伝道部の召し
レッスン1:イエス・キリストの福音の回復に関するメッセージ


「レッスン1:イエス・キリストの福音の回復に関するメッセージ」『わたしの福音を宣べ伝えなさい—伝道活動のガイド』31-46

「レッスン1」『わたしの福音を宣べ伝えなさい』31-46

レッスン1

イエス・キリストの福音の回復に関するメッセージ

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聖なる森

© 1991 Greg K. Olsen.複写不可。

あなたの目的

教える中で,バプテスマと確認に向けて備えられるよう人々を助けてください。教義と聖約20:37,および関連するバプテスマの面接の質問で教えられている,バプテスマを受ける資格を検討します。何を教え,どの決意を勧めるかについては,相手の必要や関心,状況に基づき,祈りをもって判断してください。教えている人々の抱いている質問や理解度に気を配りましょう。

バプテスマの面接の質問

  • あなたは神が永遠の御父であられることを信じていますか。

  • あなたはイエス・キリストが神の御子であられ,世の救い主,贖い主であられることを信じていますか。

  • あなたはイエス・キリストの教会と福音が預言者ジョセフ・スミスを通して回復されたことを信じていますか。

  • あなたは〔現在の大管長〕が神の預言者であることを信じていますか。そのことはあなたにとってどのような意味がありますか。

招き

  • モルモン書が神の言葉であることを知るために,モルモン書を読み,祈りの中で神に尋ねていただけますか。

  • ジョセフ・スミスが預言者であったことを知るために,祈りの中で神に尋ねていただけますか。

  • 今度の日曜日,わたしたちと一緒に教会に出席していただけますか。

  • 次回の訪問予定を決めてもよろしいですか。

  • レッスン4からあなたが選んだ戒め

神は愛にあふれる天の御父であられる

神はわたしたちの天の御父です。わたしたちは神の子供です。神は栄光を受けた完全な骨肉の体を持っておられます。神はわたしたちを愛しておられます。神はわたしたちの悲しみを理解し,寄り添ってくださる御方,わたしたちの成長を喜んでくださる御方です。神はわたしたちと語ることを望んでおられます。わたしたちは心からの祈りを通して神と語ることができます。

わたしたちが学び,成長できるように,神は地上での経験を与えてくださいました。わたしたちは正しい選択をし,戒めに従うことで神への愛を示すことができます。

天の御父は子供であるわたしたちに,この世で実りある人生を送り,御父のもとに戻って生活する方法を用意してくださいました。しかしそのためには,従順によって清く汚れのない状態にならなければなりません。不従順は,わたしたちを御父から遠ざけます。御父の計画の中心となっているのは,イエス・キリストの贖罪です。イエス・キリストの贖罪には,十字架上での苦しみと死だけでなく,ゲツセマネの園での主の苦しみが含まれています。わたしたちはキリストの贖罪によって,罪の重荷から解放され,試練に立ち向かう信仰と強さを養うことができるのです。

神について信じていること

キリスト教徒が信じる神について,あなたの教えている人がそれぞれどのような理解を持っているか明らかにしましょう。今日の世において,多くの人は神についてまったく知らないか,神の存在について非常に異なった認識を持っています。

モルモン書に登場する二人の宣教師,アンモンとアロンは,キリスト教の教えを知らない人々に教えました。二人は簡潔な真理を教え,祈るよう人々を招きました。そうしてラモーナイとその父は改宗したのです。アルマ18:24-4022:4-23を読んで,以下の質問に答えてください。

  • これらの宣教師は,神の特質についてどのようなことを教えましたか。

  • どうしたら彼らの模範に従うことができますか。

聖文研究

父なる神とイエス・キリストはどのような特質を持っておられるでしょうか。

福音は個人と家族を祝福する

回復されたイエス・キリストの福音は,個人と家族に祝福をもたらすものです。家族のきずなをさらに深め,家族を霊的に強めようと努める中で,夫と妻,親と子供それぞれに助けを与えてくれます。これらの祝福は,この世と永遠にわたって得ることができます。イエス・キリストの福音は,現在直面している問題や困難に対する助けを与えてくれます。

イエス・キリストの福音のメッセージは,あらゆる個人が神の家族の一員であること,家族はこの世と永遠にわたって一つになり得ることを伝えています。家族は神が定められたものです。そのため,家族はこの世と永遠にわたって最も大切な社会の単位と言えます。神は,御自分の子供たちに幸せをもたらそうと,家族を設けられました。愛に満ちた環境の中で,わたしたちが正しい原則を学び,永遠の命に備えられるようにしてくださったのです。イエス・キリストの福音の原則を教え,学び,応用するのに最もふさわしい場所は家庭です。福音の原則のうえに築かれた家庭は,避け所,安全な場所となります。主の御霊がとどまる場所,家族に平安と喜び,幸福という祝福が注がれる場となるのです。神はあらゆる時代の預言者を通して,個人と家族のための幸福の計画を明らかにしてこられました。それは現代も同じです。

天の御父はあらゆる神権時代に福音を明らかにされる

わたしたちへの愛を示すうえで神が用いられる一つの大切な方法は,預言者を召すことです。預言者には神権,すなわち神の子供たちの救いのために,神の御名によって行動する力と権能が授けられています。預言者は啓示によってイエス・キリストの福音を学びます。それから人々に福音を教え,イエス・キリストが救い主,贖い主であられることを証します。預言者の教えは,聖典と呼ばれる神聖な書物に書かれています。

