日曜学校―福音の教義
第38課:「わたし自身の方法で」


38

「わたし自身の方法で」

目的

霊的,物質的福祉の原則を理解し,いっそうの自立を図って,貧しい人や乏しい人のために奉仕するのを決意できるようにする。

準備

  1. 以下の聖句とその他の資料を祈りの気持ちで研究する。

    1. 教義と聖約38:3042:30-31,4258:26-28104:13-18;本課で採り上げられているそのほかの聖句。

    2. 『わたしたちの受け継ぎ』96-9799-101ページ

  2. 『生徒用学習ガイド』(35686 300)の38課の資料に目を通し,レッスンで学習ガイドを参照する方法を計画する。

  3. 何人かの生徒に『わたしたちの受け継ぎ』から以下の項の概要を発表する準備をしてくるよう依頼する。

    1. 福祉プログラムの確立(108-9ページ)。

    2. 第二次世界大戦後のヨーロッパの人々に与えられた福祉援助(99ページ第5段落-101ページ第2段落)。

  4. 「導入」にある活動を行う場合は,バックパックかバッグをクラスに持参する。また,以下のラベルをはった大きな石を幾つか用意する。「信仰の不足」「怠惰」「教育の不足」「負債」「将来のための準備不足」。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

クラスに持参したバックパックかバッグを一人の生徒に背負ってもらうか持ち上げてもらう(「準備」4参照)。多くの人は不必要に重い荷物を生涯を通じて背負い続けていることを説明する。バックパックかバッグに一つずつ石を入れて,それぞれがなぜ重荷となるかについて話し合う。最後の石を入れるときまでに,バックパックかバッグがどれほど重くなるかを注目できるようにする。

次に石を一つずつ取り出す。これらの重荷を取り除く責任を果たすことによって,わたしたちの生活は改善されていくことを説明する。

末日の預言者たちは絶えず,自立することと援助を必要とする人々を助けることの大切さを教えてきたことを説明する。本課ではこれらの原則と,これらの原則を応用することを奨励する教会の福祉プログラムについて話し合う。

話し合いと応用

生徒の必要に最も適した資料を祈りの気持ちで選ぶ。話し合った原則に関連した経験を紹介するよう生徒に勧める。

1.霊的な自立を高める

  • 教義と聖約38:30を生徒とともに読む。この聖句は自立の大切さについてどのようなことを教えているでしょうか。あなたはこの勧告が正しいことを生活の中でどのように実感してきたでしょうか。

  • 霊的な事柄について自立するとはどのような意味でしょうか(わたしたちは生活の中で遭遇する難しい問題を解決し,霊的な援助を必要とする人々を力づけられるように霊的な力を伸ばす努力を行うべきである)。霊的に自立していることはなぜ大切でしょうか。

    十二使徒定員会のボイド・K・パッカー長老はこのように述べている。

    「わたしたちは1年分の食糧,衣料品,また可能であれば燃料をも,家庭に貯蔵するように教えられている。……その同じ原則を,霊感や啓示,問題の解決,助言や指導に当てはめられないであろうか。わたしたちは……自分の家庭に,そのよりどころを持つ必要がある。 ……

    もしも情緒面の自立と霊的な自立ができなくなれば,物質面に依存しているのと同じく,いやそれ以上に弱くなってしまう可能性がある。」(「主の方法によって情緒面の問題を解決する」『聖徒の道』1978年10月号,145)

  • どうすれば霊的な事柄についてもっと自立することができるでしょうか。

  • 両親は子供たちが霊的な自立を学ぶために,どのように助けることができるでしょうか。

2.物資的な自立を高める

  • 物質的に自立するとはどのような意味でしょうか(わたしたちは主から与えられている祝福を使って自分と家族を養うべきである。肉体的,情緒的に可能であれば,わたしたちは自分や家族の世話を他人に依存すべきではない)。物質的に自立することはなぜ大切でしょうか。

  • 物質面でもっと自立するためにわたしたちはどのようなことができるでしょうか(効果的に働くことを学ぶ,必要とされるときのために食糧やそのほかの必需品を貯蔵する,金銭を上手に管理する,良い教育を受ける,などの答えが考えられる。以下の情報を使って話し合いを進めるか,生徒の意見に付け加える。良い教育を受けることについては23課を参照する)。

