初等協会テキストと分かち合いの時間
教師への提案


教師への提案

救い主は戒めに従い,それについて教えることの大切さを次のように説いていらっしゃいます。「これをおこないまたそう教える者は,天国で大いなる者と呼ばれるであろう。」(マタイ5:19)教師には,子供たちがバプテスマの聖約を守り奉仕する方法を身に付けられるよう助けるという,神聖な責任があります。少女が若い女性になり,少年が若い男性となって神権を受ける備えをするうえで,教師は大きな影響を及ぼすことができます。

教会が組織されて間もない1831年,救い主はこう言われました。教師は,「『聖書』と……『モルモン書』の中にあるわたしの福音の原則を教えなければならない。」(教義と聖約42:12)当時用いることのできた聖典はこの2冊だけでした。しかし,今日の教師には,『教義と聖約』や『高価な真珠』も含むすべての標準聖典から教え,子供たちが天父と御子イエスに対する信仰をはぐくんでいけるよう助ける責任があります。

学習コース

1月1日の時点で8歳から11歳までのすべての子供たちは,初等協会4,5,6,7のいずれかの学習資料を基に学ぶことになっています。この年齢グループの子供たちに,毎年一つの学習コースのみが適用されます。各学習コースは特定の聖典に基づいています。すなわち,初等協会4は『モルモン書』,初等協会5は『教義と聖約』,初等協会6は『旧約聖書』,初等協会7は『新約聖書』に基づいています。こうして子供たちは4年後には標準聖典をすべて学んだことになります。

地元の必要性と8歳から11歳の子供たちの人数によっては,クラスを各年齢別,合同,男女別に設定することもできます。しかし,クラス編成に当たっては,子供たち一人一人が十分な配慮を受けられるようにする必要があります。

子供たちは12歳になると,若い男性または若い女性のクラスに出席し始めます。しかし,日曜学校の時間帯は引き続き初等協会に出席し,1月の第1週以降は日曜学校に出席し始めます。

本書には特別レッスン「神権はわたしたちの生活に祝福をもたらします」が含まれています。このレッスンは少年が執事になり,少女が若い女性に進級する準備をする11歳児を教える教師が使用します。クラスの子供でだれかが最初に12歳の誕生日を迎える前にこのレッスンを実施してください。子供たちが神権とはどのようなもので,わたしたちの生活にどのように祝福をもたらし,神権を尊ぶためにはどのような責任を果たすことができるかを理解できるように,教師であるあなたはレッスンの準備と実施に当たって主の導きを求めてください。

本書を使って教える

本書は『モルモン書』の教えを中心に書かれています。これらの教えを分かち合い,話し合うとき,子供たちはイエス・キリストの使命とあがないに対する理解を深め,主への信仰と証をはぐくむことでしょう。また子供たちは,自分たちの生活にイエス・キリストの教えを取り入れる方法を学び,戒めを守りたいという強い願いを抱くことでしょう。

子供たちに家庭で『モルモン書』を読むよう勧め,アメリカ大陸で人々に仕えた預言者たちについて,またニーファイの民になされた,救い主の教導の業について彼らが学ぶようにしてください。子供たちは『モルモン書』に登場する預言者や救い主について学ぶにつれ,彼らの尊い模範と教えに従い,もっと彼らのようになりたいという気持ちを抱くようになるでしょう。子供たちが救い主と預言者たちの教えから学ぶ重要な真理は,彼らが生涯にわたって聖約を守り,教会で奉仕していく備えとなるでしょう。またこれらの真理は,子供たちがこの世の誘惑に抵抗する力をもたらしてくれるでしょう。

教えるために自分自身を備える

子供たちを教えるという神聖な責任を果たすうえで,教師は精神的霊的に備えなければなりません。この備えの一部として欠かせないのが,自分の教える原則への理解を深め,あかしを持つことです。すべての人のうち最も優れた教師である救い主は,人々に福音を教える備えをするのに役立つ事柄をたくさん説かれました。

