2021
あなたがたの光を掲げなさい
2021年11月


あなたがたの光を掲げなさい

今日お勧めしたいことはシンプルです。福音を分かち合ってください。自分らしくあり,光を掲げてください。

数年前,ペルー行きの飛行機の中で自称無神論者の男性と席が隣り合わせになり,神を信じている理由について尋ねられました。その後続いた楽しい会話の中で,わたしが神を信じているのはジョセフ・スミスが神にまみえたからだと伝え,神に関するわたしの知識は,個人的で真に霊的な経験から得たものだと付け加えました。また,「万物は神がましますことを示している」1というわたしの信念を分かち合い,この宇宙の真空に存在する生命のオアシスである地球が,どのようにして誕生したと考えているのか尋ねました。その男性の答えは,長い時を経て「偶然の出来事」により起こったのではないかというものでした。「偶然の出来事」でこのような美しく秩序あるものが生み出されることがいかにあり得ないかを説明すると,しばし黙り込んだ男性は,飾らずに「一本取られたよ」と言ったのです。そこで,モルモン書を読んでみないかと尋ねると,そうすると言うので,わたしは彼にモルモン書を1冊送りました。

何年も後,ナイジェリアのラゴスにある空港でも新たな友人ができました。パスポートを調べてもらっている間に知り合いになったのです。わたしが宗教的な信念について尋ねると,この青年は神を信じる強い信仰を示しました。そこでイエス・キリストの回復された福音からもたらされる喜びや活力について分かち合い,宣教師からさらに学びたいと思うか尋ねると,彼はそうしたいと答え,そして実際に学び,バプテスマを受けたのです。それから1,2年後,リベリアの空港を歩いていると,わたしの名を呼ぶ声が聞こえました。振り向くと,その時の青年が満面の笑みで近づいてきました。喜んで抱き合うと,彼は教会に活発で,宣教師と協力してガールフレンドを教えていることを知らせてくれました。

さて,あの無神論者の友人が,モルモン書を読んだのか,教会に入ったのかは分かりませんが,2番目の友人はそうしました。どちらの場合も,わたしに与えられた責任2あるいは機会は同じでした。それは,福音の光を掲げ,普通で自然な方法で,一人一人を愛し,分かち合い,招くことだったのです。3

兄弟姉妹の皆さん,わたしは福音を分かち合うことの,まさに驚くべき祝福を経験してきました。幾つかご紹介しましょう。

福音を分かち合うことは喜びと希望をもたらす

御存じのように,皆さんもわたしも,わたしたちがこの地上に来る前に天の御父の子供として暮らしていたこと4,また,この地球が創造されたのは,一人一人が神の命である永遠の命を受けられるよう,肉体を得て,経験を積み,学び,成長する機会を得るためであることを知っています。5天の御父は,わたしたちが地上で苦しみを経験し,罪を犯すことを御存じだったので,御子を遣わされました。そして御子の「たぐいまれな生涯」6と無限の贖いの犠牲7により,わたしたちは赦され,癒され,回復することが可能となったのです。8

これらの真理を知ることで人生が変わります。人が栄光に満ちた人生の目的を知り,キリストが御自分に従う者を赦し救われることを理解するようになり,その後キリストに従ってバプテスマの水に入ることを選ぶならば,たとえ取り巻く環境が変わらなかったとしても,人生は良い方に変わるのです。

ナイジェリアのオニチャで出会った輝くように幸せそうなある姉妹は,真理を学び,バプテスマを受けた後は,(彼女の言葉を借りれば)「すべてが順調で,幸せで,天国にいるよう」だと話しています。9福音を分かち合うことで,与える側と受ける側双方の心に喜びと希望がともります。まさに,福音を分かち合うときに,「あなたがたの喜びはいかに大きいこと」でしょうか。10福音を分かち合うことで,喜びに次ぐ喜び,希望に次ぐ希望がもたらされるのです。11

福音を分かち合うことは生活に神の力をもたらす

バプテスマを受けたときに,わたしたちはそれぞれ「いつでも,どのようなことについても,どのような所にいても神の証人になる」12ことを含め,「主に仕えて主の戒めを守る」13という,永遠の14聖約を神と交わしました。この聖約を守ることで主に「つながっている」ならば,枝がぶどうの木から養いを受けるように15,活気づけ,支え,聖める神性の力がキリストからわたしたちの生活に注がれます。

