日曜学校―福音の教義
第36課:「さばくは喜びて花咲き,さふらんのように」


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「さばくは喜びて花咲き,さふらんのように」

目的

ソルトレーク盆地に到着した初期の聖徒たちからどれほど祝福を受けているかを理解できるようにし,これらの忠実な会員たちの模範に従うよう奨励する。

準備

  1. 『わたしたちの受け継ぎ』73-86ページを祈りの気持ちで研究する。

  2. 『生徒用学習ガイド』(35686 300)の36課の資料に目を通し,レッスンで学習ガイドを参照する方法を計画する。

  3. 何人かの生徒に『わたしたちの受け継ぎ』から以下の項の概要を発表する準備をしてくるよう依頼する。

    1. 「ソルトレーク盆地での最初の年」と「探検」(74-76ページ)。

    2. 「入植の召し」(78-80ページ)。

    3. 「召しにこたえた宣教師たち」(78-80ページ)。

    4. 「伝道活動」(78-80ページ)。

  4. 以下の絵および写真を入手できる場合は,レッスンで利用できるように準備しておく。「ソルトレーク神殿」(『福音の視覚資料セット』502;本書の208ページ);「ブリガム・ヤング」(『福音の視覚資料セット』507);「ジョン・テーラー」(『福音の視覚資料セット』508)。

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

「ソルトレーク神殿」の写真を見せる。神殿が建設されている地中深くに石のブロックが積み重ねられた頑丈な基礎が築かれていることを説明する。この基礎は150年以上にわたってこの巨大な建物を支えてきた。

  • 建物の基礎はなぜ頑丈で,地中深く築くことが大切なのでしょうか。

建物に堅固な基礎が必要とされるのと同じように,わたしたちの生活にも堅固な基礎が必要であることを説明する。本課ではソルトレーク神殿の建設,ならびに新しい地域に入植して家を築き,福音を広めるために払った開拓者の努力について話し合う。また,初期の聖徒たちが生活を築くために基とした原則について,わたしたちが彼らの模範にどのように従うことができるかについても話し合う。

話し合いと応用

生徒の必要に最も適した資料を祈りの気持ちで選ぶ。話し合った原則に関連した経験を紹介するよう生徒に勧める。

1.「わたしたちはここに神のために神殿を建てます」

ソルトレーク盆地に到着して4日後の1847年7月28日,ブリガム・ヤング会長は現在ソルトレーク神殿が建てられている場所に立ったことを説明する。彼は持っていた杖で地面をたたいて,こう言った。「わたしたちはここに神のために神殿を建てます。」(ウィルフォード・ウッドラフ,Deseret Evening News1888年7月25日付,2)このようにしてまた新しい神殿を建設するための犠牲と祝福が始まったのである。

十二使徒定員会のジョン・A・ウイッツォー長老はこのように述べている。「開拓者たちは飢え,そして疲れていました。彼らは食物と休息を必要としていました。厳しい砂漠は彼らの目の前に広がっていました。そのような環境に置かれていたにもかかわらず,彼らは神殿の建設と,神殿がもたらす霊的な食物と力を第一に求めることを決意したのです。」(Conference Report,1943年4月,38)

ヤング会長が神殿の建設地を明らかにしてから1週間後に聖徒たちは神殿を中心に据えた新しい市を建設するための調査に着手した。人々が神殿を中心にして生活することを念頭に置いて市の設計が行われたのである。

  • 今日,わたしたちはなぜ神殿を中心にして生活すべきでしょうか(以下の引用参照)。どうすれば神殿がわたしたちの生活の中でさらに大切な位置を占めるようにすることができるでしょうか。

    ハワード・W・ハンター大管長はこのように教えている。

    「わたしたちは……この聖なる宮の中で与えられる聖めと安らぎについても強調したいと思います。神殿は主の宮であり,啓示と平安を受けられる場所です。神殿に入ると,人生の目的についてもっと豊かに掘り下げて学ぶことができますし,主イエス・キリストの贖いの犠牲の大切さについてさらに理解を深めることができます。神殿での礼拝,神殿で交わす聖約,神殿結婚など……を地上での究極の目標とし,現世の生涯における至上の経験としましょう。

      神殿の意義と美しさ,そこで得られる平安を,皆さんが日々の暮らしの中でもっと身近に感じられますように。」(「神の御子に従う」『聖徒の道』1995年1月号,97-98)

