理の光を探し求めています。世の申が回復のために備えられたように,わたしたち一人一人も生活の中で福音の光を受けるために備えられています。環境の変化によって備えられることもあります。新しい友達との出会いや見知らぬ地域への引っ越し,転職,子供の誕生,愛する人の死,病気,不幸な出来事,あるいは災難などを通して準備されるのです。

こうした節目を迎えるときに,人は人生の大切な質問に答えを探し求めます。わたしは何者なのだろう,どこから来たのだろう,なぜ地上にいるのだろう,死んだ後にどこへ行くのだろう。ジョセフは生まれながらにしてその答えを知っていたわけではありませんでした。わたしたちも同様です。したがって,自分で見つけなければなりません。

ジョセフと同じようにわたしたちも聖文を調べて,祈らなければなりません。そのために多くの人は,疑いの気持ちや自分には価値がないという思いに打ち勝ち,謙虚になり,信仰を行使しなければなりません。

最初の示現から3年の問に,ジョセブは心から謙虚になりました。「わたしはしばしば自分の弱さと不完全さのゆえにとがめを感じた」7と述べています。しかし,ジョセフは信仰を失うことも,祈りの力を忘れることもありませんでした。

1823年9月21日,17歳になったジョセフは,ひざまずいて,「〔自分の〕罪と愚かな行いを赦してくださるように,また神の前における自分の状態と立場を知るために示しをくださるように,祈〔りました。〕」8そして,祈っているうちに,再び光が現れて,ついに「その部屋は真昼の時よりも明るく〔なりました。〕」9その光の中に「この上なく美しい白さの」10衣を着た方が立っていました。その方はジョセブの名を呼んで,自分の名がモロナイであることを知らせました。モロナイは「神が〔ジョセフ〕のなすべき業を備えておられること」11そして金版に記された古代の記録,すなわちモルモン書として翻訳されるべき記録について告げました。この書には,イエス・キリストがモロナイの先祖に教えられた完全な福音が載っています。そしてジョセブはその記録を手に入れるよう指示されました。家族が住む家の近くの,現在クモラと呼ばれる丘に,その記録は埋められていました。

翌日ジョセブはその版を見つけましたが,それを世に出す時期はまだ来ていませんでした。モロナイはそれから4年間,毎年同じ日にその場所に来るようジョセフに指示を与えました。12

ジョセブはその指示どおりにしました。毎年,丘を訪れると,モロナイからキリストの教会を回復することについて「指示」13を受けました。ジョセフは,新約聖書に記された少年時代の救い主のように「ますます知恵が加わり,背たけも伸び」14そして霊的に「強くなり」15ました。

わたしたちも同じ道をたどるのです。バプテスマを受けたばかりの会員の中には,福音における自分の知恵と成長について,つまり自分の知識があまりにも少ないことについて,がっかりしてしまう人がいます。ジョセフが最初に経験したように,従順な態度で努力し,福音の教えを受け,霊的に成熟する必要があることを忘れてしまうのです。会員として歳月を重ねている人でも,霊的に「強くな〔る〕」ために,絶えず聖霊の導きを受け,学ぶ必要があることを忘れてはなりません。

教えを忠実に守り続けて4年が過ぎた1827年9月22日に,21歳になったジョセフは版を受け取りました。また,版を翻訳するために,古代から伝えられてきた道具を受け取りました。それはウリムとトンミムと呼ばれています。その年の12月にジョセフはこの聖なる解訳器を使って,また聖霊の助けを受けて,翻訳を始めました。16その後,学校の教師をしていたオリバー・カウドリが加わり,筆記者を務めることになりました。17

23歳のとき,翻訳の作業を続けていたジョセフとオリバーは,罪の赦しのためのバプテスマについて記された箇所に差しかかりました。福音を探求し始めたばかりの人と同じように,二人はもっと詳しく知りたいと思いました。ジョセフはそのためにどうすべきかを知っていました。

1829年5月15日,二人は主に尋ねるために森の中へ入って行きました。二人が祈っていると,「光の雲の中」にバプテスマのヨハネが現れました。18この世で救い主にバプテスマを施した人物です。ヨハネは神の権能によってバプテスマの儀式を執り行うために必要な神権の鍵を持っていました。