  • 祈りを通じ,へりくだってたまの導きを求める。主はこう言われました。「あなたは謙遜けんそんでありなさい。そうすれば,主なるあなたの神は手を引いてあなたを導き,あなたの祈りに答えを与えるであろう。」(教義と聖約112:10)謙遜であれば,主がその子供たちをどのように教えるよう望んでおられるか分かるでしょう。

  • 聖文と生ける預言者の言葉を研究する。主の言葉を学び深く思い巡らすことにより大きな力がもたらされます。主はこう命じられました。「まずわたしの言葉を得るように努めなさい。そうすればその後,あなたの舌は緩められる。それから望むならば,あなたはわたしの御霊とわたしの言葉,すなわち人々を確信に導く神の力を受けるであろう。」(教義と聖約11:21

    末日の預言者エズラ・タフト・ベンソン大管長は主の言葉を学ぶ必要性を改めて強調しています。「ぜひとも熱心に聖文を勉強してください。毎日聖文に親しみ,御霊の力を受けて召しを果たすようにしてください。」(『聖徒の道』1986年7月号,82)

  • 聖約を守る。御霊の導きを受ける力は,天父と交わした聖約を守る忠実さにかかっています。「聖約……を守って実行」(教義と聖約42:13)することにより,教師は子供たちのよい模範となれます。子供たちは,教師の救い主への愛と福音を実践しようとする真摯しんしな態度を目にするとき,自分たちも主に従おうという思いを鼓舞されることでしょう。

  • どうすれば子供たちが主の愛を感じられるか考える。機会あるごとに子供たちにどんなに彼らを愛しているか伝え,また彼らの価値と可能性について証してください。教師の愛と親切を通じて,子供たちは天父とイエスの愛を理解するようになり,人を愛することも学んでいくでしょう。

レッスンの準備

本書は,聖文に焦点を当てたレッスンを準備するうえで役立つでしょう。各課には『モルモン書』からの様々な物語や引用が用いられており,子供たちが福音の原則を理解できるようになっています。各課で聖文中の出来事や聖句をどのように教えるかについては詳細に示されていません。しかし,御霊によって準備し教えるなら,子供たちが聖文中の出来事やそこに含まれる教えに対する理解を深め,それを実践していく方法を学ぶうえで力になれるでしょう。レッスンがよく準備された興味深いものであれば,子供たちはいっそう積極的に耳を傾け,学ぼうとするでしょう。

以下の手順は,クラスで子供たちを効果的に教えるための準備に役立つでしょう。

  1. レッスンの1,2週間前から「目的」の項目,「準備」の項目に挙げられた聖句を祈りの気持ちで研究しましょう。レッスンの目的と聖句を何度も読み返し,クラスの子供たちにどのように応用できるか熟考し,こう自問してみてください。「天父は,このレッスンを通じて何を学び,行ってほしいと子供たちに望んでおられるだろうか。子供たちがイエス・キリストへの信仰をはぐくみ,証を強め,立ちはだかる悪の誘惑を退けるうえで,このレッスンはどのように役立つだろうか。」頭に浮かんだ考えを書き留めてください。

    『福音の原則』(31110 300)は基本的な福音の原則と教義に関する個人学習ガイドとして作成されました。本書の幾つかの課の「準備」の項目には,『福音の原則』の中の特定の章が列挙されています。これらの章は,レッスンに含まれるおもな原則や教義を教える準備に役立つでしょう。『福音の原則』は,教会付属図書館で借りられますし,管理本部経理課を通じて購入することもできます。

  2. レッスンを始めるに当たって,本書に提案されている「導入」を利用するか,あるいは独自の導入方法を工夫するかを決めます。後者の場合,必ず,教える聖句に関連する適切な方法を取ってください。

  3. 各課には,聖句をどのように教えるかは記されていません。何をどのように教えればよいか決められるよう,御霊の導きを求める必要があります。毎週様々な教授法を用いてください(次項「聖文に基づいて教える」参照)。クラスの子供たちをできるかぎり学習活動に参加させるよう計画するとともに,子供たちが聖句の内容をほかの人に後で話せるようなレッスンを心がけてください。