「ソルトレーク神殿」の写真を見せる。大きな基礎を築くための穴掘りは手作業であったため,数千時間の労働を必要としたことを説明する。隅石が置かれたのは1853年4月6日であった。聖徒たちはその後の数年間,基礎を築く作業を続けていたが,合衆国政府との間に起きた問題のために一時中断した。聖徒たちが政府に反逆しているとの偽りの情報を耳にした合衆国大統領は,軍隊をソルトレーク盆地に派遣したのである。このためヤング大管長は聖徒たちに基礎部分を土で覆うよう指示して,何でもない畑のように見せかけた。

後に,砂岩で築いた基礎部分を発掘したとき,岩にひびが入っていることが分かった。このため砂岩を取り除いて,固いかこう岩のブロックと取り替えた。ヤング大管長は神殿の建設に最も良い資材と技術だけを使うべきであると主張して譲らなかった。ヤング大管長は次のように述べている。

「わたしは福千年の間にも耐え得るような方法で神殿を建設したいのです。わたしたちが建てる神殿はこれだけではありません。数百の神殿が建設され,主に奉献されることでしょう。……そして福千年が終わるとき,……わたしはこの神殿がまだそびえ立っていて,19世紀に山間地方の神の聖徒が示した信仰と忍耐と勤勉さの誇り高い記念碑となるときをこの目で見たいと思います。」(Discourses of Brigham Youngジョン・A・ウイッツォー選〔1941年〕395)

聖徒たちは何年もかけて,神殿の建築に使用するかこう岩を切り出し,運搬し,形を整えるために働いた。この間に彼らは生き残るための苦闘を強いられた。悪天候によって作物の収穫を失い,遠く離れた地で伝道に従事し,召しを受け入れて,家を離れ,人里離れた地に社会を築くために出て行った。これら多くのチャレンジにもかかわらず,聖徒たちは屈しなかった。むしろ主の助けによって繁栄したのである。ソルトレーク神殿は隅石が置かれてから40年後の1893年に奉献された。

  • ソルトレーク神殿を建築する間聖徒が示した忍耐からわたしたちはどのようなことを学べるでしょうか。聖徒たちが示した堅忍不屈の模範はわたしたちにとってどのような助けとなるでしょうか。

    ジェフリー・R・ホランド長老はブリガム・ヤング大学の学長を務めていたときに,わたしたちの人生をソルトレーク神殿の建築にたとえて,このように語っている。

    「名声高い『サイエンティフィックアメリカン』(Scientific American)誌は〔ソルトレーク神殿〕を『モルモンの堅忍不屈の記念碑』であると評しました。まさにそのとおりでした。血と労役と涙と汗の結晶です。最良のものは必ず最善の結果をもたらすのです。『あなたがたは神の宮であって,神の御霊が自分のうちに宿っていることを知らないのか。』(1 コリント3:16)わたしたちは間違いなく神の宮なのです。たとえ長く困難な努力を求められても,わたしたちは石を削って,積み重ね続けなければならないのです。そうしてこそ,『偉大で目を見張るような結果』を成し遂げることができるのです。わたしたちはあらゆる機会をとらえて,学び,成長し,夢を見,ビジョンを描き,それらの実現に向けて力を尽くし,ほかに選ぶ手段がないときには忍耐して待ち,自分の力を信じて,しばらく休息を取り,そして立ち上がって,再び闘うのです。……わたしたちは計り知れないほど大きな自分の未来という偉大な仕事の基礎を築いているのです。」(However Long and Hard the Road〔1985年〕,127)

画像
Salt Lake Temple

ソルトレーク神殿。1893年に奉献された。この神殿は完成までに40年の歳月を要した。

2.聖徒はソルトレーク盆地と周辺地域を開拓し,入植するに当たって従順であった

聖徒たちはソルトレーク盆地と周辺地域を開拓する作業を始めたときに大きなチャレンジに遭遇したことを説明する。割り当てておいた生徒に『わたしたちの受け継ぎ』74-76ページから「ソルトレーク盆地での最初の年」と「探検」の概要を話してもらう。

  • 聖徒たちはソルトレーク盆地での最初の年に大きな苦難に見舞われました。彼らのどのような特質がそれらを克服する助けとなったでしょうか。現在のわたしたちの生活で,この特質を必要とされるのはどのような状況でしょうか。