わたしたちがこの世で実りある人生を送り,神のみもとへ戻って生活するために,御父はイエス・キリストの福音と呼ばれる計画を備えられました。この計画の中心となるのは,イエス・キリストの贖罪です。イエス・キリストの贖罪を通して,わたしたちは永遠の命を受けることができます。そのためには,イエス・キリストを信じる信仰を働かせ,悔い改め,罪の赦しを受けるために水に沈めるバプテスマを受け,そして聖霊の賜物を受けて最後まで堪え忍ぶことが求められているのです。「これが道である。 そして,このほかには人を神の王国に救う道も名も天下に与えられていない。見よ,これがキリストの教義で〔ある。〕」(2ニーファイ31:21)すべての人には,選択の自由という賜物が与えられています。すなわち預言者や使徒から教えられた福音を受け入れるか,拒むかを自由に選ぶことができるのです。従う方を選んだ人は祝福されます。しかし福音を気にも留めず,拒み,ゆがめる人は,神が約束された祝福を受けることができません。

福音の原則や儀式を気にかけず,背き,ゆがめる人は神から離れます。主の預言者を拒み,信仰をもって堪え忍ぶことをやめてしまうときも同様です。彼らは霊的な暗闇の中を生きるようになるのです。これによって,最終的には背教と呼ばれる状態に行き着きます。背教が広く行き渡ると,神は,福音の儀式を教え,執行する神権の権能を取り去られます。

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教えを説くノア

聖書の歴史を振り返ると,神が預言者に語られたときのことが多く記されています。また何度も起きた背教についても記録されています。神は新たに預言者を召すことで,御自分の子供たちに愛を示し,背教に満ちたそれぞれの時代に終わりを告げてこられました。イエス・キリストの福音を回復し,一から教えるために,預言者に神権の権能をお授けになるのです。突き詰めると,地上で神の家族を見守る管理者としての役割を果たすのが預言者です。このように,務めを果たす預言者に導かれた時代は神権時代と呼ばれます。

神はアダムに,イエス・キリストの福音を明らかにし,神権の権能を授けられました。アダムは,地上で最初の預言者です。アダムは啓示により,人類と父なる神,御子イエス・キリスト,聖霊との正しい関係について学びました。またイエス・キリストの贖罪と復活,福音の第一の原則と儀式についても学んだのです。アダムとエバはこうした真理を子供たちに教えました。また信仰を育み,あらゆる面において福音に従って生きるよう子供たちに勧めました。アダムに続いてほかの預言者たちが召されましたが,時とともに,アダムの子孫は福音を拒むようになりました。正しくないことを選び,背教に陥ったのです。

こうして,預言者によって導かれる神権時代というパターンが始まりました。旧約聖書の歴史のほとんどがこの神権時代についての記録です。天の御父はノア,アブラハム,モーセといった預言者に直接語り,福音を明らかにしてこられました。一人一人の預言者は,福音の新たな神権時代を開くために神から召されていました。神はそれぞれの預言者に,神権の権能を授け,永遠の真理を明らかにされました。しかし残念なことに,どの神権時代においても,人々は選択の自由により最終的に福音を拒み,背教に陥ったのです。

預言者

あなたの教えている人が,預言者についてどのようなことを理解しているか明らかにします。ほとんどの文化には,神から導きや指示を受ける聖人,天性の力を持つ人物の存在を信じる人々がいます。しかしながら,霊感を受けた人のすべてが,回復された福音で定義されている神の預言者と言えるわけではありません。新たな神権時代を確立するために,神が預言者を召され,地上に神の王国を打ち立てられることをはっきりと説明します。神はその預言者に神権の権能を授けられます。預言者はそれを受けて,人と神との関係をはじめ,イエス・キリストの福音を通して永遠の命を受ける方法を理解できるように人々を助けるのです。

キリスト教の背景や文化を持たない人々を教える際には,福音の神権時代をどのように意義づけたらよいだろうかと悩むかもしれません。しかし,福音の神権時代の歴史を簡潔に説明するならば,神が御自分の子供たちを愛しておられること,昨日も今日も,また永遠に変わることのない御方であることについて,人々が理解できるように助けられることが分かるでしょう。

聖文研究

預言者

神権時代

地上における救い主の教導の業と贖罪

イエス・キリストがお生まれになる数百年前,人々は再び背教に陥りました。しかしながら,現世で教導の業を始められた救い主は,地上に再び御自身の教会を設立されたのです。

天の御父は全人類の罪を贖い,死を克服するために,御子を地上に遣わされました。「神はそのひとり子を賜わったほどに,この世を愛して下さった。それは……御子によって,この世が救われるためである。」(ヨハネ3:16-17)天の御父が御子イエス・キリストを遣わされたのは,イエス御自身が苦しみを受けることによって,地上に生を受けるすべての人の罪を身に受け,肉体の死に打ち勝つためでした。救い主が無限の贖いの犠牲をささげられたのは,わたしたちが主を信じる信仰を持ち,悔い改め,バプテスマと聖霊を受け,最後まで堪え忍ぶことで罪の赦しを受けられるようにするためです。そして神のみもとで永遠の命を受けるに至る道に入るのです(2ニーファイ31:13-21参照)。

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十二使徒を聖任されるキリスト

地上での教導の業を果たされる中,救い主は福音を教え,多くの奇跡を行われました。また,12人を使徒として召し,彼らの頭に手を置いて神権の権能を授けられました。御自身の教会を組織し,預言を成就された救い主は人々から拒まれ,十字架につけられることになります。何よりも重要なことは,救い主が贖罪を成し遂げられたことです。神の御子,主イエス・キリストは,天の御父から命じられたすべてのことを果たされたのです。

