1さて、レーマン人は再び攻めて来ることなく十年が過ぎ去った。見よ、その間に、わたしは自分の民、ニーファイ人を使い、戦いのときのために土地と武器を備えさせた。
2そして、主はわたしに言われた。「この民に、『悔い改めてわたしのもとに来てバプテスマを受け、わたしの教会を再建しなさい。そうすれば、あなたがたは救われる』と宣言しなさい。」
3そこでわたしはこの民に宣言したが、無駄であった。これまで彼らの命を助け、彼らに悔い改めの機会を与えてこられたのが主であることを、彼らは悟っていなかった。そして見よ、彼らは主なる神に対して心をかたくなにした。
4さて、この十年目が過ぎ去り、キリストの来臨から数えて三百六十年目になると、レーマン人の王がわたしに手紙を送ってきた。そして、彼らが再びわたしたちを攻める準備をしていることを知らせてきた。
5そこでわたしは、自分の民をデソレションの地に、すなわち南方の地に通じる地峡のそばの境の地にある町に集めた。
6わたしたちはまた、レーマン人の軍隊を阻止し、わたしたちの土地を少しも占領させないように、軍隊を配置した。そのように、わたしたちは総力を挙げて彼らに対する防備を固めた。
7さて、第三百六十一年に、レーマン人はわたしたちと戦うためにデソレションの町に下って来た。しかしその年に、わたしたちは彼らを打ち負かしたので、彼らは自分たちの土地へ引き返した。
8第三百六十二年に、彼らは戦うためにまた下って来たが、わたしたちはまた彼らを打ち負かして大勢を殺した。そして、彼らの死体は海に投げ込まれた。
9ところが、わたしの民ニーファイ人は、このような大きな戦果を得たため、自分たちの力を誇るようになるとともに、また敵に殺された同胞の血の報復をすると天の前に誓い始めた。
10彼らは敵と戦うために上って行って、地の面から敵を絶つと、天にかけて、また神の御座にかけて誓った。
11そこでわたしモルモンは、この民の悪事と忌まわしい行いのために、彼らの司令官となり指揮官となることを、このとき以来きっぱりと断るようにした。
12見よ、わたしはこれまで彼らを導いてきた。彼らの悪事があったにもかかわらず、わたしは何度も彼らを率いて戦い、またわたしの内にある神の愛によって、心を尽くして彼らを愛してきた。また、彼らのために終日心を注ぎ出して神に祈った。それでも、彼らの心がかたくなであったので、祈りがかなえられるという信仰はわたしになかった。
13わたしはこれまで三度、民を敵の手から救い出したが、彼らは自分たちの罪を悔い改めなかった。
14そして彼らが、わたしたちの主であり救い主であるイエス・キリストによって禁じられていた、すべてのものにかけて、自分たちは敵のところに上って行って戦い、同胞の血の報復をすると誓ったとき、見よ、主の声がわたしに聞こえてこう言われた。
15「報復はわたしのすることである。わたしが報復する。この民はわたしによって救い出された後に悔い改めなかったので、見よ、地の面から絶たれる。」
16さて、わたしは敵に向かって上って行くことをきっぱりと断り、主から命じられたとおりにした。わたしは、将来起こることについて証をされた御霊の示しのとおりに、自分が見聞きしたことを世の人々に明らかにする証人になった。
17したがって、異邦人よ、わたしはあなたがたに書き伝える。また、イスラエルの家よ、あなたがたが自分の受け継ぎの地に帰る用意をする、その業が始まるときに読めるように、あなたがたにも書き伝える。
18まことに見よ、わたしは地の果てに至るすべての人に書き伝える。イエスがエルサレムの地で御自分の弟子となるように選ばれた十二人から、自分の行いに応じて裁きを受けるイスラエルの十二部族よ、あなたがたにも書き伝える。
19わたしはまた、この地でイエスが選ばれた十二人から同じく裁きを受ける、この民の残りの者にも書き伝える。この十二人は、イエスがエルサレムの地で選ばれた、別の十二人から裁きを受けるであろう。
20これらのことは、御霊がわたしに示してくださった。そこで、わたしはあなたがた全員に書き伝える。わたしがあなたがたに書き伝えるのは、あなたがた全員が、まことにアダムの全人類家族に属するすべての人が、キリストの裁きの座の前に立たなければならないこと、あなたがたの行いが善いか悪いか、自分の行いについて裁かれるために立たなければならないことを、あなたがたに知らせるためであり、
21また、将来あなたがたの中にあるイエス・キリストの福音を、あなたがたに信じさせるためであり、また、主の聖約の民であるユダヤ人に、彼らがかつて殺したイエスがまことのキリストであり、まことの神であられることを知らせることになっている、彼らの見聞きした証人以外の別の証人を与えるためである。
22わたしは地の果てに至るすべての人に、悔い改めてキリストの裁きの座に立つ備えをするように説き勧めることができればと願っている。