2021
キリストに倣う者となる
2021年11月


キリストに倣う者となる

キリストに倣う者になるとは,自分の行い,振る舞い,生活を救い主のものと一致させるよう努めることです。

個人の聖文研究をしながら,わたしは聖書の中で述べられている,後にパウロとして知られるようになるタルソ人サウロの改宗に感銘を受けてきました。

パウロは教会とクリスチャンを盛んに迫害していました。しかし天の力とイエス・キリストの贖罪によって完全に変えられ,神の偉大な僕の一人となりました。パウロは救い主イエス・キリストを生き方の模範としたのです。

コリント人への教えの中で,パウロは自身がキリストに倣う者であるように,彼に倣う者となるよう人々を招いています(1コリント11:1参照)。キリストに倣う者になりなさいというこの心からの招きは,パウロの時代から,今なお有効です。

わたしはキリストに倣う者になるということについて思い巡らすようになりました。さらに大切なこととして,自分はどのように主に倣うべきかを尋ね求めるようになりました。

キリストに倣う者になるとは,自分の行い,振る舞い,生活を救い主のものと一致させるよう努めることです。徳を身につけ,イエス・キリストのまことの弟子になることです。

わたしは救い主の生涯の幾つかの側面を研究してきましたが,今日のメッセージの一部として,自分が倣おうと努めている主の4つの特質を皆さんに分かち合いたいと思います。

救い主の第1の特質は,謙遜さです。イエス・キリストは,前世からとても謙遜でした。天上の会議で,主は神の御心を認め,人類のための救いの計画において神の御心が勝利を得るようにされました。主は言われました。「父よ,あなたの御心が行われ,栄光はとこしえにあなたのものでありますように。」(モーセ4:2

わたしたちはイエス・キリストが謙遜さについて教え,へりくだり御父に栄光を帰されたことを知っています。

謙遜に生きましょう。謙遜さは平安をもたらします(教義と聖約19:23参照)。謙遜さは栄光に先立ち,神の恵みをもたらします。「みな互に謙遜を身につけなさい。神は高ぶる者をしりぞけ,へりくだる者に恵みを賜うからである。」(1ペテロ5:5)謙遜さは穏やかな答えをもたらします。謙遜さは義にかなった性質の源です。

デール・G・レンランド長老は次のように教えています。

「へりくだって神とともに歩む人々は,天の御父とイエス・キリストが自分のためにしてくださったことを覚えています。」

「神に対して高潔に振る舞うとは,へりくだって神とともに歩むことです。」(「公正に振る舞い,憐れみを愛し,へりくだって神とともに歩む『リアホナ』2020年11月号,111,109)

救い主の第2の特質は,勇気です。12歳のイエス・キリストが神の神殿で律法学者たちの間に座し,彼らに神聖な事柄を教えておられる様子を思い浮かべるとき,主が非常に若い時から,すでに優れた勇気,際立った勇気を持っておられたことに気づきます。たいていの人には,少年の方が律法学者たちから教わっているように見えたでしょうが,実際はイエスが彼らを教えておられ,「教師たちはイエスの話を聞いたり,またイエスに質問したりしていた」のです(ジョセフ・スミス訳ルカ2:46)。

わたしたちは2016年から2019年まで,コンゴ民主共和国ムブジマイ伝道部において,専任で奉仕しました。伝道部内のゾーン間の移動手段は車でした。その地域では,刃物を持った強盗たちが道路に現れ,旅行者の移動を妨げる事態が起きていました。

転任のためゾーン間を移動中の5人の宣教師が,このような騒乱の被害を受けました。以前,わたしたち自身も同様に被害を受けたことがあり,わたしたちは全員の命と安全が心配になり,宣教師たちを訪問したりゾーン大会を開いたりするために,これらの道を通るのをためらうようにさえなりました。それがどのくらい続くのか分かりませんでした。わたしは報告書を作成して地域会長会に送り,車が宣教師のところに行く唯一の手段である状況において,引き続き巡回することに恐れを覚えていることを伝えました。

アフリカ南東地域会長であったケビン・ハミルトン長老からの返信には,次のようにありました。「わたしの助言は,最善を尽くしてくださいということです。賢くあり,よく祈ってください。あなた自身やあなたの宣教師たちを承知のうえで危険な状況に置くことのないようにしつつ,信仰をもって前進してください。『というのは,神がわたしたちに下さったのは,臆する霊ではなく,力と愛と慎みとの霊』(2テモテ1:7)だからです。」

