日曜学校―福音の教義
第43課:「わたしの武具を身に着けなさい」


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「わたしの武具を身に着けなさい」

目的

悪との戦いで自分を守るために神の武具を身に着けられるようにする。

準備

  1. 本課で採り上げられている聖句を祈りの気持ちで研究する。

  2. 『生徒用学習ガイド』(35686 300)の43課の資料に目を通し,レッスンで学習ガイドを参照する方法を計画する。

  3. あなたが青少年を教えている場合,何人かの生徒に『若人の強さのために』(09403 300)から以下の項の一部またはすべてに関する情報の概要を発表する準備をしてくるよう依頼する。

    1. 「性的な清さ」(26-28ページ)。

    2. 「服装と外見」(14-16ページ)。

    3. 「娯楽とメディア」(17-19ページ)。

    4. 「音楽とダンス」(20-21ページ)。

    5. 「正直」(31ページ)。

    6. 「言葉遣い」(22-23ページ)。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

以下の図のように人を表す棒線画を黒板に描く。次に様々な方向からその人物に目がけて飛んでくる矢を何本か描く。

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聖文では時々誘惑を「敵対する者の放つ……火の矢」と表現されていることを説明する(教義と聖約3:8エペソ6:161 ニーファイ15:24教義と聖約27:17も参照)。本課ではそれらの誘惑と,誘惑から身を守るために着けることのできる「武具」について話し合う。

話し合いと応用

生徒の必要に最も適した資料を祈りの気持ちで選ぶ。これらの原則を日常生活でどのように当てはめられるかを話し合うよう生徒に勧める。

1.神の武具で身を固める

  • 教義と聖約76:25-28モーセ4:3を生徒とともに読む。天の戦いにおいて二つの軍勢の指導者はだれとだれでしたか。彼らはどのような目的のために戦ったのでしょうか。今日わたしたちはどのような意味で同じような戦いに臨んでいるでしょうか(教義と聖約76:29モーセ4:4参照)。

  • 主は悪魔と戦っているわたしたちに武具を与えずに放置しておくことをなされないのを強調する。教義と聖約27:15-18を生徒とともに読む。これらの聖句にはどのようなものが主の武具として説明されているでしょうか(以下を黒板に書く。もし「導入」の活動を行っていれば,描いた人の近くにこれらの語を記入する)。

    • 真理の帯を締めた腰

    • 正義の胸当て

    • 平和の福音の備えを履いた足

    • 信仰の盾

    • 救いのかぶと

    • 神の御霊の剣と啓示による神の言葉

  • わたしたちはどうすれば「神の武具」で身を固めることができるでしょうか。あなたは祈りによって誘惑を退ける力が増し加えられたと感じたことがあるでしょうか。聖文を研究することによって,安息日を聖なる日とすることによって,神殿に参入することによって,神権を尊ぶことによってはどうでしょうか。

  • 主の武具を一部だけ身に着けているときや短い間であっても武具で身を固めないときにはどのような結果がもたらされるでしょうか。

    十二使徒定員会のジョセフ・B・ワースリン長老はこのように警告している。サタンは「一人一人をよく観察し,少しでも弱いところがあればそこを突いてくるのです。また,わたしたちの弱点をよく知っていますし,わたしたちが弱みを見せると,巧みにその弱みにつけ込んでくるのです。サタンの攻撃と偽りから身を守るためには,戒めをよく理解し,さらに祈り,聖文を勉強し,主に油注がれた者の勧告に従うことによって,日々自分の周囲にとりでを築くしかないのです。」(「神権」『聖徒の道』1989年2月号,38)

レッスンの残りの時間で,今日わたしたちが身を固める武具のうち,サタンが弱点を突こうとしている3つの分野,すなわち,純潔,正直,言葉遣いに焦点を絞ることを説明する。