死と復活に先立って,救い主は使徒たちに権能を与えられました。それは福音を教え,救いの儀式を執り行い,この世で主の教会を築くための権能です。

聖文研究

大背教

イエス・キリストの死後,悪い人々は使徒たちと教会員を迫害し,多くを殺しました。使徒たちの死に伴い,神権の鍵と神権の管理の権能は地上から取り去られました。それまで使徒たちは福音の教えを純粋に保ち,教会の秩序と教会員のふさわしさの標準を保ってきました。使徒たちがいなくなったことにより,福音の教えは次第に腐敗していき,教会の組織をはじめ,バプテスマや聖霊の賜物を授ける確認などの神権の儀式が許可なしに変えられていきました。

啓示や神権の権能がない中,人々は人間の知恵に頼り,聖文およびイエス・キリストの福音の原則と儀式を理解するようになりました。間違った概念が真理として教えられました。父なる神と御子イエス・キリスト,聖霊が持つ真の属性や特質に関して,多くの知識が失われました。イエス・キリストを信じる信仰,悔い改め,バプテスマ,聖霊の賜物に関する教義の重要な要素が,ゆがめられ,忘れ去られてしまいました。キリストの使徒たちに授けられた神権の権能は,もはや地上から存在しなくなったのです。この背教によって,次第に多くの教会が現れるようになりました。

霊的な暗黒時代が何百年も続いた後,真理を求める男女は,その当時行われていた宗教上の慣習に異議を唱え始めました。福音の教義や儀式の多くが変えられ,失われていることに気がついたのです。彼らはさらなる霊的な光を探し求めました。多くの人が,真理を回復する必要性を説いたのです。しかしながら,自分が預言者として神から召されていると主張する人はいませんでした。その代わり,変えられ,腐敗していると思われる教えと儀式を改めようとしたのです。こうした彼らの働きは,多くのプロテスタント教会の設立へと至りました。この宗教改革によって,宗教の自由が重要視されることとなり,ついには福音の回復への道が開かれたのです。

救い主の使徒たちは,全世界でこのような背教が起きることを預言していました。それだけでなく,イエス・キリストの福音とその教会が,再び地上に回復されることも預言していたのです。

聖文研究

大背教

教える中で,イエス・キリストと使徒たちの死後に世界的な背教が起きたことを理解できるように人々を助けましょう。もし背教が起きなかったとしたら,回復の必要はないのです。ダイヤモンドを黒いビロードの布の上に乗せるとその輝きが引き立つように,福音の回復は,大背教という暗黒を背にするときに際立った輝きを放ちます。御霊の導きに従い,相手の必要と状況に合わせた詳細度をもって,人々に大背教について教えましょう。あなたの目的は,イエス・キリストの福音を回復する必要性を,人々に理解してもらうことです。

キーポイント

  • イエス・キリストの教会は使徒と預言者という土台の上に築かれます(エペソ2:19-204:11-14参照)。これらの指導者は,神から授かった神権の権能を持っています。彼らは啓示により,教会の諸事全般に関する指示を与えます。また,教義を純粋なまま維持し,儀式を執行する権限を与え,人々を召して神権の権能を授けます。

  • 人々は,イエス・キリストと使徒たちを拒み,死に至らせました(マタイ24:91ニーファイ11:32-342ニーファイ27:5参照)。使徒たちの死に伴い,教会を管理するために必要な神権の権能が教会から失われました。結果として,聖霊を授ける権能も,その他救いの儀式を執り行う権能もなくなりました。啓示はやみ,教義は腐敗するに至ったのです。

  • 使徒たちが世を去る前ですら,教義に関する多くの対立が起きていました。その当初,クリスチャンを迫害していたローマ帝国は,後にキリスト教を取り入れています。宗教上の重要な疑問点は,評議によって解決されたのです。救い主が教えられた簡潔な教義と儀式は論議の対象となり,この世の考えに沿うものへと変えられました(イザヤ24:5参照)。彼らは分かりやすくて貴い部分を取り去り,聖文そのものに手を加えてしまいました(1ニーファイ13:26-40参照)。人々は,誤った教義や変えられた教義をもとに,教えや信条の内容を創作したのです。(ジョセフ・スミス-歴史1:19参照)。高慢な思いから,権力の座を熱心に追い求める人々もいました(3ヨハネ1:9-10参照)。人々は,こうした誤った考えを受け入れた末,神の真理よりも,人々を喜ばせる教えを説く,偽りの教師を尊んだのです(2テモテ4:3-4参照)。

  • 歴史を通じて,多くの人々は,誤った信条と教義を心から信じていました。人々は自分の持つ光に従って礼拝し,祈りの答えを受けていました。それでも彼らは,「見いだす場所を知らないということ……で真理を得られずにい」たのです(教義と聖約123:12)。

  • したがって,宗教改革ではなく福音の回復が必要でした。神権の権能は,使徒ペテロから切れ目なく継承されてはいませんでした。改革とは,すでにあるものを変えることです。回復とは,何かを原型に戻すことです。このため,神の使いによる神権の権能の回復こそが,大背教を乗り越える唯一可能な方法だったのです。

ジョセフ・スミスによるイエス・キリストの福音の回復

条件が整うと,天の御父はもう一度,御自身の子供たちに愛の御手を差し伸べられました。御父は,ジョセフ・スミスという名の少年を,預言者として召されたのです。ジョセフ・スミスを通して,イエス・キリストの完全な福音が,地上に回復されることになります。