働く

ソルトレーク盆地に到着して間もなく,ブリガム・ヤング大管長はその地域を「デゼレト」と名付けたことを説明する。これはモルモン書から取った語で「蜜蜂」という意味である(エテル2:3)。ヤング大管長は聖徒たちが蜜蜂のように,新しい住みかで勤勉に働き,全員の利益のために協力して働くことを望んだ。わたしたちも働くことについて同じ姿勢を持つべきである。

  • 教義と聖約42:42教義と聖約56:17を生徒とともに読む。怠惰な者に対して主はどのような警告を発しておられるでしょうか。わたしたちの生活において,働くことにはどのような価値があるでしょうか(以下の引用参照)。あなたの生活において,働くことはどのように祝福となってきたでしょうか。あなたは働くことの価値をどのようにして学んできたでしょうか。大人たちは子供に働くことの価値をどのようにして教えることができるでしょうか。

    「自立するためには,働かなければならない。労働とは,肉体的,精神的,あるいは霊的な努力である。それは幸福や自尊心,繁栄の根本的な源である。労働を通して,人々は多くのすばらしい事柄を人生で達成する。」(『教会指導手引き 第2部,神権指導者・補助組織指導者』259)

  • 十二使徒定員会のニール・ A・マックスウェル長老はこのように述べています。「事実,労働は,たとえ経済的に働く必要のない場合でも,霊的には常に必要なものです。」(「押せ,肩の力もて」『聖徒の道』1998年7月号,42-43)なぜ働くことが霊的にも物質的にも必要なことなのでしょうか。

食糧とそのほかの必需品の貯蔵

末日の預言者たちは長年にわたって,可能な場合には1年分の食糧とそのほかの必需品を貯蔵するよう説いてきた。わたしたちはこの勧告に従うならば,必要とされるときに自身を養うことができるので,いっそう自立することができる。

『教会指導手引き』には次のように説明されている。

「教会の指導者は,何を貯蔵すべきかについて厳密な指定はしていない。むしろ,食べ物がほかに何もなくなった場合に,生命を維持するために必要なものを貯蔵することから始めるように提案している。 ……

ほとんどの教会員は,入念に計画をすれば,生命維持に必要な基本品目を1年分貯蔵できる。しかし,中にはそのような貯蔵をする経済的な余裕や場所のない人がいる。また,1年分の貯蔵が法律で禁じられている地域に住む人もいる。そのような会員は,自分の置かれた状況に応じて,できるだけ多くの貯蔵をする。すべての会員は,基本食品の作り方と調理方法を学ぶことにより,いっそう確実な備えをすることができる。」(『第2部』260)

  • あなたの地域で貯蔵できる基本食品にはどのようなものがあるでしょうか。食糧貯蔵を実行するためにあなたやほかの人たちはどのようなことをしてきたでしょうか。充分な食糧貯蔵をしておくことがなぜ物質的な祝福と同時に霊的な祝福ともなるのでしょうか。

財政的安定

自立するには金銭を管理する方法を知ることが大切である。金銭管理が適切でないと個人や家族の生活に多くの問題をもたらす可能性がある。

  • 財政的な自立を高めるためにどのようなことができるでしょうか。両親はどのようにして子供に経済的自立を教えることができるでしょうか。

    『教会指導手引き』にはこのように説明されている。「財政管理面で自立するために,教会員は次のことを行う。什分の一と献金を納め,不必要な負債を避け,将来のために貯金し,債務をすべて履行する。時間を含め,資源の節約に努め,浪費を避ける。」(『第2部』260)

  • 什分の一を納めることは資源を正しく管理するうえでどのように助けとなるでしょうか。

  • 不必要な負債を避けることはなぜ大切でしょうか。どのようなことを実行していることが助けとなって,あなたは負債を避けたり,負債を返済したりすることができたでしょうか。

    ゴードン ・B・ヒンクレー大管長は負債の持つ危険について次のように警告している。

    「……強く申し上げたいのは,家計の状態をよく調べて支出を抑えることであり,購買欲を抑えて,借り入れをできるだけ避けるということです。負債はできるだけ早く返済して束縛から逃れてください。

    ……借金を返済し,少しでも貯金をすれば,嵐が襲っても奥さんやお子さんを守る家があり,心には平安が訪れます。」(「若い兄弟たちに,そして成人の兄弟たちに」『リアホナ』1999年1月号,62)