2.純潔の律法に従う

  • 純潔の律法とは何でしょうか(教義と聖約42:22-2459:663:16と以下の引用参照)。

    大管長会はこのように宣言している。「道徳的な行いに関する主の律法は,合法的な結婚に基づかない性的関係を避けること,夫婦の間で忠誠を尽くすことを求めています。性的な関係は結婚というきずなの中で夫婦が正しく表現する場合にのみ正しいこととされます。不貞,姦淫,同性愛行為を含むそのほかの性的行為は罪深いものです。」(大管長会からの手紙,1991年11月14日付け)

    十二使徒定員会のリチャード・G・スコット長老はこのように教えている。「結婚というきずなで結ばれていない男女の間で行われるすべての性的接触を指します。つまり衣服の上からであっても意図的に相手の体の神聖な部位に触れることは罪であり,神から禁じられています。また自分自身の体を用いて意図的に情欲をかき立てることも罪です。」(「正しい選択をする」『聖徒の道』1995年1月号,43)

    生徒の一人に『若人の強さのために』から「性的な清さ」の項の概要を発表する準備をしてくるよう依頼していれば,ここで発表してもらう。

  • 純潔の律法を破るとどのような結果がもたらされるでしょうか(霊と肉体に及ぼされる結果,短期的,長期的結果について話し合う)。純潔の律法を一人の人が破ることによってほかの人々にどのような影響を与えるでしょうか。

    ジョセフ・B・ワースリン長老はこのように教えている。「最近の社会にまんえんしている最大の誤りの一つは,不道徳は容認された当たり前のことであり,何の害も及ぼさないという考えです。しかし現実には,この不道徳こそが伝染病,堕胎,家庭の崩壊,母子家庭,そして少女の妊娠など,今日の社会に広がっている大きな苦しみや数多くの問題の根本原因となっているのです。」(「深い根」『聖徒の道』1995年1月号,83)

  • 純潔の律法を守ることによってどのような祝福を受けるでしょうか(教義と聖約121:45-46参照。いっそうの平安と喜びを感じる,伴侶と家族に対する愛が深まる,自尊心が高まる,他人を尊重する気持ちが高まる,などの答えが考えられる。また,聖霊を伴侶とし,神権の儀式を受け,ふさわしい状態で聖餐を受けるには,純潔の律法を守っていることが必要である)。わたしたちが純潔の律法を守ることによって,ほかの人々にどのような影響を与えるでしょうか。

  • サタンは純潔の律法を破らせるために人々をどのように誘惑しているでしょうか。人々はどのような言い訳をして,この律法を破っているでしょうか。

    生徒たちに『若人の強さのために』から「服装と外見」「娯楽とメディア」「音楽とダンス」の項の概要を発表する準備をしてくるよう依頼していれば,ここで発表してもらう。

    ゴードン・B・ヒンクレー大管長はこのような警告を発している。「インターネットでポルノサイトをあさるようなことがあってはなりません。長距離電話をかけて卑わいな話を聞いてはなりません。種類を問わず,ポルノビデオを借りてはなりません。そのようなわいせつなものは皆さんのためのものではありません。疫病を避けるようにポルノグラフィーを避けてください。それらは破壊的です。習慣となります。そのようなものにふけっているとそこから離れられなくなります。病みつきになってしまうのです。」(「いつか結婚する女性にふさわしく生活する」『聖徒の道』1998年7月号,56)

  • 純潔の律法を破る誘惑から自分を守るにはどうすればよいでしょうか。不道徳な影響力から家庭を守るにはどうすればよいでしょうか。

  • 純潔の律法には行いと同様に思いの清さも含まれます。清くない思いを抱いていると霊的にどのような影響を受けるでしょうか(教義と聖約63:16参照)。清くない思いを心の中から追い出すにはどうすればよいでしょうか。

    十二使徒定員会のボイド・K・パッカー長老は「その場所に有益なもの」を置くことによってふさわしくない思いを心の中から追い払うよう勧告した(「ギリアデの乳香」『聖徒の道』1978年2月号,92)。この勧告に従う方法について話し合う。強さを求めて祈る,好きな賛美歌を歌う,好きな聖句を心の中で繰り返す,家族を愛していることについて考える,などの方法を提案する。

