2010–2019
見る目と聞く耳
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見る目と聞く耳

キリストを頼って目を開き,耳を澄ませるならば,聖霊は,わたしたちが自分の生活において働く主イエス・キリストの御手を認識できるよう祝福してくださいます。

イエスは地上で教えを説いていたとき,あまりに力強い癒やしの奇跡を行い,あまりに偉大な権威と力をもって教えられたため,「その評判はシリヤ全地にひろまり,……おびただしい群衆がきてイエスに従った」1 と聖典に書かれています。

イエスが癒やすのを見,イエスが説く教えを聞いた者の中にはイエスを拒む者もいれば,しばらくの間はイエスに従ったものの,そのうちに行動を共にしなくなる者もいました。2 主イエス・キリストが目の前におられたのにそれがどのような御方なのかが見えなかったのです。彼らは目をくらませられ,イエスに背を向けました。このような人々について,イエスはこう言っておられます。

「わたしは自分の民のところに来たのに,民はわたしを受け入れなかった。」3

「この民の心は鈍くなり,……その目は閉じている。」4

しかし,忠実な使徒を含め,イエスを生活の中心に置いた男女もたくさんいました。このような人々はこの世の事物に心を奪われそうになったりイエスの教えに当惑したり,恐れを感じたりもしましたが,それでも主を信じて愛し,主に従いました。

彼らについて,イエスはこう言われました。「あなたがたの目は見ており,耳は聞いているから,さいわいである。」5

ゲツセマネとカルバリで苦しまれる直前に,イエスは弟子たちに驚くべき約束をなさいました。「わたしを信じる者は,またわたしのしているわざをするであろう。そればかりか,もっと大きいわざをするであろう。わたしが父のみもとに行くからである。」6

イエスはこの約束を成就されました。五旬節の日以来,弟子たちは火と聖霊によるバプテスマを受けるという祝福にあずかっています。7 キリストを信じる信仰と悔い改め,従順を通して聖霊が彼らの伴侶となって彼らの心を変え,真理の証が彼らにとどまるよう祝福してくださったのです。

これらの賜物と祝福によって,主の弟子たちは強められました。危険で混乱の多い時代に生きていたにもかかわらず,見る目と聞く耳という霊的な賜物を受けたのです。彼らは聖霊の力によって物事,特に主イエス・キリストと主が自分たちの中で行われた業をありのままに見ることができるようになりました。8 聖霊が彼らの理解力に光を注ぎ,彼らは主の声をさらにはっきりと聞くことができるようになりました。イエス・キリストの福音が心に深く染み込んでいき,9 彼らは確固としていて従順でした。10 大胆に力強く福音を宣べ伝えて神の王国を築きました。11 彼らは主イエス・キリストに喜びを見いだしていました。

時の中間に生きたこの忠実な男女とわたしたちには,多くの共通点があります。わたしたちも,主イエス・キリストがわたしたちの病を癒やし,罪を清め,わたしたちの心を変え,幕の両側にいる神の子供たちに救いの道を開くなどの奇跡を行っておられる時代に生きています。わたしたちの時代にも生ける預言者と使徒がおり,神権の力や霊の賜物があり,救いの儀式という神聖な祝福を受けられるのです。

現代は危険な時代です。大いなる悪と誘惑の時代,混乱と動乱の時代です。この苦難の時代に,地上における主の預言者トーマス・S・モンソン大管長は,心が傷ついている人を助け出し,12 勇気をもって真理を擁護し,13 神の王国を築くよう,14 わたしたちに呼びかけてきました。わたしたちの信仰や霊性,従順さの度合いがどれほどであろうと,前途に横たわる業を成し遂げるには不十分です。わたしたちには,より強い霊的な光と力が必要です。わたしたちの生活において働いておられる救い主の御手をさらにはっきりと見極める目と,主の言葉を心のもっと奥深いところで聞くことのできる耳が必要なのです。

このすばらしい祝福が与えられるのは,わたしたちが心を開いて主イエス・キリストとその福音,教会を受け入れ,15 本当の意味でそれを生活の一部とするときです。完全になる必要はありませんが,善い人になり,さらに改善し続ける必要があります。簡単で分かりやすい福音の真理を実践するよう努める必要があります。キリストの御名を受け,主を信じる信仰をもって罪を悔い改め,主の戒めを守り,いつも御子を覚えているならば,イエス・キリストの憐れみと恵みによって,聖霊が常に伴侶となってくださるでしょう。

単に従順になるだけで,御霊がわたしたちの心にもたらされます。わたしたちは家庭で信仰をもって祈り,聖文を調べ,安息日を聖く守ります。礼拝堂で聖餐を取り,イエス・キリストの御名によって,神聖な約束を天の御父と交わします。聖なる神殿で,幕のかなたにいる兄弟姉妹たちのために神聖な儀式を受けます。家庭や主から与えられた召しにおいて人々に手を差し伸べ,彼らの重荷を取り除き,キリストのもとに来るよう彼らを招きます。