  4. 「話し合いと応用のための質問」の項目から,子供たちが聖句を理解し,生活に応用するうえで役立ちそうな質問を選びます。レッスン中,いつその質問をしてもかまいません。また,すべての質問を採用する必要はありません。

  5. 「レッスンを豊かにする活動」の項目を読み,クラスの子供たちが聖句の意味やレッスンの目的を理解するのに最も役立つと思われる活動を選んでください。そしてその活動をいつ,どのように行うか計画してください。クラスはそれぞれ異なっているので,あるグループには効果的だった活動がほかのグループには効果がないこともあるでしょう。

  6. レッスンの目的に関連する適切で個人的な経験を話すよう計画してください。教師が経験をクラスの子供たちに話すとき,また子供たちが経験を教師やほかの人たちと分かち合うとき,御霊の導きを受けられるようにしてください。家族や個人の経験の中には,とても神聖で私的な内容であるため,公にしない方がよいものもあります。

聖文に基づいて教える

レッスンを準備し,教えるに当たっては常に御霊を求める必要があります(アルマ17:2-4教義と聖約42:12-1450:17-22参照)。御霊の助けがあれば,レッスンを子供たちにとって興味深く意義深いものとするにはどうしたらよいか分かるでしょう。

クラスには,聖文にあまり親しんでいない子供がいるかもしれません。皆で聖文を読むときには,聖句を開けるのに助けの要る子供のことを配慮してください。年度始めのレッスンで時間を割いて,聖句の見つけ方を教える必要があるかもしれません。年少の子供たちを教える場合は特にそうです。

子供たちの関心を持続させるため,資料の提示には,以下のように様々な工夫をしてください。

  1. 自分の言葉で聖文に書かれていることを話す。聖文中の出来事や人物について子供たちが思い浮かべられるように助けてください。話の中の登場する人が実在の人物であり,その出来事が実際に起きたことを子供たちが理解できるようにしてください。

  2. 子供たちに,直接聖文から物語や聖句を読ませる。子供たちのすべてが上手に読めるとは限らないこと,読む能力は年齢からは判断できないことに留意してください。全員が読める場合は,2,3分黙読させ,その後,読んだ内容について話し合わせるとよいでしょう。子供たちが読み終わった後,話し合いの時間を利用して,難しい言葉や節について説明してあげてください。

  3. 聖文の物語に関しては,提案されている視覚資料を用い,子供たちがその出来事を思い浮かべられるようにする。ほとんどの課には,「教材」の項目の中にレッスンで用いる視覚資料が提案されています。視覚資料には番号が付いており,本書に添付されています。提案された視覚資料の中には,『福音の視覚資料セット』に収められているものもあれば,教会付属図書館で入手できるものもあります。(カタログ番号は「教材」の項目に挙げられています。)これらの絵の裏には,その場面の説明が記されています。このほかにも適切な絵があれば使うとよいでしょう。

  4. 子供たちに聖文の物語を演じさせる。(劇化する際,聖句の神聖さを損なわないよう注意してください。)ローブ,スカーフなど簡単な小物を用意するとよいでしょう。そして,子供たちに物語の全部または一部を演じさせてください。子供たちに,自分がもし今演じた人だったらどんな気持ちになると思うか尋ねるとよいでしょう。

  5. 聖文の物語を話したり読んだりしながら,黒板に簡単な図や絵を描く。絵や切り抜きを用いるのもよいでしょう。

  6. 朗読劇をする。何人かの子供たちに聖文の登場人物の役を演じさせます。適切な箇所では,子供たちに聖文の中から直接聖句を引用して読ませてください。

  7. 子供たちの親やワード/支部の会員,あるいはクラスの子供に聖文の物語について話をしてもらう。本人には1,2週間前から準備してもらいます。何分以内で発表するかも必ず伝えてください。

  8. 聖文の物語について教える前に,子供たちに○×テストやクイズなど,簡単な予備テストを行う。子供たちに「テストをするのはどれくらい聖文の物語について知識があるか知っておきたいからです」と伝えてください。聖文の物語についてレッスンが終わったら,子供たちが学んだことを自分で確認できるよう,同じテストを行ってください。