3.正直でありなさい

  • 正直であるとはどのような意味でしょうか。

    ジェームズ・E・ファウスト管長はこのように教えている。「正直とはうそをつかない以上のことです。それは真実を告げ,真理を語り,真理に生き,真理を愛することです。」(「正直-道徳の羅針盤」『聖徒の道』1997年1月号,48)

    生徒の一人に『若人の強さのために』から「正直」の概要を発表する準備をしてくるよう依頼していれば,ここで発表してもらう。

  • 教義と聖約42:2151:997:8を生徒とともに読む。生活のあらゆる面で正直であることはなぜ大切なのでしょうか。不正直はどのような結果をもたらすでしょうか。わたしたちは正直であることによってどのような祝福を受けているでしょうか。

  • わたしたちはどのようなときに不正直に振る舞うよう誘惑を受けるでしょうか。小さな不正直の誘惑に負けていると,ほかの誘惑にも陥りやすくなるのはなぜでしょうか。不正直の誘惑に打ち勝つにはどうすればよいでしょうか。

  • 主に対して正直であるとはどのような意味でしょうか(主と交わしている聖約やそのほかの約束を守る,教会の責任を果たす,ふさわしい状態で聖餐を受ける,什分の一と献金を納める,などの答えが考えられる)。

  • 自分に対して正直であるとはどのような意味でしょうか(一つには,罪を合理化したり,言い訳したりしないという意味がある)。

  • 正直であることを家庭で効果的に教えるにはどうすればよいでしょうか(生徒の意見を聞いてから,家庭で正直を教えることについて『家庭の夕べアイデア集』〔31106 300〕の215-217ページの資料を活用するよう提案するとよい)。

正直であることが難しい状況の中で正直であることを選んだ経験を生徒に紹介してもらう。あるいは,生徒が職場や学校,地域社会,家庭で目にした正直の模範を生徒に紹介してもらう。

4.神を崇敬し,人々を教化する言葉を用いる

  • 教義と聖約63:60-62教義と聖約136:21を生徒とともに読む。どのように主の御名を用いるべきかについて,主は何と命じておられるでしょうか。人々はどのように主の御名をみだりに口にしているでしょうか(軽々しく口にする,日常的にあるいは気軽に使う,下品な思いや邪悪な行為と結びつけて使う,などの答えが考えられる)。

  • 主の御名をみだりに口にするほかに,わたしたちはどのような種類の言葉を避けるべきでしょうか(下品な言葉,汚い言葉,無作法な言葉,侮辱する言葉などの答えが考えられる)。

    ヒンクレー大管長はこのように述べている。「汚れた言葉や神を汚す言葉を絶対口にしないでください。下品な冗談も避けなければなりません。不潔で汚い言葉が飛び交う会話に加わることのないようにしてください。そうすれば,皆さんはより幸福になり,模範を通して人々を強めることができます。」(「主の名をみだりに唱えてはならない」『聖徒の道』1988年1月号,51)

    生徒の一人に『若人の強さのために』から「言葉遣い」の項の概要を発表する準備をしてくるよう依頼していれば,ここで発表してもらう。

  • 汚い言葉はどのような結果を招くでしょうか(神の怒りを招く,人々を傷つける,自分の品位を下げる,聖霊を遠ざける,などの答えが考えられる)。

    十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老はこのように述べている。「神を汚す言葉や下品な言葉……はわたしたちを神から引き離すばかりでなく,聖霊をわたしたちから引き下がらせることによって霊性を損なわせます。」(「敬虔さと清さ」『聖徒の道』1986年7月号,54)

  • サタンはどのように人々を誘惑して神を汚す言葉や下品な言葉,わいせつな言葉を使わせているでしょうか。わたしたちは口汚い言葉を使う誘惑をどうすれば退けることができるでしょうか(汚い言葉を使う習慣を断ち切る方法について話し合うとよい)。

