2010–2019
聖霊に導かれて
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聖霊に導かれて

わたしたちは皆,啓示の霊と聖霊の賜物の導きを受けることができます。

英語の欽定訳聖書が出版されてから400年がたちます。出版にこぎつけたのは,わたしにとって偉大な英雄であるウィリアム・ティンダルの並々ならぬ苦労の賜物でした。

聖職者たちは聖書が平易な英語で出版されることを好まず,ティンダルを執拗しつように追い回しました。ティンダルは聖職者たちにこう言いました。「神がわたしを生き長らえさせてくださるのであれば,何年もしないうちに,鋤すきを引いて畑を耕している農家の少年でさえ,あなたたちよりもはるかに聖書に精通させてみせよう。」1

ティンダルは裏切られて,ブリュッセルの凍えるように寒く暗い牢ろうに1年以上にわたり閉じ込められました。服はぼろぼろになりました。「暗闇くらやみの中で独り座っているのはほんとうに疲れます」2 と言って,聖職者たちに上着と帽子とろうそくを求めました。これらは与えられず,結局ティンダルは牢から引き出されて大群衆の前で木に縛られ,火で焼かれ,絞殺されました。しかし,ウィリアム・ティンダルの業績と殉教は無駄にはなりませんでした。

末日聖徒の子供たちは若いうちから聖文に親しむよう教えられていますから,4世紀前のウィリアム・ティンダルの預言はある程度成就したと言えます。

現在わたしたちは聖書とイエス・キリストのもう一つの証あかしであるモルモン書,高価な真珠,教義と聖約を,聖典として使用しています。

モルモン書を使っていることから,この教会はよく「モルモン教会」と呼ばれます。こう呼ばれても不快ではありませんが,正しい呼称ではありません。

モルモン書には,ニーファイ人が主の御名みなによって御父に祈っていたために主が再度訪れられたことが書かれています。主はこう言われました。

「あなたがたはわたしから何を与えられたいのか。」

「そこで彼らはイエスに,『主よ,この教会をどのような名で呼ぶべきか,わたしたちにお教えいただきたいと存じます。この件について民の中に論争がございますから』と言った。

すると主は,・・・言われた。『・・・民がこのことについてつぶやき,論じ合うのはなぜか。

彼らは,「キリストの名を受けなければならない」という聖文を読んだことがないのか。・・・終わりの日にあなたがたは,この名によって呼ばれるのである。

だから,あなたがたが行うことは何事でも,わたしの名によって行いなさい。あなたがたは教会をわたしの名で呼びなさい。また,父がわたしのために教会を祝福してくださるように,わたしの名によって父に呼び求めなさい。

わたしの名で呼ばれなければ,どうしてわたしの教会であろうか。ある教会がモーセの名で呼ばれれば,それはモーセの教会である。あるいは,ある人の名で呼ばれれば,それはその人の教会である。しかし,わたしの名で呼ばれ,人々がわたしの福音の上に築かれていれば,それはわたしの教会である。』」3

啓示に従って,わたしたちはこの教会を「モルモン教会」ではなく,「末日聖徒イエス・キリスト教会」と呼んでいます。教会員でない人がこの教会を「モルモン教会」と呼んだり,わたしたちをモルモンと呼んだりすることは差し支えありませんが,教会員がそうするのはまったく別の問題です。

大管長会はこう宣言しています。

「救い主の御名を全世界に宣言するという責任を果たすうえで,啓示された教会の名称,すなわち『末日聖徒イエス・キリスト教会』(教義と聖約115:4)という名称を使用することがますます重要になってきています。そのため,教会員の皆さんが教会について話すときには,可能なかぎり教会の正式名称を用いてくださるようお願いします。

・・・教会員について触れるときには,『末日聖徒イエス・キリスト教会の会員』と呼ぶことをお勧めします。略した呼称としては『末日聖徒』が好ましいと思われます。」4

「〔末日聖徒〕はキリストのことを話し,キリストのことを喜び,キリストのことを説教し,キリストのことを預言し,また,どこに罪の赦ゆるしを求めればよいかを,わたしたちの子孫に知らせるために,自分たちの預言したことを書き記す」5 のです。

世の人がこの教会をどのように呼ぼうと,わたしたち教会員は,話をするときに,自分がイエス・キリストの教会の会員であることを常に意識してください。

わたしたちのことをキリスト教徒ではないと言う人もいます。そのような人たちは,この教会のことをまったく知らないか,または誤解しているかのどちらかです。

教会では,すべての儀式がイエス・キリストの権能と御名によって行われます。6 わたしたちの教会には,初期の教会にあったと同じ使徒と預言者から成る組織があります。7

昔,主は十二使徒を召され,聖任されました。そして,裏切られて十字架にかけられました。復活された後,救い主は40日間にわたって弟子たちを教え,その後,天に昇って行かれました。8

