日曜学校―福音の教義
第15課:「最善の賜物を求め〔なさい〕」


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「最善の賜物を求め〔なさい〕」

目的

御霊の賜物を見分けて,それらを得ることを求め,人々に奉仕するためにそれらの賜物を使えるようにする。

準備

  1. 以下の聖句とその他の資料を祈りの気持ちで研究する。

    1. 教義と聖約46章信仰箇条1:7

    2. 1 コリント12-13章モロナイ10:8-18(補助聖句)。

    3. 『わたしたちの受け継ぎ』3943-4457-58ページ

  2. 『生徒用学習ガイド』(35686 300)の15課の資料に目を通し,レッスンで学習ガイドを参照する方法を計画する。

  3. 何人かの生徒に『わたしたちの受け継ぎ』から以下の出来事を読む準備をしてくるよう依頼する。

    1. フィロ・ディブルを癒したニューエル・ナイト(39ページ)。

    2. 傷ついた息子を手当てする方法について啓示を受けたアマンダ・スミス(43-44ページ)。

    3. ダン・ジョーンズの伝道について預言した預言者ジョセフ・スミス(57-58ページ)。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

生徒が庭に何かを植えている様子を想像してもらう。

  • あなたは自分の庭に何の種をまくでしょうか。

しばらく考えてもらい,何人かの生徒にどのような庭にしたいかを述べてもらう。それぞれの生徒の望みが異なっていることに注目してもらう。様々な庭を思い描くであろうが,美しく,役に立つ庭にしたいと全員が考えるであろうことを指摘する。

  • 種をまいた後,庭を完成させるには何をしなければならないでしょうか。

種をまいた後,庭を完成させるには何をしなければならないでしょうか。

話し合いと応用

生徒の必要に最も適した資料を祈りの気持ちで選ぶ。聖句で述べられている原則に関連した経験を紹介するよう生徒に勧める。

1.忠実な教会員は皆,御霊の賜物を受けることができる

御霊の賜物とは聖霊を通して与えられる霊的な祝福または能力であることを説明する。大背教の時代に御霊の賜物は地上から取り上げられたが,神は現在の神権時代の初期にそれらを回復された。御霊の賜物はわたしたちを祝福し,教化し,一致させることができる。

割り当てておいた生徒に『わたしたちの受け継ぎ』から物語を読んでもらう(「準備」3参照)。それぞれの物語を読み終えたら,どの御霊の賜物が現れたかを話し合う。ニューエル・ナイトは癒す信仰を持っていた(教義と聖約46:20)。フィロ・ディブルとアルマ・スミスは癒される信仰を持っていた(教義と聖約46:19)。アマンダ・スミスは啓示を受けた(信仰箇条1:7)。預言者ジョセフ・スミスは預言の賜物を持っていた(教義と聖約46:22)。ダン・ジョーンズは教える賜物を受けた(モロナイ10:9-10)。

  • 主は教義と聖約46章でどのような御霊の賜物を挙げておられるでしょうか(以下の聖句を読んで,各節で挙げられている霊的な賜物を見つけられるようにする。それらの賜物を黒板に書き出す)。

    1. 教義と聖約46:13。(「イエス・キリストが神の子であり,世の罪のために十字架につけられた〔という,〕聖霊によって」与えられる知識)

    2. 教義と聖約46:14。(救い主に関してほかの人が述べる証を信じること)

    3. 教義と聖約46:15。(「様々な管理の務め」を知ること)十二使徒定員会のブルース・R・マッコンキー長老はこの賜物が「教会を運営し,管理するときに用いられる」と述べている(A New Witness for the Articles of Faith〔1985年〕278)。

    4. 教義と聖約46:16。(「種々の働きが神から出ているかどうかを知る」識別の力。わたしたちはこの賜物によって,ある教えや影響力が神からのものかあるいはほかからのものかを見分けることができる。)

    5. 教義と聖約46:17-18。(知恵と知識)

    6. 教義と聖約46:19。(知恵と知識)

    7. 教義と聖約46:20。(癒す信仰)

    8. 教義と聖約46:21。(奇跡の働き)

    9. 教義と聖約46:22。(預言すること)

    10. 教義と聖約46:23。(霊を識別すること)

    11. 教義と聖約46:24。(異言で語ること)

    12. 教義と聖約46:25。(異言を解釈すること)

