2010–2019
結婚がもたらす永遠の祝福
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結婚がもたらす永遠の祝福

神殿における結び固めは,人生の旅路を歩むにつれて,いっそう重要な意味を帯びてきます。結び固めを受けたことによって互いの結びつきがさらに深まり,……より大きな喜びと充足感を覚えるでしょう。

すばらしい聖歌隊が歌った「イエス様のようになりたい」という美しいメッセージは,わたしたちの多くにとって人生の規範となるものだと思います。

1953年7月16日,愛するジェニーンとわたしは若いカップルとしてユタ州マンタイ神殿の聖壇にひざまずきました。ルイス・R・アンダーソン神殿会長が結び固めの権能を行使し,この世から永遠にわたる結婚を宣言しました。わたしは主の宮で正しい神権の権能により行われた神聖な儀式を受けたので,ふさわしい生活を続けるなら,愛する妻ジェニーンと子供たちと永遠に結ばれることができると確信しています。その確信から得られる平安と安らぎは,言葉では言い表せません。

我が家の7人の子供は神殿の神聖な儀式によりわたしたち両親に結び固められています。かけがえのない妻ジェニーンと2人の子供は幕のかなたにいます。そして現世に残っている家族一人一人に,神殿で約束されたすべての永遠の祝福を家族でともに受けられるように生活しようという力強い動機付けを与えてくれています。

天の御父の幸福の計画を支える非常に重要な二つの柱は,結婚と家族です。サタンは家族を引き裂き,家族を永遠に結ぶ神殿の儀式の意義を揺るがそうと執拗しつような努力を続けていますが,このことからも結婚と家族がいかに重要であるかが分かります。神殿における結び固めは,人生の旅路を歩むにつれて,いっそう重要な意味を帯びてきます。結び固めを受けたことによって互いの結びつきがさらに深まり,現世の生活に,より大きな喜びと充足感を覚えるでしょう。

以前わたしは妻から大切な教訓を学びました。仕事の関係で出張が多かった時期のことです。あるときほぼ2週間留守をして,土曜日の朝に帰宅しました。4時間後に別の会合へ行くことになっていました。家の小さな洗濯機が故障し,妻が衣服を手で洗っていることに気づいたので,わたしは修理を始めました。

すると妻が来て,言いました。「リチャード,何をしているの。」

わたしは答えました。「洗濯機を修理しているんだ。君が手で洗わなくてもいいようにね。」

妻は言いました。「そんなことはしなくていいわ。だから,子供たちと遊んでちょうだい。」

「子供たちとはいつでも遊べるよ。ぼくは君を助けたいんだ」と答えました。

すると妻は言いました。「リチャード,お願いだから子供たちと遊んでやって。」

妻があまりにも強く言うので,わたしは従いました。

そして子供たちとすばらしい時を過ごしました。追いかけっこをして,落ち葉の上で転げ回りました。それからわたしは会合へ行きました。妻がわたしにこの経験から教訓を学んでほしいと思わなかったら,恐らくわたしはその経験を忘れてしまったことでしょう。

翌日の朝4時ころ,わたしは起こされました。二つの小さな腕で首に抱きつかれ,頬ほおにキスされ,耳にささやく声が聞こえたのです。その言葉を決して忘れることはないでしょう。「パパ,大好きだよ。パパはぼくのいちばんの友達だよ。」

もし皆さんが家庭でそのような経験をしているなら,この世の最も大きな喜びの一つを味わっていることになります。

もしあなたが適齢期の若い男性で結婚していないとしたら,つまらない事柄を追い求めて時間を無駄にしてはなりません。前向きな姿勢で人生を歩み,結婚することに焦点を当ててください。この時期をただ流されるままに過ごさないでください。若い男性の皆さん,ふさわしくあって伝道の業を果たしてください。そして,ふさわしい永遠の伴侶はんりょを見つけることを最優先しましょう。一人の女性に関心を抱き始めたなら,自分がまれな人物で,よく知るとおもしろいと思ってもらえるような人であることを,相手に示してください。心を高めるような場所へ彼女を連れて行ってください。創意工夫をしましょう。すばらしい妻を持ちたければ,自分自身がすばらしい男性として,あるいは未来の夫候補として女性に見てもらわなければなりません。