  • 霊的に成長するにはなぜ言葉をコントロールすることが大切なのでしょうか。言葉をコントロールすることはどのようにほかの誘惑を退けるうえで助けとなるでしょうか。

  • 汚い言葉を使う人々の中にいるときや,映画やテレビ,本の中で汚い言葉が使われているときに,わたしたちはどのように対応すべきでしょうか(可能であれば,そのような場を離れる。そのような言葉を使わないように言うこともできる)。

  • 両親はどのようにして子供に汚い言葉を使わないように教えることができるでしょうか。

  • 主はわたしたちがどのような言葉を使うことを喜ばれるでしょうか(教義と聖約52:16136:24エペソ4:29参照)。わたしたちは言葉によってどのように人々を教化できるでしょうか。神を崇敬し,教化する言葉を使うことを奨励するために,わたしたちはどのようなことができるでしょうか。

結び

天父はわたしたちを愛しておられ,わたしたちが誘惑から守られるように「神の武具」で身を固めるのを望んでおられることを強調する。純潔の律法を守り,正直であり,教化する言葉を用いるよう生徒に奨励する。本課で話し合った事柄が真実であることを御霊に導かれるままに証する。

教えるためのそのほかのアイデア

以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中の幾つかをレッスンに取り入れてもよい。

1.神の武具にはわたしたちが使うことのできる武器が含まれる

十二使徒定員会時代にハロルド・B・リー長老は,神の武具には防御だけでなく,わたしたちが積極的に使うことのできる武器も含まれると説明している。

武具で身を固めた人は片手に盾を持ち,もう一つの手には剣を持っています。……その盾は信仰の盾であり,剣は霊の剣すなわち神の言葉です。わたしは信仰と,神の言葉が記されている……聖文の知識以上に強力な武器を考えることができません。そのような武具に身を固め,これらの武器を手にして準備を整えている人は敵に立ち向かう用意のできている人です。」(“Feet Shod with the Preparation of the Gospel of Peace,” Brigham Young University Speeches of the Year〔1954年11月9日〕7)

2『若人の強さのために』を使った活動

『若人の強さのために』に記されている標準に従うことによって強く確かな武具を手に入れられることを説明する。クラスを小グループに分けて,各グループに『若人の強さのために』に記されている項目をテーマとして割り当てる。

5分間でそれぞれのテーマについて話し合い,クラス全体に提示する概念をまとめてもらう。それから各グループに簡単に発表してもらう。発表するに当たって以下の提案を参考にするよう各グループに提案するとよい。

  1. 採り上げている標準が問題となっている実際の例を見つける。

  2. テーマに関連した個人的な経験または友人の経験を紹介する。

  3. 実生活でどのように対処したらよいかを示すためにロールプレーを使う。

  4. この標準を維持するために実際に役立った事柄について話す。

  5. ほかの人がこの標準を維持できるように助ける方法を紹介する。

  6. この標準に従うことによって仲間やほかの人たちとの間であつれきが生じたときにどうすべきかを話し合う。

3.青少年を支援する

成人を教えている場合に,青少年が経験しているチャレンジや成功例について話してもらうために親,若い男性または若い女性の指導者を招く。

話された事柄について慎重に考えてもらう。青少年をもっと支援するために何ができるかを考えてもらう。意見を黒板に書き出す。以下のような意見が考えられる。

  1. 青少年の名前を知って,覚える。

  2. 心からの関心を持ち,それを青少年に伝える。

  3. 特に助けを必要としている事柄を見つけて,それにこたえるための行動を起こす。

  4. 才能や個人の経験,大人たちが成長時に経験した事柄,証を強める経験を話す機会を見つける。

  5. 青少年を教えたり,働きかけたりする教会の召しを解任された後も引き続き青少年と交わりを持つ。

  6. キリストのような生活について良い模範を示す。

  7. 過去の過ちを赦し,個人に対して否定的な見方をすることを避ける。

4.「神の武具」ビデオ・プレゼンテーション

ビデオカセット『新約聖書ビデオ・プレゼンテーション』(53914 300)を利用できるならば,「神の武具」(14分29秒)を見せるとよい。