  9. 物語の登場人物の名前やキーワードを黒板に列挙する。教師が物語を話す間,これらのキーワードや名前がいつ出てくるか注意して聞くように子供たちに言ってください。子供たちの語彙ごいを増し,彼らが聖文の理解を探め,家で楽しく聖文を読めるようにしましょう。

  10. レッスンを始める前に,その日話す聖文の物語に関する質問を黒板に書く。物語の途中で子供たちが質問の答えに気づいたなら,物語を中断してその答えについて話し合ってください。

  11. 物語を話し,終わったら子供たちに物語の中で好きな箇所を自発的にもう一度話させる。一人の子供に物語を始めから途中まで話させ,別の子供に続きを話させるのもよいでしょう。

  12. 聖文から何節か選んで録音したテープを聞かせる。

  13. カード合わせゲームをする。4粗から8組の合致するカードか紙(縦12.5センチ,横7.5センチ)を作ります。例えば,リーハイの見た夢に出て来る言葉を記したカードと,その説明を記した別のカードを用意するといった具合です。できたカードや紙の束を交ぜ,テーブルか床に裏向きに並べます。子供たちに一人ずつ前に出て来て2枚のカードを引かせます。それぞれのカードに書かれていることを大きな声で読みます。カードが合えば,表向きにして置きます。カードが合わなければ,もう一度裏向きにして戻し,別の子供の番となります。全部のカードが正しく合わされるまで続けます。例えば,リーハイの夢(1ニーファイ81ニーファイ8:11)に基づいて次のような5組のカードが作れます。ほかの3組のカードは,ゲームをおもしろくするために用いてください。

    • 1組目:木-神の愛

    • 2組目:鉄の棒-神の言葉

    • 3組目:木の実-永遠の命

    • 4組目:暗黒の霧-誘惑

    • 5組目:大きく広々とした建物-世の人々の高慢

    • 6組目:星-星

    • 7組目:月-月

    • 8組目:太陽-太陽

  14. 質問ゲームをする。瓶や箱に,何枚かの質問を書いた紙を入れ,クラスの子供に順番でこれらの質問から1枚ずつ引いて答えさせます。

話し合いを導く

話し合いやそのほかの活動に参加することは,子供たちが福音を学ぶ助けになります。以下の指針は,意義深い質問をし,クラスの話し合いを促すのに役立つでしょう。

  1. 子供たちが聖文から答えを見いだせるよう,参照聖句を挙げて質問する。

  2. 「はい」か「いいえ」だけでは答えられない,熟慮と話し合いを要する質問をする。なぜ,どのように,だれが,何を,いつ,どこで,で始まる質問の方がたいていの場合,より効果的です。

  3. 普段あまり話し合いに加わらない子供たちには,彼らの答えられそうな質問を指名して尋ねることで話し合いに参加させるとよい。この場合,答える時間を十分に取ってください。必要に応じて助けます。しかしそれは,彼らがよく考えて答えた後にだけします。

  4. 子供たちが聖文から学んだことに対する気持ちをほかの人と分かち合うよう勧める。子供たちの発言には建設的な評価をしてください。

  5. 子供たちが質問に答えたら,心から褒める。彼らの考えや気持ちがとても大切であることを分からせます。話し合いに参加したがらない子供たちに配慮してください。

子供たちが聖文の教えを実践できるよう助ける

子供たちが学んだことを生活の中で実践できるように助けてください。ニーファイは,「すべての聖文を自分たちに当てはめて,それが自分たちの利益となり,知識となるように」すべきである,と勧告しています(1ニーファイ19:23)。以下の提案は,子供たちに対するこの責任を果たすうえで役立つでしょう。

  1. 御霊の促しを感じたら,今敢えている真理に対する証を述べる。誠実な態度で確信を持って教えるなら,レッスンはより力強いものとなるでしょう。

  2. 子供たちに家庭で,個人として,また家族として聖文を読むように励ます。彼らがクラスに自分の聖典を持って来るよう奨励します。子供たちが自分専用の聖典を持っていないか,持って来るのを忘れた場合に,彼らが教室で使用できるよう,余分に聖典を用意してください。ワードまたは支部に教会付属図書館がある場合は,そこで聖典を入手できるかもしれません。