しかし,欠けているものがありました。数日後,十二使徒が家に集まっていると,「突然,激しい風が吹いてきたような音が天から起おこってきて,一同がすわっていた家いっぱいに響きわたった。・・・舌のようなものが,炎のように分れて現れ,ひとりびとりの上にとどまった。すると,一同は聖霊に満たされ・・・た。」9 こうして,主の使徒に権能が与えられました。使徒たちは,主の教会を確立するためには救い主から与えられた権能と聖霊の賜物が不可欠だということを悟ったのです。彼らはバプテスマを施し,聖霊の賜物を授けるよう命じられました。10

後に,使徒も,使徒が持っていた神権も失われてしまいました。管理するための権能と力が回復されなければなりませんでした。人々は権能の回復と主の教会の設立を何世紀もの間待ち望んでいました。

神権は1829年,バプテスマのヨハネと使徒ペテロ,ヤコブ,ヨハネによってジョセフ・スミスとオリバー・カウドリに回復されました。現在,ふさわしい男性の教会員は神権に聖任されます。この権能と,それに付随して全会員にバプテスマの後に与えられる聖霊の賜物があるという点で,わたしたちの教会は他の教会と一線を画しています。

教会初期の啓示で,「すべての人が主なる神,すなわち世の救い主の名によって語る」11 よう命じられました。今日こんにち教会の業は,管理したり教えたり,運営したりするために召され支持を受けた普通の男女が行っています。こうして召された人々は,啓示の力と聖霊の賜物によって主の御心みこころが分かるよう導かれます。この教会の会員でない人は預言や啓示,聖霊の賜物などを受け入れないかもしれませんが,教会員のことを少しなりとも理解できれば,教会員がこれらを受け入れていることが分かることでしょう。

主は,生活習慣や摂取物に潜む危険性が世に知られるはるか以前に,ジョセフ・スミスに「知恵の言葉」という健康の律法を啓示されました。若者たちの前に常にあるもの,すなわち茶やコーヒー,酒,たばこ,そしてもちろん,様々な薬物と依存性の高い物質を避けるようにという教えを全員が受けたのです。この啓示に従う者は次のことを約束されました。「そのへそに健康を受け,その骨に髄を受けるであろう。

また,知恵と,知識の大いなる宝,すなわち隠された宝さえ見いだすであろう。

また,走っても疲れることがなく,歩いても弱ることはない。」12

別の啓示では,生命を創造する神聖な力を守り,結婚した男女の間だけでこの力を用いるようにという主の道徳的な標準が戒めとして与えられています。13 この力を誤って用いることは,罪のない者の血を流すことや聖霊を否定することを除いて,どのような罪よりも忌まわしい行いです。しかし,この律法に背いた人も,悔い改めの律法に従うことによって背きの影響を消し去ることができると教えられています。14

だれもが試されます。自分だけがこんな特殊な誘惑に遭うのは不公平だと思う人がいるかもしれませんが,試しを受けるのはこの世の人生の目的なのです。そして答えは万人に共通です。つまり,人はあらゆる誘惑に打ち勝たなければならず,打ち勝つことができるということです。

「偉大な幸福の計画」15 の中心は家族です。家庭において,夫は頭かしらであり,妻は心の拠り所であり,夫婦は対等のパートナーです。末日聖徒の男性は家庭で頼りになる存在であり,福音に忠実です。面倒見のいい献身的な夫,父親であり,女性を大切にします。妻は夫を支えます。両親は子供が霊的に成長できるよう養います。

末日聖徒は愛し合い,過ちを寛大に赦し合うよう教えられています。

わたしの人生は,一人の義にかなった祝福師のおかげで変わりました。この祝福師は若いころ,愛する女性と結婚しました。二人は深く愛し合っており,間もなく妻は最初の子供を身ごもりました。

出産当日の夜,合併症が起こりました。一人しかいない医師は往診に出ていました。陣痛は長時間にわたり,母親の容体は絶望的でした。ついに医師が到着し,緊急事態の中で迅速に処置をしたおかげで間もなく赤ん坊は生まれ,危機を脱したかに思われました。しかし,若い母親は数日後に亡くなったのです。あの夜,別の家で医師が治療していた感染症が原因でした。

この若い男性の人生は音を立てて崩れました。日がたつにつれて悲しみは深くなりました。ほかのことは何も考えられなくなり,いらいらして人に八つ当たりするようになりました。今の時代なら,お金ですべてが解決するかのように,医療過誤で訴えるよう間違いなく勧められていたことでしょう。

ある晩,家のドアをノックする音が聞こえました。出てみると小さな女の子が立っていて,「来てください,ってパパが言っています。お話がしたいそうです」とだけ言いました。

「パパ」とはステーク会長のことでした。この賢明な指導者のアドバイスは簡潔なものでした。「ジョン,思い悩むのをやめなさい。何をしようと奥さんは帰って来ない。何をしても事態は悪くなるだけだ。ジョン,思い悩むのをやめなさい。」

わたしの友人ジョンにとってこれは試練でした。どうすれば思い悩まないでいられるというのでしょうか。とんでもない過ちが行われたのです。彼は自分を抑えようと苦闘した末,従順になってこの賢明なステーク会長の勧めに従うことに決めました。思い悩まないことにしたのです。

