初等協会テキストと分かち合いの時間
第9課 イエス・キリストも子供だった


第9課

イエス・キリストも子供だった

目 的

イエスの少年時代をよく理解させることによって,イエス・キリストのようになりたいという望みを強める。

準 備

  1. マタイ2:19-23ルカ2:40-52

  2. 絵2-12「聖書時代の学校」に描かれているような巻物を作る。巻物にはルカ2:52の聖句を書く。

  3. 「イエス様も子供でした」(『子供の歌集』34ページ)の1節と2節を歌うか朗読する準備をする。できるならば,この課を教える1週間前と当日,歌の時間に練習するように音楽指導者に依頼する。

  4. 教材

    1. 聖書

    2. ほ乳瓶や毛布,がらがらなどの赤ちゃんが使う品物

    3. CTRチャート(第1課参照)

    4. 絵2-10「聖書時代の家族生活」,2-11「イエス・キリストの少年時代」(『福音の視覚資料セット』206),2-12「聖書時代の学校」,2-13「神殿での少年イエス」(『福音の視覚資料セット』205)

レッスン

子供に開会の祈りをさせる。

宿題を出していれば,その確認をする。

イエスも子供だった

注意を引くための活動

赤ちゃんに関係ある品物を子供たちに回して,手に持って見るように言う。その品物が何に使われるかを説明する。イエス・キリストも子供だったことを指摘する。

  • イエス様もこのような物を使ったと思いますか。

イエスが使われた物には,今の物と似ている物もまったく違う物もあった。この課ではイエスの幼年時代について学ぶことを説明する。

イエスには家があった

絵を使った話し合い

絵2-10「聖書時代の家族生活」を見せる。ナザレの人々は昔このような家に住んでいたと説明する。ナザレはイエスが育った町である(マタイ2:23参照)。イエスはこのような家に住んでいた。絵をよく見せて,話し合い,質問があれば聞く。質問がなければ次のように聞くとよい。

  • 家族はどこで寝たのでしょう。(主婦がしまおうとしている寝具,そのほかの寝具が入っていると思われる棚に注目する。家の屋根は平らで,外には階段があって屋根へと続いている。おそらく天候の良いときには,子供たちは屋根の上に寝たのであろう。)

  • 赤ちゃんはこの家のどこで寝たのでしょう。(ヨセフは大工だったので,この家にあるような揺りかごを幼ないイエスのために作ったに違いない。)

  • この大きなかめは何に使っていたと思いますか。(水を入れるのに使われた。家の中には今のような水道はなかったので,家族の使う水は全部村の井戸から運んで来なければならなかった。井戸というのは,土の中に掘った深い穴に澄んだ水がわき出す所を言う。)

  • 床の上に座っている女の人は何をしていますか。(パンにする粉をひいている。)

  • 電気はなかったので,どのようにしてこの家を明るくしたのでしょう。(ランプを使った。粉をひいている女の人の後ろにある台にランプが置いてある。幾つかのかめの中にはランプ用の油が入っているかもしれない。)

絵を使った話し合い

絵2-11「イエス・キリストの少年時代」を見せる。

  • この絵の人々はだれでしょうか。(イエスとヨセフ)

  • 彼らは何をしているのでしょう。

イエスがヨセフの仕事の手伝いをし,ヨセフが大工の仕事をイエスに教えていただろうということを説明する。

  • イエスは家でほかにどんなことを学んだでしょうか。

イエスは,わたしたちが聖書からいろいろな話を学ぶように,預言者たちについての話を家で学んだことを強調する。イエスもわたしたちと同じように,両親から祈ることや正義を選ぶことを学んだ。マリヤとヨセフは,わたしたちと同じように天父を信じていた。

イエスは子供のころたくさんのことをした

活 動

子供たちに手を挙げさせる。クラスの子供たちが食べると思われるいろいろな種類の食べ物を挙げる。挙げた食べ物がイエスも食べたと思われるものならば,子供たちはてのひらを上に向けて手を前に出す。イエスの時代には食べなかったと思うものは,てのひらを下に向ける。イエスも今の子供たちも食べると思われる食物,たとえばパン,魚,蜂蜜はちみつ,ぶどう,いちじく,牛乳などを含める。

話し合い

  • 皆さんの子供のころとイエス様の子供のころはどこが違いますか。

  • 皆さんの子供のころとイエス様の子供のころはどこが似ていますか。

子供たちに自分がすることや遊びなどを思い出させ,イエスがどのようなことをされたか話し合う。例えば,お使いに行く,お父さんやお母さんのお手伝いをする,学校へ行く,赤ちゃんのお守り,歌を歌う,サッカー,かけっこ,馬乗りなど。イエスは以上のような事柄やそれによく似たことをされたに違いない。必要な説明を加える。(例えば,イエスは馬には乗らなかったが,ろばには乗られたことであろう。)

イエスは聖文を学んだ

絵を使った話し合い

絵2-12「聖書時代の学校」を見せる。ナザレの少年たちが行った学校は教会にあり,先生は村の教会の長で,ラビと呼ばれていた。

子供たちに「ラビ」と言わせる。

イエスは家でいろいろなことを学んだのに加えて,このようなラビが教える学校に行ったと考えられる。

  • この絵の学校はあなたの学校とどう違いますか。(服装,帽子,座る場所,机など。)

女の子は学校へ行かなかったことを指摘する。女の子は家で母親から教えを受けた。

巻物を使った提示

この学校には本がないことを指摘する。イエスの時代,男の子たちは巻物を使って読み方を習った。「巻物」と言わせる。

用意した巻物を見せる。巻物とは,紙のような材料で作った1枚の長い布きれで,その上に何かが書いてある。両端が棒に巻きつけてあり,一方を開きながら,もう一方でくるくると巻けるようになっている。用意した巻物を見せて説明する。それからレッスンの後の方で使うときまで横に置いておく。