兄弟姉妹の皆さん,これらのことを行うならば聖霊が来てくださることを,わたしは知っています。わたしたちは霊的に成長し聖霊を受ける経験を得て,聖霊を伴侶とするようになるでしょう。わたしたちがキリストを頼って目を開き,耳を澄ませるならば,聖霊はわたしたちが自分の生活において働く主イエス・キリストの御手を認識できるよう,また主を信じるわたしたちの信仰を強めてくださっていることが分かるよう確信と証拠を与えてくださいます。神が御覧になるように愛と思いやりをもって兄弟姉妹を見ることができるようになっていきます。救い主の声は聖文や御霊のささやき,預言者の言葉の中で聞くことができます。16 主の預言者と,主のまことの生ける教会の全ての指導者の上に主の力があるのを見て,これが主の聖なる業であることがはっきりと分かるようになるでしょう。17 自分と周囲の世界を,救い主がなさる方法で見て,理解するようになるでしょう。わたしたちは使徒パウロが「キリストの思い」18 と呼んだものを持つようになります。見る目と聞く耳を持つようになって,神の王国を築くのです。

人生が厳しくなり,分からなくなり,苦痛を感じて落胆することがあるかもしれません。聖霊を伴侶とするならば,混乱と苦痛と暗闇の人生に,イエス・キリストの福音の光が差し込みます。このことを皆さんに証します。その輝かしい霊的な力は,一挙に押し寄せてこようとそっと流れ込んでこようと,悔いて傷ついた魂に癒やしの愛と慰めを与え,真理の光で闇を押しのけ,落胆する気持ちに代えてキリストへの望みを与えてくれます。わたしたちはこのような祝福を見て,これこそがわたしたちの生活に主イエス・キリストの御手が及ぼしている影響であると,御霊の証によって知るでしょう。わたしたちの重荷は,本当に「〔贖い主の〕喜びにのまれて」19 しまうのです。

わたしの父と母が昔経験したことは,見る目と聞く耳を持つことの大切さと力を如実に示しています。1982年,両親はフィリピン・ダバオ伝道部で奉仕するよう召されました。母は手紙を開けて,伝道部の名前を見ると,大きな声で父に言いました。「だめよ。あなた,フィリピンなんて行けないって電話で伝えなくちゃ。あなたが喘息だってこと,知っているはずなのに。」父は長年喘息を患っており,母はそのことをひどく心配していました。

何日かたったある晩,母は午前2時半くらいに父を起こしてこう言いました。「マーリン,あなたはあの声が聞こえたかしら。」

「いや,声なんて聞こえなかったよ。」

「あら,わたしは今晩同じ声を3度聞いたわよ。『なぜ心配するのか。彼が喘息持ちだということをわたしが知らないとでも思っているのか。彼のことはわたしに任せなさい。あなたのこともだ。フィリピンで奉仕する準備をしなさい。』」

父と母はフィリピンで奉仕してすばらしい経験をしました。聖霊が彼らの伴侶となり,彼らは祝福を受けて守られました。父が喘息に苦しむことは一度もありませんでした。父は伝道部会長会の第一顧問を務め,父と母は数百人の宣教師と数千人の忠実な末日聖徒を訓練して,ミンダナオ島にワードとステークができるように備えました。彼らは祝福されて,見る目と聞く耳を持っていたのです。

兄弟姉妹の皆さん,わたしはイエス・キリストのことを証します。主は生きておられます。主はわたしたちの救い主であり贖い主であられます。生活の中に主を受け入れ,簡単で分かりやすい主の福音の真理を実践するならば,聖霊を伴侶とする喜びを味わうでしょう。そして,見る目と聞く耳という尊い賜物を持つようになるのです。このことを,イエス・キリストの聖なる御名によって証します,アーメン。

  1. マタイ4:24-25

  2. イザヤ6:66参照

  3. 3ニーファイ9:16

  4. 使徒28:27。マタイ13:15も参照 .

  5. マタイ13:16

  6. ヨハネ14:12

  7. 使徒2:1-4参照

  8. 例として,使徒10:9-15を参照

  9. エノス1:3参照 参照

  10. 使徒2:42参照

  11. イザヤ4:8-12参照

  12. トーマス・S・モンソン「過去を振り返り,前進する」『リアホナ』2008年5月号,89参照

  13. トーマス・S・モンソン「強く,また雄々しくあれ」『リアホナ』2014年5月号,66–69参照

  14. トーマス・S・モンソン,“Faith in the Work of Salvation,” 世界指導者訓練集会, 2013年6月。 lds.org/broadcasts.

  15. この文脈上大切な役割を果たす「受ける」という言葉には,思いや五感で吸収する,入るのを認める,真理として受け入れる,信じる,招き入れる,という複数の意味がある。( Merriam-Webster’s Collegiate Dictionary ,第11版〔2003年〕,“receive”の項)

  16. 教義と聖約18:34-3668:3-4 参照

  17. ハロルド・B・リー大管長は,主に改宗するためにはこの証が不可欠だと言っている(“Be Loyal to the Royal within You,”〔ブリガムヤング大学ディボーショナル,1973年9月11日〕,4。 speeches.byu.edu )。

  18. 1コリント2:16

  19. アルマ27:17アルマ31:38 も参照