  3. 子供たちに学んだことについて話させる。またレッスンで習った福音の原則を,どうすれば実生活に応用できるか話させます。

  4. 教師がリポーター役を務め,子供たちにレッスンで聖文から学んだ人物になったつもりでインタビューに答えさせる。聖文の出来事の詳細や,その出来事に対する感想を述べさせます。

  5. クラスを二つ以上のグループに分ける。聖文の出来事を紹介した後,そこに含まれる重要な原則を,各グループに書き留めさせます。次に,各グループにこれらの原則を生活に応用するにはどうしたらよいか順番に発表させましょう。

  6. 聖句探しをする。クラスの子供たちに,生活に取り入れるとき大きな価値を持つ聖句に印を付けるよう,年間を通じて励ましてください。たとえば,1ニーファイ2:161ニーファイ3:7,または1ニーファイ4:6などに印を付けさせます。出来事,状況,問題などのヒントを与え,それに当てはまる聖句を探させます。早く聖句を探し出した子供たちには,ほかの子供たちが探すのを手伝わせてください。そして,その聖句がヒントと結びつく理由を話させます。

  7. 採り上げた原則に子供たちが従っているのを目にしたら,その経験を具体的に話す。例えば,親切についてレッスンで教えているのであれば,子供たちが人に親切にしているのを見た,幾つかの具体例を挙げられるでしょう。

  8. 宿題をしてきたか確認する。宿題を出したときは,子供たちがそれを行った経験について,翌週の日曜日のレッスンの始めに必ず尋ねてください。

子供たちが聖句を覚えるのを助ける

聖句を覚えるのは,福音の真理を教えるうえで効果的な方法です。楽しく独創的な方法を用いるなら,たいていの子供たちは喜んで覚えるようになります。以下の提案は,子供たちが楽しみながら覚えるのに役立つでしょう。

  1. 覚える言葉の最初の文字を黒板に書き出す。たとえば信仰箇条第1節の言葉を覚える場合,次のようになります。

    わはえのちなかとそおイとせとをし

    教師は,文字を指差しながら対応する言葉を繰り返します。2,3度繰り返し,子供たちが覚えたら,反復させます。子供たちはすぐに文字の列を必要としなくなるでしょう。

  2. 聖句を短いフレーズに分ける。最後のフレーズから最初のフレーズに向けて,声に出して繰り返しながら読んでいきます。こうすると子供たちは,最も耳慣れない部分を最初に繰り返すことができます。例えば,アルマ書第37章35節で子供たちは,まず「若いうちに習慣としなさい」を何度か繰り返し,その後で「まことに,神の戒めを守ることを」という一つ前のフレーズを付け加えて繰り返します。このようにしてその節全体を繰り返していくのです。

  3. 子供たちが文字をよく読める場合,子供たちの人数分,聖句を書き写したものを用意する。これを単語やフレーズごとに切り離してください。元の聖句を全員で2,3度読んだ後,切り離した言葉の束をばらばらにさせ,個人でまたはクラス全員で言葉の紙を正しい順に並べ換えさせます。

  4. 聖句を何度か繰り返して読んだ後,途中で読むのをやめ,一人の子供にその次の言葉やフレーズを言わせます。次に別の子供にさらにその後に続く2,3のフレーズを付け加えさせます。こうして子供たち全員が少なくとも1度は指名されるまで続けます。

  5. 子供たちが覚えやすいように音楽を用いる。

  6. 子供たちを二つのグループに分ける。それぞれのグループに,交互に聖句の言葉やフレーズを繰り返させながら読み下していきます。例えば,一つのグループに最初の言葉を,もう一方のグループに次の言葉を言わせながら節全体を読んでいきます。