ジョセフ・スミスはアメリカ合衆国に住んでいました。その当時,唯一宗教の自由を享受できたと思われる国です。そのころ,合衆国東部では宗教上の大きな騒ぎが起きていました。ジョセフの家族は信仰深い人々で,絶えず真理を探し求めていました。しかし,真実の福音に根差していると主張する牧師は大勢いました。ジョセフは「すべての教派のうちのどれが正しいか」を知りたいと思いました(ジョセフ・スミス—歴史1:18)。「主は一つ,信仰は一つ,バプテスマは一つ」(エペソ4:5)と聖書は説いているのです。ジョセフは幾つかの教会の礼拝に出席しましたが,どの教会に入るべきか分からないままでした。ジョセフは後に次のように記しています。

「様々な教派間の混乱と争いが非常に激しかったので,わたしのように若……い者にとって,だれが正しく,だれが間違っているか,確かな結論を出すことは不可能であった。……この言葉の争いと見解の騒動の渦のただ中にあって,わたしはしばしば心に問うた。 『何をしなければならないのだろうか。これらすべての教派のうちのどれが正しいのだろうか。それとも,ことごとく間違っているのだろうか。もし彼らのうちのどれかが正しいとすれば,それはどれで,どうすればそれが分かるのだろうか。』」(ジョセフ・スミス—歴史1:8,10

様々な宗派の中から真理を真理を探し求めるうち,ジョセフは導きを求めて聖書を開き,次の言葉を読みます。「あなたがたのうち,知恵に不足している者があれば,その人は,とがめもせずに惜しみなくすべての人に与える神に,願い求めるがよい。そうすれば,与えられるであろう。」(ヤコブの手紙1:5)この聖句を受けて,ジョセフは自分がなすべきことを神に尋ねることを決めました。1820年の春,ジョセフは近くの森へ行き,ひざまずいて祈りました。その後の出来事に関して,ジョセフ自身,あるいはジョセフの指示を受けた筆記者による4つの異なる記録が残されています(福音トピックスの論文「最初の示現の記録」)。そのうち一つの記録の中で,ジョセフは自身の経験を次のように述べています。

「わたしは自分の真上に,太陽の輝きにも勝って輝いている光の柱を見た。そして,その光の柱は次第に降りて来て,光はついにわたしに降り注いだ。……そして,その光がわたしの上にとどまったとき,わたしは筆紙に尽くし難い輝きと栄光を持つ二人の御方がわたしの上の空中に立っておられるのを見た。すると,そのうちの御一方がわたしに語りかけ,わたしの名を呼び,別の御方を指して,『これはわたしの愛する子である。彼に聞きなさい』と言われた。」(ジョセフ・スミス—歴史1:16-17

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最初の示現

この示現の中で,父なる神と御子イエス・キリストがジョセフ・スミスに姿を現されました。救い主はジョセフに,どの教会にも入ってはならないとおっしゃいました。それらは「すべて間違って」いて,「彼らの信条はことごとく……忌まわしいものであ」ったからです。主はこのように語られました。「彼らは唇をもってわたしに近づくが,その心はわたしから遠く離れている。彼らは人の戒めを教義として教え,神を敬うさまをするけれども神の力を否定している。」(ジョセフ・スミス-歴史1:19)キリストを信じる人々,主の福音を理解し,教えようとする善良な人々は大勢いました。にもかかわらず,彼らは完全な真理を手にしておらず,バプテスマをはじめとする救いの儀式を執り行う神権の権能もなかったのです。彼らは背教の状態を引き継いでいました。時代は変わっても,前の時代の影響は残ったのです。教義やバプテスマなどの儀式についても,手が加えられたままでした。アダム,ノア,アブラハム,モーセをはじめとする預言者と同じく,神はジョセフ・スミスを預言者として召され,ジョセフを通して地上に完全な福音を回復されました。

御父と御子が姿を現された後,天からの使者,つまり天使たちが,ジョセフ・スミスとその知人であるオリバー・カウドリのもとへ遣わされました。バプテスマのヨハネが現れると,ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリに,バプテスマを施す権能を備えたアロン神権を授けました。また,ペテロ,ヤコブ,ヨハネ(キリストが最初に選ばれた使徒のうちの3人)が現れ,ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリに,メルキゼデク神権を授けました。古代に,キリストの使徒たちに与えられていたと同じ権能が回復されたのです。この神権の権能によって,ジョセフ・スミスは地上に再びイエス・キリストの教会を組織するよう命じられました。イエス・キリストは,ジョセフ・スミスを通して十二使徒を召されました。

わたしたちが生きているこの時代を,聖書の預言者たちは,「終わりの時」「末の日」あるいは「時満ちる神権時代」と呼びました。イエス・キリストの再臨を目前に控えた時代,最後の神権時代なのです。教会に,末日聖徒イエス・キリスト教会という名称がつけられているのはこのためです。

今日でも,教会は生ける預言者に導かれています。この預言者は,末日聖徒イエス・キリスト教会の大管長を務めるジョセフ・スミスの正式な後継者です。大管長および現在の十二使徒が持つ権能は,ジョセフ・スミスを通して途切れることなく受け継がれており,イエス・キリストまで遡ります。

ジョセフ・スミス-歴史1:16-17を暗記する

御父と御子にまみえたジョセフ・スミスの記述(ジョセフ・スミス-歴史1:16-17)を暗記し,いつでも自分の言葉で最初の示現を説明できるように備えておきます。それが真実であることを心から証してください。自分がどのようにしてその真理を知るようになったか,ためらうことなく伝えましょう。同僚にもそうするよう招いてください。