福音を分かち合うことで誘惑から守られる

主は,次のように命じられました。

「あなたがたの光を掲げて,世の人々に輝き渡るようにしなさい。見よ,あなたがたの掲げる光とは,わたしである。すなわち,わたしが行うのをあなたがたが見た,その行いである。……

わたしは……わたしのもとに来て,触れるように,また見るように命じた。あなたがたも世の人々にそのようにしなさい。この戒めを破る者はだれでも,誘惑に陥ることを自ら許す者である。」16

福音の光を掲げることを選ばないでいると,影の中に入ることになり,誘惑に陥りやすくなってしまいます。重要なのは,その逆も真実であるということです。福音の光を掲げることを選ぶなら,さらに光の中へ入り,誘惑から守られるのです。今日の世の中において,何と大きな祝福でしょうか。

福音を分かち合うことは癒しをもたらす

ティファニー・マイローン姉妹は,自分の信仰に関する疑問など,個人的に非常に深い悩みを抱えながらも,宣教師を支えるようにという招きを受け入れました。そして,宣教師を支えることで信仰と幸福感を取り戻せたと先日話してくれました。ティファニーによれば,「伝道活動はまさに癒しの業」なのです。17

喜び。希望。神からの支えとなる力。誘惑からの守り。癒し。福音を分かち合うとき,これらすべて,また(罪の赦しを含め)18それ以上のものが天から注がれます。

わたしたちに与えられた大いなる機会

兄弟姉妹の皆さん,「すべての……宗派〔や教派〕,門派の中には,……見いだす場所を知らないということだけで真理を得られずにいる多くの人がい〔ます〕。」19わたしたちの光を掲げる必要性は,人類史上かつてないほどに高まっており,真理はこれまで以上に身近なものとなっています。

仏教徒として育ったジミー・トンは,YouTubeで自分たちの生活を公開している家族に感銘を受けました。その家族が末日聖徒イエス・キリスト教会の会員であることを知ったジミーは,オンラインで福音を独学し,アプリを使ってモルモン書を読み,大学で宣教師と会った後にバプテスマを受けました。20現在は,彼自身が専任宣教師としてトン長老となっています。

トン長老や彼の仲間である世界中の宣教師たちは,預言者の言葉を借りれば,「主の大隊」の一員です。21この宣教師たちは,世の風潮に反した存在です。Z世代〔訳注:おおむね1995年から2015年に生まれた世代のこと〕が神に背を向けている22という調査結果がある一方で,若い兵士23である長老や姉妹らは,人々を神向かわせているのです。また,宣教師と協力して福音を分かち合う教会員も増え,さらに多くの友人がキリストのみもと,つまり主の教会に来られるよう助けています。

リベリアの末日聖徒たちは,専任宣教師が派遣されていなかった10か月間に,507人の友人がバプテスマの水に入るのを助けました。その地のすばらしいステーク会長の一人は,専任宣教師が戻ってくるかもしれないと聞いて,「それはすばらしい。これでわたしたちの業を助けてもらえますね」と言いました。

この会長の言ったとおり,イスラエルの集合という,この地上で最も大いなる大義24は,聖約におけるわたしたちの責任です。今はわたしたちの時代です。今日お勧めしたいことはシンプルです。福音を分かち合ってください。自分らしくあり,光を掲げてください。天の助けを祈り求め,霊的な促しに従ってください。自分の生活を普通に,そして自然に分かち合い,来て見るよう,来て助けるよう,来て一員になるよう人々を招き,25皆さん自身や皆さんの愛する人々が約束された祝福を受けるのを喜んでください。

わたしは,キリストによって貧しい者に福音が宣べ伝えられ,キリストによって心の痛める者が癒され,キリストによって捕らわれた人に放免が告げられ,キリストによってのみ,悲しむ者には灰に替えて冠が与えられることを知っています。26だからこそ,これらのことを知らしめる必要があるのです。27

イエス・キリストは,わたしたちの信仰の創始者であり,完成者であられると証します。28福音の光を掲げるに当たり,信仰を働かせるわたしたちの力がどれほど不完全であっても,主がやり遂げ,完成させてくださいます。主は奇跡の神であられるので,わたしたちの生活や,主が集められるすべての人の生活に奇跡をもたらしてくださるのです。29イエス・キリストのすばらしき御名により,アーメン。