  7. 子供たちに覚えてほしい聖句を選ぶ。その聖句を黒板か模造紙に書いてください。何度かその聖句を繰り返し,少しずつ言葉を覆ったり,消したりしながら,子供たちが聖句全体を覚えるまで続けます。

余った時間を有効に使う

準備したレッスンを,クラスの終わる時刻の前に終えた場合,残りの時間を利用して,即興の活動をするとよいでしょう。以下の提案は,この時間を有効に活用するうえで役立つでしょう。

  1. 何人かの子供に大好きな聖文の物語を話させる。

  2. 聖句探しをする。子供たちがすでに印を付けてある重要な聖句を,ヒントを出して探させます。また,子供たちを二人一組またはグループに分けて探させるとよいでしょう。

  3. その日のレッスンに出てきた聖句や,レッスンに関連する信仰箇条の節を子供たちが覚えられるよう助ける。

  4. レッスンで学んだ原則を,家庭や学校で,そして友達に対してどのように応用していけるか,子供たちの意見を聞く。

  5. クラスをグループに分け,その日のレッスンに関する質問を子供たちどうしで順番に尋ねさせる。

  6. その日のレッスンに関連する絵を描かせるか,引用文を書き写させ,家に持ち帰って目立つ所にはり,レッスンの目的を思い起こせるようにする。

  7. 子供たちに今後の学習のために聖句に印を付けるよう勧める。レッスンの中で子供たちが特に好んだ聖句,あるいは,レッスンの目的を子供たちが思い起こすのに役立つと思われる聖句でもよいでしょう。それらに印を付けるように言います。

  8. 聖文の中の書の順番を子供たちが覚えるのを助ける。

  9. 前回のレッスンで学んだ原則や聖文の物語について復習する。

教室での音楽

福音の学習は,音楽を活用することでさらに豊かに楽しいものとなります。子供たちは音楽を 通じて,よりよく学習し,記憶することができます。

子供たちが御霊を感じ,福音を学ぶうえで,教師は音楽に堪能な音楽家である必要はありません。クラスで用いる音楽としては,レッスンで教える原則を強調するため,レッスンの始めや途中に音楽テープをかけたり,歌のグループに歌ってもらったりすることもできます。またレッスンの中で子供たちとともに歌ったり,歌詞を読んだりするとよいでしょう。

分かち合いの時間

初等協会では分かち合いの時間を使って,簡単な福音に関する発表を時々することになっています。これらの発表はレッスンから採り上げた内容で,ほとんど練習なしで行えるようなものにしてください。またそれまでに教えた原則への理解を深めるのに役立つものがよいでしょう。分かち合いの時間に役立つ幾つかの提案を以下に挙げます。

  1. 聖文の物語を演じる。

  2. 覚えた聖句を一緒に暗唱する。

  3. 信仰箇条のいずれかの節を反復し,その意味を説明する。

  4. 福音の原則を日常生活に応用するためのロールプレイングを行う。

信仰箇条

信仰箇条をレッスンに取り入れ,子供たちに初等協会を修了するまでに信仰箇条を覚えるよう励ましてください。あらゆる機会を利用して,子供たちが信仰箇条を覚え,理解できるよう助けてください。

8歳から11歳までの子供を理解する

子供たちが学び,自信を持てるように,子供たちの必要や特徴をよく理解し,適切な活動やレッスンを計画する必要があります。この年齢の子供たちの特徴に関する詳細な情報は,『教師-その大いなる召し』(33043 300)49-50を参照してください。

