2021
順序の家
2021年11月


順序の家

「順序」とは,主が御自分の子供であるわたしたちに大切な原則を教えるための簡単で,自然かつ効果的な方法です。

仕事や教会の召しにおいて,人前で話すということは何千回もしてきました。しかし,15人の男性がすぐ後ろにいるという状況は初めてです。皆さんと,後ろの兄弟たちの祈りを感じます。

兄弟姉妹の皆さん,わたしは生まれは南太平洋のトンガ王国ですが,北アメリカで育ちました。パンデミックにより,恐らく世界中で奉仕している何百,何千ものトンガ人の若い宣教師たちは愛する故国に帰ることができていません。トンガが国境を封鎖したからです。トンガ人の宣教師の中には3年間伝道している長老がいますし,2年以上伝道している姉妹もいます。彼らはよく知られているトンガ人の信仰を持って,忍耐強く待っています。とはいえ,皆さんのワードやステークで,わたしのように年老いて白髪になりつつある宣教師がいたとしても,あまり驚かないでください。パンデミックのために伝道の期間が思ったより長くなったり短くなったりしても,わたしたちはあらゆる所にいる宣教師の献身的な奉仕に感謝しています。

執事だったころのことです。ある日曜日に水のトレイを持って玄関ホールで聖餐の水をパスしていると,一人の女性が建物に入って来ました。わたしは忠実にその女性の所に行ってトレイを差し出しました。彼女はうなづくと,笑顔で水のカップを取りました。彼女は着いたのが遅かったので,パンを取ることはできませんでした。このことがあってから少しして,わたしのホームティーチャーだったネッド・ブリムリーが,イエス・キリストの福音には,与える順序が決まっている物事や祝福がたくさんあるのだということを教えてくれました。

その週の後半,ネッドとその同僚がわたしの家に来て,忘れられないレッスンをしてくれました。ネッドは,神が地球を創造されるのには順序があったことを指摘しました。主は地球を造った順序を,非常に注意深くモーセに説明しておられます。主はまず,光と闇とを分け,次に乾いた地と水とを分けられました。そこに植物を生じさせて動物を置き,そのうえで神の最も偉大な創造物,アダムとエバに始まる人類を,この新しく創造された惑星に置かれたのです。

「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち,神のかたちに創造し,男と女とに創造された。……

神が造ったすべての物を見られたところ,それは,はなはだ良かった。」(創世1:27,31

主は満足し,7日目に休まれました。

地球を創造された順序を考えると,神にとって何が大切だったのかを垣間見ることができるだけでなく,なぜ,そして,だれのために地球が創造されたのかも分かってきます。

画像
ネッド・ブリムリー家族

ネッド・ブリムリーはその霊感を受けたレッスンで,力を込めて言いました。「バイ,神の家は秩序の家なんだ。神は君に,秩序ある人生を送ってほしいと期待しておられる。正しい順序でね。結婚する前に伝道に出てほしいと望んでおられるんだよ。」この点について,現在教会の指導者はこう教えています。「主は,能力のある若い男性一人一人に,奉仕する備えをするように期待しておられます。奉仕したいと望む若い女性……も,備えをするべきです。」(「総合手引き—末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕」24.0,ChurchofJesusChrist.org)ブリムリー兄弟は続けてこう言いました。「神は君に子供をもうける前に結婚することを望まれている。そして,引き続き教育を受けて才能を伸ばすことを望まれているんだ。」順序どおりに人生を送ることを選ばないと,人生は困難で無秩序なものとなります。

ブリムリー兄弟はまた,自分やほかの人の選択の誤りが原因で人生が無秩序になったり,人生の順序が変わったりした場合には,救い主が贖いの犠牲によって秩序を回復できるように助けてくださることも教えてくれました。

そのときからわたしは,「順序」に強い関心を持つようになりました。人生や福音の中に順序を見つけることが習慣になっていったのです。

デビッド・A・べドナー長老 は,この原則を次のように教えています。「イエス・キリストの福音を研究し,学び,それに従って生活するのに,出来事の順序が役立つことがよくあります。例えば,救い主の完全な福音がこの末日に回復されたときに起こった主要な出来事の順序から霊的な優先事項についてわたしたちが学べることを考えてみてください。」

ベドナー長老は最初の示現とモロナイのジョセフ・スミスへの最初の現れを例に挙げ,将来預言者になる少年がまず,神の属性と人格,次に,この最後の神権時代における幕の両側でのイスラエルの集合においてモルモン書とエリヤが果たす役割について教えられたと言いました。

そして,こうまとめています。「この順序はわた したちに霊感を与え,神にとって最も優先順位の高い霊的な事柄とは何かを教えてくれます。 」(「子孫の心は向かうであろう『リアホナ』2011年11月号)