学校で少年たちが学んだ巻物には,イエスがお生まれになる前の代々の預言者の教えが書かれていた。

教師の提示

男の子たちが学校で勉強した巻物には,イエス・キリストが降誕される前に住んでいた預言者の教えが書かれていた。旧約聖書の部分を見せる。聖書のこの部分には,巻物に書かれていた物語や文章などが含まれていることを説明する。

ラビが手に持っている巻物や,そのわきの箱の中に入っている巻物を,子供に指摘させる。少年たちはこのような巻物から読み書きを学んだ。ちょうどわたしたちが聖書を使って読み書きを習うようなものである。

聖文の物語

絵2-13「神殿での少年イエス」を見せ,ルカ2:41-50の物語を話す。

一日中旅をしてから,イエスがいないことに気づいたマリヤとヨセフの驚きと心配はどんなものだったかを,子供たちに考えさせる。マリヤとヨセフは急いでエルサレムに引き返し,3日間捜した挙げ句,やっとイエスを見つけることができた。

  • マリヤとヨセフはイエス様をどこで見つけたと思いますか。

  • イエス様は神殿で何をしておられたのでしょうか。

イエスが話しておられるのは,聖書を大変よく勉強した人たちと話していたことを説明する。彼らはイエスの知識が豊かなことに驚いた。ルカ2:47を声に出して読む。

わたしたちはイエスのようになることができる

話し合い

イエスがマリヤとヨセフとともにナザレに戻り,そこで成長されたことを説明する。用意した巻物をもう一度取り出し,それに書いておいたルカ2:52を読む。

  • の聖句にある「イエスはますます知恵が加わり」というのは,どういう意味ですか。

子供たち一人一人も正義を選ぶことを学んでいるので,知恵が加わっていると言える。例を挙げて,子供たちが数か月前よりはずっと知恵が加わっていることを示す。

  • この聖句の最後にありますが,イエス様はなぜ「神……から愛された」のでしょうか。

    イエスがいつも天のお父様の望まれることをしたので,天のお父様はイエスを喜ばれた。イエスはいつも正義を選ばれた。

  • もしイエス様がほかの子供たちにいじめられている子を見たら,どうされると思いますか。

子供たちに,「もし自分が,ほかの子供たちにいじめられている子を見たとしたら,どうするだろうか」と尋ねてみるように言う。

  • 遊んでいるときにお母さんかヨセフが用事を頼んだとしたら,イエスはどうされると思いますか。

子供たちに,「もし自分が遊んでいるときにお父さんかお母さんに用事を頼まれたらどうするだろうか」と尋ねてみるように言う。

イエスが人に愛されたことを説明する(ルカ2:52参照)。人々はイエスと一緒にいることを望んだ。

  • 少年のときのイエス様と友達になりたいですか。

CTRチャート

CTRチャートを提示し,「わたしは正義を選びます」の標語を読む。正義を選ぶことによってよりいっそうイエスのようになることができることを説明する。

まとめ

子供たちと一緒に「イエス様も子供でした」を歌うか歌詞を朗読する。

イエスさまもまえに わたしのような

むじゃきでおとなしい よいこどもでした

さあこどもたち きみもぼくも

エスさまのようになりましょう

こどもたちのように イエスさまも

あそんだけれどいつも ただしいこでした

さあこどもたち きみもぼくも

エスさまのようになりましょう

正義を選びイエス・キリストのようになることによって幸福になれることをあかしする。イエス・キリストの模範があって感謝していることを述べる。

イエスの少年時代は子供たちの今の生活とよく似ていたことを説明する。イエスのようにいつも正義を選ぶように励ます。

子供に閉会の祈りをさせる。

楽しい活動

次の活動の中から自分のクラスに最も合うものを選ぶ。レッスンの一部として用いてもよいし,復習やまとめとして用いてもよい。詳しくは「教師へ」の『クラスの時間』の項を参照する。

  1. ひもか毛糸で子供たち一人一人の背の高さを測り,その長さに切ったひもか毛糸を各人に渡す。子供たちに,大きくなるに従って神から愛されるべきであることを指摘する。それには,イエスがなさったように正義を選ぶことである。

  2. 子供たちにあなたと一緒にルカ2:52を声に出して読むように言う。成長して天父に愛され るためにどのような選択をしたらよいかを話し合う。

  3. イエス・キリストがお食べになったと思われるいちじく,ぶどう,チーズ,パン,ナッツ,オリーブなどを持って行き,子供たちに食べさせる。あらかじめ両親と連絡を取り,持って行く食物に対してアレルギーのある子供がいないかどうか確かめる。(断食日にこのレッスンを教えるときは食物は使わない。)

  4. 赤ちゃんができることと,大きくなったみんなが今できることを比較する。次のような質問をする。

    • 赤ちゃんは歩けますか。皆さんは歩けますか。

    • 赤ちゃんは話せますか。皆さんは話せますか。

    子供は成長するに従って,正義を選ぶことにより救い主と似た者となる能力を増すことを説明する。

  5. 子供たち一人一人に小麦粘土を与え,小さな器や花びんなど,イエスが少年時代に使ったと 思われる物を作らせる。

    小麦粘土の作り方

    材料

    小麦粉 2カップ

    塩 1カップ

    油 大さじ1杯

    食紅(任意)

    作り方:塩と小麦粉を混ぜる。油と適量の水を入れ,粘土の固さになるようにする。水の量を調節して手につかない固さにする。少しこねる。色をつけるときは,塩と小麦粉を混ぜたものに加える水に食紅を入れておく。小麦粘土は密封した容器に入れておく。