  • 聖徒たちは逆境に遭遇したときにどのような祝福を受けたでしょうか。あなたが逆境に置かれたときに主はどのように祝福してこられたでしょうか。

割り当てておいた生徒に『わたしたちの受け継ぎ』78-80ページから「入植の召し」の概要を話してもらう。

  • チャールズ・ローウェル・ウォーカーとチャールズ・C・リッチの物語についてあなたはどのような印象を受けたでしょうか。

これらの二人の兄弟とその家族は従順について偉大な模範を示したことを説明する。教会歴史の持つ偉大な教えの一つは,わたしたちが主に従順であり,主の預言者に従うときに祝福を受けるということである。教義と聖約にも従順のもたらす祝福について多くの教えが記されている。以下の聖句を生徒とともに読む。それぞれの聖句は従順に関してどのようなことを教えているかについて話し合う。以下を参考にする。

  1. 教義と聖約58:2-4(わたしたちが戒めを守り,「かんなんの中で忠実」であるならば,「大いなる栄光を冠として与えられる」)。

  2. 教義と聖約64:33-34(進んで行う精神を持ち,従順な人は終わりの時にシオンの地で祝福を受ける)。

  3. 教義と聖約82:10(わたしたちが主の言われることを行うとき,主はそれに対して責任を負われる。わたしたちが主の戒めを守るとき,主はわたしたちを祝福してくださる)。

  4. 教義と聖約93:1(悔い改めて,救い主のもとへ行き,主の戒めを守る人は主の顔を見る)。

  5. 教義と聖約130:19-21(この世で精励と従順によって多くの知識と英知を得る人は,来るべき世でそれだけ有利になる。わたしたちは神の律法に従うことによって祝福を受ける。)

  • 従順の大切さを学んだ経験の中で,ほかの人々に紹介できるようなことにはどのようなものがあるでしょうか。わたしたちが新しい地域を開拓する召しを受けることはないけれども,わたしたちは現在,どのような方法を通して預言者に従うことを求められているでしょうか。あなたは神の御心に従順であるときにどのような気持ちを覚えるでしょうか。

3.宣教師たちは全世界に福音を宣べ伝えるために犠牲を払った

聖徒たちがソルトレーク盆地で開拓の作業に明け暮れているときに,ブリガム・ヤング大管長は全世界で奉仕する多くの宣教師を召した。割り当てておいた生徒に『わたしたちの受け継ぎ』76-78ページから「召しにこたえた宣教師たち」の概要を話してもらう。

  • ブリガム・ヤング大管長が教会を導いた時代に,聖徒たちは世界のどの地域へ行って福音を宣べ伝えたでしょうか。初期の聖徒たちは全世界の人々に福音を分かち合うためにどのような犠牲を払ったでしょうか。

  • ロレンゾ・スノー長老の信仰と祈りはどのようにしてイタリアの人々の心を開き,福音のメッセージに耳を傾けさせるための力となったでしょうか。

  • エドワード・スティーブンソン長老の模範からわたしたちは何を学ぶことができるでしょうか。エリザベス・ウッドとチャールズ・ウッドの模範から,さらにジョセフ・F・スミス長老の模範からは何を学ぶことができるでしょうか。

ブリガム・ヤング大管長は33年間教会を導いた。1877年にヤング大管長が他界すると,ジョン・テーラーは十二使徒定員会会長として3年間教会を導き,1880年10月10日に大管長として支持された(『わたしたちの受け継ぎ』83ページ)。

テーラー大管長の指導の下で聖徒たちは引き続き全世界に福音を宣べ伝えたことを説明する。割り当てておいた生徒に『わたしたちの受け継ぎ』83-86ページから「伝道活動」の概要を話してもらう。

  • ジョン・テーラー大管長が教会を導いた時代に,聖徒たちは世界のどの地域で福音を宣べ伝えたでしょうか。

  • ミルトン・トリーヨは生涯をどのように導かれて神の王国の建設に参加することができたでしょうか。わたしたちは神の王国を建設するためにどのように自分を整えることができるでしょうか。

  • トーマス・ビージンガー長老の物語から何を学ぶことができるでしょうか。キモ・ペリオ長老とサミュエラ・マノア長老の物語から,ディーン長老と姉妹の物語から,ジョナサン・ナペラとキティー・ナペラの物語からは何を学ぶことができるでしょうか。

結び

聖徒たちはソルトレーク盆地において主の神殿と自分たちの生活の堅固な基礎を築いたことを説明する。信仰,堅忍不屈,従順,福音を分かち合う意欲に関して初期の聖徒が示した模範に従うよう生徒に勧める。本課で話し合った事柄が真実であることを御霊に導かれるままに証する。