3.乏しい者の世話をする

主は教義と聖約の中で乏しい者の世話をすることの大切さを度々強調しておられる。以下の聖句を生徒とともに読む。それぞれの聖句は乏しい者の世話をする責任についてどのようなことを教えているかを明らかにする。

  1. 教義と聖約42:30-31(わたしたちが貧しい者に持ち物を分け与えるとき,それは主に対して行っているのである)。

  2. 教義と聖約44:6(わたしたちは「貧しい者と乏しい者を訪れ,彼らに必要なものを与え……なければならない」)。

  3. 教義と聖約52:40(貧しい者,乏しい者,病気の者,苦しんでいる者を思い起こさなければ,わたしたちは主の弟子ではない)。

  4. 教義と聖約56:16(わたしたちが金持ちであって,貧しい者に与えようとしなければ,その富はわたしたちを腐敗させる)。

  5. 教義と聖約88:123(わたしたちは互いに愛し合い,福音が求めているように互いに分かち合うべきである)。

  6. 教義と聖約104:18(豊かに与えられていながら,貧しい者に分け与えないと,わたしたちは悪人とともに苦しみながら生活することになる)。

  • 教義と聖約104:13-18で,主は主の子らの物質的な必要を満たす主の方法を説明しておられます。貧しい者に施す主「〔御〕自身の方法」とはどのような方法でしょうか。主の豊かなものを受けるとき,わたしたちにはどのような責任が生じるでしょうか(モルモン書ヤコブ2:17-19も参照)。

    主の方法によって貧しい者と乏しい者に施すとは,わたしたちが神から与えられているものに応じて与えることにより,援助を必要としている人々を助けるという意味であることを説明する。それは,天父がすべての祝福の源であること,わたしたちはそれらを使って人々に奉仕する責任があることを理解して,惜しみなく愛をもって与えることである。この援助を受ける人は感謝の気持ちで受け入れるべきである。彼らはその援助を使って自分の力では満たすことのできなかった必要を満たし,自分の持つ力を最大限に発揮できるように自分を高めなければならない。そうした後に,彼らはほかの人々を助けるために手を差し伸べるべきである。

  • 援助を必要としている人々に与えることによってわたしたちはどのように祝福されるでしょうか。援助を必要としていたときにほかの人から与えられることによって,あなたはどのように祝福を受けてきたでしょうか。

援助を必要としている人々を助ける方法はたくさんあることを説明する。教会はわたしたちが援助を与えるための組織的な方法を提供している。また,わたしたちは周囲の人々に対して,ひそかに,また個人的に助けを与えることもできる。

  • 乏しい者を助ける一つの方法として,断食献金を納める方法がある。断食献金は貧しい人々に対してどのように使われるのでしょうか(援助を必要としている人々に対してビショップは断食献金を使って食料品,住居,衣料品,その他を施す)。

  • 断食献金としてどれほどの金額を納めるべきでしょうか(以下の引用参照)。断食献金を納めることはなぜ大切なのでしょうか。

    「教会は,毎月1度の日曜日を断食日として定めている。この日に教会員は,続けて2食の飲食を断つ。……少なくとも2食分の食費に相当する金額を断食献金として教会に納める。可能であれば,教会員はもっと寛大になって,2食分より多くの額をささげるようにする。」(『教会指導手引き,第2部』258)

断食と断食献金の納入に関する詳しい情報については17課を参照する。

乏しい者に援助を与えるために教会が関与しているもう一つの方法は人道的支援を組織的に実施する方法である。教会は長年にわたって人道的支援と自立促進活動を世界的規模で実施してきた。この援助は教会員と教会員でない人との別なく,貧困,戦争,自然災害によって悲惨な状況に置かれた人々に与えられている。

  • わたしたちは一会員として,どのように教会の人道的援助基金に献金することができるでしょうか(什分の一献金票の該当欄に目的と金額を記入する。生徒に献金票を見せるとよい)。教会の人道的救援活動は援助を必要とする人々にとってどのように役立ってきたでしょうか。