特 徴

身体面

  • 年齢により,著しい成長と遅い成長の時期がある

  • 決まり悪そうな態度をとる

  • グループで遊ぶことを好む

精神面

  • 学習意欲が旺盛おうせいである

  • 過去の経験について考える

  • 論理的な判断に基づいて行動するようになる

  • 理由を知りたがる

  • 思慮分別が増す

  • 英雄にあこがれる

  • 自分の行動に責任を持てるようになる

  • 覚えることを好む

社会面

  • 異性を嫌う傾向から,男女間のつながりを求めるようになる

  • グループの時間,個人の時間の両方を楽しむ

  • 独立心が強くなる

  • ユーモアの感覚が培われる

  • ほかの人への関心が高まる

情緒面

  • 批判されることを嫌う

  • 仲間とうまくいかないと,不適切な行動をとる

  • 頼もしくて,信頼できるようになる

  • 公平ということを意識する

  • 自分の価値について疑いを抱き始める

  • 傲慢ごうまんな態度がなくなり,わがままな行動をしなくなる

霊性面

  • 福音の原則を学び実践することを好む

  • ほかの人々の証に影響される

  • 福音の原則を理解する力が増す

  • 善悪を強く意識する

障害を持つ子供たちを交えて教えるための特別な指針

救い主は,障害を持つ人々に対して憐れみの心を持つよう,模範を示してくださいました。復活後ニーファイ人を訪れた救い主はこう言われました。

「あなたがたの中に病気の者がいるか。彼らをここに連れて来なさい。足の不自由な者,目の見えない者,足の悪い者,手の不自由な者,らい病にかかっている者,体のまひしている者,耳の聞こえない者,あるいはどんなことでも苦しんでいる者がいるか。彼らをここに連れて来なさい。いやしてあげよう。わたしはあなたがたのことを哀れに思い,わたしの心は憐れみに満たされている。」(3ニーファイ17:7

あなたは初等協会の教師として,憐れみの心を示せるすばらしい立場にあります。専門的な介助のための訓練は受けていないかもしれませんが,教師として障害を持つ子供たちを理解し,慈しみ育てることができるのです。関心を寄せ,理解し,クラスの一人一人をレッスンに参加させようという熱意をもって当たることが大切です。

障害を持つ子供たちは,理解する能力の程度にかかわらず,御霊を感じることができます。中には初等協会のすべての時間には参加できない子供がいるかもしれませんが,たとえ短い時間であっても御霊を感じるために出席することが必要です。その場合に,子供がほかの子供たちから離れて休まなければならないときに備えて,子供の必要に対して敏感に対応することのできる人が付き添う必要があるかもしれません。

障害の中には,学習能力障害,視覚障害,聴覚障害,知的障害,言語障害,精神的障害,運動能力障害,また行動や人と接するうえでの問題や,長期にわたる病気などいろいろあります。そのほかに,言葉や文化の違いになじめない子供もいるでしょう。子供たち一人一人の状況は違っても,どの子も同じように愛され,受け入れられなければなりませんし,福音を学び,御霊を感じ,クラスの一員として立派に参加し,周りの人を助ける必要があります。

以下の指針は障害を持つ子供たちを教えるうえで助けとなるでしょう。

  • 障害だけに目を向けず,その子供自身について知ろうとする。自然で,親しみやすく,愛情を込めて接する。

  • その子供の持つ力や苦労していることなどについて知る。

  • 様々な機会をとらえて,クラスの子供たちにクラスの全員を尊重する責任があることを教え,留意させる。クラスの障害を持つ子供を助けることは,クラス全員にとってキリストのようになることがどんなことかを学ぶよい経験となる。

  • 両親や家族,また適当であれば本人とよく話し合い,その子供を教えるのに最適な方法を見つける。

  • 障害を持つ子供に祈りを頼んだり,そのほかの活動に参加させたりする前に,クラスに参加することについてどのように感じるか尋ねる。一人一人の子供の持つ能力や才能をよく認めて強調し,子供が気持ちよく上手に参加できるような方法を探す。

  • 障害を持つ子供の必要に合わせてレッスンで使うものやクラスの環境を整える。

虐待の問題への対処の仕方

教師は,情緒的または肉体的に虐待を受けて苦しんでいる子供がクラスの中にいることに気づく場合があります。万一,クラスの子供にそのようなねんを感じたなら,監督に相談してください。レッスンを準備し,教えるときには,主の導きと指示を祈り求めてください。クラスの子供一人一人が,「自分は天父の大切な子供であり,天父とイエス・キリストはわたしたち一人一人を愛し,わたしたちに幸せで安全な生活を送ってほしいと望んでおられる」と感じられるようにしてください。