    1 コリント12:4-121 コリント13:1-13モロナイ10:8-18にも御霊の賜物について記されていることを指摘するとよい。

  • 御霊の賜物を受けることができるのはどのような人でしょうか(教義と聖約46:8,11参照。神は,聖霊の賜物を受けているすべての忠実な教会員に少なくとも一つの御霊の賜物をお与えになることを指摘する。青少年のクラスを教えている場合は,彼らが霊的な賜物を持っていることを強調する。聖霊の賜物を受けていない人々であっても,ほかの人を励まし,強める特別な能力を祝福されることを指摘するとよい)。

2.神は神の子らの益となるために御霊の賜物をお与えになる

  • 教義と聖約46章で明らかにされているところによると,御霊の賜物にはどのような目的があるでしょうか(以下の情報を使って話し合いを進めるか,生徒の意見に付け加える。話し合う際に見出しを黒板に書き出す)。

わたしたち一人一人を強め,祝福するため

  • 教義と聖約46:9を生徒とともに読む。御霊の賜物はどのような方法でわたしたち一人一人を助けてくれるでしょうか。あなたにとってどの賜物が特に大切でしょうか(霊的な賜物によって強められ,祝福された経験を生徒に話してもらうとよい)。

    十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老は,御霊の賜物は「わたしたちを神に導くことができる。これらはわたしたちを敵の力から守り,わたしたちの不十分なところを補い,不完全なところを修繕することができる」と教えている(“Spiritual Gifts,” Ensign1986年9月号,72)。

わたしたちがほかの人々に仕えるのを助けるため

教義と聖約46:11-12,26を生徒とともに読む。それから以下の引用を紹介する。

十二使徒定員会のオーソン・プラット長老はこのように述べた。「霊的な賜物は教会員の忠実さ,状況,生来の能力,義務,召しに応じて広く与えられている。それはすべての教会員が正しく教えられ,確認され,完成され,救われるためである。」(Masterful Discourses and Writings of Orson PrattNB・ランドウォール編〔1953年〕571)

  • あなたは人々に仕えるために特別な霊的な賜物によって助けられたことがあるでしょうか。ほかの人の霊的な賜物によって祝福を受けた経験にはどのようなことがあるでしょうか。

    話し合いの中で,以下の物語を紹介するとよい。

    「わたしたちがクリスマスの夕食の準備で忙しく働いていたときでした。10代の妹がはしゃぎながら銀の縁取りのある皿を取りに来ました。そのかわいらしい……お皿のセットは両親が結婚するときに祖母からプレゼントされたものでした。特別なときにしか使わないものでした。けれども妹は大切なお皿を何枚か手にして食器棚から取り出そうとしたときに,腕をぶつけ,その拍子にお皿が手から離れてしまいました。急いでお皿をつかもうとしましたが,無駄なことでした。床に飛び散った皿の破片を目にした妹の顔には,絶望感で胸の張り裂けそうな表情が浮かんでいました。

    食事の支度をしていた母の手が空中で止まりました。お祭り気分ではしゃぎながら話していた家中の声が一瞬のうちに凍りついて恐怖の静寂に変わりました。母は割れた皿を見ようともせずに,静かに台所を出て行きました。それから,……家族はそれぞれ気を取り直して,祝日を迎える準備に取りかかろうと動き出しました。

    妹は別でした。彼女は立ち尽くしていました。大粒の涙がほおを伝わっていました。そしてもう一粒,涙がこぼれると,妹はふらふらと歩き出して,ほうきとちり取りを持って来ると,散らかった破片を集め始めました。そして,ひざまずいて大きな破片を拾い上げ,ちり取りの中に入れました。

    しばらくすると母は台所に戻って来ました。そして悲嘆に暮れている妹に腕を回して抱き締めました。妹は大声で泣き出しました。……〔母は〕静かな声でなだめました。『もう,いいのよ。お皿よりもあなたの方がずっと大切だから。』

    後に母がわたしに聞かせてくれた話によると,母はお祈りをするためにほかの部屋へ行って,安らかな気持ちと,妹をどのような慰めたらよいかについて霊感を受けて来たのでした。そのクリスマスの日に母が受けた,霊的な視点から考えるという賜物は家族にとってかけがえのない贈り物となったのです。」(ローラ・ラッセル・バンカー,“The Art of Perspective,” Ensign1998年12月号,54-55)