    トーマス・S・モンソン大管長は教会の人道的支援がもたらした結果について次のように述べている。

    「1992年に,……フロリダ州の大西洋沿岸に上陸した大ハリケーンは,通過した地域を次々と破壊していきました。家屋が破壊され,屋根が吹き飛ばされ,そして人々は食物が手に入りませんでした。その地域を救援に向かった会員たちがいました。何の報酬も受けることなく,家屋を清掃し,修繕しました。その援助は,家に住んでいた人の宗教や人種に関係なく,実施されました。 ……

    巨大なリフト盆地の周辺地域にあるケニヤ山の西側斜面のふもとにようやく新鮮な飲料水が届けられました。飲料水プロジェクトがそこに住む1,100の家族の生活を変えたのでした。飲料水が必要であることを知ったわたしたちはすぐに,私的なボランティア組織であるテクノサーブと協力するプロジェクトに資金を提供しました。村人たちが労力を提供することにより,25マイル(約40キロ)のパイプを完成させたのでした。そして15の村落を持つこの地域で飲料水を待つ家庭に届けられたのです。安全な飲料水を提供するというこの単純な祝福から,『かわいていたときに飲ませ……てくれた』〔マタイ25:35〕と言われた主の言葉を思い起こしました。」(“Our Brothers’ Keepers,” Ensign1998年6月号,37)

  • 教会が提供する機会のほかに,周囲にいて援助を必要としている人々に祝福をもたらす方法を求める必要があります。教義と聖約58:26-28を生徒とともに読む。貧しい者と乏しい者に仕えるわたしたちの働きに,この聖句をどのように応用することができるでしょうか。

  • 貧しい者と乏しい者に援助を提供しようとするときに遭遇する障害にはどのようなものがあるでしょうか。それらの障害をどのようにして克服できるでしょうか。

4.教会福祉プログラム

1936年に大管長会は主の霊感に基づいて,自立と援助を必要とする人々への支援の促進を組織的に実施する方法として教会福祉プログラムを設置したことを説明する。割り当てておいた生徒に,『わたしたちの受け継ぎ』96-97ページから福祉プログラムの確立について報告してもらう。

教会福祉プログラムの目的を強調するために,大管長会による以下の声明を紹介するとよい。

「わたしたちの第一の目的は,可能なかぎり,忌まわしい怠惰や施しのもたらす悪弊を除去し,独立心,勤勉,倹約,自尊心を再びわたしたちの間に確立する体制を築くことである。教会の目的は,人々の自立を助けることにある。勤労が再び教会員の生活を貫く原則にならなければならない。」(Conference Report,1936年10月,3)

  • 教会の福祉プログラムはこれらの目的を達成するためにどのように助けとなっているでしょうか。

第二次世界大戦後ヨーロッパの人々に対して教会が実施した援助は,教会の福祉プログラムには多くの人々に祝福をもたらす力があることを表す霊感あふれる実例であることを説明する。割り当てておいた生徒に,援助を必要とするヨーロッパの人々に福祉プログラムがどのように祝福をもたらしたかについて報告してもらう(『わたしたちの受け継ぎ』99ページ第5段落から101ページ第1段落まで)。

  • これらのプロジェクトに参加した人々がささげた努力についてあなたはどのような印象を持ったでしょうか。わたしたちはどのようにして彼らの模範に従うことができるでしょうか。

結び

自立すること,貧しい者,乏しい者の世話をすることの大切さを強調する。あなたがこれらの原則に従うことによってどのように祝福を受けてきたかについて証を述べるとよい。

教えるためのそのほかのアイデア

以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中のどちらか,あるいは両方をレッスンに取り入れてもよい。

1.自立するために教育は重要な役割を果たす

教会員は可能なかぎり高い教育を受けるよう常に勧められていることを指摘する。初期の聖徒たちは教育の向上に強い関心を抱いていた。ソルトレーク盆地に到着した最初の年にはすでに,テントの中で子供たちの教育が実施された。後に,教会指導者は各ワードに学校を設立するよう指示した。デゼレト大学は1850年に創設された。自立をはぐくむうえで教育の持つ価値に関する詳しい情報については23課を参照する。

2.「助けを必要としている人に手を差し伸べる」ビデオ・プレゼンテーション

ビデオカセット『教義と聖約・教会歴史ビデオ・プレゼンテーション』(53912 300)を利用できるならば,「助けを必要としている人に手を差し伸べる」(7分6秒)を見せるとよい。