証を述べる

現在の預言者,教会の大管長について証を述べることは,宣教師の重要な務めの一つです。

聖文研究

モルモン書—イエス・キリストについてのもう一つの証

何世紀にもわたる暗黒時代が終わっても,疑いや不信仰,誤った情報がなくなることはないと知っておられた愛にあふれる天の御父は,イエス・キリストの完全な福音が収められた,聖書と肩を並べる古代の聖典を世に出されました。この聖典は,ジョセフ・スミスがまさしく神の預言者であったことの確かな証拠です。この記録は,「モルモン書—イエス・キリストについてのもう一つの証」です。

ジョセフ・スミスは,モロナイという名の天使の案内で,何世紀にもわたり金版が隠されていた丘へと導かれました。預言者たちの記録を収めたこの金版は,古代アメリカ大陸の住民に対して神が行われたことを伝えています。ジョセフ・スミスは,神の力によってこの金版の内容を翻訳しました。救い主の使命を知っていたモルモン書の預言者たちは,イエス・キリストの福音を教えました。復活された後,キリストはモルモン書の民に姿を現されました。御自身の福音を教え,御自身の教会を設立されたのです。モルモン書は「神が実に人々に霊感を与えて,昔と同じようにこの時期と時代にあっても神の聖なる業に人々を召しておられる」ことを証明しています(教義と聖約20:11)。モルモン書が真実であることを知るには,モルモン書を読み,深く考え,祈らなければなりません。心から真理を求める人は,じきにモルモン書が神の言葉であると感じるようになることでしょう。

いつまでも改心し続けるには,モルモン書を読み,深く考え,祈ることが欠かせません。初めてモルモン書を読む人は,重要な一歩を踏んでいることになります。ジョセフ・スミスが神の預言者であり,真の教会が地上に回復されたことを知るために前進しているのです。

モルモン書を活用して,回復が真実であることを確かなものとする

どのようにモルモン書を紹介したらよいか,以下に提案します。

「神様は御自分の子供たちを愛しておられるので,わたしの伝えたことが真実かどうかを確かめる方法を与えてくださいました。それはモルモン書です。この書物の序文から,最後の二つの段落を読んでいただけますか。」

これらの段落に記されている概念を,一つ一つ丁寧に説明します。それから,モルモン書の読書課題を読み,この二段落で説明されている原則を応用するよう,教えている人々を招きます。

モルモン書を紹介するときは,実物を見せ,その内容を簡単に説明したうえで,あなたにとって意義深い聖句,あるいは相手にとって意義深いと思われる聖句を,一つか二つ分かち合うとよいでしょう。

聖文研究

聖霊を通して真理を知るために祈る

このイエス・キリストの福音の回復のメッセージは,真実か,そうでないかのいずれかです。モロナイ10:3-5で約束されているように,わたしたちは聖霊の力によってそれが真実かどうかを知ることができます。継続して聖文を学び(とりわけモルモン書),日頃から教会へ出席し,心から祈りをささげるなら,聖霊の力を感じ,真理を見いだすうえで助けを受けられることでしょう。モルモン書のメッセージを読み,深く考えたうえで,真理を知りたいと願う人はだれでも,イエス・キリストの御名によって祈り,それが真実かどうかを天の御父に尋ねなければなりません。

神はわたしたちの御父であり,わたしたちはその子供ですから,御父は真理を認められるようわたしたちを助けてくださいます。信仰をもって,真っすぐに,誠心誠意,すなわち受ける答えに従って行動することを決意したうえで祈りをささげるなら,神はわたしたちの問いかけにこたえてくださいます。わたしたちの人生を導き,良い選択ができるよう助けてくださるのです。

祈るときには,天の御父に呼びかけます。御父の祝福に感謝し,モルモン書のメッセージが真実かどうかを知らせてくださるよう願い求めるのです。だれであっても,祈ることなしに霊的な真理を知ることはできません。

聖霊は祈りにこたえて,わたしたちの感情と思いを通して真理を教えてくださいます。聖霊から与えられる感覚は力強いものですが,通常は優しく,静かなものです。学んでいることが真実であると感じ始めると,福音の回復に関して知り得るすべてを知りたいと思うようになります。

モルモン書が真実であることを知ると,ジョセフ・スミスが預言者として召されたこと,イエス・キリストの福音はジョセフ・スミスを通して回復されたことが分かるようになります。

祈り

祈りは,多くの宗教や文化において役割を担っていますが,神と人との間で行われる双方の交わりであると考えられることはまれです。祈りによって,自分の心に感じていることを話せるのだと,教えている人々が理解できるよう教えてください。レッスンの始めか終わりに,あなたが祈って,これを実際にやってみせましょう。彼らが祈るときにも使えるように,簡単な言葉を使ってください。天の御父は通常,人々の心と思いを通して祈りにこたえてくださることを,彼らが理解できるよう助けます。神がおられるかどうかをほんとうに知りたいと真心から願うならば,神はこたえてくださるのです。レッスンの最後に,ひざまずいて祈りをささげてもらえるよう家長を招きましょう。

聖文研究

バプテスマへの招き

御霊に導かれるまま,このレッスンやその他のレッスンの場で,バプテスマと確認を受けるよう招くことをためらってはなりません。

バプテスマと確認への招きに人々を備えるに当たっては,バプテスマの教義を教え,すべての人が権能を持つ人からバプテスマを受け,罪の赦しを受け,すばらしい聖霊の賜物を授かることの重要性についてよく証してください。次のように言うことができます。 「主があなたの祈りにこたえてくださり,このメッセージが真実であると感じるときに,バプテスマを受けることでイエス・キリストの模範に従ってくださいますか。」

