インスティテュート
第8課 教師用資料:同性にひかれる気持ちを理解しようと努め,LGBTの兄弟姉妹を愛する


「第8課 教師用資料:同性にひかれる気持ちを理解しようと努め,LGBTの兄弟姉妹を愛する」『永遠の家族 教師用資料』

「第8課 教師用資料」『永遠の家族 教師用資料』

第8課 教師用資料

同性にひかれる気持ちを理解しようと努め,LGBTの兄弟姉妹を愛する

わたしたちはイエス・キリストの弟子として,同性にひかれる気持ちを感じる人々や,ゲイ,レズビアン,あるいはバイセクシュアルであると自認する人々に対して,「愛と思いやりを示し,手を差し伸べることにおいて,わたしたちが先頭に立〔つ〕」ように勧められています(Quentin L. Cook, “Let Us Be at the Forefront” [video], ChurchofJesusChrist.org)。本課は,生徒にとって,同性にひかれる気持ちを感じる人々やLGBTであると自認する人々に,愛と包容と敬意をもって対応する助けとなる福音の真理を見つけ,話し合い,応用する機会となります。

教えるための提案

教え方と学び方を改善する

理解と思いやりをもって教える。クラスの準備をする際,同性にひかれる気持ちに対する自分の理解と,ゲイ,レズビアン,バイセクシュアルを自認する人々に対する自分の態度について深く考える時間を取ってください。神のすべての子供たちに対して愛と包容と尊敬の念を感じられるよう生徒を助けるには,どうすればよいでしょうか。

イエス・キリストは弟子たちに,主がわたしたちを愛されたように,互いに愛し合うよう命じておられます。

生徒に,ジーンという名のヤングアダルトが初めてインスティテュートのクラスに出席しているのを想像してもらいます。ジーンは今日のクラスで同性にひかれる気持ちというテーマについて話し合うことに気づいた途端,不安が押し寄せ,その場を離れたいと思いました。自分をレズビアンだと自認しているからです。ジーンが不安を感じる理由と,ジーンやほかの人たちが安心して話し合えるよう助けるために,クラスの参加者には何ができるかを話し合ってください。

マタイ22:37-39ヨハネ13:34-35を読んで,天の御父とイエス・キリストが人々を愛することを大切にされている点を生徒に見つけてもらいます。ホワイトボードに次の真理を書き出します。「わたしたちはイエス・キリストがわたしたちを愛してくださっているように,互いに愛し合うように命じられている。

  • イエス・キリストの弟子にとって,主が愛されたように人々を愛することが大切なのはなぜでしょうか。

  • イエス・キリストは地上で務めを果たしておられたときに,どのように完全な愛の模範を示されたでしょうか。(話し合いの一環として,ほかの人を愛することは,神の戒めに反する行動に同意したり,是認したりしなければならないという意味ではないことを生徒に思い起こしてもらいます。救い主は愛をもって,大胆かつ明確に御父の教義を教えられました。)

  • 同性にひかれる気持ちについて話し合うとき,救い主の愛の模範はどのようにわたしたちを導いてくれるでしょうか。

わたしたちは,同性にひかれる気持ちを感じる人々に,優しさと包容,敬意をもって対応することができます。

クラスを小さなグループに分けます。数分後に,各グループで,同性にひかれる気持ちを感じる人が登場するシナリオについて話し合うことを説明します。このシナリオは,一部の教会員が実際に経験していることと類似したものであると指摘します。生徒が福音の原則に基づいた話し合いを行えるよう助けるために,各グループの参加者に,準備資料のセクションの一つを最初に見直してもらうとよいでしょう。

生徒がそれぞれのセクションを復習する時間を取った後,このレッスンの最後にある配付資料のコピーを各生徒に配ります。生徒に状況を黙読してもらい,その後,グループで次の質問について話し合ってもらいます。

シナリオと質問について話し合うための時間を十分取った後,話し合いで学んだことや感じたことを生徒に発表してもらいます。生徒が自分の考えを発表する中で,このテーマに対する理解を深める助けとなるフォローアップの質問をするとよいでしょう。以下に,フォローアップの質問を組み立てるための例を幾つか紹介します。

  • その洞察/真理/原則は____にどのように影響しましたか。

  • これまでどんなときに____を感じたり/見たり/経験したりしましたか。

  • ____の例には,どんなものがありますか。

  • ____に対して,信仰を持ってどのように行動できるでしょうか。

話し合いの後,同性にひかれる気持ちに関して,まだ採り上げていない質問や懸念がないか生徒に尋ねます。

生徒が学んだことを応用できるように,以下の質問を提示し,生徒に自分に関連のある質問を一つ以上選ぶように勧めるとよいでしょう。生徒に,自分の疑問(または質問)について深く考え,受けた印象を書き留めるように勧めます。