ジョセフとオリバーがひざまずくと,バプテスマのヨハネは二人の頭に手を置いて,アロン神権を授けました。19そのときから,ジョセフとオリバーは人々にバプテスマを施し,神権を授ける権能を持つことになりました。

現在,バプテスマを受けるべきかどうかを知りたいと思っている人は皆,ジョセフとオリバーの模範に倣って,祈ることをお勧めします。バプテスマの準備ができていて,ふさわしい人は皆,この神権時代においてバプテスマのヨハネから途切れることなく継承されてきた権能を持つ者によって,バプテスマを受けることができます。

1829年の5月末または6月の初めに,使徒ペテロ,ヤコブ,ヨハネによって,メルキゼデク神権すなわち大神権がジョセフとオリバーに授けられました。

モルモン書の翻訳は同じ6月に完成して,それから1年もたたない1830年3月26日に書物として出版されました。

モルモン書が出版されて12日後の4月6日,ニューヨーク州フェイエットのピーター・ホイットマー・シニアの家で,教会は正式に組織されました。パウロが預言したように,古代のキリストの教会が地上に再び設立されたのです。20

しかし,回復の業はこれで終わったわけではありません。いにしえの時代と同じように,教会員は神殿を建設するように命じられました。そして,1836年3月27日にオハイオ州カートランドで神殿が奉献されました。1週間後の4月3日に神殿の中で集会が開かれました。厳粛かつ静寂な祈りがささげられた後,ジョセフとオリバーは目の前に主イエス・キリストが立っておられるのを見ました。「きつねには穴があり,空の鳥には巣がある。しかし,人の子にはまくらする所がない」21と語った御方が御自分の聖なる宮に来られたのです。モーセ,エライアス,エリヤも現れて,王国の鍵,救いの儀式の鍵をジョセフにゆだねました。22

兄弟姉妹の皆さん,これらの出来事に共通のパターンがあることに気づかれたでしょうか。最初の示現,モロナイの現れ,モルモン書の出現,神権の回復,そして聖なる神殿の奉献とそれに続くイエス・キリストの訪れ,これら回復の大切な出来事はすべて,祈りの後に起きました。

以来,116の神殿が奉献されてきました。わたしは聖なる奉献式に何度も出席しました。何度も奉献の祈りがささげられました。何度も聖霊の豊かな現れを経験しました。そして,そのような折りに,ほかの多くの経験にも増して,決して否定できない神の御霊による証を得てきました。心の中で燃える火のような回復された福音が真実であることについての証です。

わたしがこれらの知識をどのようにして得たかをお話しします。望む,信じて信仰を持つ,深く考える,そして御霊に従うなどの段階について,ニーファイが説得力のある,明らかな言葉で説明しています。ニーファイ自身の言葉を聞いてみましょう。「さて,わたしは,〔命の木の示現で〕父の見たことを知りたい と思い ,また主がそれを明らかにしてくださると信じて ,思いにふけりながら腰を下ろしていたとき,主の御霊に捕らえられ、……そして御霊がわたしに…… 言われた。」23

いったん御霊の証を受けると,証は研究と祈りと福音に従った生活を通して強められます。証が強まると,イエス・キリストを信じる信仰と,人に幸福をもたらす主の計画に対する信仰が増します。悔い改めて,戒めに従いたいという気持ちがわいてきます。それが心の中に大きな変化を起こし,改心につながります。改心すると,神の赦し,癒し,喜びを受け,証を人に伝えたいと思うようになります。

さて,このような段階を踏むために,どのように歩み始めたらよいのだろうかと考えている人がいるかもしれません。そのような人には,モロナイがモルモン書の中で勧めていることを実行するよう提案したいと思います。「また,この記録を受けるとき,これが真実かどうかキリストの名によって永遠の父なる神に問うように,あなたがたに勧めたい。もしキリストを信じながら,誠心誠意問うならば,神はこれが真実であることを,聖霊の力によってあなたがたに明らかにしてくださる。そして聖霊の力によって,あなたがたはすべてのことの真理を知るであろう。」24ある人はすぐに答えを受けます。一方,何年かかけてゆっくりと答えが与えられる人もいます。