以下の状況でどの御霊の賜物が助けになるかを話し合うとよい。生徒に教義と聖約46:13-25以下の状況でどの御霊の賜物が助けになるかを話し合うとよい。生徒に

  1. あるホームティーチャーが担当家族から神権の祝福をしてくれるように頼まれている。

  2. ある宣教師は小さな支部を管理している。

  3. ある若い女性はクラスでレッスンをするように頼まれた。

  4. あるアロン神権アドバイザーは執事のグループを引率して1泊2日のキャンプに出かける責任を与えられた。困難が予想される。

  5. ある扶助協会の会長はワードまたは支部の姉妹たちに訪問教師の割り当てを考えている。

わたしたちが欺かれないように助ける

  • 教義と聖約46:8を生徒とともに読む。御霊の賜物はわたしたちが邪悪な影響や欺きを避けるためにどのような助けを与えてくれるでしょうか。

3.わたしたちは御霊の賜物を求め,養い育てるべきである

主はこのように言われた。「熱心に最善の賜物を求め,それらが何のために与えられているのかを常に覚えておきなさい。」(教義と聖約46:8

  • 神がわたしたちに与えてくださった霊的な賜物を見つけるにはどうすればよいでしょうか(深く考える,祈る,断食する,祝福師の祝福を読む,戒めを守る,人々に奉仕するなどの答えが考えられる。以下の引用も参照する)。わたしたちに与えられている霊的な賜物を養い育て,伸ばすにはどうすればよいでしょうか。

    預言者ジョセフ・スミスは,知恵や癒す賜物など御霊の賜物の多くはそれらが必要になるまで明らかにされないと教えた。預言者は「これらの賜物が働くようになるには,時と状況が必要である」と語った(Teachings of the Prophet Joseph Smithジョセフ・フィールディング・スミス選〔1976年〕246)。

  • 御霊の賜物を求めるにはどうすればよいでしょうか(生徒に以下の聖句を読んで,御霊の賜物を求めることについて何を教えているかを探すように言う。明らかにされた事柄を黒板に書き出す)。

    1. 教義と聖約46:7,30。(神に願い求めて,御霊の導きに従う。以下のジョージ・Q・キャノン管長の言葉も参照。)

    2. 教義と聖約46:9。(利己的な理由でなく,ほかの人々に益をもたらすために賜物を求める。)

    3. 教義と聖約46:31。(すべてのことをキリストの名によって行う。)

    4. 教義と聖約46:32。(賜物を与えてくださったことを神に感謝する。)

    5. 教義と聖約46:33。(絶えず徳高く聖くある。)

    ジョージ・Q・キャノン管長はこのように教えている。「わたしたちの中にもし不完全な人がいるとするならば,わたしたちを完成させてくれる賜物を求めて祈る義務がある。わたしは不完全なところがあるだろうか。わたしは不完全なところばかりである。では,わたしの義務は何だろうか。それらの不完全さを正してくれる賜物を与えてくださるよう神に祈ることである。もしわたしが怒りやすい人間ならば,長く堪え忍び,親切であるように促す慈愛を求めて祈る義務がある。ねたみ深い人間であれば,ねたむ気持ちを追放してくれる慈愛を求めて祈る義務がわたしにある。このように福音のあらゆる賜物について祈り求める義務がある。賜物はこのような目的のために存在する。だれも『自分には克服できない。それは生まれつきのものだ』などと言ってはならない。そのように言って正当化することはできない。なぜならば,神はそれらを正す強さを与え,それらを根絶する賜物を与えると約束しておられるからである。」(Millennial Star1894年4月23日,260)

    ダリン・H・オークス長老は自分の母親が御霊の賜物を求める原則をどのように実践したかを説明している。「夫を失い,未亡人となったわたしの母は不完全でした。母は3人の幼い子供を育てる責任を果たすために必要な事柄をどれほど祈り求めたことでしょうか。母は求め続け,ふさわしい生活をしていました。そして祝福されました。母の祈りは霊的な賜物を受けることをはじめとして様々な方法でこたえられました。母は多くの賜物を受けましたが,わたしの記憶にいちばん残っているのは信仰と証と知恵の賜物です。彼女はシオンの力ある女性でした。」(Ensign1986年9月号,72)

結び

御霊の賜物を求め,与えられている賜物を人々に奉仕するために使うよう生徒に奨励する。本課で話し合った事柄が真実であることを御霊に導かれるままに証する。

教えるためのそのほかのアイデア

以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中の幾つかをレッスンに取り入れてもよい。

1.人々に奉仕するために御霊の賜物を使う

以下の写真を入手できる場合は,一部または全部をクラスに持って来る。「教会で話の責任を果たす少女」(『福音の視覚資料セット』607);「ビショップ」(『福音の視覚資料セット』611);「イエス・キリストの福音を教える宣教師」(『福音の視覚資料セット』612);「病人の癒し」(『福音の視覚資料セット』613);「ホームティーチング」(『福音の視覚資料セット』614);「互いに仕えなさい」(『福音の視覚資料セット』615)。一枚ずつ写真を見せて,それぞれの写真は御霊の賜物が必要であることをどのように表しているかを生徒に尋ねる。