この勧めに大いに強められ,わたしたちは伝道を終えるまで勇気をもって巡回と奉仕を続けることができました。その聖句を通して,天の御父からの指示を聞いたからです。

現代の聖文に記されている,預言者ジョセフ・スミスの霊感による次の言葉には,わたしたちに対する主の励ましがあります。「兄弟たちよ,わたしたちはこのような偉大な大義において前進しようではありませんか。退かずに前に進んでください。兄弟たちよ,勇気を出してください。勝利に向かって進み,進んでください。」(教義と聖約128:22

たとえ人に良く思われないときでも正しいことを行う勇気,自分の信仰を擁護し,信仰によって行動する勇気を持ちましょう。日々悔い改める勇気,神の御心を受け入れ,神の戒めに従う勇気を持ちましょう。義にかなった生活をし,様々な責任や立場において期待に応える勇気を持ちましょう。

救い主の第3の特質は,赦しです。地上で務めを果たしておられたとき,救い主は姦淫の場で捕らえられた女性に石が投げつけられるのを防がれました。主は女性に,「お帰りなさい。今後はもう罪を犯さないように」と言われました(ヨハネ8:11)。それによって女性は悔い改めと,最終的な赦しに向かって歩み始めました。聖文にあるように,「女性はそのときから神をあがめ,主の御名を信じた」からです(ジョセフ・スミス訳ヨハネ8:11〔英文〕から和訳)。

2018年12月のクリスマスディボーショナルで,愛するラッセル・M・ネルソン大管長は,わたしたちが救い主から授かっている4つの賜物について語りました。救い主が与えてくださる賜物の一つは赦す力だと,大管長は言っています。

「主の無限の贖罪を通して,皆さんを傷つけた人や,残虐な行為の責任を取ることがないかもしれない人を赦すことができます。

心からへりくだって赦しを求める人を赦すのは,普通は簡単なことです。しかし,救い主は,何らかの方法で不当な扱いをしてきた人をすべて赦す力を与えてくださいます。」(「イエス・キリストが授ける4つの賜物」〔大管長会クリスマスディボーショナル,2018年12月2日〕,https://www.churchofjesuschrist.org/broadcasts/article/christmas-devotional/2018/12/four-gifts-that-jesus-christ-offers-to-you?lang=jpn)

御父の赦しを得られるように,互いに心から赦し合いましょう。赦すことでわたしたちは自由になり,毎週日曜日に聖餐を受けるにふさわしくなることができます。イエス・キリストのまことの弟子となるためには,赦すことが求められます。

救い主の第4の特質は,犠牲です。犠牲はイエス・キリストの福音の一部です。わたしたちが贖われるように,救い主は御自分の命という至高の犠牲をささげてくださいました。主は犠牲の苦しみをなめ,杯を遠ざけてくださるよう御父に願われましたが,それでも永遠の犠牲を最後まで成し遂げられました。これがイエス・キリストの贖罪です。

M・ラッセル・バラード会長は,次のように教えています。「犠牲は純粋な愛の表れです。主に対して,福音や隣人に対してどれほど愛を持っているかは,そのために何を犠牲にするかによって測られます。」(「犠牲の祝福『聖徒の道』1992年7月号,82)

わたしたちはミニスタリングを行い,人々に仕え,善を行い,家族歴史活動を行い,教会の召しを尊んで大いなるものとするために,時間をささげることができます。

地上に神の王国を築くために,什分の一,断食献金,そのほかの献金を納めることで,財産をささげることができます。救い主と交わしている聖約を守るためには,犠牲が求められます。

イエス・キリストに倣い,主の贖罪の祝福にあずかることによって,わたしたちがますます謙遜に,より勇敢になり,さらに赦し,主の王国のためにさらに犠牲をささげられるよう祈ります。

天の御父が生きておられ,わたしたち一人一人を個人的に御存じであること,イエスがキリストであられ,今日ラッセル・M・ネルソン大管長が神の預言者であることを証します。末日聖徒イエス・キリスト教会が地上における神の王国であること,モルモン書が真実であることを証します。わたしたちの贖い主,イエス・キリストの御名により,アーメン。