わたしの考えでは,「順序」とは,主が御自分の子供であるわたしたちに大切な原則を教えるための簡単で,自然かつ効果的な方法なのです。

わたしたちが地上に来たのは,ほかの方法では得られない経験を得て学ぶためです。成長は人によって異なり,天の御父の計画の欠かせない要素です。わたしたちの身体的および霊的な成長は段階的に始まり,順を追っていろいろな経験をしながら徐々に進みます。

アルマは信仰を種に例えて,力強い説教をしています。信仰の種はきちんと養い育てれば,芽を出して苗木になり,立派に成長して,おいしい実を成らせる成木になると言っているのです(アルマ32:28-43参照)。ここで教えているのは,心の中に種,つまり神の言葉を植える場所を設けてそれを育てるならば信仰が増す,ということです。神の言葉が「心​の​中​で​ふくらみ」​始める​と(28節),信仰は増します。その​種​が「​ふくらんで​芽​を​出し,生長​し​始める」​(30節)という言葉は視覚的かつ教訓的なものです。これにもまた,順序があります。

主は,わたしたちの学ぶ力と学び方に応じて個別に教えてくださいます。わたしたちの成長は,本人の意志と,持って生まれた好奇心,信仰の程度,理解力にかかっています。

ニーファイは,2,300年後にジョセフ・スミスがオハイオ州カートランドで学ぶことになる教えを学びました。「​見よ,主​なる​神​は​こう​言われる。『わたし​は​ここ​に​も​少し,そこ​に​も​少し​と,教え​に​教え,​訓戒​に​訓戒​を​加えて,それ​を​人​の​子ら​に​与えよう。わたし​の​訓戒​を​聴き,わたし​の​勧め​に​耳​を​貸す​者​は,​知恵​を​得る​ので​幸い​で​ある。』」(2ニーファイ28:30

「ここにも少し,そこにも少しと,教えに教え,訓戒に訓戒を加えて」学ぶことにもまた,順序があります。

日ごろよく聞くこんな言葉について考えてください。「大事なことを最初にしなさい。」「肉の前にミルクを飲ませなさい。」「走る前にまず歩かなくては」はどうでしょうか。それぞれの決まり文句は,順序のある物事を説明しています。

奇跡は順序に沿って起こります。奇跡は,わたしたちがまず信仰を働かせてから起こるのです。信仰は奇跡に先立ちます。

若い男性もアロン神権の職に,聖任される人の年齢に従い,執事,教師,祭司という順で聖任されます。

救いと昇栄の儀式には,その性質に伴う順序があります。わたしたちはバプテスマを受けてから聖霊の賜物を受けますし,神殿の儀式にも,同様に順序があります。もちろん,友人のネッド・ブリムリーが非常に上手に教えてくれたように,聖餐には順序があります。パンの次に水を頂くのです。

「一同が食事をしているとき,イエスはパンを取り,祝福してこれをさき,弟子たちに与えて言われた,『取って食べよ,これはわたしのからだである』。

また杯を取り,感謝して彼らに与えて言われた,『みな,この杯から飲め。

これは,罪のゆるしを得させるようにと,多くの人のために流すわたしの契約の血である。』」(マタイ26:26-28

エルサレムでもアメリカでも,救い主はまったく同じ順序で聖餐を定められました。

「見よ,わたしの家は秩序の家であり,混乱の家ではない,と主なる神は言う。」(教義と聖約 132:8

悔い改めには順序があります。ほんのかけらほどであれ,イエス・キリストを信じる信仰を持つことから始まります。信仰を持つためには,「打ち砕かれた心と悔いる霊」を持つために欠かせない要素である,謙遜さが必要です(2ニーファイ2:7)。

確かに,福音の第一の原則の最初の4つの項目には順序があります。「わたしたちは,福音の第一の原則と儀式とは,第一に主イエス・キリストを信じる信仰,第二に悔い改め,第三に罪の赦しのために水に沈めるバプテスマ,第四に聖霊の賜物を授けるための按手であることを信じる。」(信仰箇条1:4

ベニヤミン王は,この大切な真理を次のように民に教えました。「これらのことはすべて,賢明に秩序正しく行うようにしなさい。人が自分の力以上に速く走ることは要求されてはいないからである。しかしまた,賞を得るために勤勉に励むのは必要なことである。したがって,何事も秩序正しく行うようにしなさい。」(モーサヤ4:27

わたしたちが秩序正しく生活し,主が示してくださった順序に従う努力ができますように。主が,主にとって何がいちばん大切かを教えておられることの中から模範と順序を探し,それに従うときに,わたしたちは祝福されます。イエス・キリストの聖なる御名により,アーメン。