生徒に自分の責任について考えてもらう。例えば,親として,兄弟姉妹,神権指導者または補助組織の指導者,ホームティーチャー,訪問教師としての責任などがある。次の質問について静かに深く考えるように言う。あなたが人々にもっと奉仕するためには,どのような御霊の賜物が必要でしょうか。

2.その他の霊的な賜物

  • ブルース・R・マッコンキー長老は「霊的な賜物には数に限りがなく,無限の形態がある。啓示された言葉に挙げられている賜物は単なる例にすぎない」と教えている(A New Witness for the Articles of Faith371)。教義と聖約46章に挙げられている以外に,どのような霊的な賜物があるでしょうか。

    十二使徒定員会のマービン・J・アシュトン長老はこのように述べた。「……あまり目立たない賜物とは,……人に質問をする,人の話によく耳を傾ける,静かな細い声に聞き従う〔賜物〕,……争いを避ける,人当たりがよい〔賜物〕,……義を追い求める,裁きを下さない,神に導きを求める,キリストの弟子としてふさわしい生活をする,人々に関心を向ける,物事を深く考える,祈りをする,力強い証を述べる,聖霊を受ける〔賜物〕……など……があります。」(「多くの賜物」『聖徒の道』1988年1月号,20)

3.真の御霊の賜物を識別する

サタンは偽りの霊的な賜物で人々を欺こうとすることが可能であるのを説明する。教会員の間でこれらの霊的な偽った現れが見られることに心を痛めた預言者ジョセフ・スミスは主に尋ね求めたところ,現在,教義と聖約50章となっている一つの啓示を受けた。

生徒が御霊の賜物の真偽を見分けられるように,教義と聖約50:17-24を検討するとよい。賜物が神から出たものであれば,それはわたしたちを教化し,喜びをもたらすことを強調する。また善を行い,神を愛して,神に仕え,キリストを信じるように導く。もし霊的な現れがわたしたちを教化せず,あるいは罪に導くようであれば,それは神から出たものではない。欺きと邪悪な影響を避けることについては24課で詳しく話し合う。

4.御霊によって教える

  • 福音を教えることは御霊の賜物であることを説明する(モロナイ10:9-10)。続いて教義と聖約42:13-14教義と聖約50:17-18を生徒とともに読む。御霊によって教えるとはどのような意味でしょうか。御霊によって教えることはなぜ大切でしょうか(2 ニーファイ33:1教義と聖約50:21-22と以下の引用参照)。

    『教会指導手引き』にはこのように記されている。「深遠な真理が教えられ,生徒たちは興味深い話し合いを行うかもしれないが,御霊がおられなければ,これらの事柄が強く心に刻まれることはないであろう。」(『第2部 神権指導者・補助組織指導者』302)

  • 教師は教えている間に御霊を招くにはどうすればよいでしょうか(本書のⅶ-ⅷページ参照)。教えを受けている人々は御霊を招くために何ができるでしょうか。

  • 教義と聖約43:8教義と聖約88:122を生徒とともに読む。これらの聖句は日曜学校のクラスでどのように応用できるでしょうか(互いに教え合い,教化し合うことの大切さを強調する)。御霊によって教え,学ぶことを通して,互いに教化し合い,喜び合うことが実現した状態を目にしたことがあるでしょうか。

5.「たとえ雄弁でなくても」ビデオ・プレゼンテーション

もし,ビデオカセット『教義と聖約および教会歴史からの教え』(53933 300)を利用できるならば,「たとえ雄弁でなくても」(6分)を見せるとよい。ビデオを見せる場合,「話し合いと応用」2または3で行う。

このプレゼンテーションには謙遜な教師がどのようにしてブリガム・ヤングを回復された福音に改宗させるための手助けをしたかが描かれていることを説明する。大会でヤング大管長が説教を行っている場面から始まる。そこでヤング大管長は「人に確信を与えるものは何でしょうか」と尋ねる(Journal of Discourses第1巻,90)。プレゼンテーションを見ながら,この質問の答えを見つけるように生徒に言う。プレゼンテーションが終わったら,次の質問をする。

  • 福音が真実であることについて,何が人々に確信を与えるのでしょうか。

  • わたしたちは福音を教えるときに,どのようにしてエリエザー・ミラーの模範に従うことができるでしょうか。