バプテスマと確認を受けるようにとの招きは,次のように具体的ではっきりとしたものでなければなりません。 「イエス・キリストの模範に従って,神の神権の権能を持つ人から,バプテスマを受けていただけますか。(日付)にバプテスマ会を開く予定です。この日にバプテスマを受けるよう,備えてくださいますか。」

教えるためのアイデア

本項には,このレッスンに含まれる内容を準備し,教えるうえで活用できるアイデアが記されています。これらのアイデアの活用法を決めるに当たっては,御霊の導きを祈り求めましょう。選んだアイデアを自分のレッスンプランに書き加えてください。これらのアイデアは,あなたが教える人々の必要を満たすうえで役立てるための提案であって,必ず採り上げなければならないものではないことに注意してください。

ショートレッスンプラン(3-5分)

この世にあって,イエス・キリストの福音は何世紀にもわたり失われていましたが,愛にあふれる天の御父は,生ける預言者を通して地上に福音を回復されました。モルモン書はこれを証明するものです。あなたはモルモン書を手にして,読むことができます。この書物のメッセージによって,自分の生活をどのように向上させることができるか,心の中で深く考えることができます。そして,このメッセージが神の御言葉であるかどうかを知るために祈ることができます。

  • 神は愛にあふれる天の御父であられる

  • 福音は個人と家族を祝福する

  • 天の御父はあらゆる神権時代に福音を明らかにされる

  • 地上における救い主の教導の業と贖罪

  • 大背教

  • ジョセフ・スミスによる,イエス・キリストの福音の回復

  • モルモン書—イエス・キリストについてのもう一つの証

  • 聖霊を通して真理を知るために祈る

招き

  • モルモン書が神の言葉であることを知るために,モルモン書を読み,祈りの中で神に尋ねていただけますか。

  • ジョセフ・スミスが預言者であったことを知るために,祈りの中で神に尋ねていただけますか。

  • 今度の日曜日,わたしたちと一緒に教会に出席していただけますか。

  • 次回の訪問予定を決めてもよろしいですか。

  • レッスン4からあなたが選んだ戒め

ミディアムレッスンプラン(10-15分)

わたしたちのメッセージはすばらしく,シンプルなものです。神はわたしたちの御父です。わたしたちは神の子供です。わたしたちは神の家族の一員です。神はわたしたちを愛しておられます。神は,世の初めから人々に愛と関心を寄せてこられました。神は幾度となく愛の御手を差し伸べ,イエス・キリストの福音を明らかにしてこられました。 御自分の子供たちに,御自身のもとへ戻る方法を知らせるためです。神は,アダム,ノア,アブラハム,モーセといった預言者に福音を明らかにされました。しかし人々は,繰り返し福音を拒む選択をしました。2,000年前のこと,イエス・キリスト御自身が福音を教え,御自分の教会を設立し,贖罪を成し遂げられました。しかし驚いたことに,人々はイエスさえも拒みました。人々がまことの教義と儀式を軽んじたり,ゆがめたりするとき,神は教会を管理する権能を取り上げられます。

わたしたちが,あなたとあらゆる人々にお招きするのは,すでに大切にしている真理に新たな真理を付け加えていただくことです。天の御父と御子イエス・キリストが,再び神の子供たちに愛の御手を差し伸べ,預言者を通して完全な福音を啓示されたことについて,わたしたちがお伝えする証拠を深く思い巡らしていただきたいのです。この預言者は,ジョセフ・スミスといいます。この輝かしい真理の証拠は,モルモン書と呼ばれる書物の中に見いだすことができます。あなたはこの書物を読み,深く考え,そこに記されていることについて祈ることができます。あなたがキリストを信じながら,誠心誠意で祈るならば,神は聖霊の力によって,この書物が真実であることをあなたに告げてくださいます。

招き

  • モルモン書が神の言葉であることを知るために,モルモン書を読み,祈りの中で神に尋ねていただけますか。

  • ジョセフ・スミスが預言者であったことを知るために,祈りの中で神に尋ねていただけますか。

  • 今度の日曜日,わたしたちと一緒に教会に出席していただけますか。

  • 次回の訪問予定を決めてもよろしいですか。

  • レッスン4からあなたが選んだ戒め

フルレッスンプラン(30-45分)