彼はこう言っています。「結局理解できたのは年を取ってからだったよ。彼は気の毒な町医者だった。忙しいばかりで収入は少なく,身を粉にして次から次へと患者を見て回っていた。ろくな薬もなく,病院もなく,器具にも事欠いていた。それでも人の命を救おうと必死だった。それに実際多くの命を救っていた。母子ともに命が危ないという土壇場にやって来て迅速に処置してくれたんだ。ようやく分かったよ。わたしは危うく自分の人生も,人の人生もだめにするところだった。」

「ジョン,思い悩まないようにしなさい」とだけ勧告してくれた賢明な神権指導者のことを, 彼は幾度もひざまずいて主に感謝したそうです。

傷ついたり気分を害したりする教会員を周囲で目にすることがあります。教会の歴史上の出来事を知って不快に思う人もいれば,教会の指導者の言動に傷つく人もいます。彼らはそのことで生涯苦しみ,人の過ちを忘れることができません。思い悩むことをやめず,教会に行かなくなります。

このような態度を執る人は,棒で殴られた人が,怒って棒を取り上げ,それで自分の頭を一生たたき続けているようなものです。非常にばかげていて,悲しいことです。こんな復讐ふくしゅうは自分が傷つくだけです。傷つけられたら赦し,忘れ,思い悩むのをやめましょう。

モルモン書には次の警告があります。「もし誤りがあるとすれば,それは人の犯した間違いである。したがって,キリストの裁きの座で染みがないと認められるために,神にかかわるものを非難しないようにしなさい。」16

末日聖徒はごく普通の人です。教会員の人口は1,400万であり,世界中どこにでもいます。これはただの始まりにすぎません。教会員は世にあって世のものとなってはならないと教えられています。17 ですから教会員は一般の人たちと一緒に普通の家庭で普通の生活をしています。

また,教会員はうそをついたり盗んだり,不正行為をしたりしないよう教えられています。18 教会員は悪い言葉を使いません。前向きに物事をとらえ,喜びにあふれ,人生を恐れません。

また,教会員は「悲しむ者とともに悲しみ,慰めの要る者を慰めることを望み,・・・いつでも,どのようなことについても,どのような所にいても,・・・ 神の証人になることを望んで」19 います。

会員に多くのことを求めない教会を探している人がいるとしたら,この教会は違います。末日聖徒として生きるのはたやすいことではありませんが,結局これが唯一正しい道なのです。

敵対する者たちや「様々な地における戦争と戦争のうわさと地震」20 があったとしても,いかなる力もいかなる影響力もこの業をとどめることはできません。わたしたちは皆,啓示の霊と聖霊の賜物の導きを受けることができます。「全能者が末日聖徒の頭に天から知識を注ぐのを人が妨げようとするのは,人がそのか弱い腕を伸べて,定められた水路を流れるミズーリ川をとどめようとするようなもの,あるいは逆流させようとするようなもの」21 なのです。

もし皆さんが,何らかの重荷を背負っているなら,それを忘れ,手放してください。 たくさん赦し,幾らか悔い改めをしてください。そうすれば,聖霊の御霊みたまの訪れを受け,これまで経験したことのないような強い証によって確認を受けるでしょう。皆さんと皆さんの家族は,見守られ,祝福されるでしょう。これは,主のもとに来るようにという招きです。この末日聖徒イエス・キリスト教会,すなわち主御自身が「全地の面に唯一まことの生ける教会」22 と宣言されたこの教会こそが,「偉大な幸福の計画」23 を見いだすことのできる場所です。これらのことをイエス・キリストの御名により証します,アーメン。

  1. .デビッド・ダニエル,Tyndale’s New Testamentの序文(1989年),viii

  2. .デビッド・ダニエル,Tyndale’s New Testamentの序文,ix

  3. .3ニーファイ27:2-5, 7-8

  4. .大管長会の手紙,2001年2月23日付

  5. .2ニーファイ25:26

  6. .モーセ5:8参照;バプテスマ:2ニーファイ31:12;3ニーファイ11:27;18:16;病人への祝福:教義と聖約42:44参照;聖霊の賜物の授与:モロナイ2:2参照;神権への聖任:モロナイ3:1-3参照;聖餐:モロナイ4:1-3参照;奇跡:教義と聖約84:66-69参照

  7. .信仰箇条1:6参照

  8. .使徒1:3-11参照

  9. .使徒2:2-4

  10. .使徒2:38参照

  11. .教義と聖約1:20

  12. .教義と聖約89:18-20

  13. .「家族─世界への宣言」『リアホナ』2004年10月号,49参照

  14. .アルマ39:4-6参照

  15. .アルマ42:8

  16. .モルモン書タイトルページ

  17. .ヨハネ17:14-19参照

  18. .出エジプト20:15-16参照

  19. .モーサヤ18:9

  20. .モルモン8:30

  21. .教義と聖約121:33

  22. .教義と聖約1:30

  23. .アルマ42:8