  • 同性にひかれる気持ちを感じる人々を含め,すべての人に対して,より大きな愛と包容と敬意をもって接するために,考え方や行動について何を変える必要があるでしょうか。これらを変えるうえで,どのように救い主に頼ることができるでしょうか。

  • 同性にひかれる気持ちを抱く者として,救い主と主の福音に焦点を当てることは,より大きな希望と幸福を持って生活するうえで,どのような助けとなるでしょうか。自分の経験をだれにも話していない場合,だれに助けを求めて相談したらよいでしょうか。(注:同性にひかれる気持ちを打ち明けようと決心した場合,現世におけるこの経験を,だれに伝えたらよいか,どのように伝えればよいか,祈りの気持ちをもって考えてください。)

ジャクソンのストーリー

『永遠の家族 教師用資料』—第8課

ジャクソンは末日聖徒イエス・キリスト教会の忠実な会員の家族の中で育ちました。愛情深い両親がおり,特に姉のセレーナとは仲の良い関係を築いています。

ジャクソンは福音を愛しており,イエス・キリストと回復についての証を持っています。また,明るく社交的な性格で知られています。ところが,最近,その明るさが悲しみに取って代わり,自分の殻に閉じこもることが多くなってきました。ジャクソンには秘密があり,どうすればよいか分からないのです。

思い出せるかぎりずっと,女性よりも男性にひかれる気持ちがありました。何年もの間,こうした感情を無視し,そのような感情はないふりをしようとしました。家庭内でこの話題が出たことは一度もなかったため,話題にしてはいけない話だと感じていました。時々,友人たちがゲイの人々について軽蔑するような発言をすることもありました。教会の教師や指導者から教えられたことで覚えているのは,同性愛は重大な罪であるということだけでした。

伝道に出る前,ジャクソンは男性にひかれる気持ちを取り除いてくださるよう,神に繰り返し懇願しました。伝道に出れば,自分の気持ちは変わるだろうと確信していました。ところが,ジャクソンが伝道を終えてからも,男性にひかれる気持ちは消えません。ジャクソンはだれかと話したいと切実に望んでいますが,恐れから口を閉ざしています。

セレーナは,弟が家族に心を閉ざしてしまっていることに気づきました。苦痛を感じているのが見て取れます。ジャクソンのために祈り,弟を助ける方法を知るために祈ってきました。

今朝,セレーナはジャクソンに,一緒に散歩に行ってもいいかと尋ねました。ジャクソンはしぶしぶ同意しました。歩きながら,二人は日常のことについて話しました。セレーナは,ジャクソンを笑顔にしました。ついに,セレーナは次のように言いました。「ジャクソン,何か問題があるのね。目を見れば分かるわ。話してちょうだい。あなたのことがとても心配なの。」

ジャクソンは長い間立ち尽くしていました。涙が頬を伝い始めました。ついに,心の奥底から感情があふれ出て,声を震わせながら言いました。「セレーナ,ぼくはゲイなんだ。覚えているかぎりずっとそうだった。どうすればいいか分からないんだ。母さんや父さんが知ったら何を言われるのか怖いよ。ほかの家族もぼくを恥に思うだろうか。ぼくがゲイだと知ったら,友達はぼくと一緒に過ごしたいと思うだろうか。ビショップに伝えたら,会員資格はどうなるんだろう。幸せになって家族を持てるとはとうてい思えないんだ。神から見捨てられたように感じるよ。」

ジャクソンは首をうなだれて,地面をじっと見つめました。長い沈黙の後,静かにこう言いました。「セレーナ,がっかりさせてしまったら,ごめんね。だれにも言わないで。ぼくは途方に暮れ,混乱している。」

話し合いのための質問

  1. ジャクソンの経験について,どのような感想を持ちましたか。家族や親しい友人,教会の指導者に,同性にひかれる気持ちについて話すのが難しいのはなぜでしょうか。

  2. 自分がセレーナだったら,どのように感じるでしょうか。セレーナは理解と思いやりをもって対応するために何ができるでしょうか。

  3. 同性にひかれる気持ちに関する主の教えを正しく理解することは,セレナとジャクソンの両方にどのような助けとなるでしょうか。これらの教えを受け入れるのが難しいことがあるのはなぜでしょうか。

  4. ジャクソンとセレーナは,どのようにしたら同性にひかれる気持ちを永遠の観点から見ることができるでしょうか。

  5. ジャクソンはさらなる導きや励まし,助けを受けるために,どこに助けを求めることができるでしょうか。

ジャクソンのストーリー

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教師用配付資料

次回に向けて

第9課の準備資料を研究する際,FamilySearch.orgや「ファミリーツリー」アプリで自分の先祖について学ぶ時間を少し取るよう生徒に勧めてください。また,生徒に,先祖が神殿で救いの儀式を受ける手助けをする人々に約束されている祝福について考えるよう励まします。