  • 神は愛にあふれる天の御父であられる

    • わたしたちは神の子供です(使徒17:29参照)。

    • 神は,わたしたちを愛しておられ,正しい選択をするように助けてくださいます。

    • わたしたちは,イエス・キリストのおかげで,再び神とともに住むことができます(ヨハネ3:16-17参照)。

  • 福音は個人と家族を祝福する

    • イエス・キリストの福音は,個人を祝福するもの,家族のきずなを強めるよう助けてくれるものです。

    • 家族は,神によって定められたものです。家族はこの世と永遠にわたって最も大切な社会の単位です(教義と聖約49:15-16参照)。

    • 家庭は福音の原則を教え,学び,応用するうえで最もふさわしい場所です(教義と聖約68:25創世18:19申命6:7参照)。

    • 家庭は,安全と平安と喜びの場になり得ます。

  • 天の御父はあらゆる神権時代に福音を明らかにされる

    • 神は,福音を教えるために預言者を召されます(アモス3:7参照)。

    • 背教とは,預言者と福音を拒むことです。

    • 神権時代とは,預言者が福音を教えた期間を意味します。過去の神権時代は,背教によって終わりを告げてきました(教義と聖約136:36-38参照)。

    • アダム,ノア,アブラハム,モーセをはじめとする古代の預言者は皆,福音を教えました(モーセ5:4-12参照)。

  • 地上における救い主の教導の業と贖罪

    • 神の御子は,福音を回復し,お教えになられました。キリストは多くの奇跡を行われました(『聖句ガイド』「奇跡」の項参照)。

    • キリストは使徒たちを召すと,福音を宣べ伝える権能,バプテスマなどの救いの儀式を執り行う神権の権能を授けられました(ヨハネ15:16参照)。

    • キリストは御自身の教会を設立されました。

    • キリストは十字架につけられ,キリストの使徒たちは拒まれ,殺されました(マタイ27:35マルコ15:25参照)。

    • キリストは贖罪を成し遂げられました(『聖句ガイド』「贖罪」の項参照)。

  • 大背教

    • 人々は預言者を通して啓示を受けなければ,霊的な暗黒に陥ります(アモス8:11-12参照)。

    • 預言者と使徒たちは大背教を預言しました(2テサロニケ2:1-3参照)。

  • ジョセフ・スミスによる,イエス・キリストの福音の回復

    • ジョセフは真理を探し求めました(ジョセフ・スミス—歴史1:8,10参照)。

    • 神とイエス・キリストはジョセフ・スミスに御姿を現されました(ジョセフ・スミス-歴史1:16-17参照)。

    • 過去の神権時代の預言者たちと同様に,ジョセフ・スミスは,この最後の神権時代の預言者として召されました。

    • 神は,ジョセフ・スミスを通して完全な福音を回復されました(教義と聖約35:17135:3参照)。

    • 天からのほかの使者により神権が回復され,キリストの教会が組織されました(教義と聖約13章27:12参照)。

    • 生ける預言者が現在教会を導いています。

  • モルモン書—イエス・キリストについてのもう一つの証

    • モルモン書は,ジョセフ・スミスが預言者であったことの確かな証拠です。

    • ジョセフは,神の力によって金版を翻訳しました(モルモン書の序文,段落5参照)。

    • モルモン書は,あらゆる神権時代と同様,今日も神が預言者に霊感を与えておられることを証明しています(教義と聖約20:5-12参照)。

    • モルモン書には,イエス・キリストの完全な福音が収められています(教義と聖約20:8-9参照)。

  • 聖霊を通して真理を知るために祈る

招き

  • モルモン書が神の言葉であることを知るために,モルモン書を読み,祈りの中で神に尋ねていただけますか。

  • ジョセフ・スミスが預言者であったことを知るために,祈りの中で神に尋ねていただけますか。

  • 今度の日曜日,わたしたちと一緒に教会に出席していただけますか。

  • 次回の訪問予定を決めてもよろしいですか。

  • レッスン4からあなたが選んだ戒め

教えた後に尋ねる質問

  • 今日学んだことについて,どのような質問がありますか。

  • もし現在,地上に預言者がいるとしたら,あなたはどのようなことを尋ねますか。

  • 神はあなたの祈りにを聞いてくださると思いますか。それはなぜでしょうか。

  • あなたは,モルモン書が真実の書物であることを知りたいと思いますか。それはなぜでしょうか。

主要な言葉の定義

  • 選択の自由:神が人々に与えられた,自分自身で選び,行動する能力と特権。

  • 背教:個人,教会,または国民全体が真理に背くこと。権能を非難し,預言者を拒むことも含む。神の律法に背くこと,福音の儀式を変えること,聖約を破ることは背教の証拠である(イザヤ24:5参照)。

  • 神権時代:権能を与えられた,聖なる神権の鍵を持つ僕を少なくとも一人,主が地上に置かれる時代。イエス・キリストのほかに,アダム,エノク,ノア,アブラハム,モーセ,ジョセフ・スミスといった預言者は,それぞれに新しい福音の神権時代を開いてきた。主は一つの神権時代を起こされるとき,その時代の人々が救いの計画を知るに当たって,過去の神権時代に頼る必要がないように,新たに福音を啓示される。ジョセフ・スミスによって始められた神権時代は「時満ちる神権時代」と呼ばれている。

  • 神権: 神が人類の救いのために,イエス・キリストの名によってあらゆることを行うよう人に授けられた権能と力。

  • 預言者:神によって召され,神に代わって語る人。預言者は神の使いとして神から神権の権能,戒め,預言,啓示を受ける。その責任は,人類に神の御心と真の属性を知らせること,人類に対する神の計らいの意図するところを示すことである。預言者は罪を非難し,罪のもたらす結果を予告する。預言者は義にかなうことを説く者である。時として,預言者は人類のために将来について予告をするように霊感を受ける。しかしながら,預言者の本来の務めは,キリストについて証することである。

  • 贖い主:贖いによって人類の罪の代価を払い,万人が復活できるようにされたイエス・キリストは,人類の偉大な贖い主であられる。贖うとは,代価を払って人を束縛の境遇から自由にするよう,人を解放したり,買い取ったり,人のために賠償したりすることである。贖いという言葉は,イエス・キリストの贖罪と罪からの解放を指す。イエスの贖罪は,全人類を肉体の死から贖う。復活だけでなく,ゲツセマネや十字架上の苦しみを含む,キリストの贖罪により,キリストを信じる信仰をもって悔い改める人は,霊の死から贖われる。