このような霊的な現れを受けられるのは,聖霊が「わたしたちの内にとどまり得〔る〕」「霊の御方」だからです。25聖霊の使命は御父と御子を証し,御二方の御心を伝え,「なすべきことをすべて」26教えることです。地のあらゆる人は生活の中で時々,聖霊の力を感じることができます。けれども聖霊の賜物を受けて,聖霊を常に伴侶とすることが可能になるのは,権能を持つ者によってバプテスマを受け,按手による確認を受けた人たちだけです。

教会員が常に御霊を伴侶とするには,そのために熱心に努力しなければなりません。福音の律法と原則と儀式に従わなければ,聖霊は退いて行かれます。心に怒りを抱き,伴侶と言い争い,主の油注がれた者に批判的であると,聖霊はともにいることがおできになりません。反抗的であったり,不道徳であったり,慎みのない服装や行いをしていたり,心や体が清くなく,神を汚していたり,神権の召しと義務を不承不承果たしていたり,あるいはそのほかの罪を犯したりしていると,聖霊は離れて行かれます。なぜなら,「主の御霊は清くない宮にはとどまらない」27からです。

したがって,絶えず悔い改め,聖餐にあずかり,神殿の推薦状を受けるふさわしさを保ち,「心と,勢力と,思いと,力」28を尽くして主に仕えなければなりません。

心の中に聖霊がとどまっておられると,神と神のすべての子供たちに愛を感じます。この愛は恐れを追い出し,福音について話したいという思いを満たしてくれます。証を述べること以上にすばらしい贈り物はありません。一人でもキリストのみもとに導くこと以上に大きな喜びはありません。29証を強めるために,キリストに対する証を世の人々に伝えること以上にすばらしい方法はありません。そうすることで家族は強められます。ワードやステーク,地域社会が平和と愛に満たされて,最終的に,地は救い主イエス・キリストの再臨に備えることができるでしょう。

わたしは,回復されたイエス・キリストの福音が真実であることを知っています。末日聖徒イエス・キリスト教会が今日地上における主の教会であることを知っています。ジョセフ・スミスが神の預言者であり,ゴードン・B・ヒンクレーがジョセフの後継者であり,今日の教会の預言者,大管長であることを知っています。

これらのことを自分で知らない方のために,ジョセフ・スミスの模範と,福音が回復されたパターンに従うようお勧めします。ぜひ従っていただくよう,お祈りします。聖典を開いてください。ひざまずいて祈ってください。信仰をもって願い求めてください。聖霊に耳を傾けてください。天の御父はジョセブと同じように皆さんの名前を知っておられ,必要を知っておられるということを忘れないでください。堪え忍び,粘り強く福音に従って生活してください。イエス・キリストの御名によってお約束します。「もしあなたがたが…… 〔主〕の戒めを熱心に守りながら,答えを与えられると信じて信仰をもって〔天の御父〕に求めれば,これらのことは必ずあなたがたに明らかにされる」30のです。

イエス・キリストは生きておられます。これは主の業です。この特別な証をイエス・キリストの御名によって申し上げます。アーメン。

  1. ジョセフ・スミス—歴史1:6

  2. 2テサロニケ2:3

  3. ユニペソ1:10

  4. ジョセフ・スミス—歴史1:10

  5. ヤコブの手紙1:5。ジョセフ・スミス—歴史1:11参照

  6. ジョセフ・スミス—歴史1:16-17

  7. ジョセフ・スミス—歴史1:29

  8. ジョセフ・スミス—歴史1:29

  9. ジョセフ・スミス—歴史1:30

  10. ジョセフ・スミス—歴史1:31

  11. ジョセフ・スミス—歴史1:33

  12. ジョセフ・スミス—歴史1:52- 53参照

  13. ジョセフ・スミス—歴史1:54

  14. ルカ2:52

  15. ルカ2:40

  16. ジョセフ・スミス—歴史1:59、 62参照

  17. ジョセフ・スミス—歴史1:66- 67参照

  18. ジョセフ・スミス—歴史1:68

  19. 教義と聖約13章;ジョセフ・スミス—歴史1:68- 69参照

  20. エペソ1:10参照

  21. マタイ8:20

  22. 教義と聖約110章参照

  23. 1ニーファイ11:1-2 強調付加

  24. モロナイ10:4-5

  25. 教義と聖約130:22

  26. 2ニーファイ32:5

  27. ヒラマン4:24

  28. 教義と聖約4:2

  29. 教義と聖約18:15参照

  30. 1ニーファイ15:11