大切な人を見つけたら,主が定められたふさわしさの範囲にとどまることにより,すばらしい求婚期間と結婚生活を送り,この上ない幸福を永遠に味わうことができます。

既婚者の皆さん,伴侶に対して肉体的にも精神的にも誠実でしょうか。伴侶に聞かれたくないような会話をほかの人と決してせず,結婚の聖約を誠実に守っているでしょうか。伴侶や子供たちに対して親切で協力的でしょうか。

兄弟の皆さん,聖文の研究,家族の祈り,家庭の夕べなどの家族の活動を率先して行っているでしょうか。それとも家庭に対する配慮不足の穴埋めを奥さんにさせているでしょうか。奥さんにどれほど心から愛しているかを伝えていますか。それを伝えるなら,奥さんに大きな幸福感をもたらすことができるでしょう。わたしがそう言うと,男性たちは「妻は分かっていますから」とよく言います。でも伝える必要があるのです。彼女たちは皆さんの愛を再び確信することで,成長し,大いに祝福されるのです。奥さんが皆さんのためにしてくれることに対して,感謝を伝えてください。頻繁に愛と感謝を伝えてください。そうすれば,人生はさらに豊かで心地よく,目的あるものとなるでしょう。自然に愛を伝えることを差し控えたりしないでください。しっかりと抱き締めながら愛を伝えれば,いっそう豊かな実を結ぶでしょう。

愛を表現することの大切さをわたしは妻から学びました。結婚して間もなく,集会で話すために聖典を開けると,優しさと愛情に満ちたメモが挟んであることがよくありました。メモに書かれた言葉があまりにも思いやりにあふれていたために,話を続けられないことさえありました。愛情深い妻からもらったこうした貴重なメモは,今もなおわたしに慰めと霊感を与えてくれるかけがえのない宝となっています。

わたしも同じことを妻にするようになりましたが,それが妻にとって実際どれだけ意味を持っていたかには気づきませんでした。ある年,妻にバレンタインの贈り物をするお金がなかったため,冷蔵庫に水彩絵の具で絵を描くことにしました。最善を尽くしたのですが,一つだけ間違いを犯してしまいました。水彩絵の具ではなく,消しにくいエナメル塗料を使ってしまったのです。でも妻は,その冷蔵庫の絵を決して消させてくれませんでした。

今も覚えていますが,ある日わたしはパンチで穴を開けたときにできる小さな丸い形の紙を取り出し,1から100までの番号を振りました。そしてその裏に妻へのメッセージを1枚に1単語ずつ書き,全部をすくって封筒に入れたことがありました。妻は喜んで笑ってくれるだろうと思ったのです。

妻が亡くなったとき,妻の身の回りの品々を見て,わたしたちが交換し合ったたわいないメッセージを妻がいかに大事にしていたかが分かりました。妻はあの小さな丸い紙を一つ残らず丁寧に1枚の紙にはり付けていました。わたしからのメモを保管していただけでなく,貴重な宝物のようにビニールのカバーを付けて保護していました。ほかのメモと一緒にしていなかったものが一つだけありました。それは今なお台所の時計のガラスの裏にはってあります。「ジェニーン,今こそ,君を愛していると伝えるべき時だね」と書いてあります。そこに残されたメモを見る度に,天の御父の特別な娘であった妻を思い起こします。

妻とともに過ごした人生を振り返ってみると,自分たちがいかに祝福されてきたか分かります。我が家では口論したことは一度もなく,夫婦の間で思いやりのない言葉を言ったことは決してありません。今になってみると,そのような祝福は妻のおかげだということが分かります。進んで相手に与え,分かち合い,自分のことを決して考えないという妻の信条によるものだったのです。わたしは妻とともに過ごした最後の何年間か,妻の模範に倣ならおうと努めました。夫や妻として皆さんの家庭でも同じようにしてはどうでしょうか。