  • 宗教改革者:改革するとは,何かを改善するために変更を加えることである。宗教改革者という言葉は,既存の教会の慣習を改革する必要があると感じ,異議を唱えた男女(マルチン・ルターウィリアム・ティンダルジョン・ウィクリフなど)を指す。

  • 回復:回復するとは,以前の状態に戻したり,取り戻したりすることを意味する。末日聖徒が使う回復という言葉は,背教によって失われていた,イエス・キリストの真の教会が,イエス・キリストによって組織されたときと同じ状態に戻されることを意味する。改革と異なり,回復は,啓示を通して神の権能によって成し遂げられた。

  • 啓示:神が地上の子らに語られること。啓示はキリストの光や聖霊を通して,霊感や示現,夢,天使の訪れなどの方法により授けられる。啓示は,忠実な人を日の栄えの王国における永遠の救いに導く助けを与える。主は御自分の業を預言者に明らかにされる。また信じる人々に対しては,預言者への啓示が真実であるとの確認をお与えになる(アモス3:7参照)。導きを求め,信仰を持ち,悔い改めてイエス・キリストの福音に従うすべての人に,主は啓示を通して個人的な導きを与えられる。

教える人々に説明する必要があると思われるその他の用語

  • 使徒

  • イエス・キリストの贖罪

  • 聖書

  • 最後まで堪え忍ぶ

  • 聖霊の賜物

  • 福音

  • 戒めに対する従順と不従順

  • 救いの儀式

  • 祈り

  • 悔い改め

  • 復活

  • 神のもとへ戻って生活する

  • 救い

  • 救い主

  • 聖典

  • 管理の職

宗教改革者と世界の宗教指導者の例

以下の略歴は必要な場合にのみ用いる。

ジョン・ウィクリフ:

14世紀にイギリスで生まれる。オックスフォード大学の神学者。ローマカトリック教会は神権の鍵を有していないこと,聖体(聖餐)はキリストの実際の体ではないこと,教会は人々に政治的な権力を行使すべきではないことを説く。聖書を英語に翻訳した。1384年12月31日に死去。

マルチン・ルター:

1483年11月10日にドイツで生まれる。エルフルト大学とビッテンベルク大学で学ぶ。罪の赦しを得るため人々に金銭を支払わせるという慣習を含む,95箇条の意見書をビッテンベルク城教会の扉に釘で打ちつけ,ローマカトリック教会の現行の教えの多くに反対した。ルター主義の創始者。1546年2月18日に死去。

ウィリアム・ティンダル:

1494年にイギリス,グロスターシャー州で生まれる。オックスフォードとケンブリッジで学ぶ。新約聖書を英語に翻訳した。聖典を一般の人々の手に渡るようにして,宗教指導者による偽りの教義と腐敗とを暴く。1536年10月6日に処刑された。

ジョン・ノックス:

およそ1513年に生を受ける。スコットランド人の牧師,神学者,作家,宗教改革における国家的指導者。スコットランドにおける長老派教会の創設者として知られる。1572年11月24日に死去。

西洋のキリスト教社会が宗教改革者たちの勇気とビジョンから祝福を受けたように,ほかの多くの国民や文化も,「〔神が〕彼らにとってふさわしいと思われる」(アルマ29:8)光と真理の一部を与えられた人々から恵みを受けました。世界における他の宗教指導者たちの教えも,多くの人々が社会的秩序と倫理を確立するうえで助けとなったのです。

仏陀(ゴータマ):

紀元前563年にネパールのヒンズー教指導者の家に生まれる。周囲の人々の苦難に心を痛めていた。父親の住む華美な宮殿を逃れて,世を捨て,貧困の生活を送った。悟りを求めていたときに,自ら「解脱の道」と呼ぶものを見いだした。涅槃,すなわち苦痛を生じる,意味を成さない輪廻からの解放を主張。僧侶社会の教師となった。

孔子:

紀元前551年に生まれる。子供のころに孤児となった。中国で最初の職業教師となる。中国で最も偉大な道徳と社会の思想家。親切,善と真実,先祖と家族を敬うことを提唱。

モハメッド:

紀元570年にメッカで生まれる。幼少期に孤児となった。25歳で結婚。610年にヒラー山で祈り,瞑想した。天使ガブリエルが現れ,610年から632年の死に至るまで,アッラー(神)からのメッセージを受けたと言われる。弟子たちに語ったこれらの交わりは,後にイスラムの聖典となるコーラン(クルアーン)に記された。イスラム教徒は一般に,信仰,祈り,貧困者への施し,断食,聖なる巡礼を実践する。

モーシェ・ベン・マイモニデス(ラムバム):

1135年もしくは1138年,過越の祭りの前日に生を受ける。ユダヤ教のラビ,医師,および哲学者。マイモニデスは,中世において最も多作の影響力ある律法学者の一人であった。聖トマス・アクイナスなど,最も勢いあるキリスト教作家たちに影響を与えたことでも知られる。1204年12月12日に死去。

アッシジの聖フランシスコ:

1181年もしくは1182に生を受ける。ローマカトリックの修道士,助祭,説教者であり,幾つかの修道会を設立した。その一つは今もなお,聖地にあるキリスト教において神聖な場所,その多くの管理を受け持っている。聖フランシスコは,歴史上最も名高い聖人の一人である。自然界そのものが神を映し出していると信じていた聖フランシスコは,すべての創造物を自身の「兄弟」「姉妹」と呼んだ。聖フランシスコによる詩の一つは,皆に親しまれる賛美歌,「神は造り主」の元となっている。1226年10月3日に死去。