純粋な愛はかけがえのないものであり,善を求める強い力です。義にかなった愛は豊かな結婚生活の基です。それがあってこそ,子供たちは満たされ,十分に成長します。母親の愛という義にかなった影響力を正確に計れる人がいるでしょうか。疑いを知らない思いと心という肥沃ひよくな土壌に,母親が念入りに植え付け,愛情を込めて育てる真理の種は,どのような朽ちない実を結ぶでしょうか。母親として皆さんは子供の特別な才能や能力を感じ取る生来の力を神から授かっています。子供の特質が開花するよう,夫とともに養い,強め,励ますことができます。

結婚はきわめて報いの大きいものです。結婚はすばらしいです。時がたつにつれ,夫婦は考え方が似てきて,同じ発想や印象を持つようになります。最高にうれしい時も,試練や困難の時も訪れますが,主は,二人が経験を通して成長する間,ずっと導いてくださいます。

ある晩,心臓の病気を持った幼い息子リチャードが目を覚まし,泣きだしました。妻もわたしもその泣き声を聞きました。普段は妻が必ず起きて,泣いている赤ん坊の世話をするのですが,このときは,わたしが「世話をするよ」と言いました。

息子は病気があるために,泣きだすと,小さな心臓の鼓動が非常に速くなります。食べたものを吐き,シーツを汚してしまいます。その晩わたしは,速い鼓動を和らげ,泣きやむように息子をしっかり抱き締め,衣服とシーツを交換しました。そして,眠りに就くまで抱いていました。息子がわずか数か月後に亡くなることは,そのときは分かりませんでした。夜中に息子を腕にずっと抱いていたことを,わたしはいつまでも忘れないでしょう。

息子が亡くなった日のことをよく覚えています。病院からの帰途,ジェニーンとわたしは路肩に車を止めました。わたしは妻を抱き締め,少しの間二人で泣きました。でも,幕の向こうで息子にまた会えると感じました。わたしたちが神殿で聖約を交わしているからです。そのおかげで息子の死が幾分受け入れやすくなりました。

妻の優しさは多くの価値ある事柄を教えてくれました。わたしはとても未熟でしたが,妻は非常にしっかり者で,とても霊的でした。結婚生活を通して,わがままになったり身勝手になったりする傾向を克服するための理想的な環境に身を置くことができます。若いうちに結婚するように勧められる理由の一つは,変えるのが難しい不適切な人格ができてしまわないようにするためであると思います。

永遠の伴侶を探し求めるという選択をまだしていない男性の皆さんを残念に思います。また,結婚の機会にあずかっていない姉妹の皆さんを思うと心が痛みます。そのような姉妹の中には,孤独で,自分の価値を認められていないように感じ,結婚や子供,自分の家族という祝福を得るにはどうしたらよいか分からないという人もいるでしょう。主にはおできにならないことなどありません。霊感によって預言者に宣言させた約束を守ってくださいます。永遠は長い時間です。神の約束を信じ,それにふさわしく生活してください。そうすれば,御心みこころにかなうとき,約束は主の力によって皆さんの人生で成就するのです。確かに,皆さんにふさわしい,約束された祝福をすべて受けることができます。

かけがえのない妻ジェニーンのことばかり話したことをご容赦ください。わたしたちは永遠の家族です。妻はいつも喜びにあふれていました。それはたいていほかの人への奉仕の結果でした。病状が重かったときでさえも,妻は朝の祈りの中で,だれか自分が助けられる人のところへ導いてくださいと天の御父に願い求めていました。そのような心からの祈りは幾度となくこたえられました。多くの人の重荷が軽くなり,生活が明るくなりました。妻は主に導かれ,神の御手みてに使われる者となることによって絶えず祝福されたのです。

義にかなった女性として輝きをいっぱいに放ち,優しく献身的に生きた天の御父の娘を愛するのがどんなことかをわたしは知っています。将来,幕のかなたで再び妻に会うとき,二人の愛がいっそう深まっていることにきっと気づくでしょう。幕で隔てられたこの時期を過ごすからこそ,互いに対する感謝の念がいっそう深まることでしょう。イエス・キリストの御名みなにより,アーメン。